相手を否定しない心がけ。プラスでもマイナスでも、話すことで考え方は整理される

2019年に技術系派遣会社のトライアローに入社した戸澤氏。約1年の産休・育休を経て2021年夏に復職を果たしました。

戸澤 「私たちのミッションは、派遣会社ですのでまず第一に『求職者の方と企業、双方にとって最適のマッチング』という大きなテーマがあります。次に、やはり営業ですので、支店の数字や自分の数字を常に意識して仕事をしています」

トライアローは、営業担当が求職者との面談やアサインを一気通貫で行います。その仕組みのために、営業と求職者・派遣メンバーとの距離が近いのが特徴です。

戸澤 「私が求職者さんやエンジニアさんとのコミュニケーションの中でとくに心がけているのは、相手を否定しないことです。人間誰しも、負の感情を吐き出したくなる時もありますよね(笑)。そういう相談に対しても一様に『ひとまず頑張ってみてくださいよ』と返してしまうのではなく、一旦受け止めるようにしています。

話したことがきっかけで、自分が悩んでいることや不満に思っていることが言語化され、整理がつくことだってあるじゃないですか。ですので、現場での悩みごとから他愛のない会話まで、気軽にできるような存在になることを日々意識しています」

どうせ働くなら、楽しくいきたい。自らを振り返るきっかけになった、産休と育休

▲戸澤氏が入社した年に開かれた、若手営業メンバーでの座談会にて

エンジニアさんに寄り添う姿勢で仕事に励む戸澤氏。産休・育休を取得する前と後で心境の変化を実感しています。

戸澤 「私はトライアローへ入社する前も、営業職でした。その経歴もあり、以前は今よりももっと『営業=数字で結果を出す』という意識が強かったです。また、短期的な視点はあっても、長期的な視点を持てていませんでした。

産休・育休の取得は、そうした自分を振り返るきっかけになりました。今までの自分の仕事観を棚卸ししたり、今後どうしていきたいかを客観的に考えたりする良い機会になったのです」

毎日当たり前に通っていた会社を丸1年間離れ、子育てに追われつつも内省する。そこから戸澤氏は、“働く中で自らがありたい姿”を見出しました。

戸澤 「自分はきっとこれからも何年、何十年と仕事をすると思います。『じゃあその間、毎月の数字を追いかけて、月初にリセットされて、また追いかけて……。の繰り返しで本当に良いの?』と考えたんですね。そしたら、『どうせ働くなら、楽しくいきたい』って思ったんです。

そういう心境の変化を経て職場に戻ってからは、前よりも“人”に注目して仕事をするようになりました。エンジニアさんと話すときも、『この人が今私にこの話をするのには、どんな理由があるのかな?』と考えたり、日頃のコミュニケーションの中でその方が今どんなことに興味を持っているのかを予測してみたり。数字じゃないものを見つめる自分が、少しずつ出てきたんです。すると、自分のミッションについても短期と長期、両方で考えられるようになりました」

技術系派遣会社の営業職は、職種の特質上、自社で働いてくれている人たちの生活やキャリアに深く関わる仕事。人に対する興味、観察力が求められます。

その仕事で、戸澤氏は以前よりも“人”を意識するようになった──この変化は、戸澤氏の周囲の人間さえも少しずつ変えていきました。

戸澤 「派遣会社では、エンジニアの方と毎日机を並べて仕事をしているわけではありません。なので、どうしても帰属意識が希薄になりがちです。

でも、私自身が前以上にエンジニアさんのキャリア形成やスキルアップについて真剣に考えていると、その状況が変わり始めたんです。あちらから『私はこういうことをしたいんですよね』とか『うちの会社はこういう風にしたらもっと良い会社になると思いますよ』とか、そういう言葉が出てくるようになりました。

この変化は、『トライアローをエンジニアさんにとってより働きやすい会社にして行こう』という私の励みにもなっています。今は、前以上に仕事が楽しいと感じていますね!」

営業と子育ては意外と好相性!?時短のコツは「お願いする勇気」

▲お子さんとの休日のひととき

産休・育休を取得した戸澤氏に起こった変化は、考え方だけではありません。復帰後は、効率性を求める働き方にシフトしていきました。

戸澤 「今思えば、以前は『これは定時後に残業してやろう』と、無意識的に後回しにしていた仕事が結構あったと思います。私、もともとあんまりテキパキしているタイプじゃなくて、学生時代は宿題を8月の終わりに慌てて一気にやるタイプだったんですよ(笑)。

だから今、物理的に『1日この時間しか働けない!』っていう状況に追いやられたことで、本気で生産性や効率を考えるようになりましたね。『以前後回しにしていた仕事って、本当にそのやり方が最適だった?』とか、『そもそもその仕事って必要だった?』とか。日々試行錯誤の連続です」

また、新しい働き方になったことで、戸澤氏は、「子育てと営業の時短勤務って意外と相性が良いのでは?」という発見があったといいます。

戸澤 「営業って日程的に難しい日にはアポイントを入れないように調整できますよね。業務の性質上、“この時間からこの時間は必ずオフィスにいなくてはならない”職種ではない。なので、ある程度スケジュールを自分で組み立てられる点では、『実は子育てと両立させやすい職種なんじゃないかな?』と思っています」

とはいえ、「こう感じられるのもやはり支店メンバーの協力があってこそだと思う」と、戸澤氏は分析します。

戸澤 「求職者さんとの面談となると、在職中の場合は夜遅い時間の面談を希望される方もいらっしゃるんですね。そんな時は、支店の他の営業メンバーが代わりに面談をしてくれています。

今は法律も変わって、制度面では、働きながら子育てをする女性をサポートしてくれる方向に進んではいます。しかし、そうはいっても日々一緒に仕事をしている支店メンバーの協力や理解がなければ、こうした制度を利用できません。

もし、利用できたとしても肩身の狭い思いをして、それがストレスになる可能性だってあります。だけど私は今、産休前以上に楽しく仕事ができている。これは、やっぱり周囲の理解や支えがあるからだなって、いつも感じています」

制度や規則などの「ハード面」と、一緒に働く仲間の理解などの「ソフト面」、双方にありがたさを感じている戸澤氏。こうした環境だからこそ、意識していることがあります。

戸澤 「私の所属する北海道支店では、支店長をはじめメンバーみんなが遅い時間の面談などを快く引き継いでくれて、本当に助かっています。最初は私自身も『お願いばかりしちゃって悪いなぁ』と思っていたのですが、今は勇気を出してお願いしちゃうことが、時短勤務を可能にする上では大事なのかなと思います」

大きな器のような会社にしたい。力の入れどころの見極めが、仕事と子育て両立の極意

出産という一大イベントを経て、育児と両立しながら仕事に復帰した戸澤氏。今後の目標をこう掲げています。

戸澤 「なんといっても、当面は仕事と子育てをしっかり両立すること。これに尽きます。ただし、これは『どちらも全力で完璧を目指します!』という意味ではありません。

家事も仕事もまずは優先順位を整理すること。自分でなくてはできない仕事か、他の人でもできる仕事かを判断すること。しっかりやらないといけないことと、楽をしても良いことを見極めること。これらが両立の極意だと思っています。

仕事に関してはよく『今日やれることは今日やる!』といった標語が好まれます。ですが、時短勤務中はちょっと違って『今日やらなくて良いことは今日やらない』が大切だと思います。

あと家事についても同じで、商談や面接が連続していて疲れている時は、子どもの食べ物はちゃんと作るものの、夫や私のご飯はお惣菜をうまく使って楽をしちゃう(笑)。最近は『こうやって小さなストレスを排除していくのが大事なのかな?』と思っています」

仕事復帰後はいろんなメンバーに支えられたことから、「今度は自分が恩返しをできるといいな」と考える戸澤氏。長期的な展望として、より良い会社や環境づくりを目指しています。

戸澤 「産休・育休後、前以上に“人”に関心を持ったことで、積極的に自分のキャリアや会社のことを考えているエンジニアさんが多いことに気づきました。それに、最近は若いメンバーが入ってきています。

今後はトライアローを、エンジニアさんも営業も含めた全てのメンバーの多様な働き方・価値観・仕事観を受け入れられる会社にしていきたいですね。大きな器のようなイメージです。

また、私たちのミッションは“人と企業をつなぐ”ことではありますが、今後は“人と人をつなぐ”役割もしっかり意識していきます。具体的には、エンジニアさん同士の交流会や勉強会など、キャリア形成や学びの機会を創出できる存在になりたいですね。同時に、エンジニアさんが自発的に新たなことに挑戦できる環境も整備していきたいです」

産休・育休前後の心境の変化や、時短勤務のコツまでさまざまに語った戸澤氏。その心強い後ろ姿は、後に続く後輩たちの希望や勇気にもなるはずです。母として、ビジネスパーソンとして、戸澤氏の挑戦は続きます。