山梨中央銀行では、「山梨から豊かな未来をきりひらく」という企業パーパスを定め、パーパス経営の実現に取り組んでいます。その取り組みの一環として、役職員が自身の在り方を定義する「Myパーパス」を策定しています。今回は、経営企画部DXイノベーション推進室に所属し、現在Spirete株式会社へ出向している折居 雅也のMyパーパスを紹介します。
※ 記載内容は2023年8月時点のものです
山梨のプレゼンスを高める
第一声として、私は「山梨」が好きだ。とくに、山梨中央銀行に入行してからより一層そう感じるようになった。
就職活動の時期に話は遡る。就職活動では、「折居さんだから」と自身の付加価値で評価されるような仕事ができることを軸とし、金融業界と商社に絞って活動をしていた。
比較的早期に活動を始めたことや巡り合わせもあり、第一志望である某銀行からの内定を獲得し、入行を決めていた。そうした中、地元就職に対する両親の希求もあり、山梨中央銀行も受験し、同行からも内定を獲得した。
当初は、山梨中央銀行を辞退し、第一志望の銀行へ入行する気でいたが、教職の免許を取るために母校の中学を訪れた教育実習で大きく選択が変わった。
私は、社会科の授業で3年生を担当することとなった。教科は「公民」で、内容が「グローバル化」「情報化」「少子高齢化」の授業。いざ「少子高齢化」の授業の準備をするため、資料を作成していると、私が中学生のころと比較して、1学年のクラス数が1クラス以上減っていることに加え、1クラスの人数も減っていることに衝撃を受けた。
また、当時は「消滅可能性都市」という言葉が騒がれており、山梨県に関しては全市町村が「消滅可能性都市」となっている状況であった。
こうした状況下、実際の授業で私は、「生まれ育った町がなくなってしまうかもしれない。さまざまな場所に行って経験を積んできて、将来的には地元に戻ってきてほしい」という発言を生徒たちにしていたのだ。
授業が終了した後に、そんな発言をしておきながら、地元を離れようとしていることに無責任感を覚えるとともに、心の中では山梨のために働きたいと思っていたことにふと気づかされた。その後、第一志望の銀行の内定を断り、山梨中央銀行への入行を決めた。
このような経緯から、入行してから私は山梨の人に営業できることに喜びを感じていた。
しかし、約3年山梨県内の支店での業務に従事する中で、「山梨はそもそもどのように思われているのか、外から見るとよりわかるのではないか」と考えていたところ、東京都内の店舗へ異動となった。
東京都内の店舗では、競合の金融機関が多いこともあり、配属当初は営業成績が伸び悩んでいた。主に貸出業務を担当し、顧客に借入れメインの営業をしていたことにより、話がまとまらない案件が続いた。加えて、東京地域で山梨のプレゼンスを高めることに直接的な意義を感じていなかったこともあり、苦戦する状況が長く続いた。
1年6カ月が経ったころ、あるお客さまからの「山梨県は東京都と一緒だよ」という言葉に、ハッと気づかされた。
「山梨を東京につなぐこと、全国から山梨につなぐこと」で山梨のプレゼンスを高めることができる。そうすれば、私はどこにいても山梨のために働くことができると気づいたのだ。すると、営業の方法も借入を中心とした営業から、マッチング中心の営業へと変化した。
このお客さまとこのお客さまをマッチングできればと想像し、お客さまとの面談に臨む。そうすることで、今までは聞くことのできなかった事業の話を聞く機会が増え、マッチングを通して借入の相談につながる好循環が生まれた。
また、上場企業に対しても山梨のリソースを提供する中、信頼を得ることができ、山梨のためにと思っていたはずが、いつの間にか山梨に助けられる機会も増えていた。
私が営業していく上で、山梨は大きな武器となる。山梨の魅力を発信し、つないでいくことで山梨のプレゼンスを高めていきたい。そして、山梨のプレゼンスを高めることで、山梨で生まれた人に帰ってきたいと思われる地域を創ること、県外からの人口流入を増やすことに尽力していきたいと考える。
現在、私はスタートアップスタジオ(ベンチャー企業の設立支援)のSpirete株式会社とVC(※)の15th-Rockという外部の企業に出向している。
日本政府の方針もあり、スタートアップ支援が大きく拡充され、スタートアップの育成は待ったなしの状況にある。山梨ではなかなかスタートアップが生まれない現状ではあるが、出向中に学んだことを還元し、山梨からベンチャー企業を創出できる環境を創り出したいと考える。
また、スタートアップ企業を山梨につなげることで新しいビジネスの創出や新事業の展開などにつなげ、より山梨が魅力的な場所となるよう尽力していきたい。
私が仕事をする中で、1人でも多くの人に山梨の良さを一つでも多く伝えられれば、最高である。
それこそが、私のパーパスである。
※ VC:ベンチャーキャピタル(Venture Capital)の略称。未上場の新興企業に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開した際の売却益獲得をめざす投資会社・ファンドを指します