父は料理人。傍で見てきたからこそ自分も志した料理の世界

▲デスクに向かう大島

彼のキャリアの原点は、父が料理人だったことが影響します。ホテルやレストランで働く父を見て育った彼は、自然な流れで「将来は料理人になるんだ」と感じ始めました。

大島 「なんとなく、父親の職業を真似て志しましたが、今となってはそういった仕事の選択や就職活動の方法に問題があったと思っています。学生の就職活動って、比較検証しているデータや情報が少ないです。この仕事はどんなことをやっているのか、この仕事はお給料が良いのかとか、将来どういったキャリアが積めるのか、そういう情報をあまり知ることがないじゃないですか。

そうした情報にあまり触れないまま、あれよあれよという間に就職活動を1年弱くらいで行わなければならないんですよね。

そうなると、やはり両親の仕事に目が行きがちになります。全員が一概にそうとは言えませんし、自分がその道を歩いてきたことが間違っていたなんて思っていませんが、そういう人は多いのではないかと思います。自分自身何かを作ることは好きでしたが、何かと比べて料理が好きかと聞かれると必ずしもそうではなく、その時はそれしかなかったと言った方が正しいと思います」

料理の道を選び、専門学校へと進学した大島。一年間で料理の基本から学んでいきますが、あっという間に就職のタイミングが訪れます。

大島 「最初の配属先が、新しい百貨店の中のフレンチレストランでした。開店したばかりのお店で、プロの料理人たちに囲まれて仕事ができたことは良かったです。しかし、朝早く出勤して夜遅くまで働いて、教えてもらうというより自分から情報を取りに行き、見て覚えるような環境でした。これまで遊んできた学生時代と比べてみると、やはり厳しい世界だなとは感じました」

料理の道に進んだ大島ですが、当時は周りの料理人たちについていくことが精一杯。一つひとつの料理を覚えていくというよりも、その生活に慣れていくことの方が大変だったと話します。そして2年が経ったある日、ふと、大島は考えます。

大島 「これから外食の世界はどうなっていくのかなと、少し仕事に慣れてきたタイミングで子どもながらに考える時間を作りました。『フレンチの世界でこれから自分は生き残っていけるのか』。2年間最前線にいたつもりではありましたが、これから自分がずっとやっていきたいかと思ったときに、そうではなかったんです。

一流レストランのシェフを目指していたわけではないので、自分のキャパでできる領域を探してみようかなと考えていました」

そうして大島が悩んでいた当時、カフェが流行り始めます。喫茶店が多かった時代から、都内を中心にカフェの出店が増え始めたのです。

レストランからカフェの世界へ、料理人から、人事の世界へ

▲社内メンバーとの打ち合わせ

今後を悩んでいた大島は、当時流行だったカフェ業態と出逢います。

大島 「今までは朝早く出勤し、夜遅くまで働いていましたが、自分が思うカフェのイメージはお昼中心でした。レストランに比べてメニュー数が多くないという印象もありましたね。 

自分でもできるかもしれないと思って、すぐに履歴書を出しました。ただ、料理人は卒業してサービスを学んでいきたいと思っていたので、調理経験があることは伏せてエントリーをしたんです。最初はアルバイトとしてキッチンでの採用でしたが、料理の経験が功を奏して3ヵ月ほどで社員へと昇格しました」

そうして、当時20歳だった大島は社員として働き始めました。それから1年が経ったころ、新事業であるレストラン事業に異動することが決まります。

カフェからレストラン業態に異動した大島は、約4年間、シェフ、マネージャーとして活躍しました。しばらくして、再びカフェの出店ラッシュがきた際に、店舗立ち上げの部隊として声がかかりました。

約10店舗の立ち上げに関わり、さまざまな場所で経験を積んでいった大島。新店ラッシュの後も異動があり、目まぐるしい日々を過ごしていた彼は、一度立ち止まって考える時間を作ります。

大島 「30代になり毎日店舗に立っている中で、『これからずっとここに立ち続けられるのかな』、『自分のやりたかったことは何だったんだろう』とじっくり考えるようになりました。 そのときに、『日本にある企業に必ずある仕事をすることができたら、他業種に行った時も必要としてもらえるのではないか』と考え、 ‟管理部”は必ずどこの会社にもあると思ったんです。

また、当時自分の頭の中に、何かもやもやしたものがありました。その正体は、自分の働いていた環境についてだったんです。今でこそホワイトが当たり前ですが、その時は、人手不足・長時間労働・お休みも取れないという問題がありました。このままでは自分だけではなく他のメンバーも働き続けられないのではないか、その問題を解決したいと思い、人事の仕事を考えました。

転職も視野に入れていましたが、今働いている会社でその仕事を手に入れることができたら、自分の経験や一緒に働いてきたメンバーの想いも反映できると考え、会社に直談判してみました。玉砕覚悟で話をしましたが、『いい考えだね』と受け入れてくれて、すぐに人事部への異動が決まりました」

 そうしてシェフやマネージャーとして現場で活躍した後、人事に抜擢された大島。イチから学び始めた道ですが、自身の経験や現場の声に基づき、社内の改革を進めていきます。

大島 「はじめは労務や給与計算の仕事を覚え、人事関連の規定の作成にも携わってきました。会社として存在していくために決めなければならないことを決め、理想と現実を埋めていくために各制度を設計。だんだんと会社がホワイト企業になっていくために、何が必要なのかを理解して動けるようになっていったんです。

毎日目まぐるしく新しいことを覚えて、忙しくしていましたが、長い時間を掛けて健全な会社をつくっていきました。ひと通りの流れが分かり、実行に移すことができたタイミングで、自分自身も少し休もうと思い退職を決意しました」

自他共に認める“完璧主義”。その価値観は過去の経験からだった

▲現在のチームメンバーとの一枚

前職で人事として新しいチャレンジを始めて10年。大島自身が、会社の環境整備をやり切ったと感じたタイミングで、退職を決意しました。2年ほど休息期間を取ろうと考えていた彼でしたが、すぐにウェルカムとの出逢いを果たすことになります。

大島 「退職したのは良かったのですが、私、プライベートは無趣味なんです。毎日家にいて、テレビを観ていると『朝から夜まで同じ内容のニュースを繰り返し放送している』と気が付きました(笑)。とにかく退屈だと感じ、2ヵ月後から仕事を探し始めたんです。

業種関係なく、今までの自分の経験を活かすことができる場所を探していた時に、ウェルカムと出逢いました。面接を通して、自分の経験が一番役に立つのではないかと感じ、すぐに入社を決めました」

入社して5年が過ぎた今、どのような業務に携わっているのでしょうか。

大島 「入社してすぐは労務関係の管理を行っていました。現在は会社の管理部門として、事業部と管理部との間でできることを整理しているような感じですね。まだルールが浅い部分もあるので、内部統制をミッションとして整理を進めています。

現在は情報を蓄積して、過去データの整理をしています。会社としての方針を決めていくのが社長、その事務方として存在しているのが私の所属する経営推進室という感じです」

経営推進室のなかには人事労務、総務があります。前衛部隊となる事業部や営業部とは対等な関係であると意識しながら、大島はそこにいるメンバーと日々働いているのです。

そんな大島の役割は‟目安箱”。みんなが直接言いづらかったり、決めづらかったりすることを受け止めて、調整し、業務を進めてきました。

ウェルカムグループの管理部で働くメンバー、店舗で働くメンバー、それぞれとコミュニケーションをとりながら、毎日の業務を進めていく大島。彼が仕事をしていく中で大切にしている価値観とは──。

大島 「心理テストでなにをやっても完璧主義と出るほど、完璧主義だとは思います(笑)。妥協したくないので情報収集はきっちり行い、判断材料をたくさん調べるようにしています。エラーの回数をできるだけ減らせるように仕事を進めています。

人事という仕事に携わるようになってから、そう考えるようになりました。お店にいると、成功か失敗かを検証してから次に進むというより、その瞬間に合わせて進んでいくことが正になると思いますし、もちろん失敗に繋がる場合もある。過去も記録を取らなかったり、行動をしただけで終わってしまったり。失敗を積み重ねて、今の価値観に変わっていきました」

ウェルカム“らしさ”と社会の“当たり前”の狭間を考える

▲現在の大島

人事の仕事を通して、自らの価値観も変化させながら進んできた大島。ウェルカムに入社をしてから変わった考え方はあるのでしょうか。

大島 「ベースとなっているものは、今も変わっていません。自分自身がウェルカム“らしさ”をとことん追求しようとは考えていません。私がやるべきことは、ウェルカムグループに世の中の当たり前を持ち込んでいく仕事だと考えています。その当たり前とウェルカムらしさの間をとって、どこが最善なのかを考えて働いていくようにしています」

このインタビューの中で大島は、過去に起きた仕事での失敗談も赤裸々に語ってくれました。彼はそのような経験を今後、自分も仲間もすることのないように、調査や確認を怠らずに業務を進めています。

また、大島にはコーポレートグループの採用面接の面接官として、採用候補者と話す機会が度々訪れます。様々な経験を積んできた大島が考える、採用候補者たちに持っていてほしい価値観とは──

大島 「自分の力で会社を変えていくというような、“野心”を持った方とお話したいなと考えています。持っているスキルの仕事ができることは当たり前なので、その先の志も持っている方だといいなと思います。そうした考えを持っている方とお話しすると、一緒に結果を出していきたいですし、必ず実行に移して実績を上げ、会社を健全化させていきたいと思うんです」

採用候補者へ熱い想いを持つ大島は、経営推進室の今後を見据えています。

大島 「尽きることのない社内での困りごとを解決していくために、個人でも店舗でも、事業部単位でも、メンバーたちの相談先としては存在していきたいと思っています。チーム全体としては、管理部としての価値も上げていかなければなりません。もっとレベル感を上げて、考え方を醸成していきたいです」

企業において重要な資産である「人」に関わる業務全般を行う人事。その“目安箱”である大島 学。30代から未経験で人事の仕事を始めた彼にとって、これまでの道は決して簡単な道ではありませんでした。

社内の動きやメンバーの声をいち早くピックアップし、会社の中を整えていく彼。一人でも多くのメンバーがウェルカムで健全に仕事を進めていくことができるように──これからも情報収集や分析を怠らず、会社全体が正しく進んでいくことができるよう、思考し続けていきます。