大会開催の地は九州・福岡!
6月16日(日)、福岡市で開催された「九州障がい者水泳選手権大会」に出場してきました。 この大会は地区大会となり、参加標準記録を突破すると毎年開催されるジャパンパラリンピックと日本パラ水泳選手権大会に出場する権利が与えられます。
開催地は、東北・関東・関西・中部・九州。 例年であれば、東北と関東の地区大会に出場しているのですが、 今年は都合により東北に出場が出来ず、スケジュールを見て、悩み・・・・・・。 初の九州大会に決めました。
大会会場は地区大会によって会場が異なりますが、たいていは開催地区の障がい者スポーツセンターで行われることが多いです。 今回は福岡市にある「福岡市立障がい者スポーツセンター」で開催。 長年、大会に出場していますが、この会場のプールで泳ぐのは初!
複雑なパラ水泳クラス分けとルール
パラ水泳には障がいの種類・程度による細かいクラス分けがあり、そのクラスカテゴリーでタイムを競います(画像参照)。 陸上のベンチテスト、水中のウォーターテスト、レース視察、この3つについての運動機能とパフォーマンスを、資格をもったクラス分け委員が総合的に判断し、選手のクラス分けは決まります。
このクラス分けで、軽いクラスとなったり、クラスをもらえなかったりという 本人すら想定外の結果になり、パラ水泳から他のパラスポーツに転向する方をたくさん見てきました。
観覧席からみていると、「あ!あの子、速い!」「あの子が、一番だね」と話している人を 見かけることがあります。国内大会では複数のクラスが合同でレースを行うことが多いため、順位だけを観客席から見た場合は、誤解を招くことも少なくはありません。あくまでもクラス別のタイムレースとなります。例えば同じレースの中で1番目にゴールした選手(S5クラス)と2番目にゴールした選手(S6クラス)はクラスカテゴリーが違うので、2番目にゴールした選手もS6クラスで1位になるのです。つまり、同じレースの中で1位が複数人出てくることがあります。
ちなみに、私のクラスは数年前からS21というクラスです。現在国際クラス分けの見直しがされており、その流れで以前のクラスから変更になっています。 S21になる前はS5というクラスでした。
画像引用元:「かんたん!水泳ガイド」(公益財団法人日本障がい者スポーツ協会)
(URL)http://www.jsad.or.jp/about/referenceroom_data/competition-guide_02.pdf
「左手・左足で泳ぐ」 まっすぐ泳ぐ難しさ
私は車椅子を常用しています。下肢にはもちろん障がいがありますが、上肢にも障がいがあります。そのため、泳ぎ方は「左手・左足・左呼吸で泳ぐ」。この泳法を習得し、大会に出れるようになるまで、簡単な道のりではありませんでした。
前回の記事でも話しましたが、私は7歳から毎日・毎日泳ぐ生活を送っていました。 しかし18歳の時に脳機能障がいを発症し、長い・長い入院生活を経験します。 主治医からの運動許可が出てプールにもどり、泳いでみると、
「ガーン!!」全く泳げない。
5m泳いだだけで曲がってしまい、まっすぐ進まない。25mの距離を、これほどまでにゴールが遠いと思ったことはなく、途方にくれました。
それからオンリーワンの練習法をコーチと探しながら、水中と陸上の両方で出来ることから始め、小さな目標をひとつ・ひとつクリアしていき・・・・・・。 5mが25mに、そこからまた50mに、100mにと着実に距離を伸ばし、タイムを縮めていきました。
大会に出場するには、バタフライ・背泳ぎ・自由形・平泳ぎ、全ての4泳法を片手・片足でまっすぐに泳ぐ。それがコーチとの絶対条件でした。その中で上位に行ける泳法、自分が泳ぎやすい、泳法違反を取られないなどを考量し、これまでの大会では自由形・バタフライに出場してきました。しかし、近年のルール改定によりバタフライへの出場が不可になり、今回の九州大会では背泳ぎにエントリー! 初めての背泳ぎでの勝負に不安な気持ちもありましたが、今回の大会では無事に、日本パラ水泳選手権大会の参加標準記録を突破出来ました。 今後は、自由形と背泳ぎで勝負を賭けていかなくては!と思っています。
東京パラリンピックを祭りで終わらせない
パラ水泳を始めた時に、当時のチームキャプテンがシドニーパラリンピックでメダルを獲得し帰国しました。全くメディア報道もなく、新聞・TVではこの活躍が知られることはありませんでした。
シドニーパラリンピックの後に、アテネ・北京・ロンドン・リオデジャネイロと続き、特に2012年に開催されたロンドンパラリンピックのレガシーは最高峰と評価されています。 2020東京パラリンピックの後はパリ・ロサンゼルスと開催地がすでに決定しています。
2020東京パラリンピックが日本にどれだけのレガシーを残すことが出来るか、これが最大の課題ではないでしょうか。
2020オリンピック・パラリンピックが決まり、障がい者スポーツも少しずづ認知が広がっています。 様々なイベントが各地で開催されるようになり、メディアにも日常的にパラアスリートやパラリンピックが紹介されるようになってきました。 しかし、それが当事者理解に直接つながるというわけではないと感じています。
障がい当事者が日々外に出て、交わり活動することが、障がい理解につながる。そう思いながら様々な活動を行っています。