キャリアの始まりは、ファッション業界からだった

▲プライベートではサッカーチームのコーチも行い、スポーツと関わり続ける

ウェルカムグループが運営する「GEORGE‘S」の統括を務める縫田 雅樹。社会人として最初に入社したのは紳士服ブランドを展開する大手ファッション企業でした。

縫田 「何がしたいかと考えた時、自分が好きなファッションかスポーツ業界で働きたいと思ったんです。当時はカジュアルフライデーが始まった頃で、紳士服業界は縮小傾向でしたが、就職を決めた企業はそんな状況にも関わらず事業を多角化して、会社を変えていこうという決意が感じられたんです。

その年の募集は幹部候補のみで、人数も限られていました。選考の際、必須ではなかった企画書を提出したのですが、フィードバックまでもらって。経営を学べることに加え、その企業への信頼が大きくなり、入社を決意しました」

無事に第一希望だった企業から内定をもらった縫田。内定者研修は今でも忘れられないと話します。

縫田 「入社前に内定者研修があり、 テーマは“新規事業を考える”というものでした。自ら街に出てノベルティを配り、道行く人や知り合いに声を掛けマーケティングリサーチを行い、企画を出しました。その案が通り、他の方のブラッシュアップを経て、今も企画が形として残っているんです」

入社前から課題に本気で取り組み、評価された縫田。その結果、入社前に“ニューヨーク研修”へ行くことになったのです。そのとき海外で出会ったホームファッションストアが、その後のキャリアにもつながります。

縫田 「ニューヨークへ訪れホームファッションストアを見学したことで、『日本でもやりたい!』と強く感じました。本場のDEAN & DELUCAも初めて見かけて、こんなお洒落な場所があるんだ、と驚いたのを覚えています。まさか今自分が運営企業で働くことになるとは思ってもみなかったです(笑)」

こうして内定者研修を終えた縫田が配属された部署は既存事業ではなく、新規事業としてスタートアップしたばかりのキッズ事業部でした。

縫田 「入社後、商品アシスタントとして仕事に携わっていましたが、その年の秋に1500坪以上ある1号店を立ち上げることになっていたんです。ですが、同じタイミングで直属の上司が退職することになり、急遽私がバイヤーをすることに。

具体的には、各メーカーさんや問屋さんから仕入れる商品を決めて棚割りに落とし込みます。それから売り上げ計画を立て、その計画に合わせてどの商品を取り扱い、どんな売り場にするかまとめるという一連の流れをすべて行いました。全く経験もない新卒1年目としてはとんでもなくハードな仕事でしたね(笑)」

その後もバイヤーとして5店舗の立ち上げを経験した縫田は、入社2年目で退職を決意。その理由は仕事の忙しさや、内容に関するものではありませんでした。

縫田 「一部上場企業だったので、何もかも規模が大きかったんです。意思決定してからのスピードは早いですが、トップダウンで決まることが多くて。私自身、経営者になることを目標にしていたので、このままだと思い描く未来像になかなか近づけないのではないかと思いました。

小さい会社であっても自分の意見が反映されやすい場所に行った方がいいのではないか……。昔から0か100かで考えるタイプなので、転職先が決まる前に退職届を出していました」

ニューヨークで衝撃を受けた、ホームファッションの世界へ

▲2021年、「GEORGE’S 沼津店」にてメンバーとの一枚

改めてファッション、スポーツという自分の好きな業界に的を絞り、転職活動をスタートした縫田。そんなとき、ある募集が目にとまります。

縫田 「新聞を読んでいたら、“大手不動産企業がホームファッション事業を始める”とあったんです。ニューヨークで見たホームファッションのお店の衝撃が忘れられず、心のどこかで『いつか必ず働きたい』と思っていたので、募集を見て、すぐにエントリーしました」

無事に入社が決まり、希望していた業界での一歩を踏み出した縫田。ここから、デザインの仕事に携わっていくことになります。

縫田 「入社の決め手は“新規事業”に携われることでした。新卒の時もそうでしたが、ゼロからイチを生み出すことに魅力を感じるんだと思います。入社後は新店立ち上げを行った後、半年間副店長として働き、その後はバイヤーとして店舗で扱う商品の仕入れや管理を行っていました」

1998年から2社目にて縫田はバイヤーとして活躍してきましたが、ある時、在籍していたブランドが事業譲渡の対象となります。運営母体が変わっても、ブランドマネージャーを勤め続けた理由をこう分析します。

縫田 「ブランドの始まりからずっと見てきたので、自分が中心となって育んできたことへの愛情と、このブランドを残さなければならないという使命感がありました。会社が変わったことで環境も変わりましたが、そのブランドへの愛が根本にあったので続けられたと思います」

ブランドを愛し、バイヤーやブランドマネージャーとして活躍してきた縫田ですが、2014年に転機が訪れます。

縫田「体調を崩してしまい、3週間の入院を含めて、約1カ月間休職しました。そして、復帰すると “社長室”への異動が決まっていました」

最初は気持ちの面で受け入れられなかったと振り返る縫田ですが、社長室での仕事では今までにはない視点を得ることになります。

縫田 「社長室では、会社全体を横軸で見て、事業進捗からの提案やコンプライアンス・ガバナンスの問題をまとめて事業部へ促しました。そして会社の未来を経営陣と共に考える場に参画し、各事業の未来と社員の未来をつくるためのアクションの一翼を担わせてもらいました。ブランド事業部にいたときは、経営陣から降りてきた決定事項に対して疑問を感じることもあったんです。

でも、社長室に異動して会社の全体像が見えたこと、さらには社長が見ているずっと先の景色を知れたことで、理由も含めて自分の中で点が線となったんです。さまざまな気づきと共に『あの時こうしておけばよかった』という後悔も含めて、目線が一段上になったと思います。40歳を過ぎて少し停滞している自分を感じていたので、社長室での経験は本当に自身を大きく成長させてくれたと思います。自信も取り戻しましたし、成長するには環境を変えることが必要だと思い知らされました」

2016年、自身が育んできたブランド撤退のタイミングで退社を決意した縫田。そして、株式会社ウェルカムに出会います。

2回目の転職を決意したとき、実感していたウェルカム“らしさ”

▲「GEORGE’S」30周年にてメンバーとの集合写真

2016年に縫田が3社目として選んだのは、インテリアメーカー。新しく直営店を始めるための、新規事業担当でした。

縫田 「実は、そのタイミングでウェルカムからオファーをもらっていたのですが、その時はお断りしていたんです。当時『GEORGE‘S』という歴史あるブランドがすでにあり、しっかりとできあがっていました。もう一度、ゼロからイチを作ることにチャレンジしたいと思い、はじめて直営店を立ち上げるメーカーに転職すると決めました」

メーカーに入社後、縫田は1年間で横浜と福岡に店舗を立ち上げました。しかし、直営店の運営は、決して順調とはいえませんでした。

縫田 「なかなか売り上げも思うようにいかず、会社の経営自体も厳しくなっていたんです。小売業は商品を先に仕入れるために資金が必要なので、母体であるメーカーが苦しくなると、やりたいことができなくなってしまう……。直営店を運営することで本業が苦しくなってしまったら元も子もないですよね。ちょうど1年、自分ができることをやり切ったタイミングで、迷いはありましたが退社を決めました。この時も次の会社が決まっていたわけではありませんよ (笑)」

改めて紹介会社に登録し、転職活動を始めた縫田。再び、ウェルカムと出会うことになったのです。

縫田 「ウェルカムグループを紹介されたときは、一度お断りしていることを伝えたのですが、紹介会社の担当者から『ウェルカムさんなら、大丈夫ですよ』と背中を押してもらったんですよね。実際に清凉さん(デザイングループ グループ長)と話し、すぐに入社を決意したのですが、その背景には一度断っているにも関わらず声を掛けてくれたことへのありがたさと、自分を認めてくれる場所に貢献したいという気持ちがありました。
入社が決まり、最終の横川さん(代表取締役社長)との顔合わせの際、『1年前の……』と話をすると、笑って『あーっ!(笑)全然いいよ』と、とても寛大で。このウェルカム“らしさ”に惹かれていきました」

“あなたの街のGEORGE‘S”を体現し続けていくために

▲現在の縫田

2022年現在まで、株式会社ウェルカムが運営する「GEORGE‘S」の統括を務める縫田。そんな彼のミッションとは──。

縫田 「チームとして結果を出すことが最大のミッションなのかもしれませんが、私の役割としては今のチームの船を目指す先に進め、メンバーの未来を作ること。GEORGE‘Sはウェルカムグループのなかでも長男坊のブランドで、30年以上継続しています。店舗数は減ってしまいましたが、ここからもう一回エンジンをかけて船を前へ進めていかなければメンバーの未来をつくることができません。そのために何をしたらいいのかを日々考えています」

そんな縫田は、ブランドの中でどのような役割を担っているのでしょうか。

縫田 「メンバーがどう思っているかは横に置いて、“コーチ”のような存在ですかね。私はウェルカムのほかに3社の経験があり、ハードな経験も含めて今があります。チームには10年以上GEORGE‘Sで働いてきたメンバーも多く在籍していますが、私のこれまでの経験からいろいろな考え方を伝えるよう心がけています。

ウェルカムの考え方として“ライバルは個人店”という言葉があります。個人店の店主は、この立地で、お客様の層が●●だから……と、自分で考えて日々変化させながら運営していきますよね。同じように、ウェルカムでもメンバーたちが自分で考え、行動し、成長していくことを促しながら、より良い方向に変えていけていたらいいなと」

そんな彼はこの先、どのような存在を目指しているのでしょうか。

縫田 「今は事業の船長ですが、将来は10年後のウェルカムを設計しながら若手育成や社内ベンチャー制度づくりなど、船が立ち寄れる港のような立場で会社に貢献できる存在でありたいですね。そのためにも、メンバーの未来をつくれるようにまずはGEORGE‘Sという船をもっともっと前に進め、お客様から認めていただかなければなりません。

“日常のハレ”を体現する自分の街に欠かせない存在、『あの店にいるあの人に会いたい』など、街の精神的なライフラインでありたいですね。お店、というよりもコミュニティというイメージでしょうか」

大きな目標を描く縫田は現在、未来のメンバー候補の面接も担当しています。

縫田 「“変化を恐れず、現実をポジティブに受け取めてチャレンジできる人”は、とても魅力的だと思います。毎日働いていると、どうしてもいろいろなものが当たり前の景色になってしまいやすい。 “お客様のために”という芯がぶれない方や、圧倒的な向上心と熱量を持っている方と出会えたらうれしいですね。そんな方と一緒に“あなたの街のGEORGE‘S”を体現していきたいです」

インタビュー中にも、“自分のこと”よりも“一緒に働くメンバー”や“お客様”への愛を語り続ける縫田。GEORGE‘Sという船を目指すべき場所へ進めていくため、そして共に働くメンバーの未来をつくるために。今日も考え、行動し続けていきます。