コロナ禍が変えた進路、「手に職を」とIT業界へ踏み出した一歩
学生時代は文学部に所属し、英語表現や英米文化を学んでいました。勉強だけでなく、アルバイトにも積極的に取り組んでいて、パン屋とクリニックの受付で働いた経験があります。どちらも人と直接関わる仕事で、接客を通じてコミュニケーションの楽しさや、相手に合わせた対応の難しさを肌で感じることができました。とくにクリニックでの経験は、医療に関わる仕事への興味につながり、就職活動の中で医療系のシステムを開発している企業も調べるきっかけになりました。
就職活動を始めた当初、私が第一志望にしていたのは旅行・観光業界でした。人と関わることが好きで、旅や文化に興味があったこともあり、自然とその方向で企業を探していました。ところが、新型コロナウイルスの影響で多くの旅行・観光系企業が採用を停止してしまい、志望業界を根本から見直さなければならない状況になりました。正直、最初はどうすればいいか戸惑いました。でも、この状況をきっかけに「せっかくなら長く安定して働けるスキルを身につけたい」と気持ちを切り替え、IT企業に絞って探すことにしました。
IT業界は完全な未経験でしたので、不安がなかったと言えば嘘になります。「本当に自分でもやっていけるのだろうか」という不安は常にありました。だからこそ、企業を選ぶ際には教育制度が整っているかどうかを重視しました。面接の場でも研修制度について積極的に確認したり、入社前に自分でできる準備がないか相談したりしていました。また、関西で働けることも外せない条件のひとつでした。
そうした軸で探す中で出会ったのが、今の会社です。入社前のイメージとしては、日本製鉄向けのシステムを開発する会社という印象が強くありました。また、日鉄ソリューションズとの技術交流があることから、高い技術力と品質を重視している会社なのだろうという印象も持っていました。
入社の決め手になったのは、いくつかの要素が重なったことです。日本製鉄の子会社であるため、事業の安定性があること、関西で腰を据えて働けること、そして選考を通じて関わったすべての社員の方々の人柄がとてもよかったことです。面接や説明会の場でも自然体で話せる雰囲気があり、「この会社なら安心して働けそうだ」と感じることができました。未経験からのスタートに不安を抱えていた私にとって、その安心感はとても大きなものでした。
4カ月の基礎研修からSAP認定資格取得へ。客先常駐という想定外のキャリアスタート
入社後すぐに始まったのは、グループ全社の新入社員が一堂に集まる4カ月間の新入社員研修でした。研修の場所は東京で、ビジネスマナーをはじめ、システム開発の基礎・Javaプログラミング・ITインフラに関する基礎知識まで、SIer(システムインテグレーター:企業の情報システムの企画・開発・運用を一括して請け負う会社)で働くうえで欠かせない知識をひと通り学びました。同期と切磋琢磨しながら過ごしたこの4カ月は、社会人としての土台をつくる貴重な時間でした。
研修を終えた後は、業務ソリューション事業部のシステムエンジニアリング第1部に配属が決まりました。しかし配属直後もすぐに現場へ出るわけではなく、まず本社が提供するSAP(業務システムの世界的なソフトウェアパッケージ)の研修に3カ月間参加しました。SAP製品の基礎から学びはじめ、並行して認定資格の取得に向けた勉強にも取り組みました。研修期間を合わせると、入社から約7カ月間、現場に出る前の学習に時間を充てられたことになります。じっくりと基礎を固めてから現場に臨めたことは、今振り返ると非常に恵まれた環境だったと感じています。
現場への配属後は、大手電機メーカーにて貿易管理システム(輸出入に関する規制や手続きを管理するシステム)の開発・運用保守を担当することになりました。ここでのキャリアは段階を追って積み上げてきたもので、1年目は開発とテストを担当するところからスタートしました。2年目になると設計フェーズも任されるようになり、3年目以降は要件定義(顧客の課題やニーズを整理してシステムに求める要件を明らかにする工程)から設計まで、上流工程を一貫して担うようになりました。また保守の領域では、運用保守のリーダーとしてパートナー(協力会社のメンバー)の管理や保守作業全体のマネジメントも担っています。
一方で、入社前に想像していなかったギャップもありました。客先常駐という働き方、つまり自社ではなくお客さまの会社に常駐して業務を行うスタイルに、最初は少し戸惑いを感じました。自社に帰る機会がほとんどないため、「会社に所属している」という感覚が薄れてしまうのではないかと思ったのです。ただ、よく考えてみると同じグループの社員全員が同じ客先常駐というスタイルで働いており、働く場所こそ異なりますが、それ以外の環境や待遇は変わりません。そう気づいてからは、客先常駐という形態も自分の働き方として自然に受け入れられるようになりました。
「周りを巻き込む力」で切り拓いた、運用保守リーダーへの道
現在は、電機メーカーの受発注・貿易管理システム(企業間の注文処理や輸出入に関わる業務を一元管理するシステム)の運用保守リーダーとして働いています。パートナーとともに日々の問い合わせ対応や運用課題への対処を行いながら、パートナーのタスク管理や全体スケジュールの調整、品質改善のための分析、さらにお客さまやその上司との対話まで幅広く担っています。
リーダーとしてとくに意識しているのは、パートナーへの指示の出し方です。「何をしてほしいか」だけでなく「なぜそれをお願いしているのか」という意図を必ずセットで伝えるようにしています。また、パートナーのタスク状況を常に把握し、負荷が過剰にならないよう気を配ることも心がけています。これは、自分自身がリーダーとして試行錯誤しながらたどり着いた姿勢です。
実はリーダーとして着任した当初は、経験豊富なパートナーにどのように指示を出すべきか、かなり悩みました。自分よりもずっと現場を知っている方々と一緒に働く中で、最初は萎縮してしまうこともありました。運用改善の提案をしても、すぐには受け入れてもらえないこともありました。
そんな中で成果を感じた取り組みの一つが、問い合わせ管理の仕組みの導入です。もともと別システムの運用で使っていた仕組みを応用し、問い合わせメールをトリガーとして、SharePointのリストに問い合わせ内容を自動登録し、Teamsのチャネルに通知が届くよう設定しました。これによって問い合わせの状況がリアルタイムで可視化され、対応のスピードも向上しました。
ただ、この仕組みを導入する際にも、経験豊富なパートナーに納得してもらうことが一つのハードルでした。そこで私が工夫したのは、「なぜこれを導入するのか(目的)」「それぞれの役割は何か」「導入することでどんな効果が生まれるか」を丁寧に言語化して説明することです。感覚的な提案ではなく、根拠を示して話すことで、少しずつ受け入れてもらえるようになりました。
この経験を通じて実感したのは、一人で抱え込まず、周りを巻き込んでいく姿勢の大切さです。学生時代は「自分でなんとかしなければ」と思いがちでしたが、今は上司にも相談しながら、チーム全体で課題に向き合う動き方が自然とできるようになったと感じています。仕組みの導入によってチーム全体の対応力が上がったとき、そしてお客さまから感謝の言葉をいただいたとき——そういう瞬間に、この仕事をしていてよかったと心から思います。
運用保守リーダーとして、そしてチームを牽引するマネージャーをめざして
現在担当している受発注・貿易管理システムについて、まだまだ深めていける部分があると感じています。直近の目標は、このシステムの運用保守リーダーとして、安定したサービス提供ができるようになることです。
システムが安定稼働していることは、お客さまの日々の業務を支えることに直結します。だからこそ、「動いていて当たり前」という状態をいかに維持し続けるかが重要だと感じています。そのためにも、業務知識とシステム知識の両面をさらに広げ、単なる保守対応にとどまらず、改善提案や課題解決にも主体的に取り組んでいけるようになりたいと思っています。リーダーとしての役割を担うことで、チーム全体の質を底上げしていけるような存在になれれば、と考えています。
5年後、10年後を見据えると、開発と運用保守の両方で積み上げてきた経験を活かして、プロジェクトや組織を牽引できるマネジメント人材へと成長したいという思いがあります。チーム運営や、お客さまへの提案活動にも主体的に関わり、多くの関係者から信頼されるプロジェクトマネージャーとして活躍することが、私の中長期的な目標です。
技術の知識や経験はもちろん大切ですが、それ以上に「人と人とのつながりを大切にする姿勢」が、マネージャーとしての土台になると感じています。お客さまに寄り添い、チームのために動く。そうした日々の積み重ねが、いずれ信頼というかたちで返ってくるのだと思っています。
最後に、入社を検討している方へ一言お伝えするとすれば、この会社には、まじめで優しい人たちが本当に多いということです。働きやすい環境の中で、さまざまな製造業のお客さまに対して質の高いソリューションを提供している、というのがこの会社の大きな魅力だと感じています。
ここで活躍できるのは、お客さまの業務をしっかりと理解しようとする姿勢を持ち、チームのために行動できる人だと思います。高い技術力や派手な経歴よりも、誠実にお客さまと向き合い、仲間と協力しながら課題を解決していこうとするマインドが、この職場では何より大切にされています。そういった価値観に共感できる方にとって、きっとやりがいを持って働ける環境だと思います。ぜひ一緒に働きましょう。
※記事内の社員プロフィールおよび本文中の所属・役職は、取材時点の内容です。
