広告の世界から自動車業界の変革期へ - マーケティングへの情熱が導いた進路
私が広告の世界に興味を持ったきっかけは、大学生の頃に見た映画の予告篇でした。たまたま面白そうな映画の予告に出会い、公開を心待ちにして、映画館に足を運んだところ、その映画が全く面白くなくて。ショックと同時に「あの予告編作った人すごいな」と思い、短いメッセージの中で魅力を伝えて、人を動かす、広告表現というものに興味を持つようになりました。
それからは、その興味の赴くまま、コピーライティングの講座参加など、クリエイティブや広告表現を学び始めました。そして、実際に学んでいくうちに、表現を考えることよりも、その上流にある課題設定や戦略立案、それらを包括するマーケティング全体に強く興味を持つようになり、マーケティングゼミに所属したり、マーケティング長期インターンシップに参加したり、理論と実践の両面から、マーケティングへの興味と理解を深めていきました。
就職活動では、マーケティングへの関心を活かせるよう、総合広告代理店を軸に、マーケティングリサーチやPR会社なども視野に入れて、幅広く企業研究を進めていきました。
そんな中で出会ったのが、現在の会社でした。トヨタのグループ会社として、トヨタ自動車の商材を専門的に扱うハウスエージェンシーという特徴に、大きな可能性を感じました。様々な業界の広告を手掛けるのではなく、トヨタ自動車に対して1社1チームで深く関われることで、マーケティング/広告の職能を今後高めていく中で、確固とした自分の軸足を作れるイメージが湧きました。
特に、入社を決めた大きな要因は、自動車業界が直面している大きな変革期でした。当時、「100年に一度の変革期」と言われていた自動車業界。新しい価値を世の中に発信したいという私の思いと、大きな転換点を迎えている業界の状況が重なり、ここでなら本当に意味のある仕事ができるのではないかと確信しました。
さらに、世界的な企業であるトヨタグループの一員として働けることも、私の決断を後押ししました。業界をリードする企業だからこそ可能な挑戦があり、そこで生み出される価値の大きさに、大きな魅力を感じたのです。
マーケティングへの興味から始まり、自動車業界の変革期という大きな波に乗る決断をするまで。振り返ってみると、一つひとつの興味や経験が、自然と今の道へと導いてくれたように思います。
入社後の学びと成長 ~トヨタ自動車と向き合う仕事の始まり~
入社してすぐに1.5ヶ月ほどの全体研修がありました。この期間は、ビジネスの基礎知識やスキルを学ぶだけでなく、会社で行われている様々な仕事について理解を深める貴重な時間となりました。特に印象に残っているのは、部署のローテーション研修です。各領域の現場社員から直接仕事の内容をお伺いしたり、いきなりMTGに同席させて頂けたり、 具体的な業務のイメージを掴むことができました。また、トヨタの思想や歴史についても手厚く学ばせていただきました。私自身、クルマやトヨタ自動車に詳しい訳ではなかったため、こうした研修でトヨタ・トヨタグループと共にある企業として歩んでいくための土台が作れたことで、安心感と期待感を抱いたことを覚えています。
初めての配属先は、トヨタ自動車のデジタルコミュニケーションを担当する部署でした。具体的には、toyota.jpというトヨタの公式Webサイトや、InstagramやXなどのSNSを通じて、お客様に車の魅力をどのように伝えるか、トヨタ自動車というブランドにどうすれば興味を持っていただけるかを考えながら、日々コンテンツの企画や制作に携わりました。
特に印象に残っている仕事があります。その仕事は、Xでたまたま流れてきた1件の投稿を見つけたところから始まりました。それは、日頃ご自身でクルマを運転されている車いすユーザーの方のお困り投稿でした。車いすマークが書かれた駐車場、その区画確保のために良かれと思って置かれた三角コーン、その三角コーンが車いすユーザー当事者にとっては、一度クルマを降りて、車いすに移り、コーンをどかして、またクルマに乗り込むという手間/障壁になっているという内容でした。
クライアントの広告効果の最大化に従事する、従来の広告代理店という立場の私たちだったら「そんな悩みがあるんだ」と見過ごしてしまっていたかもしれません。ただ今の私たちはトヨタのブランディングを担う、トヨタと世の中の接点をつくる立場です。「この悩みって、全ての人に移動の自由を、と掲げているトヨタが解決すべきじゃない?」と自然にチーム内で話が上がりました。
そこから社内外問わず共感するメンバーが集まり、約4か月で世の中の理解促進の動画やPR施策をローンチしました。SNS上では多くの当事者の方から感謝と共感の声が集まり、それが評され複数の広告賞も受賞、トヨタ自動車の方からも感謝の言葉を頂きました。
トヨタ自動車のブランディングに資することなら何でもできるんだ、と改めて感じた、今でもとても心に残っている仕事です。
ブランドの価値を高める挑戦者として
現在は、担当車種のブランディングとマーケティングコミュニケーションを担う部署の一員として、電動車を担当しています。具体的な業務としては、CM、イベント、PR、サイト、SNS・・等、担当車種の世の中へのアウトプットに対して、社内のチームビルディングから、実行まで担います。ただこういった世の中へのアウトプットを作るだけなら、一般的な広告代理店も同じです。トヨタ・コニック・プロが違うのは、そのアウトプットに対して予算と決裁権を持っていることです。
ブランディングやマーケティングを担うトヨタ自動車の宣伝部署として、常日頃からトヨタの国内の各事業部の方と、今後の展望や課題感について議論し、トヨタブランドや商品に対し興味を持ってもらい、共感してもらうために、いま何を優先して取り組むべきか、その中で何をやめるべきか、戦略的な視点を持って予算運用の最適化を図り、施策を設計。実際に実行まで落とし込んでいきます。
私が携わる電気自動車の領域では、クルマだけではなく、充電器や蓄電池など、電力を活用するための周辺設備を含めた包括的な視点が、企画をする上で不可欠です。そのマーケティングにあたっては、各自動車メーカーが模索をしているところですが、電気自動車の利点や嬉しさに気付いてもらうためには、新しいチャレンジが必要だと考えています。実際に世の中に出したアウトプットとして、電気自動車の魅力を伝えるイメージムービーがあります。通常クルマの魅力を動画内で語る演者としては、引きがある著名人や、クルマに詳しいジャーナリストやレーサーが一般的です。ただ電気自動車を訴求するにあたっての課題として、まだまだ普及していないクルマなので多くの人にとって“自分に関係ないモノ”という認識が蔓延っているという状況がありました。そこで当動画では、あえて著名人やクルマに詳しい方ではなく、実際のターゲット/ペルソナに近い方に出演いただき、電気自動車とのはじめての出会いや分からないなりの等身大の感想を述べてもらう構成としました。こういった手法は、日々トヨタ自動車と課題感を共有する中で生まれた結果ではないかと、思っています。
こうしたトヨタ自動車との距離感や密接なやりとりは、良い意味で入社前との大きなギャップでした。車種のマーケティング&コミュニケーションの戦略立案から、世の中へのアウトプットの実行まで一気通貫して携われる環境に大きなやりがいを感じながら、現在はそれに伴う責任も実感しています。トヨタ・コニック・プロは、こうしたマーケティングの入口から出口に関われることに加え、トヨタの10年先、20年先を見据えた長期的な戦略立案に関与できることも魅力です。トヨタ自動車の方々と膝を突き合わせ、電通をはじめとする様々な分野のプロフェッショナルと協働しながら、上流から下流まで幅広い業務に関われる環境は、他にはない大きな強みだと感じています。
未来を見据えた挑戦 ―― マーケティングの可能性を追求する
自動車業界は今、大きな転換期を迎えています。海外の新興メーカーの台頭や、電気自動車、自動運転技術の進展など、業界を取り巻く環境は日々変化しています。こうした中で、私たちが担当する車種マーケティングも、従来の枠組みを超えた新しいアプローチが求められています。ビジネス創出の観点でも、世の中のニーズと共にモビリティの価値も多様化し、これまで通用したビジネスが通用しなくなったり、逆に全く新しいビジネスが生まれてくる時代です。
そんな大きな変革期の中で、トヨタとして自動車産業として新たなメッセージや施策を発信していく、一方で世の中や生活者の声をふまえ、トヨタに新しい視点や価値を提供していく。柔軟な思考と、相手の立場で物事を考える姿勢をもって、わたしたちはトヨタ/トヨタグループと世の中をつなぐ役割を担っています。
自分の「やりたい」という気持ちやふと感じた可能性に素直になり、それに共感してくれる仲間を集める、そして相手目線/世の中目線で、トヨタ/トヨタグループや世の中のためになることを実現していく。そんな姿勢を持った方々と一緒に、より魅力的な会社を作っていけることを楽しみにしています。

