「価値あるプロダクトをすばやく届ける」——内製開発で事業成長を支える
私が率いる事業部のミッションは、「価値あるプロダクトをすばやく届け、その価値を進化・継続させること」です。シンプルな言葉ですが、この一文にはとても大切な意味が込められています。スピードだけを追い求めるのではなく、届けたプロダクトがお客様や従業員の方々にとって本当に価値あるものであり続けるよう、継続的に進化させていく——そこまでを責任として担う、というのが私たちの姿勢です。
具体的な業務としては、カインズの事業成長を支えるシステムプロダクトおよびシステム基盤の内製開発(自社内のエンジニアが開発を担う体制)に取り組んでいます。大きく分けると、お客様向けと従業員向けの二軸があります。お客様向けのプロダクトとしては、EC(インターネット通販)サイト、スマートフォンアプリ、オウンドメディア(自社が運営するWebサイトやコンテンツ)などの開発を手がけています。一方、従業員向けには、MD(マーチャンダイジング=商品の仕入れや品揃えを管理する)システム、海外調達システム、バックオフィスシステムといった社内業務を支えるプロダクトの開発も行っています。お客様の目に触れるものから、現場スタッフの日々の業務を陰で支えるものまで、幅広いシステム開発が私たちの守備範囲です。
私自身は、事業責任者として組織全体の運営を担っています。単に開発を管理するというよりも、事業戦略とIT戦略を結びつけることが最大の役割だと捉えています。「このシステムに投資することで、カインズの事業成長にどうつながるのか」「競争力を高めるためにどんな優先順位で取り組むべきか」——そうした問いと常に向き合いながら、意思決定を重ねています。
また、内製化の推進やAI活用、システム構造の改革といった、より本質的な変革にも力を入れています。スピード・品質・コストの最適化をリードしつつ、安定した運用とセキュリティを確保し、将来を見据えたシステム基盤を構築していくこと——これらすべてが、事業責任者としての私に課せられた使命だと感じています。
小売業におけるITの役割は、今まさに大きな転換期を迎えています。かつては「業務を支えるための道具」と捉えられていたシステムが、今や事業そのものの競争力を左右する存在になっています。私たちの事業部が内製開発にこだわるのも、外部に任せるだけでは生み出せないスピード感と柔軟性こそが、この時代のカインズには必要だという確信があるからです。
「第三創業期」から始まった、内製化への挑戦と忘れられない喜び
私がカインズの情報システム事業部にジョインしたのは、その前身である「デジタル戦略本部」が発足したタイミングでした。
そもそものきっかけは、2018年にカインズが掲げた「IT小売企業宣言」です。ITを経営の中核に据え、デジタルとリアルを融合した「IT小売業」へと変革することを会社として明確に打ち出しました。翌2019年を「第三創業期」と位置付け、その戦略を具体化するための専門組織として発足したのがデジタル戦略本部でした。顧客体験を迅速に進化させるために、開発を外部に委託するのではなく自社で内製化し、アジャイル開発(短いサイクルで開発と改善を繰り返すソフトウェア開発手法)を推進することが、私たちに課されたミッションでした。
発足当時の心境を一言で言えば、「楽しみでいっぱい」でした。カインズ全社でDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて取り組む環境の中、新たな挑戦に向けてワクワクしていたことをよく覚えています。
ジョインしてからまず取り組んだのは、内製化組織そのものの設計と実行です。どのような体制でチームを組むか、どのように開発プロセスを整えるか、ゼロから考えて形にしていく作業は容易ではありませんでしたが、それが私の主軸となる仕事でした。この取り組みは現在も継続しています。
そんな中で最初の大きな山場となったのが、新ECプロジェクト(自社のオンラインショッピングサイトの構築プロジェクト)の立て直しです。デジタル戦略本部として立ち上がって間もない段階で、このプロジェクトに向き合うことになりました。複数の領域を内製化で引き受け、メンバー全員で取り組み、ようやくリリース(システムの公開・稼働)を迎えたときの喜びと達成感は、今でも鮮明に記憶に残っています。それと同時に、その過程で感じた苦労の大きさも忘れられません。
それから約3年後、組織は情報システム事業部へと進化を遂げ、ECサイトとアプリを完全内製化でリリースするという大きな節目を迎えました。最初のECプロジェクトの立て直しから積み上げてきた経験と組織の成長が結実した瞬間であり、感慨深いものがありました。システム構造改革を掲げ、自社でコントロールできる環境をつくるという方針を一歩一歩実現してきた道のりが、この完全内製化というかたちで示されたように感じています。
プロダクトへの「ダイレクトな反応」が、成長サイクルを生み出す原動力
この事業部で働く中でいちばんのやりがいを感じるのは、プロダクトをリリースしたときにダイレクトな反応が返ってくることです。私たちは事業会社のエンジニアですので、自分たちが開発したプロダクトが実際のビジネスや利用者にどう影響するかをリアルタイムで受け取ることができます。良い反応も悪い反応も、どちらもすぐに届いてくる。そのスピード感こそが、進化・改善のサイクルを高速で回せる理由だと思っています。
受託開発や社内ツールの開発とは異なり、内製システム(自社のプロダクトやサービスを自社のエンジニアが開発・運用すること)は作って終わりではありません。リリースした後も継続してプロダクトと向き合い、改善を積み重ねていく。この「作って終わりではない」という点が、私自身にとっても非常に面白いと感じるところです。プロダクトの成長と事業の成長に、長期にわたって携わり続けられることに大きなやりがいを感じています。
メンバーのマネジメントという観点でも、この事業部には特徴的な動きが見られるようになってきました。複数の横断チームのプロジェクトが、メンバーの自律的な取り組みによって前進していること、そしてそこに事業成長の視点も加わってきていること。こうした姿を見るたびに、組織としての成長をひしひしと感じます。
メンバーが自分の仕事の意義を理解し、事業全体を見据えながら主体的に動いてくれている。それはマネジメントをする立場として、何よりうれしい瞬間です。一人ひとりが「プロダクトをより良くしたい」「事業を成長させたい」という意識を持ちながら仕事に取り組んでいる様子を見ると、この事業部を担う責任と同時に、大きな手応えを感じます。
事業部をまとめる上で私が特に大切にしているのは、働きやすい環境づくりです。環境といっても、物理的な職場環境から、事業部のカルチャー(組織の文化や風土)的なものまで、その範囲は多岐にわたります。どんなに優秀なエンジニアでも、環境が整っていなければ本来の力を発揮できません。メンバーが安心して、そして意欲を持って働ける場をつくることが、プロダクトの成長にも、ひいては事業の成長にもつながると考えています。
「会社をもっと良くしたい」と思える人と、一緒に未来を切り拓きたい
情報システム事業部として、今後挑戦したいことがいくつかあります。そのひとつが、内製化のさらなる推進です。内製化とは、これまで外部のベンダーや委託先に任せていたシステム開発・運用を、自社のエンジニアが直接担える状態にしていくことを指します。現時点ではまだ外部に依存している領域が残っており、その部分を自社でコントロールできる状態にしていくことが直近の大きなテーマです。
もうひとつが、AI駆動型開発への挑戦です。AIをエンジニアリングのプロセスそのものに組み込むことで、開発のスピードと質を同時に高めていく取り組みです。テクノロジーの進化は止まりません。その流れに乗り遅れることなく、ビジネス成長に素早く対応できるスケール可能な組織をつくり上げていきたいと考えています。
情報システム事業部がめざす姿は、プロダクトを提供するだけの組織ではありません。事業成長そのものを生み出す組織です。一人ひとりが事業を深く理解し、価値あるプロダクトをすばやく届け続けることができる、事業会社のエンジニア集団でありたいと思っています。個人の成長にとどまらず、チームとして成長し、会社の競争力を支える存在でありたい。そういう組織をつくることが、私の目標です。
会社への貢献という観点では、情報システム事業部は事業の成長を支えるだけでなく、働く人たちがより活躍できる環境づくりを通じて、組織全体に貢献していきたいと考えています。テクノロジーの力で、くらしをより豊かにする企業の成長を支えていくこと。それが私たちの存在意義だと感じています。
最後に、これからジョインしてほしい方へ伝えたいことがあります。新しい技術への好奇心を持ち、自ら課題を見つけて行動し、周囲と協力しながら価値を生み出せる人と一緒に挑戦したいと思っています。技術力はもちろん大切ですが、それと同じくらい、「会社をもっと良くしたい」という想いを持っている方に来ていただきたいです。その想いこそが、チームを動かし、事業を前に進める原動力になると信じています。一緒に、この組織の可能性を広げていきましょう。
