「誰と働くか」を重視した就職活動と、人の温かさに触れた入社の決断
大学では工学を専攻していましたが、私には技術的な探求と並行して、もう一つ大切にしていたことがありました。それは、人との関わりです。専門知識を深めることはもちろん重要でしたが、同時に人と効果的にコミュニケーションをとる力も養いたいと考え、教職課程を履修することにしました。工学の学びと教育に関する知識やスキルの習得を両立させながら、中高の教員免許を取得できたことは、学生時代の大きな成果だったと感じています。この経験を通じて、技術的な理解だけでなく、人に物事を伝える力、相手の立場に立って考える力を身につけることができました。
就職活動を始めるにあたって、私は徹底的に自己分析を行いました。その結果、自分が本当に大切にしたいのは「何をして働くか」よりも「どこで誰と働くか」だということが明確になりました。そこで3つの軸を定めました。1つ目は業種の幅が広く安定した事業基盤を持つ企業であること、2つ目は働いている社員の雰囲気が良い企業であること、3つ目はグローバル展開している企業であること。さまざまな業界の企業説明会に参加しながら、「自分に合う運命の企業が必ずどこかにあるはず」と信じていました。そしてその運命の企業と出会ったとき、チャンスを逃さずつかみ取ることが重要だと考え、自分がどのような人間であるかを相手に伝えるための準備に注力していました。
この会社に出会ったとき、最初に感じたのは、「幅広い分野で活躍し、自動車や通信といった世界的に注目されるサービスの中核を担う電線製作技術を持つグローバル企業だ」ということでした。とくに、海外との密接な連携を通じて国際的に高い評価を受けている点に魅力を感じました。
しかし、入社を決めた最も大きな理由は、何よりも社員の人柄の良さでした。一学生である私に対して、多くの社員の方々が時間を割いて会社の説明や就職活動のアドバイスを丁寧にしてくださいました。とくに印象的だったのは、エントリーシートの添削を熱心に見てくださったことです。多忙な業務の中で優先度を上げて着手いただけたという感謝の思いは今も忘れられません。また、「自分を良く見せようと思う気持ちはわかるが、大げさに書いたり、奇をてらったエピソードを抽出するのはあまりお勧めしない。ありのままで十分魅力的なので、素直に事実を記載する方が説得力がある」というアドバイスをいただいたことも印象に残っています。その温かく親切な対応から、社訓の一つである「人は宝=人財」という考えが実際に社内で大切にされていることを強く感じ、この会社で働きたいという気持ちが固まりました。
工場実習と英語合宿から始まった成長の日々、そして量産設計への挑戦
入社直後から、2カ月間の工場実習と1週間の英語合宿という充実した研修プログラムが用意されていました。工場実習では、通信ケーブルの生産から出荷工程までのすべての作業を実際に体験させていただきました。作業員の方々と一緒に働きながら、改善活動にも参加する機会をいただいたことで、製造の現場がどのように動いているのかを肌で感じることができました。作業者の目線に立つことで、専門職として働く私たちが、作業工程を理解して製品設計に織り込むことの重要性、そして作業工程をより良くする検討の大切さを身をもって学ぶことができました。
英語合宿では、就業時間内は日本語が一切禁止という厳しい環境の中、海外勤務を想定した実践的な練習を行いました。この経験が、後に大きな意味を持つことになります。
研修を終えた後は、自動車に搭載する電気製品、いわゆる車載ECUをより高性能なものにするための研究・開発業務に携わることになりました。研究・開発では、過去の実績に捉われない柔軟な発想が求められ、新技術の情報収集や幅広い設計分野との連携が必要でした。日々新しい技術に触れながら、製品の可能性を追求する刺激的な毎日でした。
その後、私が担当していた車載ECUが受注生産することに決まったことをきっかけに、製品の開発・量産をメインとする部署へ異動することになりました。量産設計では、研究・開発とは異なり、与えられた仕様を正確に効率良く設計する能力が求められます。大きな違いを感じながらも、新しいフィールドでの挑戦が始まりました。
入社前には想像していなかった嬉しいギャップもありました。福利厚生が想定以上に充実していたのです。残業禁止の日が明確に決まっていたり、リモートワークの自由度が高かったり、長期育休が取りやすい環境が整っていたことは、働きやすさという面で大きな安心感につながりました。
半導体回路設計と評価を通じて得た、失敗から学ぶ成長の軌跡
現在私は、自動車に搭載される電気製品、いわゆる車載ECUの開発と量産設計を担当する部署に所属しています。具体的には、車載ECUが安全かつ高性能に動作できるための電子回路設計と、設計した製品がお客さまの仕様を十分に満足することを確認するための評価業務を担当しています。
チーム内では、車載ECUの役割の中核を担う半導体素子を用いた回路の設計を実施しています。また、隣のチームと共同で実施している車載ECU性能評価の統括リーダーという役割も担っており、技術的な専門性とマネジメントの両面で責任を持って業務に取り組んでいます。
この仕事でやりがいを感じる瞬間は、お客さまから提示いただいた車載ECUの製品仕様をもとに設計・評価を実施し、問題が見つかった場合に、より高品質で安全な製品にするための製品仕様を提案し、それを受領いただけたときです。単に指示された通りに設計するのではなく、お客さまの期待を超える提案ができたときには、エンジニアとしての存在意義を実感します。
一方で、大きな失敗も経験しました。設計項目に漏れが発生した結果、お客さまに提案いただいている仕様を満足できず、仕様の見直しをお願いすることになったのです。この失敗から学んだことは、漏れが起きるところは人の手が介在している領域であるということでした。そこでヒューマンエラー対策のため、エクセルマクロや管理ツールを導入することでシステマティックに漏れを防ぐことが重要だと学びました。実際に、エクセルマクロを修正し、機械的に漏れが発生しないシステムを構築することで、同様の失敗を防ぐ仕組みを作り上げました。
入社してから現在まで、電子設計の知識やモノづくりについての知識が深まったと感じています。そして学生時代と比べると、端的に要点をまとめて人に伝えることが格段にできるようになりました。専門的なスキルだけでなく、ビジネスパーソンとして必要なコミュニケーション能力も着実に成長していると実感しています。
世界を舞台に挑戦し、次世代へ想いをつなぐ未来像
短期的な目標として、海外の生産拠点での量産開発に着手してみたいと考えています。なぜ海外での仕事に挑戦したいのか。それは、世界を股にかけた仕事をすることで、人生が豊かになると思ったからです。国内だけではなく、グローバルな舞台で経験を積むことで、エンジニアとしても人間としても、大きく成長できると信じています。
海外での経験を通じて身につけたいのは、単なる技術的なスキルだけではありません。言語や宗教、人種の違いに付随する働き方の違いなど、海外ならではのトラブルに直面することも想定しています。しかし、そうした課題を乗り越える過程こそが、真の学びになると考えています。現地でお客さまへの技術提案や工場での製造効率改善など、さまざまな業務を経験しながら、グローバルな視点を養いたいと思っています。
中長期的には、こうした海外経験を積み重ね、最終的には責任ある役職に就くことをめざしています。そして、その後は日本に帰ってきて、海外経験を通して感じたことを若手社員に伝えていきたい。海外での挑戦、現地でのさまざまな困難、そして乗り越えた先に見えた景色。そうした生の経験を後輩たちに共有することで、新たな人材の種を育てたいのです。それが、会社に対する恩返しになると思っています。
最後に、これから就職活動を迎える皆さんへメッセージを送りたいと思います。数多くの企業から住友電工を見つけていただき、ありがとうございます。当社は「人を大切にする」、つまり「人財」という考え方が根付いている会社です。自分がやりたい仕事を応援してくれる文化があり、失敗を恐れずにチャレンジするマインドを持っている人、何事にも前向きに取り組んでくれる素直な人ととても相性が良い環境です。一緒に働けるのを楽しみにしています。

