専門学校時代、実習で気づいた「本当にやりたいこと」
伊藤がパーソナルトレーナーという職業に興味を持ったのは、高校卒業後に入った専門学校でのことだった。
当時伊藤はスポーツ選手専門のトレーナーをめざし学校に通っていたと言う。
「高校まで競技者としてスポーツに取り組んでいたのですが、怪我をしてそのまま引退することになってしまいました。当時、回復に向けた指導をしてくれる人がおらず、『あの時誰か適切な指導をしてくれる人がいたら』という気持ちからスポーツトレーナーをめざすようになりました」
そんな伊藤がスポーツトレーナー以外の道に目を向けるようになったのは、2年時の現場実習での経験がきっかけだった。
その実習先では1人のトレーナーが複数人に対し、同時に指導を行っていた。
「年代も状況もまったく違う方々を同じ時間で指導しなければなりませんでした。たとえば、『日常的に介助が必要な40代の方』と『怪我をしてリハビリ中の20代の方』などです。
一律の指導のため表面的になりがちで、『この人はこう、こちらの人はこうした方がいいのに』と、ものすごくもどかしく感じたのを覚えています。
そしてその実習以来、一人ひとりにより合った指導をしたい、と考えるようになったんです。その希望に合うのはパーソナルトレーナーだと思いました」
知識としては知っていたパーソナルトレーナー職に強い興味を持った伊藤は、その後の就職活動はパーソナルトレーナー職志望で進めた。
「その中でもお客様の目的や属性が豊かだと感じ、当社に入社を決めました。どのような方にも対応できるようなトレーナーになるためには、たくさんの経験を積んだ方が良いと思ったからです」
入社後のギャップもほとんどなかったと言う。
「実際、7割くらいはダイエット目的のお客様ですが、残りの3割ほどの方々は非常に多岐にわたります。身体を見直しに来る役者さんやスポーツ選手、心の安定のために身体を動かしに来る方など……。“健康的に身体づくりをしたい”という想いは共通していますが、その背景は本当にさまざまです。
私の想像ですが、マニュアルに頼りすぎることなく、一人ひとりの背景に合わせた指導を行う当社のサービスがさまざまなお客様を惹きつけているのではないでしょうか」
現在、パーソナルトレーニングの主流は「一律マニュアル的トレーニング指導」だ。トゥエンティーフォーセブンにも多くのノウハウはありながらも、その先はお客様に合わせてトレーナーが考えることを求められる。
「それが当社の特徴であり、私が一番自分に合っていると感じている部分です」
期待を背負うからこそ頑張れる。“トレーナーとお客様”の支え合う関係性
複数の店舗をまとめる統括エリア店長の立場となった今も、伊藤にとってやりがいは何より顧客の喜ぶ姿だと言う。現在は直接指導する機会は少なく、部下を通じてという形にはなるが、それでもそのやりがいは変わらないと話す。
「強い覚悟を持っている方が多い分、目標達成できたお客様の喜びはすごいんですよ。
以前には『ボディメイクに成功して、自分に自信が持てるようになり結婚できました。もしトレーニングを受けていなければ私の人生はまったく違うものでした』とまで言っていただいたことがあります。すごく感動して……今でも忘れられません。
もちろんトレーニングも結婚も頑張ったのはお客様なのですが、『人の人生を変えるような仕事なんだ』と強く実感しましたね。
また同時に、非常に重い責任も感じました。多分、普通の仕事ではなかなか味わえない感覚だと思います」
そんな自負が伊藤の心を支えたことは一度や二度ではない。とくにコロナ禍では、顧客の声に助けられた。
「新型コロナウイルス感染症が流行しはじめた当初、私は新規オープン店舗の店長に任命されたばかりでした。政府の要請によって営業停止を余儀なくされ、とてもワクワクしていた分心が折れかけました。
でもその状況でも入会されるお客様がいてくださったり、『どれだけ待ったとしても通います!』とお声を掛けていただいたりしたことで、私自身がくじけるわけにはいかないと心を奮い立たせることができました。営業停止についても『全部イチから積み上げられる、自分自身の成長につながる状況だ』と、前向きに捉えることができるようになったんです」
店舗には、毎日のように顧客から喜びの声が届く。
「お客様がくじけてしまわないようサポートする仕事ですが、実はトレーナー側もお客様に支えられているんです」
“頑張り次第”だからこそ──信頼を勝ち取るために
喜び溢れるパーソナルトレーナーの仕事だが、さまざまな背景を持つ顧客一人ひとりに対し適切な提案をするのは難易度が高く、常日頃から勉強が欠かせない。
しかしそれは当たり前、と伊藤は言い切る。
「当社のトレーナーなら、みんな学び続けているんじゃないでしょうか。入社時の研修プログラムの内容は濃く、店舗への配属後も定期的な研修を設けてくれますが、会社から受け取るだけではトレーナーの仕事は成り立ちません」
伊藤が課題に感じるのは学び続けることではなく、学んだ知識や技術をどう顧客に伝え、どう信頼を得てプログラムに取り組んでもらうか、といった、『コミュニケーション』の部分だと言う。
「お客様は安くない金額を支払い、その金額に見合う指導やサービスが受けられるかどうか不安に思っています。まずはその不安を解消し、信頼していただかなくてはなりません。知識を持っているだけではここはクリアできませんから、しっかりと対話し、お客様のことを理解した上でこちらの話をしなければ、信頼関係は結べないんです」
伊藤がフォローする部下のトラブルには、コミュニケーションのすれ違いが原因で発生したものも珍しくはない。
「部下に対しては、コミュニケーションの重要性だけは忘れないよう伝え続けています。一対一のパーソナルセッションの現場は、私たちもトレーナーを信頼して任せなければなりませんから。お客様の“頑張り次第”な部分が大いにあるサービスだからこそ、同じ方向を向いて走れるよう、丁寧なコミュニケーションは欠かせません」
また、伊藤が強調する「コミュニケーション」と「信頼関係」は、顧客に対してのみ当てはまるものではない。
「部下に対して強く説くからこそ、自分と部下の間のコミュニケーションも非常に大切にしています。統括エリア店長という立場は常に店舗にいられるわけではないのですが、少しでもメンバーたちの信頼を得られるよう、なるべく毎日どこかの店舗に顔を出すようにしています。
お客様も店舗のメンバーも、私と一緒に目標に向けて走ってもらうことや、私を信頼してもらわなければならない、という意味では同じですからね。お客様の喜ぶ姿を見たときと、メンバーの成長を目にしたときの嬉しさは、すごくよく似ています」
統括エリア店長として、トレーナーとして。未来への展望
最後に、今後の目標や展望を聞いた。
「まずは自分の任されているエリアの売り上げを年間1位にすることが目標です。私が統括エリア店長になって1年ほど経ちますが、ずっと力を入れていた部分に少しずつ成果が出てきました。このまま多摩エリアのみんなと一緒に良い結果を出したいです。
後は、この立場になってキャンペーンやコンテスト企画の機会ももらえるようになったので、そういったことも実現していきたいです。
今は店舗で実施するキャンペーンなどは、主に本社の方が中心となって企画し現場に降りてきます。でももっと現場発信の企画を増やしていけたらと思っているんです。お客様の声を一番近くで聞いているのは、店舗のトレーナーですから。チャンスがもらえる環境なので、今後、より力を入れていきたい部分ですね」
その先の未来についてはまだ迷うことも多いと言う。
「まずは統括として仕事をまっとうしたいですし、その先はジェネラリストとしてさまざまな経験を積んでいくのか、スペシャリストとしてトレーナーとして道を究めるのか、いろいろな選択肢があると思います。
でも、何かしらの形で、現場や、現場のトレーナーと関わっていられる場所が良いなとは思っています。
他にはなかなかない魅力ある仕事だと思っていますし、私はこのパーソナルトレーナーという仕事が生み出す価値を素晴らしいものだと感じていますから」
伊藤がトゥエンティーフォーセブンに入社して5年と少し。“パーソナルトレーナー”という仕事に向ける想いは変わることがない。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです
