ビッグデータの活用やデータドリブン経営など、ビジネスにおけるデータ活用の重要性が高まるなか、データサイエンティストという職業への注目度も日増しに大きくなっています。本記事では、ビッグデータ時代の主役とも言えるデータサイエンティストの仕事内容や活躍の場、職種の分類などを詳しく解説し、この職業の魅力に迫っていきます。
IT業界への就職をめざす学生の方や、キャリアチェンジを考えている方は情報収集にぜひ活用してみてください。
目次
・データサイエンティストの仕事とは?
・データサイエンティストの仕事の魅力
・データサイエンティストに向いている人とは?
・データサイエンティストとして働く方々の実際の仕事とやりがい
データサイエンティストの仕事とは?
データサイエンティストとは、大量のデータを分析し、そこから価値ある洞察を導き出す専門家です。主な業務は、データの収集、分析、解釈、そして結果の可視化です。
たとえば、顧客の購買行動データを分析して、新商品の開発や販売戦略の立案に活用したり、機械学習モデルを構築して、将来の需要予測を行ったりします。データサイエンティストは、企業の意思決定を支援し、ビジネスの成長に貢献する重要な役割を担っています。
データサイエンティストはどのような企業で活躍している職種?
データサイエンティストがもっとも活躍している分野は、ビッグデータを保有しているIT・Web業界です。Google、Amazon、FacebookやInstagramを運営するMetaなどの大手テクノロジー企業では、ユーザーの行動データを分析して、サービスの改善や新機能の開発に活かしています。
しかし、データサイエンティストの活躍の場はITやWeb業界に限りません。たとえば金融業界では、リスク分析や不正検知にデータサイエンスを活用しています。小売業では、顧客の購買パターンを分析して、効果的なマーケティング戦略を立てています。さらに製造業では、生産ラインの効率化や品質管理にデータサイエンスを応用しています。
また、医療分野でも、患者データの分析による疾病予測や治療法の最適化に取り組んでおり、政府機関や非営利組織でも、政策立案や社会課題の解決にデータサイエンスを活用する動きが広がっています。
データサイエンティストの業務
データサイエンティストは多岐にわたる業務をこなしています。ここでは、データサイエンティストの代表的な業務について解説します。
・戦略立案
企業の目標や課題に基づいて、どのようなデータをどのように活用すべきかを計画します。ビジネス部門と密接に連携し、データ分析によって解決可能な問題を特定し、具体的な分析アプローチを提案します。また、データ収集から分析、活用までの全体的なロードマップを作成します。
・データ収集とクレンジング(前処理)
さまざまなソースから必要なデータを収集し、分析に適した形に整理します。これには、データベースからの抽出、APIを通じたデータ取得、Webスクレイピングなどが含まれます。収集したデータのクリーニング、統合、正規化(※1)などを行い、高品質なデータセットを作成します。欠損値の処理やノイズの除去など、データの品質向上も重要な業務です。
・データ分析と機械学習モデルの構築
統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いて、データから有意義なパターンや洞察を見出します。回帰分析、クラスタリング、時系列分析などの手法を駆使し、予測モデルや分類モデルを開発します。また、モデルの性能評価や最適化も行い、精度の高い分析結果を導き出します。
・分析結果の可視化とコミュニケーション
複雑なデータ分析の結果を、わかりやすいグラフやダッシュボードに変換します。顧客や経営陣など、非技術者にも理解しやすい形で情報を提示し、データに基づいた意思決定を支援します。プレゼンテーションスキルを活かし、分析結果の意味や活用方法を効果的に説明することも重要な業務です。
・ビジネス課題に対する解決策の提案
データ分析から得られた洞察を基に、具体的なビジネス解決策を提案します。顧客行動の予測、リスク評価、業務効率化など、さまざまな観点から改善策を立案します。施策の実装をサポートし、効果をモニタリングすることで、さらなる改善につなげます。
※1 正規化:データの値を一定の範囲や基準に揃える作業のこと
データサイエンティストと関連する職種との違いは?
データサイエンティストに似た役割を持つ職種も多く存在しています。データの利活用において、それぞれの専門性や役割を持つ4つの職種を紹介します。
・データアナリスト
データの収集、整理、分析を主な業務とする職種です。統計学や数学の知識を活かし、ビジネス上の課題に対して、データに基づいた解決策を提案します。ExcelやSQLなどのツールを使いこなし、わかりやすいレポートを作成する能力が求められます。
・ビジネスインテリジェンスアナリスト
データ分析の結果を経営戦略に結びつける役割を担います。ビジネス知識と分析スキルを兼ね備え、経営陣に対してデータに基づいた提案を行います。データの可視化ツールを使いこなし、複雑な情報をわかりやすく伝える能力が重要です。
・データエンジニア
大規模なデータ処理システムの設計・構築・運用を担当します。データベース管理やクラウドコンピューティングの知識が必要で、効率的なデータパイプラインの構築が主な業務です。Hadoop、Sparkなどのビッグデータ技術に精通していることが求められます。
・機械学習エンジニア
高度な統計学や機械学習の知識を持ち、複雑なアルゴリズムを開発・実装する専門家です。Python、Rなどのプログラミング言語やTensorFlowなどのフレームワークを駆使して、予測モデルや推薦システムを構築します。
データサイエンティストの仕事の魅力
データサイエンティストの仕事には、多くの魅力が詰まっています。技術革新の最前線に立ち、具体的な成果を生み出し、幅広い分野で活躍できるこの職業の魅力を3つのポイントでご紹介します。
・最先端技術との触れ合い
人工知能や機械学習など、常に進化し続ける最新のテクノロジーに携わることができます。新しい分析手法やツールを学び続けることで、自身のスキルも継続的に向上させられます。技術の進歩とともに自分自身も成長できる環境は、知的好奇心の強い人にとって大きな魅力となっています。
・具体的な成果が見える達成感
データ分析の結果が企業の意思決定や戦略に直接反映され、具体的な成果として形に現れます。たとえば、顧客満足度の向上や売上の増加など、自分の分析が実際のビジネス改善につながる様子を目の当たりにできます。この明確な貢献度合いが、大きなやりがいと達成感をもたらします。
・多様な分野での活躍機会
ITだけでなく、金融、医療、製造業など、幅広い業界でデータサイエンティストの需要が高まっています。さまざまな分野の課題に取り組むことで、視野が広がり、多角的な思考力が養われます。また、社会的に重要な問題の解決に携わることで、仕事を通じて社会貢献できる魅力もあります。
データサイエンティストに向いている人とは?
データサイエンティストという職業は、特定の素質や能力を持つ人にとって、とくにフィットする職業と言えます。この仕事に向いている人の特徴を3つピックアップして解説します。ご自身の適性を判断する際の参考にしてください。
・論理的思考力と問題解決能力に長けた人
複雑なデータから意味のあるパターンを見出し、それをビジネス課題の解決につなげるには、高い論理的思考力が必要です。また、データに基づいて仮説を立て、それを検証し、解決策を導き出す問題解決能力も重要です。抽象的な概念を具体的な行動に落とし込める人が向いています。
・好奇心旺盛で学習意欲の高い人
データサイエンスの分野は日進月歩で、常に新しい技術や手法が登場します。このような環境で活躍するには、強い好奇心と継続的な学習意欲が欠かせません。新しいことを学ぶことを楽しみ、自己啓発に積極的な人ほど、データサイエンティストとして成功しやすいでしょう。
・コミュニケーション能力の高い人
高度な分析結果を非技術者にもわかりやすく説明し、チームや経営陣を説得する高いコミュニケーション能力が求められます。また、ビジネス部門と協力してプロジェクトを進める場面も多いため、異なるバックグラウンドを持つ人々ともスムーズにコミュニケーションを取れる人が向いているでしょう。
なお、データサイエンティストは統計学や数学の知識を使ってデータ分析やモデル構築を行うため、統計学や数学の知識が求められます。ほかにも、データを扱いやすくするための前処理や分析業務には忍耐力が求められるため、そういった素質を持っていると、データサイエンティストとしての仕事を楽しむことができるのではないでしょうか。
データサイエンティストとして働く方々の実際の仕事とやりがい
実際にデータサイエンティストとして働く方々は、具体的にどのような業務をしていて、どのようなやりがいを感じているのでしょうか?企業でデータサイエンティストとして働いている方々の声をピックアップしました。
※ 記載の情報は記事公開当時の内容です
▶︎株式会社NTTデータ
事業内容:システムインテグレーション事業、ネットワークシステムサービス事業、その他これらに関する一切の事業
・仕事内容:システム開発に加え、データサイエンティストとしてデータ分析やAI系の技術検証を行い、その結果に基づいてお客様の意思決定をサポートする提案を行う
・やりがい:
データサイエンティストの役割は、お客様のビジネスの課題解決にデータを活用して貢献することです。データ分析やAIの技術はあくまでも方法論に過ぎません。いま世の中にどのような技術が出ているのかを把握し、お客様のビジネスを解像度高く理解した上で、適切な手法を選んで検証・提案することが必要です。
森田さん 「現在、事業部門のデータサイエンティストはまだあまり多くありません。そのため、さまざまな案件に触れられる環境にあり、自分の考えをどんどん提案できるところにやりがいを感じています。解決が難しい話もありますが、そういった困り事があると知れるだけでも個人的にはおもしろく、解決できたときには達成感を覚えます」
→ストーリー:データサイエンティストとして公共領域でAI技術を活かし、世の中に貢献していく
▶︎株式会社TRAILBLAZER
事業内容:鉄道オペレーションの生産性向上および個客接点・体験に関する企画・開発、JR西日本グループデジタル施策実行支援
・仕事内容:WESTERポイントに関する分析業務を担当
・やりがい:
岡本さん 「データサイエンスのおもしろさは、仮説・検証や、データ分析を繰り返すことにより、今まで把握できなかったことが理解できる点で、新しい発見があったときに好奇心が満たされます。さらに分析結果を活用し、多くの人に価値を届け、行動変容につなげられることは、やりがいにも感じています。
(中略)
トレイルブレイザーはスタートしたばかりの会社のため、変化が大きい点が特徴です。好奇心を持って変化を楽しめる人にとっては、非常にやりがいのある環境だと感じています。入社後は鉄道の事業についてや、その他の新しいことに対しても、自ら情報収集をしたり、キャッチアップしていくことを楽しんで進めていただけると嬉しいです。自分なりに考え実際の行動を提案できると、幅広く活躍できると思います」
→ストーリー:西日本に貢献したい──トレイルブレイザーのデータサイエンティスト第一号が地域の未来を変える
▶︎エーザイ株式会社
事業内容:医薬品の研究開発、製造、販売および輸出入
・仕事内容:社内外のデータを活用しながら、疾患の予防に関するソリューション開発や医薬品の研究開発を推進
・やりがい:
小林さん 「私がデータを扱っていておもしろいと感じるのは、データを通してその方の生活が見えてくるところ。データを眺めていると感情移入してしまいます(笑)。
たとえば、定期的にスコアが取られている臨床試験のデータを見て『この方は症状が和らいできている、よかった』と思うことがあります。また、ウェアラブルデバイスのデータでは、『このデータの欠測は、入浴中だからか。仕方ないね』とデータの取り扱いを検討します。日々患者様の生活に想いを馳せながら、データに向き合っています」
→ストーリー:データ活用で健康に貢献したい──数字から患者様や生活者様に想いを馳せるデータサイエンティストの挑戦
▶︎株式会社エヌ・ティ・ティ・ロジスコ
事業内容:物品の運送、保管および荷役・貨物利用運送事業・物流システムの開発、運用、保守など、物流に関する調査、研究およびコンサルティング業務・電気通信事業および電気通信工事業 など
・仕事内容:ビックデータを活用した業務提案を担当するかたわら、社内向け日次収支管理システムの構築にも携わる
・やりがい:
中山さん 「私が担当するお客さまは有効期限のある商品を扱っているため、使われずに廃棄されることが少なくありません。収集したデータを分析することでこうした問題を解決するなど、在庫最適化に向けたソリューション提供に努めています。
データ解析をしていると、マーケット特有の傾向や特徴が見えてくることがあるんです。そんな新たな発見があるところに、この仕事ならではのおもしろさを感じています」
→ストーリー:ベンチャー精神で物流DXを推進──データドリブン経営の実現をめざす2年目の現在地
▶︎株式会社テクノプロ テクノプロ・デザイン社
事業内容:機械、電気、電子、組込制御における研究開発分野や商品開発分野への技術サービス
・仕事内容:データサイエンティストとして、多様なアライアンス先の企業で勤務し、主にデータ基盤の開発を担当
・やりがい:
伊中さん 「この仕事は、制作物のアウトプットイメージをすり合わせるのも、難易度が高く、自分の中では理想形が見えていても、お客様にそのイメージを伝えるのは簡単ではありません。それゆえに、作ったものを実際にお客様が利用されて感想を聞くまでは、安心できないこともあります。
それでも、その大変さがあるからこそ、最終的に『すごく役に立ちます』などのお褒めの言葉をもらえると、かなりホッとしますし、何より嬉しい。お客様が喜んでいる様子を直接見ることが、私にとって、大きなモチベーションになっています」
→ストーリー:自らの可能性を探求──電気エンジニアからキャリアチェンジしたデータサイエンスの世界
▶︎株式会社日立製作所
事業内容:金融ビジネス、社会ビジネス、サービス&プラットフォームビジネス、ディフェンスビジネス、鉄道ビジネス、ヘルスケアビジネス、産業・流通ビジネス、水・環境ビジネス、原子力ビジネス、エネルギービジネス
・仕事内容:建設業の顧客向けの生成AI案件を担当
・やりがい:
未知の領域で試行錯誤を重ねる日々は、奥田さんにとって刺激的なものです。
奥田さん 「生成AIを組み込んだアプリケーションシステムの作り方を習得できるなど、技術面でかなり自分の血肉になっていると実感しています。そもそも『今の時代はこういうことができるんだ』『このような実装がかなうのか』などと学べること自体がおもしろいですし、『次に取り組む際にはもっと早くできるようにしたい』という意欲も湧いてきます。一方で日々勉強し、脳内をアップデートしていく作業も欠かせません。それも含めて、楽しいと思えるかどうかですね」
(中略)
日立でデータサイエンティストとして活動する魅力について、奥田さんはこう口にします。
奥田さん 「当社が関わるお客さまの分野は実に多様です。我々としては業務の選択肢が増えますし、さまざまなデータに接することができます。さらに、お客さまが何に力を入れているのか、何に投資しているのかが分かるので、世の中のニーズに常に敏感でいられるのも魅力。そこには大きな学びがありますし、自分自身のキャリア形成を考える上でも今後何に注力すべきかがおのずと見えてくると思います」
→ストーリー:未知の領域での学びが「刺激」。最前線で生成AIに携わるデータサイエンティスト
▶︎株式会社三菱UFJ銀行
事業内容:金融業およびその他付帯業務
・仕事内容:為替やデリバティブといった金融商品を提供するマーケットの領域やバランスシートの運営をつかさどるトレジャリー領域で、AIや機械学習、データ分析を活用して業務の高度化・効率化に挑む
・やりがい:
大企業からベンチャーへ、そして再び三菱UFJ銀行という大きな組織にジョインするにあたり、松本さんには“より大きなこと”に挑戦したいという決意がありました。
松本さん 「金融機関は社会経済の基盤であり、とくに国内最大の三菱UFJ銀行が良い方向に変わり、顧客企業の活性化に貢献できれば、日本経済全体が活性化していくと思っています。そうしたスケールの仕事は、ベンチャーではできない経験ですし、データサイエンティストとしてそこに挑戦してみたいなと。
また、マーケットという領域のおもしろさは、世の中のさまざまな動きが『数字』に表れることだと感じています。たとえば僕は金利の動きが一番興味深くて好きなのですが、金利こそ経済のベースであり、だからこそ中央銀行が意図的に動かす。
さらに政治や経済、その他諸々が反映されて1つの数字となり、そこから世の中の動きを読み取れるところにおもしろさがあります。前職で身につけたデータサイエンスやAIの専門知識を活かして、マーケット領域に貢献できればと転職を決めました」
→ストーリー:AIやデータ分析で市場部門に革新を──市場系データサイエンティストたちの挑戦
データサイエンティストは、ビッグデータ時代の最前線で活躍する職業です。高度な分析スキルと業務知識を駆使して、企業の意思決定を支援し、イノベーションを促進する重要な役割を担っています。
その仕事内容は多岐にわたり、常に新しい挑戦があります。論理的思考力、学習意欲、コミュニケーション能力を持ち合わせた人にとって、大きなやりがいと成長の機会を提供する魅力的な職業といえるでしょう。
talentbookには、ほかにもデータサイエンティストとして働く方々のストーリーが多々あります。この仕事に興味を持たれた方はぜひコンテンツを検索してみてくださいね。
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