欧州顧客との技術対応を主導。データに基づく判断と柔軟な合意形成が鍵
私はプリント回路事業部、技術部の車載技術グループにDE(Design Engineer)として所属しています。部署のミッションは、車載関連分野でのFPC(フレキシブルプリント基板)の新製品開発や市場開拓を行うことです。
DEとしての担当領域は大きく分けて欧州市場向け製品と新規技術の開発の2つですが、現在は欧州市場案件で忙しくしています。 欧州担当として、顧客から新規案件を依頼された際の設計や仕様のやり取り、見積もりの作成といった初期対応から始まり、案件が進むと量産するフィリピン工場メンバーと一緒に試作や量産の立ち上げまで行います。また、量産移行後に設計変更が生じたり、とくに設計に関する品質問題が発生した場合には、品質保証部と一緒に顧客対応を行ったりすることもあります。もう一つの職務である新規技術の開発については、車載分野で求められることの多い耐久性に優れた材料などを用い、今まで適用が難しかった高温にさらされる環境や高い信頼性が要求される部材へもFPCを採用してもらうための技術開発を進めています。
いずれの仕事でも期待されている役割は製品の技術リーダーです。具体的には、工場(日本、フィリピン、ベトナム)やドイツ営業拠点とやり取りを行い、製品開発や顧客対応の進行を主導、あるいはサポートすることが私の役割です。プロジェクトを納期通りに進めることや、きちんと利益の出せる製品に仕上げることも常に意識しています。
仕事をする上で大事にしているのは、データの検証をきちんとしたうえで意思決定することと、ただし顧客対応する上では自分の正論に寄りすぎないこと、この2点です。前者は前職のR&Dの経験を活かせるという意味でもやりやすいのですが、後者は目下勉強中といったところです。データを取って自分なりに立てた仮説が顧客にもうまく伝わった瞬間や合意形成につながった瞬間には、大きなやりがいを感じます。とはいえ、実際は相手にもそれぞれの立場や考えがあってそんなにきれいに進むことはあまりなく、日々勉強の毎日です。
10年の材料開発から始まったキャリアと、専門分野を極めたいという想い
前職では材料系の会社のR&D部門で、新規材料開発を10年間担当していました。合成や解析の専門部署と一緒に材料を開発し、それを商品化することを目標に顧客に売り込み、評価結果をもらって改善を行う。そしてサンプルワークを繰り返すという、ものづくりの基本を体現するような仕事です。
前職では、入社数年目の時2年ほど携わった部署横断のプロジェクトが、今でも大きく記憶に残っています。まだ若手でしたが、開発部署からの参加ということで顧客とのやり取りでは中心になることや、意思決定に携わる瞬間が多くあり、責任の重さを痛感する日々でした。役割は2つあり、一つは材料の処方開発、もう一つは顧客とのやり取りです。技術には常に限界があり、できること・できないことがあります。しかし、できないことを越えなければイノベーションにならない。このエンジニアらしい局面に苦労しました。さらに顧客の要求は絶対なので、「技術的にできない」ことをどう乗り越えるか、どうしても乗り越えなければいけないときにどんな落としどころを提示するかでも、とても苦労しました。この時のプロジェクトは最終的に商品化には至りませんでしたが、チームで仕事をするうえでとてもいい経験になりました。
また、このプロジェクトを通して、当たり前のことですが、自分の決断や判断ミスがチームメンバーのキャリアを変えるということを学びました。また、利害の一致しないメンバーにどのように仕事をしてもらうかというところも学びが多く、モチベーションの共有が一番大事ではないかという私の軸となる考えも持つことができました。新卒当時は個人プレーヤー気質がとても強かったのですが、チームで仕事をすることの重要さや、仕事の幅を広げられることの重要性を大きく学んだ10年間でした。
そんな中、転職を考えたきっかけは2つありました。一つは、自分の専門分野を持ちたいという気持ちが強くなったためです。前職では多岐にわたる分野で材料開発を行い、エンジニアとしての経験を培うことができましたが、製品としての専門分野が定まらないことが気になっていました。もう一つは、グローバルに活躍できる人材になりたいという希望です。前職ではたまに海外顧客とのやり取りがあったものの、機会が限られていたため、もっと前線で活躍したいと思ったことも大きなきっかけでした。
手探りの新製品立ち上げの中、材料出身者が挑んだ専門外の実装トラブル解決
入社直後から担当させてもらった新製品を無事に立ち上げられた経験は、今でも印象に残っています。初めての担当製品ということもあり、打合せの設定から規格やの交渉といったすべてが手探りでした。とくに製品固有のセンサ部品をどう保証するかが争点となり、針で部品を傷つけながら地道に作製した限度見本を顧客の設計者に送り、生産過程で発生する可能性があるこういった傷がセンサー影響に与える影響が懸念であることを丁寧に説明して協力を仰ぎ、最終的に一定レベルまでは問題ないことが確認できて規格合意に至ることができたときは達成感がありました。
ただ、もちろんすべてが順調だったわけではありません。初回試作で部品実装がうまくいかないトラブルに直面したときは、本当に苦戦しました。前職で経験した技術分野外のトラブルだったので、仮説検証に時間がかかってしまったのです。外観観察から、接着剤の流れ出しが原因であることは明らかでした。しかし、なぜ特定の実装ランドだけ流れ出しが大きいのかがわからなかったんです。最初は接着剤貼り合わせの加工方法起因で流れ出していると仮説を立てましたが、生技とのディスカッションや上司や先輩からのアドバイスをもらい、流れ出しの形状や、カバーレイの加工部材に対して現品観察を繰り返し行った結果、回路設計起因であることがわかりました。顧客提案を行って承認を得た次の試作で、不良率50%から0%に大幅に改善することができたのは、最終的にはいい思い出です。
こうした経験を通じて、自分自身が大きく成長したと感じています。経験のない分野では素直に人に頼ること。ずっとこの技術一本、みたいな専門家も多いですし、皆さん聞けば親切に教えてくれます。協力のもとに集めたデータを顧客とのやり取りで、どんな出し方をすれば通るか、どんなストーリーを提示するかといった折衝スキルも確実に向上しました。マインド面でも、自分の正論に固執せず先方にとって受け入れやすい流れを作るということが少しずつできてきているのではないかと思います。今後さらに向上させたいですね。
また、FPCの製品開発をしているとさまざまな分野のトラブルに直面しますが、どのような分野であっても「なんとなく」ではなく、ある程度の深さまで内容を理解するよう心がけるようになりました。最初は材料出身ということで理解できる分野が偏りがちだったのですが、苦手であっても電気回路や金型など、他の分野のことも理解している必要がある仕事だと改めて感じました。幸いなことにこの会社にはあらゆる分野の専門家がいますので、技術的なアドバイスをたくさんもらえることは支えになっています。
一方、自分自身のスキルでも、前職で培った材料化学や解析の知識は、顧客対応する上で大きく活かされています。メイン顧客であるドイツのエンジニアはかなり技術にこだわる人が多く英語でのディスカッションも複雑になりがちですが、対等に話ができるのは前職での経験のおかげです。それ以外にも、チームで仕事をすること、どう相手を動かすかといった部分もかなり活かされていると思います。できるだけ同じモチベーションを共有し、引っ張っていけるよう心がけています。
新規技術開発と海外駐在、専門性とグローバルの掛け算でキャリアを切り拓く
今後のことですが、短期的には、元々やりたいと思っていた新規技術の開発に注力したいと考えています。実はこれまであまり取り組めていなかったので、今年こそはという思いです。具体的には、前職の経験を生かした耐熱・耐候性の高いFPC(フレキシブルプリント基板)の開発に取り組みたいと思っています。とくに車載分野では高電圧、大電流耐性といったニーズも視野に入ってくるかと思います。有機材料の耐久性だけでなく、銅厚も上げていく必要が出てくるかもしれません。電気回路の分野は私の苦手分野ですが、DEのスキルとしてはマストなので、克服したいです。社内外の専門家の力も借りつつ取り組んでいければと思っています。
中長期的には技術営業として海外駐在を経験し、顧客に近いところでグローバルな顧客折衝スキルをさらに向上させたいと考えています。実は前職でも何度か海外顧客の対応をしたのですが、自分のスキルのなさにがっかりし、それを克服したいと思ったからです。たかが言語、されど言語ですし、エンジニアのスキルとの掛け算では貴重なキャリアになるとも感じています。そのためにも、まずは苦手分野も含めた幅広い技術分野に触れ、経験を培いたいです。
プリント回路事業部では、FPCにかかわるさまざまな技術に触れることができます。製品軸はありながらも、本当にさまざまな技術を取り入れた製品なので、学ぶことが尽きません。また、関わるメンバーの多くが高いモチベーションを持っている点も魅力だと思います。工場・営業拠点・顧客とグローバルな土壌もそろっているので、海外経験を積みたい人にもお勧めできる会社です。
さまざまな技術分野に触れるのが面白いと思う好奇心と、難しい局面でも挑戦し続けようと思える前向きなマインドがある人であれば、きっと活躍できると思います。何かしらの技術的な専門性を持っている人あるいは持ちたい人、そしてグローバルな活躍のモチベーションを持っている人に、ぜひジョインしてもらいたいです!

