“つくる”に惹かれ料理の道に
DEAN & DELUCAで、出居 勇太は2つのマネジメント業務を兼任しています。1つは東日本エリアマネージャーとして、そしてもうひとつはDEAN&DELUCA本部の営業推進室の統括です。
出居 「エリアマネージャーでは、店舗の数値管理はもちろん、企画や経理、デベロッパーとの交渉を行うこともあります。営業推進室では、営業支援や業務管理、ホスピタリティなど、さまざまなチームの仲間たちのマネジメントを担当しています。いわゆる、“なんでも屋さん”という感じです(笑)」
多方面からDEAN & DELUCAを牽引する出居。
そんな彼の仕事観が確立されたきっかけは幼少期までさかのぼります。
東京・浅草の和食器店を営む家族のもとに生まれた出居は、幼いころから近くの飲食店のマスターや食器の作り手など、想いをもって“つくる”ことにこだわりがある人々と多く関わってきました。
出居 「ここは毎日料理人や食器の作り手も多く来店していたんです。想いをもって“つくる”ことにこだわりがある彼らの話を聞く機会も多かったので、ものづくりの仕事をしたいと考えるのに時間は掛かりませんでした」
ものづくりをやりたいという想いから芸術学科のある大学に進学した出居。しかし就職活動で大きな壁にぶつかります。
出居 「芸術を学ぶことを通して、大学の友達は圧倒的なセンスや才能を持ち、かつそのセンスを受け取る感性があったんですが、自分にはセンスや才能がないな、と日々思い知らされていました。このままだと就職先が見つからないのでは?と思いましたね(笑) 」
自分と向き合う日々の中で “つくる”へのこだわりに気づいた出居。そして彼は料理の世界に惹かれる自分にも気づきました。
出居 「幼いときから料理をつくる機会が多く、また家族とよくレストランへ食事をしに行ったことを思い出し、料理も学びたいと考えている自分に気づきました。
料理について自分なりに調べ、料理の基本を短期間で学べる『専門学校へ入りたい』と話しました。言いづらかったですが、このときに応援してくれた両親には感謝しています」
こうして出居は、料理の世界に一歩踏み出しました。
“やりたい”気持ちにまっすぐ。世間の評価より自分にしか歩けない道を。
4年の大学生活を終えた後、料理の専門学校へと進学。4歳下の同級生に混じった出居は、レストランでアルバイトをしながら、料理についての知識と経験を深めていきます。
出居 「料理人としてのスタートが周りより4年分遅れていたので、正直焦りもありました。なので、就職先はその地域で繁盛していた小さなフランス料理店に決めました。人数が少なければ回ってくる仕事も多いと思ったんです」
こうして料理人としての人生を歩み始めた出居。さまざまな食材と向き合っていく毎日の中で、ある食材に魅せられていきます。
出居 「フランス料理では自然とよく関わる食材がいくつもあるのですが、その一つがチーズでした。原料や地方はもちろん、製造方法や熟成の仕方まで何百通りもあり、知るにつれてチーズの奥深さにのめり込んでいきました」
その後、チーズの専門店に転職し、売り手として毎日チーズと向き合った出居。しかし、お客様との交流を通してさらに新しい“やりたい”が生まれていきます。
出居 「お客様に自分の作った料理ではなく誰かの想いが込められたチーズを提案できることが最初はとても楽しかったんです。ただ、お得意様が増えるにつれ、『これに合うワインやお料理は?』と聞かれたときに、実際の商品と合わせてご提案できないことに物足りなさも感じていました」
そんなときに出会ったのが、たまたま通りがかったDEAN&DELUCA品川店。そこは彼の“やりたい”が詰まった場所でした。
出居 「DEAN & DELUCAのことは既に知っていましたが、転職を悩んでいた時にもう一度足を運んではっきり分かりました。こういう場所に立って働きたいなあ、と感じたんです」
2007年、DEAN & DELUCAに入社した出居は、チーズシャクータリーの売り場担当として食品の知識をお客様に還元していました。
そんな出居に転機がやってきます。DEAN & DELUCAに新たに導入された社内認定資格「フードマスター」の試験に見事合格し、NY出張のチャンスが巡ってきたのです。
出居 「フードマスターの試験には150名以上が参加し、合格したのは自分も含めて7名。自分が食について学んできたことが目に見えて形になった瞬間でした。NY出張では、写真でしか知らなかった現地の食文化を実体験して、自分の言葉で様々なことを語れるようになりました」
自分の興味や魅力的に思ったものを徹底的に調べ、学び、アウトプットする──自身の“やりたい”を見つけて向き合うことに時間を掛けてきた出居ですが、現在の仕事に携わるまでには大きな葛藤がありました。
自分の“やりたいこと”から仲間の“やりたいこと”を実現できる人へ
目の前にいるお客様のご希望に合わせてチーズを切り、ワインをおすすめし、生ハムをご提案する──出居は100人のお客様に100通りの組み合わせを提供し、一人ひとりと向き合うおもてなしで店舗の看板となっていました。
そんな“やりたい”をまっすぐ追いかけてきた出居に、入社から3年目で昇格の話が届きます。
出居 「店舗のサブマネージャーのお話をいただき、もちろんとても嬉しかったですが、正直、売り場から離れたくはなかったんです。肩書きが欲しいから、お金を稼ぎたいから仕事をするというよりも、自分が知りたいことややりたいことを一番に優先して働いてきたので……。
一度はお断りしたのですが、自分の“やりたい”を叶えてきたことから再度考え直して、今度は自分が周りに貢献しようと考え、昇格を承諾することに決めました」
サブマネージャーとして、お客様も含めてお店のメンバーの“やりたい”をサポートしていくことを決意した出居。昇格すると、自身の経験や知識からマネジメント力を開花させ、さまざまな職務が飛び込んできます。
出居 「マネジメントの仕事はとても大変でした。視野が広くなければできませんし、他のメンバーのことを考える時間が多くなっていきます。しかし、メンバーの“やりたい”が叶ったときのキラキラした笑顔にやりがいを感じることも多くなっていったんです。それから昇格などのお話をいただくときは、それに必ず意味があると考えて一度も断っていません」
しかし、すべてが上手くいく訳ではありません。特にコーポレートセールス部門のマネージャーとしてBtoB案件に関わったことは、出居にとって難しい挑戦でした。
出居 「お店に来たお客様にものを売るという概念から、企業向けにDEAN & DELUCAブランドのものを売る概念に変わり、相手が変わることの難しさを痛感しました。たとえば、対お客様だとその方がどんなシーンで何を合わせるかなどで提案が変わりますが、対企業になると卸し可能な個数やテーマに合うか、値段やブランド力などが問われます。
自分がこれまで考えたことのない想像力を求められ、悩むこともありましたが、0から新しいものを創る喜びも感じることができました」
お客様、一緒に働く仲間、企業──新しいステージに行っては知識を深め、会社に貢献していく。幼いころからの“やりたい”という好奇心を忘れない出居だからこそ挑戦できたことです。
“責任ある自由”を仲間にも──“やりたい“を追求できる場を作りたい
15年をかけ多岐にわたる経験を自分の力に変えてきた出居。2021年8月現在は、未来の仲間になるかもしれない方々の架け橋として、採用面接も担当しています。採用担当者として出居が重要だと考えるのが、“こだわり”です。
出居 「なんでも良いので、『私はこれが好き』といえるようなこだわりを持っていてほしいです。それは日々の生活の中のこだわりでも、趣味でも大丈夫です。熱量の高くなれるものが一つあることは、ウェルカムだと強みになりますから。
もしこだわりが見つからなければゴールまで線を引いて提案したり、今やっていることの意味を一緒に考えたりすることもできますが、私が誰かの“やりたい”を決めることはあまりしません。自分で考える中で、目の前にいるお客様にどんな提案をしたいかを引き出せたらそれは“やりたい”の第一歩です」
自分がそうだったように、これから出逢う方にも“やりたい”を持っていてほしい。ただ、強制はせずにガイドが必要な人にはゴールまでを引いて提案していく。自分の“やりたい”を見つけることが得意な出居だからこそ伝えたい想いです。
出居 「私は何かを禁止するのが苦手で、自分もされたくないし一緒に働く仲間にもそういう想いをさせたくないんです。なので、一見とても自由な雰囲気で放任しているとみられがちですが、“責任のある自由”を感じながら楽しそうだと思うことをやり続けてもらえる環境を作れるように、努力し続けています」
出居は“やりたい”が持つエネルギーをウェルカムだからこそ発揮できると考えています。
出居 「“やりたい”のパワーって凄いと思いませんか?自分が楽しそうだと思ったことなら、その裏に修行のようなことがあっても頑張りたいって思いますよね。それがたまたま私は芸術やスキー、チーズでしたが、きっとその人なりのワクワクすることがあると思います。
ウェルカムには様々なブランドがあるので、自分の”好き”を伸ばしてそれぞれの得意分野を生かしていけますし、それまで持っていなかった力も身に着けられます。だからぜひ働きながらさまざまなものを自分の目で見て、人生に活きるものを得て、自分の好きなことを深堀していってください」
一緒に働く仲間のために、そして自分の尽きない“やりたい”のために──出居はこれからも自らの知識や経験を仲間たちに伝え続けていきます。