少数精鋭で興すためには、チームワークはもちろん、一人ひとりの考える力が必要
電動車の普及・実用化に向けた課題解決のためにバッテリー周辺部品の要素技術の研究・開発を行っている彼ら。電動車の主な課題である、航続距離の向上・安全性の向上・価格の低減・車室内空間の拡充に向け、要素部品の開発に留まらず『新たなクルマづくり』として挑戦しています。どんな面々が在籍しているのか、三者三様の経歴・仕事内容を聞いていきます。
加藤:現在は将来の電動車に向けた要素技術の開発を担う組織のグループ長として15名のメンバーをマネジメントしています。学生時代は理工学部にて電気工学を学び2009年に入社。これまでに、オートマチックトランスミッションの駆動部品設計、社内ギヤトレーン設計をはじめ、その他、世界初10速のオートマチックトランスミッションの開発に携わり量産化。その後、先行開発部門に異動後は、チームリーダーとしてPHEVの駆動システム開発を推進してきました。
片岡:現在、私の担当はバッテリー周辺部品の先行開発です。社内に知見者が少ないバッテリーそのものに関する知識を習得し、標準化に向けて取り組んでいます。もともとは、工学部にて機械設計を学んでいました。 2015年に入社後は、オートマチックトランスミッションのギヤトレーン部品設計を担当していました。その後、先行開発部門へ異動して次世代HVユニットおよびeAxleの企画・ギヤトレーン部品設計を担当も経験しました。
ラジャパクセ:私は2024年にアイシンへ転職しました。まだまだ担当している分野についてお二人に及びませんが、日々精進しています。現在はバッテリー温調部品の先行開発を担当。学生時代は工学部にてロボット工学を学びました。前職では自動車のボデー設計開発部門にて新規開発車のリアボデー設計に従事し、初期検討から量産立ち上げまでを一貫して担当していました。
経歴の異なる3名の社員。彼らがアイシンでのキャリアを選んだ理由について語ります。
ラジャパクセ:前職では長く量産に向けた設計に携わってましたが、やや「物足りなさ」を感じていました。初めてアイシンを意識したのは何気なく見ていた転職サイト。その時に感じたアイシンのイメージは「開発力・技術力」の高い企業であること。アイシンならもっと自分自身の技術力を高められるのではないか、そう感じたのが応募のきっかけです。
その後アイシンへキャリア入社。初めての転職、初めてのアイシン。戸惑いや不安を感じたことはなかったのでしょうか。
ラジャパクセ:前職では板金・ボデーに携わっていたため、現職は大きく異なる分野…とまどいは当然ありました。現在でもわからないことは多くあります。それでも、自分たちで考えながらやっていくしかない、または自分で考えてやっていくしかない分野でもあるところが、仕事の面白みになっているのは確かです。
そんなラジャパクセを迎えいれた加藤と片岡にもそれぞれ彼が組織に与える影響を伺います。
加藤:彼は前職で車体をやっていたので求めている技術や経験、知見は非常に合致していました。当時私は求める人物像として、アイシンにない経験や知識の保有、空気感・文化を持っている方を欲していました。ラジャパクセは若いながらもそれらを持っており、面接で感じた彼のチャレンジ精神にも惹かれました。余談ですが、当時も今も笑顔がすてきですよね。そして、テンションが高め。組織のカンフル剤としても適しており、共に成長していけると感じたことも大きな理由となっています。
片岡:持ち前の明るさとコミュニケーション能力で周りの協力を取り付けている姿が印象的です。上司と部下の関係となった今は誰よりも積極的な姿勢を有り難く感じています。一方で業務においては論理的に組み立てていくことに課題を感じていました。それも工夫をしていくなかで徐々に身についてきた・成長していってくれているのかなと感じます。車全体のことを考えられることは前職時代から培った彼の強み。自分は目の前の部品しか見えていないときもあるので、そんなところは学ばせてもらえていると感じています。
何を大切にして、日々の業務の一つひとつに落とし込んでいるのか
彼らが所属するEVプラットフォーム開発室はこれまでになかったものを生み出していく部署。まだまだ部署としても発展途上だと語ります。その中でマネージャーを担う加藤はどのようにチームビルディングを捉え、組織を醸成していく考えであるかを聞いてみました。
加藤:私たちの組織はまだ1年半前にできたばかりの部署です。私自身、もともとは駆動やその周辺分野の部品設計がメインであったため、バッテリー分野というものに対して知見が深いわけではありませんでした。ただ、新たなチャレンジ。「おもしろい」「やってやろう」という気持ちは強かったです。
アイシンで長く活躍してきた加藤にとっても未知の領域。その難局をどう歩んできたのかを伺います。
加藤:組織の発足時からマネージャーとして活動させていただきましたが、会社としても技術や経験が乏しい状態は、「さぁ、どうしようか」という気分でもありました。人員も知識も経験もスキルも何もかも足りないなかで、大学や研究機関と連携して技術を自分たちの中に手持ち化することを優先させました。おそらく自分の会社人生史上、一番どうにかしようと感じて動いていた時期。バッテリーは世界でもまだ始まったばかりの分野、人員は揃わなくて当然。ですから、一からというよりもゼロから、自分のつくりたい組織・チームをどうつくっていくかを考えました。社内でスキルチェンジするメンバーを集め、皆の学びたい姿が醸成していくことが理想のチーム像になっていると思います。
未知の道をどのように進んでいくか? それはつくりながら、トライ&エラーを繰り返しながらなのかもしれません。誰よりも先頭を進んでいる加藤の姿を部下のふたりはどのように見ているのでしょうか。
片岡:ひと言でいえば加藤さんは「パワフル」、物事をとにかく前へ進める方という印象です。性格的には自分とは真逆だと感じています。自分に持っていないものを持っているなと感じることが多いです。仕事を進める上でも相談に乗ってもらったり、判断してもらったり。設計面でも助言をいただいています。入社してからずっと付き合いのある方で、私にとっては先生のような存在ですね。
ラジャパクセ:部下一人ひとりの成長を考えてくれる上司です。上司ではありますが面倒見の良いお兄さん的な存在でしょうか。仕事以外でも積極的で、チームでキャンプに行ったときなどは誰よりも率先して場を盛り上げてくれます。キャリア入社の私にはそうした気づかいが非常にありがたかったです。
マネージャーが考える理想の部署の姿はどのようなものかも聞いてみました。
加藤:新規部署のチーム・組織としてどのように考えているか…正直、明確にイメージしているわけではありませんが、さまざまな経歴のメンバーを集めて、それぞれの異なる視点から導かれる意見、異なる考え方をどうにか掛け合わせて、今までにない新しいものをつくっていきたいと考えています。
彼らが生み出す新しい技術、その技術が生み出す未来が楽しみです。
未経験から社内一の専門家へ。技術屋としてのプライドが後押しした成長
「まさか、自分がバッテリーに携わるなんて…」と話す片岡。バッテリーを含む電気電子領域は学生時代からどちらかといえば苦手な部類でした。
片岡:先述の通り、学生時代は工学部で機械設計を学んでいました。入社後はギヤトレーン部品設計を担当するなど、大学で学んだことをベースに実践。その後の次世代HVユニットおよびeAxleの企画・ギヤトレーン部品設計部門への異動も経験させてもらいました。部品設計だけではなく企画の成り立ちも経験させていただきました。さまざまな経験をさせてもらったのちに現在のバッテリー関連の業務に異動しています。
上司にあたる加藤から見た片岡はどのような人材なのでしょうか。
加藤:片岡くんは、コツコツとやるのが得意な人。決してルーティンワークだけではなく、聡明な男だと感じさせる仕事ぶりです。そして、こう見えて負けず嫌い。「技術」に対してのプライドは部下・年下ながら尊敬しています。過去同じ部署にいたこともあり彼のパーソナリティをよく知っていたので、また一緒に働きたいと考えていました。彼が異動して今のチームに来てくれることを知った時は嬉しかったですね。またチームが一つ成長できるきっかけになると思ったので。
片岡:まさか自分がバッテリー分野をやると思っていませんでした。ただ会社の将来を考えていくときに必要となる知識だとは感じてましたし、大きなチャンスだと捉えていました。とはいえ、「できるのか? 」と最初は不安でしたね。未経験の分野になんとか食らいついていこうと必死に学びなおしました。大学の教授からも専門知識を学んだり、知的好奇心をなんとか刺激して身につけてきました。加藤さんから社内一だと褒めていただきますが、自分では未だに電気は苦手な意識を持っています。
期待を寄せる上司と、期待に応える部下…。意欲も大事、興味も大切、それ以上に姿勢が欠かせないと感じさせる事象ですね。
片岡:私をよく知る同期の社員にはびっくりされることがあります。「いままでメカメカしい経歴なのに…」と。入社からいくつかの部署でさまざまな経験ができたことが功を奏していると自分では感じています。身につけた技術や考え方を転用したり、企画部署では企画策定や戦略策定の考え方を身につけられたり、成長に無駄なことはないとあらためて思わせられます。
ラジャパクセ:片岡さんには検討段階から相談に乗ってもらうことが多いです。私の考えや設計のどこが間違っているかを的確なアドバイスが自分の成長につながっているなと感じています。設計者として「こう考えるべき」という先輩の姿を見せてくれています。いずれは片岡さんのような技術力もリーダーシップも高い技術者をめざしています。
未来を生み出す理想の組織像。そして新たな挑戦へ
彼らが所属するのはこれからのアイシンを担う部署のひとつ。未来のクルマづくり、未来づくりを掲げているが、部署としての未来はどのように考えているのでしょうか。
加藤:個人的な夢や目標と言われると、「安心して将来を暮らしたい」というシンプルなものですね。ただそれをつくる上では大袈裟かもしれませんが地球環境をどうにかしたいと本気で思っています。漠然としていますが、そんな大きな目標が日々の励みになると信じています。チームとしてはさまざまな特徴・考え方を持っている人が入って文化を変えたいと思っています。その範囲をチームからプロジェクト、さらには会社全体へと広めていきたいですね。
伝統と革新の良いブレンド具合が加藤の求めている理想の会社・チーム像なのでしょう。
片岡:アイシンが持っている全員がこだわり、良いものをつくろうとしている姿勢を継承しつつ、都度良いものへアップデートできるよう。それぞれが工夫しながら仕事ができる環境があるので、それぞれの中での挑戦もあり、やりがいも感じやすい。また、品質へのこだわりがあるのも特長ですよね。その雰囲気が自分は好きです。そういったものが根底にあるとズレが少ない上に、時代や物事に合った柔軟な姿勢が継続されていくのかなと、個人的には思います。
人それぞれ違っても、アイシンらしさは根底にあって変わらないもの。
ラジャパクセ:アイシンを外から見ているときは、いろんなことをやっている会社だと感じていました。それは入社後の今も正直変わっていません。皆がクルマに関わっていても、本当に多種多様なことをやっていると。ただ何かに迷ったとき、誰かに聞ける環境があるという点はアイシンらしさ、アイシンの良さだと感じています。チームや周りに対して協力的、そんなアイシンの文化・風土を私も引き継いでいきたいと思います。
それぞれが思う・感じるアイシンらしさがあるのでしょうね。
では、未来に思い描く理想の組織とはどんなものなのでしょう。
加藤:どんな人も、一人ひとり全員が、何かを達成させるために全力で打ち込める組織でありたいです。その上で大切なことは、今までのアイシン文化を捨てることも厭わない考え方があってもいいのかな、と。当たり前は不要。これからはさまざまな血を通わせて、あたらしいアイシンをつくっていきたいな、と個人的には考えています。
革新的な考えや意見が出てくるのもアイシンならではなのかもしれません。
加藤:アイシンはまもなく設立から60周年を迎えます。これまでのアイシンを継承した上で、壊していくことも、その上につくることも必要なのかなと感じています。アイシンの最大の良さは、『挑戦』できる環境があること。自分から、能動的に動くことを認めてくれる会社です。これからもアイシンらしい挑戦心は残しつつ、この部署はそれを最も体現している部署にしていきたいと考えています。
※ 記載内容は2025年6月時点のものです
