伸びる事業分野で、グループの力を集約する新たなブランドを立ち上げ

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▲大和ハウス工業株式会社 営業本部 リブネス事業推進部 松井隆さん(左)と情報システム部 水田紘史さん(右)

新築住宅の開発・販売等における長年の実績から、高いブランド力を持つ大和ハウスグループ。商業施設や事業所の建設事業、ホテルや介護といったサービス事業なども手掛けています。

そんな大和ハウスグループですが、リフォームや仲介、買取再販などの住宅ストック事業を展開していることは一般にあまり認知されておらず、競合他社に遅れをとっている状況でした。リブネス事業推進部の松井さんは当時の状況をこう語ります。

松井さん 「たとえば、大和ハウスのオーナー様でも、大和ハウスグループの仲介事業をご存じない方が多く、売却の 8割以上が他社へ流れていました。
売買に携わることができれば、リフォームにつながっていく可能性があるのですが、そのような機会も損失していたわけです」

しかし、転機が訪れます。2015年、グループ各社の代表が住宅ストック事業の展望を話し合う機会があり、事業を強化していくことに。

もともと大和ハウスグループでは8社がこの分野に携わり、個別に事業を展開しています。その各社に横のつながりを生み、事業の中核を担うブランドを立ち上げるプロジェクトが発足したのです。

松井さん 「中古住宅のマイナスイメージを払拭しようという動きが国にあり、今後拡大していく事業分野だという認識がありました。
さらに、ストック事業は高齢社会や人口減少、空き家問題といった近年の社会課題と密接にかかわっています。新築住宅を供給しつづけてきた大和ハウスグループだからこそ、こうした課題に取り組む責任と必要性があるという想いも強かったです」

こうして、グループ共通の住宅ストック事業ブランド「Livness(リブネス)」が誕生することになったのです。

新しい発想、チャレンジするサイト制作を求めてコンペを開催

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▲2018年1月にローンチした「Livness」サイト(画像は2019年3月時点のもの)

Livnessブランド立ち上げに向けてスタートしたのがWEBサイトの制作。住宅ストック事業の拡大にはLivnessのブランド認知を図り、お問い合わせの窓口となるWEBサイトが非常に重要でした。

このWEBサイト制作の責任者となったのが、グループ内のさまざまなホームページをシステム面から支援してきた経験を持つ情報システム部の水田さんでした。

企画制作を依頼する会社の選定は、コンペ形式で実施しましたが、その際、水田さんはひとつの試みを行いました。

水田さん 「せっかく新しいブランドを立ち上げるのだから、それまでお付き合いのあった制作会社だけでなく、ほかの制作会社からも提案を受けたいと考えたんです。そのうちの 1社が YUIDEAでした」

お付き合いが長かったり、不動産サイトの制作経験が豊富な会社は安心感はあるものの、提案内容が“よくあるサイト”になりがちなことを懸念したのです。水田さんは80点で満足するのではなく、固定観念を打ち破る“チャレンジ”のある提案を期待しました。

こうしてLivnessサイトのコンペに参加したYUIDEA。決め手となったのは「与件の理解力」という項目で、特に採点が高かったことでした。

水田さん 「奇をてらい不動産のサイトであることがわかりにくいものや、逆に、よくあるポータルサイトを提案してきた会社もありました。
しかし YUIDEAの提案は、われわれの想いを汲み取ってそのふたつのいいところをうまく取り入れていたんです。コンセプトも印象的でした」

そのコンセプトが「中古“が”いい」という、中古住宅の価値をポジティブに言い当てたものでした。「中古“で”いい」という妥協をともなった概念ではない発想の転換がプロジェクトメンバーの胸に響き、「これから中古を取り扱っていくんだ」という意識を強めました。

新しい制作会社を選定に加え、今までにない視点で住宅ストック事業に向き合ったからこそ生まれたコンセプト。プラスαの提案もあり、審査に参加した多くのメンバーはYUIDEAを高く評価しました。

さらに水田さんは、偶然YUIDEAと取引のあるグループ会社の存在を知り、YUIDEAについて問い合わせてみることに。すると、業務姿勢などを信頼しているとの回答があり、提案内容の評価とあわせてYUIDEAに依頼することになりました。

制作会社が決まり、2017年4月には各社から人材が集まり「住宅ストック事業推進室(現:リブネス事業推進部)」を新設。

松井さんも20年以上携わってきた新築住宅の営業部から異動してきました。いよいよ制作が本格的にスタートしますが、新しいブランドとして立ち上がったばかりのLivnessのサイトづくりは簡単なことではありませんでした。

何よりもお客様のためのサイトに。客観的な意見で方向性を見出す

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▲グループ各社の想いをまとめて形にしていくのは大変だったと振り返る水田さん(左)と松井さん(右)

紙カタログなど先行しているものがあれば、サイト制作はそのブランドイメージに沿って進めることができました。ですがLivnessは新規事業です。ブランドの指針をプロジェクトメンバーで共有するのにも時間がかかりました。

大和ハウスグループ各社の担当者とYUIDEAで毎週定例会を行いながら進行していきましたが、各社が独自の経験に基づく見解や要望を持っています。

さまざまな意見が聞ける貴重な機会ではあったものの、水田さんと松井さんはそれを中立的な立場で調整することに苦労します。

そんなとき、ふたりが最優先に考えたのはお客様のことでした。議論が行き詰まるとYUIDEAに「お客様の立場でどう考えるか、家を買う立場だったらどう思うか」と聞く場面も多かったと振り返ります。

松井さん 「当然それぞれの強みや意見があります。思いの丈を調整して、どのようにサイトへ反映させていくか。そのアイデアで、 YUIDEAには大変助けられました」
水田さん 「私たち事業側には、自分たちの考え方がある。でもお客様にとっては、必ずしも必要でないこともあります。 YUIDEAからサイト利用者としての率直な意見を言ってもらい方向性をまとめたこともありました」

そして、YUIDEAの迅速な対応がすばらしかったと話します。たとえば、ブランドロゴが決まるとすぐにデザイン案を提出。どうしても各社の意見調整で遅れがちだった進行のなかで、そのスピードには安心感があったと言います。

さらに制作の総合力も高く評価しています。

松井さん 「定例会で毎回いろいろな要望が出るのですが、単にそれを反映するだけでなく、プラス αの提案で次回の定例会に臨んでくるスピード感は、その内容もあわせて流石でした」
水田さん 「サイト制作だけでなく、コピーライティングやスチール撮影、モデル手配とすべて相談できたのは心強かったです」

また、水田さんはシンプルな導線設計にこだわり、バナーやボタンだらけで、どこをクリックしたらいいかわからなくなるようなサイトにはしたくないと考えていました。

水田さん 「お客様がサイトに来られたとき、その目的は大きく物件を『買いたいか、売りたいか、リノベーションしたいか』の 3つです。すぐにお客様が目的の情報へたどり着ける導線にしたかった。
メンバーの要望をすべて聞いてしまうと、それがブレる可能性もあった。しかし YUIDEAには、その軸を見失わずうまく汲み取っていただきました」

こうして2018年1月、大和ハウスグループ各社のストック事業を連携した総合窓口となるLivnessサイトは無事にローンチしました。

予想を上回る数のご相談に、サイト開設の効果、そして顧客の獲得を実感

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▲ローンチ後もサイト改善やランディングページ制作など、ブランド認知を図っています

公開から1年が経ち、サイトの評価や成果が徐々に見えてきました。

たとえば訪問データからは検索ワードに「中古」が多く含まれていることがわかっています。これまで他サイトに流れていたお客様をLivnessサイトへと誘導できるようになったということです。

そして、Livnessサイト公開以来、着実にお問い合わせの数を伸ばしています。公開後もさまざまなランディングページを作成し、その認知向上を図っており、あるキャンペーンでは当初予想を大幅に超える数のお問い合わせがあり、確かな成果につながっています。

また、ブランドを統合したことで、Livnessの「全国対応、ワンストップサービス」という大和ハウスグループならではの強みを生かせる事例も増えてきました。

遠方の実家を売却したいというご相談には全国に拠点があることでスピーディに対応できますし、売却のご要望でも買取や仲介、リノベーションなど各社のサービスをご提案することができています。

松井さん 「総合窓口ができた効果を感じています。今後、大和ハウスがトータルサポートしてくれるという安心感のあるブランドに育てていきたいです。
買った家を転勤で売るときも、ライフスタイルが変わってリノベーションしたいときも Livnessがある、その安心が新築を買うときの決め手にもなるはずです」

住宅ストック事業の拡大が、新築販売にもプラスの影響をもたらす、グループ全体の成長につなげていきたいと考えています。

松井さん 「引き続き、認知拡大が課題です。 WEBサイトは、継続してブラッシュアップするもの。さまざまな相談にのってくれる YUIDEAは、頼れる存在です」
水田さん 「今は Livnessのサイト運営からは離れましたが、大事なのは、自分たちのアピールを優先せず、お客様が知りたい情報へストレスなくたどり着ける “シンプルな導線づくり ”。これは守ってほしいと思っています」

YUIDEAに求められているのは、プロとして、コンサルティング的な視点から“お客様目線”とは何かを明示していくことです。YUIDEAはこれからも固定観念に縛られない価値ある提案で、期待にお応えしていきます。