ワイヤーハーネス開発の中核として、「誰でも再現できる仕組み」を追求する日々
私は現在、高圧システム研究部の高圧ハーネスシステム研究室に所属しています。部署のミッションは、車の将来像を起点に、必要な製品や技術を開発・創ることです。その中で私は、主に新規ワイヤーハーネスの仕様検討と製品化のための要素検討、そして開発製品の提案を担当しています。ワイヤーハーネスとは、車内の電力や信号を伝える電線の束のことで、車両部位ごとに求められる性能が大きく変わる重要な部品です。私は市場や自動車メーカーのニーズを注視しながら、最適なハーネス構造を検討しています。また、開発中の製品の受注獲得のため、事業部門と連携して自動車メーカーへの提案活動も行っています。
チームの中では、ハーネス開発の中核メンバーとして、自身でも実験・評価を行うだけでなく、各メンバーの業務進捗のサポートをする役割を担っています。新しい製品を開発する際には多くの課題がありますが、それらを1つずつ解決していく過程に大きなやりがいを感じています。製品の提案が客先から高く評価されたときは、とくにモチベーションが高まります。
仕事をするうえで私が大切にしていることは、蓄積した技術や知識を周囲に展開し、誰でも再現できる形にすることです。開発を進める中で得られた経験やノウハウを属人化させず、レビューの機会を設けたり、マニュアルとして整理したりすることで、チーム全体で活用できるようにしています。
この考え方を強く意識するようになったきっかけは、開発中のある製品で解決が難しい課題に直面したときの経験です。専門外だと思っていた人になにげなく相談したところ、その分野の知識を活かせるヒントをもらい、課題を解決できました。この経験を通じて、知識を共有することの重要性を実感しました。
現在は、後進の育成や技術伝承にも力を入れています。チームで進捗を共有する際には、結果だけでなく、そこに至るまでのプロセスや背景知識も合わせて伝えるようにしています。一方で、知識の属人化を防ぐための共有を丁寧に行いながら、開発スピードも維持することには難しさがあります。短時間で質の高い共有を実現する仕組みをどう作るかが、今の私にとっての課題です。
ワイヤーハーネス設計から上流工程へ。探究心が導いたキャリアの転換点
前職では、ワイヤーハーネスの経路設計と回路設計を専門とする会社で、電気自動車に搭載される電池パック内の設計に従事していました。車両開発の初期段階から量産の目途が立つまでのフェーズに携わり、製品が形になっていく過程を間近で経験しました。
ワイヤーハーネスは車両全体に配索されるため、経路設計や回路設計では他部署との調整が欠かせません。最適な設計を実現するには、接続先となる機器や周辺システムについても深い理解が必要です。必要に迫られて学び始めたことでしたが、未知の領域を1つずつ吸収していく過程で、自分自身の成長を強く実感しました。知らない技術領域に踏み込み、関係部署と対話を重ねながら最適解を見出していく。その経験を通じて、エンジニアとしての視野が大きく広がったと感じています。
経路設計や車両試作など、下流工程の知見を積み重ねる中で、「なぜこのハーネス仕様になったのか」「上流工程ではどのように意思決定されているのか」に関心を持つようになりました。製品コンセプトやシステム全体の要件定義といった上流工程の知見を深めたいと考え、転職を決断しました。
転職先として住友電工を選んだ決め手は、ワイヤーハーネス業界のリーディングカンパニーであることです。研究開発にも力を入れており、新規ハーネスの開発を推進している点に、自分のやりたいことを実現できる環境があると感じました。下流工程で培った現場の知見を活かしながら、上流工程にも携われることに、次のキャリアステップとしての可能性を感じました。
開発製品の展示から入社時の苦労まで。研究開発での成長と前職経験の活かし方
昨年、開発中の製品を社内展示ルームに展示することが決まり、国内外への製品PRが始まりました。自分が携わっている開発品が、客先提案に有効なものとして評価されたことは、大きな成功体験でした。研究開発はすぐに成果が見えにくい仕事ですが、形になった製品が評価されることで、これまでの努力が報われたと感じました。
一方で、入社当初は順調とは言えませんでした。研究開発という考え方に慣れず、仕事が思うように進まない時期もありました。前職とは異なるアプローチや思考プロセスが求められ、戸惑うことも多くありましたが、周囲に相談し、自分の考えを積極的に発信することで、少しずつ仕事の進め方をつかめるようになりました。この経験を通じて、研究開発に必要な考え方や姿勢を身につけることができたと感じています。
入社後は、製品コンセプトの立案といったアイデア面や、解析技術などのスキル面で成長を実感しています。とくに前職の経験が活きていると感じるのは、開発品を客先へ提案する場面です。研究開発部門でありながら設計面の知識を持っていることで、議論をより具体的かつ活発に進めることができています。技術的な視点と実務的な視点の両方を持つことで、より深い提案や議論が可能になり、それが開発品の評価にもつながっていると考えています。前職で培った経験と、現在の研究開発で得た学びが融合し、自分ならではの強みになっていることを日々実感しています。
10年先を見据えた製品開発と、新たな価値を生み出す仲間への期待
短期的には、現在開発している製品を事業部門へ移管し、いつでも量産できる体制に仕上げることが目標です。研究開発の成果を実際の事業につなげるための重要なステップだと考えています。製品が現場で安定して量産され、お客さまに届けられる状態まで持っていくことで、次の挑戦につながる土台を築きたいです。
中長期的には、従来の開発技術を活かしながら、新たなビジネスを生み出していきたいと考えています。ワイヤーハーネスは、これまで人が作り、人が車両に組み付けることが当たり前でした。しかし、その常識を見直し、製造や組み付けのあり方そのものを変えるような開発に挑戦したいと思っています。これまで当たり前とされてきた方法を根本から見直し、新しい価値を生み出すことが、私の大きな目標です。
住友電工には、10年先を見据えた製品開発を自分の手で進められる環境があります。また、研究開発分野では、自ら立案したテーマを推進することも可能です。こうした環境だからこそ、長期的な視点で大きな挑戦ができると感じています。
これからこの会社で活躍してもらいたいのは、市場や顧客ニーズを理解した上で、自分の役割を把握し、新しい価値を生み出せる人です。日常の中から新しい技術やトレンドにアンテナを張り、生活の中の課題から市場ニーズを敏感に捉えられる方にぜひ来てほしいと思います。そして、そこから新たなアイデアを立案し、具体化できる行動力のある方と、一緒に挑戦していきたいです。
大切なのは、自ら発信し、周囲としっかりコミュニケーションを取れること、そして新しいことに好奇心を持ち続けられることです。一緒に、従来の常識を超えた新しいものづくりに挑戦していきましょう。

