安定を選択してきた学生時代
小さいころからマンガやゲームが好きで、中学校くらいまでは絵を描くことも好きだった平山。将来は漠然とマンガ家かゲームをつくる人になりたいと思っていましたが、その時代の子どもがそうであったように、“普通に”マンガを読んで、ゲームをやっていた程度で、中学校、高校では美術系を専攻したわけではありませんでした。
平山 「若いころは目の前にある選択肢の中で、必ず勝てるところを選んできていた気がします。大学も高校からエスカレーター式で行きました。理系が得意だし、好きだったこともあり、大学では工学部を専攻したんです」
大学時代もとくに何かをやりたい、こんなところに就職したいということは考えていませんでした。
平山 「もともとマンガやゲームは好きでしたけど、それで飯を食っていこうと思うほどの実力ではないと思い込んでいました。なので、将来は SEだった父親のようにサラリーマンになるんだと、ただ漠然と考えて大学時代を過ごしていましたね」
そんな中、いよいよ就職活動も迫り、研究室を選択する時期が訪れました。ちょうどそのとき、テレビの映画紹介をする番組でCGの特集をしていて、そこで自身の学校の先生が出ており、研究室の紹介をしていました。
一目惚れでその研究室に入り、「CGによる自然な頭髪の表現」について勉強することに。ただし、ここではグラフィックの勉強をするのではなくプログラミングの習熟がメインだったので、就職もそのスキルを生かしてSEとしての道を選択しました。
初めて自ら選んだ挑戦の道
入社後、初めこそ資格を取るなど順調ではあったものの、次第に先輩や周囲とのレベルの差や今後のモチベーションに悩むようになりました。そのとき、あらためて自身を見つめ直し、子どものころに漠然と描いていたゲーム開発の夢が湧き上がってきたのです。
夢の実現に向けて、入社後1年で退職をし、デザイン系の専門学校に入学しました。自ら退路を断ち、デザイナーとしての道を歩むことを決意したのです。
平山 「 1年間、システムエンジニアとして働きましたが、 CGを使って目に見えるものをつくりたいという想いがずっと消えることがありませんでした。そこで、やっぱり自分はデザイナーとしてやっていきたいんだって思ったんです。
新卒で入社して 1年で辞めると言ったにも関わらず、会社の上司は、 “デザイナーの道、頑張れよ ”と応援してくれました。ありがたかったです」
それまでの人生では必ず勝てるところを選んできた中、初めて挑戦する道を選んだ平山。
デザイナーとしてのキャリアを築いていくには、遠回りをしたようにも見えるかもしれません。しかし、エンジニアとしての目線であったり、数値やちょっとしたスクリプトにも対応できたりするなど、通常のデザイナーでは持ち合わせていない知識やスキルを身に付けることができたのは、後々のキャリアにも役に立っています。
デザイナーとしての歩み。そして次なる挑戦の場との出会い
専門学校を卒業後、今度はデザイナーとしてあらためて社会人の門戸を開きました。
CGの下請け制作会社に就職した後、何度かの転職を経て、大手コンシューマーゲーム会社に入社することに。主に3D背景制作に従事し、海外ブランチへの出向、リードデザイナーや、時にアートディレクターも任せてもらいました。
とくにカナダへの1年半の出向では、言葉だけではなく、文化や考え方の違いに戸惑いつつも、働き方についてもあらためて向き合う良い体験になりました。
現地メンバーだけではなく、日本からの先輩を含めた周囲の人たちが常に挑戦し、好奇心を持って活動していく時間を共に過ごせたことが、平山にとって大きな財産となったのです。
そうしてさまざまな経験をし、充実した日々を送る一方、新しい環境で新しい挑戦をしたいと思うようになっていきます。
平山 「ちょうどそのころ、スマホゲームが全盛になり、コンシューマー畑のデザイナーのニーズが非常に高まって、新しい波が起きていたんです。それを見て感化されたのは正直ありました。その会社でアートディレクターを経験させてもらったことで踏ん切りがついたのもあります」
時代の波に乗ってみたいという想いは日に日に大きくなっていきました。また、つくり手としてのデザイナーだけでなく、組織づくりも含めたデザイナー組織のマネジメントもかねてから挑戦する良い機会だと感じ、転職を決意したのです。
平山 「正直サイバードは名前くらいしか知りませんでした。あまり期待もしていなかったです(笑)。他にも選考が進んでいる会社もあって、実は待遇はそちらの方が良かったんですよね」
規模や安定性というところで、大手ゲーム会社と比較したとき、若干の心配はありました。しかし、それでも平山はサイバードに入社することを選択。決め手となったのは「人」でした。
平山 「当時のデザイナートップの方と会ったときに、彼のマインドに共感したんです。その後にも何人かの人たちと面談の機会がありましたが、みんな印象が良かったんですね。一緒に働く仲間としてのマインドとか話す言葉とか、サイバードの方がフィットしたんです」
もうひとつは「やりがい」でした。当時のサイバードはまだ独立したデザイン部門がなく、設立準備中でした。自身が望んでいた組織づくりやマネジメントにも参画できるという期待もありました。
こうして「どこに行っても、自分がしっかりやっていれば結果は出る」という信念を胸に、2014年にサイバードにジョインしたのです。
メンバー全員が輝いている、そして結果を出せるチームをつくりたい
入社後は既存サービスに加えて、新規ゲームの立ち上げにも参画。アートディレクターとして品質管理、進行管理などに従事し、2016年からはデザイナー組織のマネジメントも担当するようになります。
平山 「デザイナーの組織をつくる過程で大変だったのは、サイバードのゲームづくりが独自のやり方になっているところが多いため、他社でゲームをつくってきたメンバーのアイデアを受け入れてもらうのに時間がかかったことです。
その分、建設的に話し続けることは心がけています。コミュニケーションは得意ではないけど、部内外問わず、意識的にちゃんと顔を見てやり取りするようにはしていますね」
もうひとつ、平山が力を注いでいるのが、一人ひとりのデザイナーの力を引き上げて、チームとしてのトータル力を上げていくことです。
平山 「メンバーのやりがいと今後のキャリアプランについては常に考えて、なるべく寄り添えるように配慮し、そのための情報収集や対話をとても大事にしています。
だからこそ、とくに若手社員に対しては、思ったことは言ってほしい、遠慮はしないでほしい、変に考えすぎないでほしいと常に伝えています。
変な意味ではなくそこまで期待していないっていうか(笑)、最初からパーフェクトな人なんて、そうそういないので、変に気負う必要はありません。1年目で先輩に劣っているとか思ってほしくないし、わからなかったらわからないって言ってほしいですね」
今見ているゴールは、サイバードのサービスを通じて“デザインの力で世の中に感動を与えられる”ようになること。
平山 「まだできていない課題が山積みです。それをこの会社でやっていきたいです。やり切ればまた先に新たな目標もできます。組織をつくるという意味でもまだまだやることもいっぱいあるし、やりがいもありますから。時間がかかるのはわかっていますが、やり切りたいです」
平山の挑戦はこれからも続きます。
