AI for Scienceの可能性を信じ、アカデミアに新たな価値を届ける仕事
私は現在、UpstageにおいてAI for Scienceのビジネス展開を推進するミッションを担っています。アドバイザーという立場で、この革新的な分野の技術的・戦略的なアドバイスを行うのが私の役割です。
アカデミアとの関係性を重視した立場にある私は、主に大学や国立研究機関に対してAI for Scienceの重要性を伝える活動をしています。特に力を入れているのは、「ドキュメントパース」と「LM(Language Model)」の二段構成が必須であるということを説くことです。これらの技術が組み合わさることで、科学研究の現場に革命的な変化をもたらすことができると確信しているからです。
この仕事を進める上で、私が最も大切にしているのは、常に相手の立場に立って考えることです。相手にとって一番必要なことは何か、つまりニーズを的確に把握することを心がけています。私自身がやりたいこと、それはAI for ScienceをUpstageで展開することですが、これをシーズとして捉え、相手のニーズに合うような形で変換することが重要だと考えています。
具体的には、「相手にとってこういうメリットがある」ということを明確に示し、さらに「どれぐらいの工程で進めるか」という実現可能性も含めて具体的に伝えるよう努めています。このアプローチこそが、私のモットーであり、仕事への取り組み方の根幹を成しています。研究機関の皆様に真の価値を届けるために、日々この姿勢を貫いています。
量産工場での衝撃的な体験が教えてくれた仕事の本質
私のキャリアは、一般的な大学の先生とは少し違った道のりを辿っています。阪大の修士課程を修了した後、三菱電機に入社し、研究所ではなく量産工場のエンジニアとして2年間働きました。この選択が、後の私の仕事に対する価値観を根本的に変えることになったのです。
修士課程まで進んだ人間であれば、普通は研究所での研究職を希望するものです。しかし私が配属されたのは、半導体を扱う量産工場でした。そこでの仕事は、研究で1個だけ完成したデバイスを量産化するという、極めて実践的なものでした。最初は高価なコストがかかる製品でしたが、それを確実に売らなければ、その部品を使用するメーカーの設計図に自分たちのデバイスが採用されることはありません。
ある日、忘れられない出来事が起こりました。ある会社への納入で問題が発生し、営業担当者と量産工場の責任者が先方に謝罪に向かったときのことです。そこで言われた言葉は、私にとって衝撃的でした。「工場を1日止めると10億円の損失だ。お前たちの生涯賃金が3億5000万だから、お前たち3人分の人生が一瞬で消えるんだ。それくらいの覚悟で仕事をしろ」。
この話を聞いたとき、本当に震え上がりました。これこそが仕事の本質なのだと痛感したのです。研究は確かに知的好奇心を満たしてくれますが、金儲けには直結しません。一方で量産工場は、ダイレクトに事業に結びつく現場です。この経験を通じて、「組織のミッションに沿った仕事をすることが一番キャリアにつながる」という重要な教訓を学びました。つまり、「ミッションオリエンティッド」に物事を捉えることの重要性です。この価値観こそが、現在Upstageで取り組んでいる仕事の根幹にもなっています。
大型プロジェクトでの成功と民間企業との協業から得た新たな視点
現在の仕事で最も印象に残っているのは、Upstageと共同で進めている「ドキュメントパース+LMの仕組み」が、大型グラントの責任者に認められたことです。この取り組みは単なる技術提案ではなく、大型プロジェクトの具体的展開において本質的な価値を持つものだと確信していました。その想いが相手に伝わり、プロジェクトの中核として採用されたときは、これまでの努力が実を結んだと実感しました。
特に文科省と総務省という2つの重要な省庁に対しても、私たちの取り組みが響いているという手応えを感じています。ある意味では、すでに成功していると言えるかもしれません。官民連携のプロジェクトにおいて、技術的な価値だけでなく、政策的な意義も含めて評価されることの重要性を改めて認識しました。
入社してから大きく変化したのは、民間企業との関わり方です。これまでの件以外では、民間企業とここまで密に関わることはありませんでした。定例会などを通じて、「民間企業はこうやって儲けるのか」という具体的な事例を目の当たりにすることができ、これは貴重な学びとなりました。
三菱電機時代に培った「ミッションオリエンテッド」な考え方や、組織のミッションに沿って行動することの重要性は、現在のアドバイザー業務でも大いに活きています。相手のニーズに合わせて提案を変換するという姿勢は、まさに当時の経験から培ったものです。これまで自分が考えてきたことが正しかったと感じることができ、今後もその方向で自分を成長させていこうという思いを固めることができました。
AI for Scienceの未来を切り拓く挑戦と仲間への想い
短期的な目標として、大型グラントのプロジェクト責任者たちに「ドキュメントパース+LM」の重要性をさらに認知してもらい、それをトップダウンでプロジェクト全体に展開してもらうことを掲げています。これまでの経験を通じて、技術の価値を理解してもらうには、まず意思決定者への働きかけが重要だと実感しているからです。
中長期的には、AI for Scienceの分野で、アカデミアと産業界の橋渡し役として貢献していきたいと考えています。研究の世界と実際のビジネスの現場、それぞれに異なる価値観や課題がありますが、その間に立って両者をつなぐ役割を果たしたいのです。科学技術の発展には、純粋な研究だけでなく、それを社会実装につなげる力が不可欠だと信じています。
Upstageで活躍できるのは、相手の立場を理解し、ニーズを捉えながら提案を形にできる人だと思います。また、ミッションオリエンテッドに物事を捉えて行動できる人が重要です。技術力だけでなく、相手の視点に立って考える力が求められる環境なのです。
今後Upstageにジョインしてもらいたいのは、信頼関係を大切にしながら、自ら考えて行動できる人です。そして困難の中でも前向きに挑戦し、組織のミッション達成に貢献できる人にぜひ加わってもらいたいと思っています。Upstageには代表の松下さんをはじめとした信頼できる仲間がいて、お互いを支え合いながら成長できる環境があります。この環境で一緒に未来を創り上げていける方との出会いを楽しみにしています。

