“新たな店舗”で“新たなお客様”との出会い

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山手線の外側に位置し、都心からは少し離れた場所にある地域密着型店舗の「LABI LIFE SELECT 品川大井町店」。2022年3月、“たのしい。くらしをシアワセにする、ぜんぶ。”をストアコンセプトに、家具・インテリアコーナーを大幅に増床し、“暮らしまるごと”提案の体験型店舗としてリニューアルオープンしました。

杉田 「私が配属されている、LABI LIFE SELECT 品川大井町店は商圏としてはとても狭く、主に品川区、大田区、世田谷区、港区からのご来店が多いですが、リニューアルオープン後はお客様層に大きな変化がありました。IDC 大塚家具の商品を取り揃えたことで、家具屋でしか購入したことがなかった高齢者の方や、東京オリンピック開催に伴いマンションが多数建設されたため、小さなお子様がいる若いご夫婦といった方々の来店が増えたんです。

特にリニューアル時のテレビCMとチラシの効果は絶大だったと思います。チラシをお持ちのお客様から、『この商品はどこにありますか?』とお声かけいただくことが本当に多かったです。お客様にとってのヤマダデンキのイメージが一気に変わったな、と感じました」

新型コロナウィルス感染症の流行や環境への意識の高まりで、家で過ごす時間やモノを大切にする意識が高まっています。そういった社会的背景も来店客層の変化や、志向の変化につながっていると杉田はいいます。

杉田 「上質な家具をお求めになるお客様がすごく増えました。一度購入した家具は長く大切に使いたい、少し高価でも価値のあるものを購入したいと考えて商品を選ぶお客様が多い印象です。LABI LIFE SELECTで幅広い価格帯の商品を取り扱っていることがだんだん認知され、ブランドを指名してご購入される方や、ご友人から紹介を受けてご来店される方もいらっしゃいました」

インテリアコーディネーターの原点にあるテキスタイルデザイナー

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幼少期から絵を描くことが好きだった杉田。小さな頃からの夢を叶え、“テキスタイルデザイナー”の道に進みました。

杉田 「“デザイナー”と聞くと洋服のデザインを考える仕事を思い浮かべると思いますが、私が進んだ道は“テキスタイルデザイン”といって、素材を開発したり、生地へ柄を描いたりするデザイナーでした。実際に産地へ行って素材について勉強し、カラーの知識もつきました。絵を描くときにパレットで絵の具を混ぜて色を作るように、色を見ただけでどの色が混ざっているかわかるんです。

たとえば同じベージュでも、お客様の求めているものがどういった色相か伝えられることが、インテリアコーディネーターとしてもすごく役立っていると思います」

時代は移り変わり、デザインの世界もアナログからデジタルの時代へ。どうしてもコンピューターでの作業に馴染めなかった杉田は、本気で退職を考えたといいます。そんな時、懇意にしていた上司から声がかかり、宣伝販促部のプレス担当に抜擢されました。

杉田 「ちょうどアナログからデジタルに一気に移行しようとしている時期で、上手に順応できず(苦笑)、結婚を控えていたこともあって退職しようかな……と考えていました(笑)。

そんな私を気にかけてくれた上司から声がかかり、未知の世界だった宣伝販促部へ。経済成長期だったこともあり、毎月のようにファッションショーを開催したり、海外のデザイナーを招致してレセプションを行ったり。自分で提案して、それが実現して、お客様からのレスポンスも強く感じられる。当時は宣伝をすればするほど結果がついてくる時代だったので、毎日が楽しくて楽しくて仕方なかったです」

終始ポジティブに取材に応じる杉田でしたが、少しだけトーンダウンして語る場面もありました。それはマネージャー時代の経験です。

杉田 「退職前の数年間は、ブランドを担当しつつ全体のマネジメントを任されていました。チームに所属するメンバーは経験者ばかりだったのですごくやりやすかったんですが、時代背景も大きく変わり、費用対効果を強く求められるようになったので、毎日ネガティブなことを考えていました(苦笑)」

セカンドキャリアへのきっかけは“好奇心”

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アパレル会社を退職後、フリーランスでファッションコーディネートの仕事をしていた杉田は、ちょっとした好奇心からインテリアコーディネーターとしての道を歩み始めます。

杉田 「インテリアコーディネーターになろうと思ったきっかけは、立派な動機があったわけではなくて、好奇心からなんです(笑)。フリーランスで働いていたころ、お客様のご自宅に伺うことが多く、そこで気づいたんです。洋服のセンスが良い方ってインテリアのセンスもすごく良くて。洋服の好みってインテリアの好みとつながっているなって思ったら、なんかおもしろいな、もっと知りたいな!って」

その後、ヤマダデンキのインテリアコーディネーター求人に応募。パート社員としての採用を機に、長年携わっていたアパレルの仕事を辞めた杉田。インテリアコーディネーター、カラーコーディネーターだけでなく、整理収納アドバイザーの資格も持つ杉田は、前職の経験で培ったトークスキルが役に立っているといいます。

杉田 「“トーク力”はすごく役立っています。周囲からも話すスキルが高い!と言われます。アパレル時代に販売経験はほとんどなかったものの、宣伝販促部でいろいろな方とお話をさせていただいた経験が活きています。

お客様の目線に合わせ、言葉遣い、声のトーン、速さを柔軟に変えてヒアリングしていきます。ご自宅での困りごとを伺いながら、好みのテイストやカラーをチェックし、絵を描くように頭の中でコーディネートしていきます。単品購入のご相談よりも全体的に相談に乗ってほしいとご要望されることが多いです」

家電のみを購入の場合、特定の商品を求めて来店するお客様が多い一方で、家具・インテリアはコーディネーターと相談しながら商品を決めることがほとんど。お客様との信頼関係を作っていくためのコミュニケーションが大切だといいます。

杉田 「ヤマダデンキの目指す“お家をまるごとコーディネート”、という考え方にすごく共感しています。ご来店されたお客様へ、心地良く、楽しめるようなインテリアを提案できるよう、より一層コミュニケーションを大切にしていきたいです」

お客様の想いをカタチに。高齢化社会の日本でストレスのない住空間を作る

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周囲は杉田について、仕事に対してとても真面目で、商品知識や納期等自身が知らないことがあると悔しがり、強い渇望感がある、と評価します。そんな杉田が大切にする“価値観”とは。

杉田 「コロナ禍で外出することが減り、家で過ごす時間が多くなりました。人生100年って考えると、高齢になるほど家にいる時間は長くなるので、快適で心地良い生活がしたいと考えるようになりました。高齢者も洋服と同じように、家の中でも自分らしくありたい方は多いと思います。

ストレスのない住空間を作るために、『この商品がいいですよ!』とただお勧めするのではなく、“お客様らしさ”を表現していく。お客様とお話をしながら好みを分析し、『このようなテイストはいかがですか?』と提案しています」

“人生100年時代 ”の長い老後を有意義に過ごすために、住宅のマルチステージ化が必要であると考えられていく中、インテリアコーディネーターの役割は今後重要度を増します。整理収納アドバイザーの資格も持つ杉田は、キッチンボードを購入されるお客様へは使い勝手の良い収納方法も併せて提案し、毎日の家事の負担が軽減するよう配慮します。お客様に寄り添った接客をすることを常に心がけているため、家の中での困りごとを切り出されることも多く、「実際に自宅に来てコーディネートして欲しい」と求められることもあるといいます。

杉田 「大変嬉しいお申し出ですが、直接ご訪問させていただいてのコーディネートは現在お受けできないため、今後は物を売るハードな部分だけじゃなく、オンラインを駆使し、ソフトな部分でお客様の相談を受ける窓口があれば良いなと考えています。その一助となれるよう、まだまだ知識不足な家電についてしっかり勉強し、家具と家電を一緒に提案できるよう、もっともっとスキルアップを目指します」

「ヤマダデンキを大きくしたい!そのために貢献したい」、杉田は、はっきりとした口調で未来を語ります。家具・インテリア、そして家電を幅広く取り揃えているヤマダデンキだからこそ提案できる“お家をまるごとコーディネート”の可能性は無限大。来店されるお客様の漠然としたイメージをヒアリングし、憧れと理想をカタチにするために、杉田の挑戦はこれからも続きます。