多岐にわたるキャリアを通して見えてきた製薬業界の多角的な課題

働く以上は組織の戦力になりたい。そして将来性のある業界で働きたい──。

そんな思いを抱えていた小林 弘樹の学生時代は、就職氷河期真っ只中。厳しい時代に直面した就職活動で、小林は将来性を鑑みた就職先を探しました。

小林 「会社選びで暗中模索していたとき、高齢化が進んでいくにつれて医療・製薬業界のニーズが高まっていくであろうという話を耳にしました。また、アメリカの州立大学で情報処理を専攻していたため、英語力とITの知識を活かせる企業への就職を希望していました。自身のスキルと将来性の両方を兼ね備えていたITベンダーを選んだことが、製薬業界におけるキャリアの第一歩です」

2001年に入社したライフサイエンス分野の研究開発を支援するITベンダーで、小林はグローバルのITプロジェクトを担当。技術力を培い、プロジェクトの進め方や顧客のニーズについて学びます。

その後、製薬企業のITプロジェクトをサポートするコンサルタントとして、2008年に世界有数のコンサルティングファームへ転職。さらに2013年、メーカーを経験したいという思いから医薬品メーカーへと転職を重ね、これらの職歴を通して培った知見を武器に、2017年、Veevaにジョインしました。

小林  「ベンダー、コンサル、メーカーと多方面のキャリアを積むことで、それぞれが抱える課題や、お客様がITに何を期待しているかが、自分のなかで可視化されました。現在、Veevaにて各方面の企業と連携する場面で、相手の意に沿ったサービスを心掛ける視点を持てているのは、前職でのこうした幅広い経験があるからです」

小林はこれまでの経験も重ねたうえで、Veevaの製品力を最大の魅力だと感じています。その象徴として挙げられるのが、業界では異例の年3回のバージョンアップです。

小林 「前職でもベンダーを経験してきましたが、システムのバージョンアップはハードウェアの老朽化やOSのサポートが切れるタイミングなどに合わせて、およそ5年ごとにやっていました。

それを年3回の頻度で行うというのは一見大変そうですが、実は効率的な方法なんです。5年ごとに更新すると、更新内容が多くなるため大がかりな作業になりがちですが、年3回に細かく分けていくことで、その負担が減ります。また、お客様も『システムは変わるものだ』という認識を持っていただき、それを前提とした運用を行っていただけるので双方都合が良いんです」

定期的に行なわれるバージョンアップにあわせて、ITの最新トレンドを反映した機能が次々と生まれていきます。お客様のニーズを汲んだ適切な製品を、継続的かつスピーディにリリースできる。そのずば抜けた製品力が、Veevaの大きな魅力であり、強みでもあるのです。

事前準備を怠らず、主体的に考える力で前向きなサジェスチョンを目指す

Veevaに入社して以降、プロフェッショナルサービスチームで働いている小林。近年は次々とリリースされる新製品の製造にあわせ、チーム体制を拡充するマネジメント業にも足を踏み入れています。

小林 「2021年現在は、プラクティスマネージャーとしてチームのマネジメントを担っています。プロジェクトも並行して見ていますが、チームメンバー同士の調整役として動くことが多くなりました。

例えば、チームメンバーがのびのびとプロジェクトをやれるような支援や、プロジェクトをチームとして受けるための各種調整、あるいはグローバルの担当者や営業チームとの調整など多角的な対応が求められています」

製薬企業の市場は国内にとどまりません。よって、グローバルなステークホルダーとのコミュニケーションが多いのもこの仕事の特徴です。グローバルな環境で価値を生み出していくためには、知識が必要なのはもちろんのこと、『自分で考える力』も試されます。

小林 「いま何をするべきか。そのためには何が必要なのか。現状見えている方向性以外により良い選択肢はないのか。そういった疑問を常に自分自身に投げかけながら、主体的に業務にあたることが何よりも大切です。

また、お客様に製品を理解してもらうためには、まず自分が製品を深く理解していなければなりません。技術にしろ製品の機能にしろ、お客様からくるであろう質問をあらかじめ予測したうえで、前向きなサジェスチョンができるよう準備します」

単にマニュアルを読んで説明するだけであれば、お客様にマニュアルを渡せば済む話。そこを技術者の観点を活かし、製品、技術のエキスパートとしてお客様の期待に応えるのが、小林の仕事の根幹にあるこだわりです。そしてそのこだわりは、マネジメントの視座にも継がれています。

小林 「グローバルなコミュニケーションを円滑に進められる英語力と、課題を見つけ出す主体性、課題を先送りせず即解決するための柔軟性と判断力。これがR&Dチームに求められる力であり、チームマネジメントする上でも重視したいポイントです」

お客様と製品の成長を味わいながら、長距離走を続ける醍醐味

入社前、Veevaの洗練されたロゴや優れた製品から、“優雅”な働きかたを想像していた小林。これほどに完成された文化がある企業ならば、社内の技術者の負担は少ないのではないかと考えていました。

小林 「実際Veevaに入社してみて、どんなに魅力的な製品を生み出す企業でも、お客様の希望と現状のギャップを埋めていく過程の難しさは変わらないのだな、と気付きました。むしろそこにこだわるからこそ、社外に見えるブランドが育つのかもしれませんね。

製品が進化していくスピードに取り残されないために、常に自分自身の知識もバージョンアップしていく必要があります。当初イメージしていた優雅さとは対照的に、泥臭く努力を積み重ねる毎日です」

日々ひとつずつ課題を解決しながら、小林が感じるVeevaという組織の魅力は、スピード感が衰えることなく成長できることです。マネジメントする立場から会社の成長を支えていくことは、小林にとって刺激的であり、やりがいになっています。

小林 「前職までのキャリアで経験したのは、短距離走のような努力でした。一度できた成功事例をいかに効率良く横展開するかに注力していたため、同じ道を何度も全力疾走し、ゴールに来たら休んでを繰り返していたようなイメージです。

一方、Veevaの環境は、短距離走を何回も走るというよりは、長距離走に近い印象があります。プロジェクトが終わってもすぐに次のバージョンアップが控えていたり、新しい製品も次々と提供されたりと、常に環境が変化し続けます。なおかつ、Veevaのバリューとして掲げているように『Speed(スピード)』は短距離走のまま。

体力や精神力の要る環境ですから、もちろん苦しいと感じる場面もあります。しかし、どんどん新しい景色が見えて、そのたびに新たな発見があるので退屈はしません。モチベーションを保つ努力は必要ですが、成長とともに見える景色は、とても充実しています」

Veeva入社当初、製品のバージョンアップや新製品が毎年リリースされるスピード感が想像以上のもので、それに伴うキャッチアップに苦労していた小林。しかし経験を重ねていくことで、製品の目指す方向性を理解し、追うべきものと追わなくていいものとの判別がつくようになりました。

小林 「お客様のフィードバックから、今後に活かすべきものを取捨選択したうえでアップデートする体制が整っているので、新製品や新機能の予測が立てられるようになりました。

製品のバージョンアップは、お客様にとってメリットだけではなく負担になる場合もあります。そういったネガティブなご意見にしっかり耳を傾けながらも、負担はあくまで一時的なものであり、将来的にはより長く便利に製品を使ってもらえるメリットがあるのだというところを説明して、ご理解いただくよう心掛けています」

お客様と共に走りながら、製品の成長を通し、同じ苦しみや楽しみを味わう。何物にも代えがたい経験を通して、小林個人はもちろん、Veevaという組織の体力も育まれていきます。

キャリア形成の軸足を個人からチームへ──主体性を活かした組織づくり

どんな仕事においても、ひとつの立場からでは他の側面が見えづらくなってしまうものです。これまで多様な業種を経験してきた小林は、広い視野を持ち、ベンダーとしての正しさと顧客としての正しさが必ずしも一致していないことを知っています。

小林はその経験値を若手育成にも活かし、自分で考える癖をつけ、危険を察知する能力、将来を予測する能力が培われる土台作りを目指しています。

小林 「経験が浅いうちは、お客様に言われたことに素直に従ってしまいがちなのですが、お客様が間違えている可能性も否定できないんです。そこを踏まえて、必要に応じて軌道修正ができるようなコミュニケーションを取るよう、メンバーには伝えています。

ただ、きつく言い過ぎると委縮してしまい、自分で考えることをやめてしまいかねません。ある程度自由にしてもらいつつ、方向だけ示してあげる。修正するときには、修正の必要性、その原因、改善案をわかりやすく提示するよう心掛けています」

これまで自身の景色を塗り替えていくことを続けてきた小林は、キャリア形成の軸足を、少しずつ個人からチームへと移行しつつあります。

小林 「これまでいかに自分が成長するかに重きをおいて仕事をしてきましたが、マネージャーという業務を通して、若手の成長を見守ることが楽しみのひとつになりました。

これまでのキャリアで得た貴重な経験をチームに共有し、役立てることが自分にとっても次の成長に繋がると感じていますので、今後はチームとしての成長を視野に入れて、任せるところは若手に任せながら、責任感や主体性を育てていけたらと思っています」

製薬業界を軸足に、多様な背景をもつ人材が集うVeeva Japan。それぞれが個性を伸ばしあえる環境を目指し、スピード感を楽しみながらメンバーとともに疾走する──小林の飽くなき長距離走は今日も続きます。