2021年、難関スタンフォード大に合格した徳島の女子高生がSNSで一躍話題になりました。その高校生、松本 杏奈さんは、高校卒業後からアメリカへ渡航するまでの半年間でユニバーサル ミュージックのインターンに参加。彼女がインターンで得たものは何だったのか、インターン担当者の解説を交えながらご紹介します。

徳島の高校からスタンフォードへ

松本さんは徳島の私立高校に通っているときから、サイエンスとアートを融合させた多様な活動もしてきました。かねてより彼女は自らの行動理念として『誰も取り残さない社会と技術と芸術を』を掲げています。

松本 「技術に関しても芸術に関しても、ある程度の排他性があり恩恵を受けることができない人たちが一定数いると感じています。そんなマイノリティの人たちでも、技術や芸術の恩恵を受けられるように何とかして救えないものか。そんな一心で技術開発の道を志望するようになりました」

 自らの理念を達成できる環境として松本さんが目を付けたのがアメリカの大学でした。

松本 「最初はMIT(マサチューセッツ工科大学)を志望していて、他にもスタンフォードを含めたいくつかの大学を受けていましたが、合格できる可能性は正直少ないと思っていました。そもそも自分の理念を体現できるなら大学でなくてもいいと思っていて」

しかし、実際には彼女のもとへアメリカの大学6校から合格通知が来ました。いずれも世界的に有名な大学ばかり。合格通知が届く度に自らのSNSで報告したところ、メディアからも取材が殺到するようになりました。

最終的に、スタンフォード大学への進学を決めた松本さん。入学後は、触覚を用いて目や耳が不自由な人にも情報を伝えられるインターフェースデバイスについて研究していく予定です。

松本さんがユニバーサル ミュージックへのインターンに参加することを決めたのは、大学の合否が判明するよりも前のことでした。

松本 「もしアメリカの大学に合格できたとしても、入学するのは10月です。合否に関係なく高校卒業後の半年間は、多様な経験を積みたいと考えていました。特に音楽は自分が手掛けてきたアートと近しい領域にありながら、あまり接点がなく、今後大学でも触れられない世界ではないかと感じていました。そんな世界だからこそ飛び込んでみたいと思ったんです」

新人発掘を通じて学んだヒットを生み出す感性

松本さんは2021年3月から半年間のギャップタームを利用し、ユニバーサル ミュージックのインターンに参加していました。担当したのは、若者としての感性を生かした新人発掘とデジタルマーケティングです。

邦楽レーベルのひとつ、Virgin MusicのA&R MP本部2部 兼 デジタルマーケティング部 部長の嶋津 央は、社会全体に影響を与えるような大きなヒットの種を求めました。

嶋津 「インターンの方々には私たちが持つ新人発掘の考え方や取り組みなどを伝えますが、やり方や勤務時間は個々人の裁量に任せています。具体的な課題としては、週に一度の新人発掘会議で、必ず一組の新しいアーティストをプレゼンすることをお願いしています」

松本さんと同時期にインターンに参加したメンバーは数名いて、それぞれが異なる手法で新人発掘にチャレンジしていました。バンド系を発掘してくる人や、YouTubeやTikTokで見つけてくる人もいましたが、松本さんはTwitterから探していたと話します。

松本 「高校時代からTwitterを活用していたので、自分の強みを発揮できるツールだと思ったんです。Twitterを漁る力なら誰にも負けない。気になったアカウントを見つけたら、その人がコメントを付けた人、あるいはフォローしている人、フォローされている人を全部たどり、関連するリンクも全部見ていくんです」

半年のあいだに松本さんがプレゼンしたアーティストの中にはレーベルの育成契約に至った例もありました。

松本 「新人発掘会議では、これまでの音楽シーンの移り変わりの背景にどんな出来事があって、関係者のどういった思考が反映されているのかという裏側を学ぶことができました。アーティストや楽曲がどのように社会に浸透していくかを消費者とは異なる視点で観察できたことは本当に大きな経験です」

こうしたインターンを通して、松本さんが学んだのは「ミーハー」になることの重要性でした。

松本 「特定の対象に対してコアなファンであることが私のアイデンティティだとずっと思っていたんです。だからミーハーであることとはむしろ距離を置いていました。

でも音楽をバズらせるためには、それを好きな当事者の声がとても大事なのだとインターンの現場で知ることができました。自分個人の嗜好やバックグラウンドは違うとしても、その音楽作品を好んで聴く当事者たちの声に耳を傾け、目線に寄り添い、客観的に判断していくための素地が必要なんですよね」

ユニバーサル ミュージックとインターンのシナジー

ユニバーサル ミュージックがインターンの受け入れを本格的に開始したのは、2019年からでした。日本で一般的な企業PRを主軸としたものにするのではなく、学生とユニバサール ミュージックのシナジーを発揮させる海外型インターンを実践すること、と人事部の西村 淳は話します。

西村 「業界の特性上、音楽作品のヒットはやはり若い人たちの中から生まれてきます。現在の若い世代の彼ら、彼女らがどのような考えを持っているのかというのは私たちにとって常に重要な情報です。

もちろん学生さんとの交流の機会などはこれまでもあったのですが、より実際的に会社の中に入って業務を担っていただくことで、もっと具体的な成果が多く出るようになるはずという確信が、ユニバーサル ミュージックのインターン制度の根底にはありますね」

インターンは各部門の需要に応じて募集をかける仕組みとなっており、松本さんの場合は基本的にオンラインで完結する業務を委託する形とした内容だったため、徳島に居ながらこのインターンに参加できたことはとても有意義だったと話しています。

西村 「私たちが若い方々の柔軟な発想や感性を事業に活かす一方で、インターンに参加していただいた方々にこちらから提供できるメリットとしては、何より音楽業界で働くとはどういうものかということを実感値を持って伝えられることかなと思います。

実務の一部をお願いすることになるので、かなり実際的な職業訓練になります。成果を求められる責任を負うことで、この業界で働くという未来をよりリアルに想像することができるのではないでしょうか」

知らない世界へ飛び込むことの意義


松本 「高校在学時から、気になる企業があれば見学に行くなどして、社会とはどういったものか、働くとはどういったものかを見てきました。しかし、そのあいだずっと感じていたのは、『"見せるためのもの”を見せられている』という感覚です。当然、高校生に全てをさらけ出せるわけではないでしょうし、実際に働いてみないと見えてこないものがあるのだと、いくつかのインターン体験を通して痛感しました」

ユニバーサル ミュージックのインターンを通して、決して子ども向けの大人の姿を見せられるのではなく、大人が自分を大人として扱ってくれることに感動したと松本さんは話します。

松本 「インターンの面接の時も高校の制服を着て行ったのですが、制服姿の17歳の学生と対等な立場で意見交換をしてもらえたことが最初の衝撃でした。インターンで参加してからも、ありのままの業界の中身に触れることができたと感じています。

インターンが始まってからしばらくして東京のオフィスへと見学へ行ったときは、こんなに楽しんで仕事をしている大人がいるんだということにも驚き、社会に出ることへの期待が膨らむ想いでした」

ギャップターム中に、ユニバーサル ミュージック以外にも、他の企業や行政のインターンに参加するなどいくつもの世界へ飛び込んでいった松本さん。自身の個性と業界ごとにある特性にミスマッチを感じるところもあった一方で、将来的に自身とは縁遠いだろうと想像していた音楽業界には、自分の未来がわずかでも重なる可能性を見たといいます。

松本 「私の経験からいえるのは、音楽業界を志していない人であってもユニバーサル ミュージックのインターンに参加する意義があるということでしょうか。若いうちは特に、まったく知らなかった分野を体験させてもらうことの方が未来の自分にとっての価値になるのだなと実感しました。

それまで、自分のコアな趣味へのこだわりがありミーハーな思考を遠ざけていた私も、そうした感性を知り、当事者的な視点を理解しながら客観性も同時に持つことの重要性に気付くことができました」

ユニバーサル ミュージックでは、松本さんのようにどんどん新しい世界へ飛び込んでいく次の時代を担う世代の人達にとっても未来を思考するための場となるようインターン制度を通してサポートをしています。