「世界は広くておもしろい」を伝えたい

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▲世界ウェブ記事大賞のキーヴィジュアル。背景写真はすべて世界各地で撮影されたもの

2019年7月に「世界ウェブ記事大賞」が開催されます。これは世界各地で体験したおもしろい話(記事)を募るコンテスト。

発信者は在住者でも旅行者でもOK、内容は人でも習慣でもグルメでもOK、形態はレポートでもエッセイでもマンガでもOK……。つまりどんなかたちも大歓迎です。このコンテストが開催される背景には主催者ふたりの強い想いがありました。

水嶋 「世界の話って際限なくおもしろいじゃないですか。編集作業を通して知れば知るほど飽きなくて、それをもっと伝えたかった。そして、さらに根っこにある話として、知らないことっておもしろいという考えを広めたいと思ったのが開催のきっかけです」
新 「ネルソンさんの想いに賛同し私も協力を決めました。世界に目を向けるとまだ知られていないおもしろいことってたくさんあって、コンテストとして注目を集めることでそれを書いて表現しようとする人が増えたらと思ったんです。これは、私が代表を務める会社が運営をしている旅人と仕事のマッチングサービス『SAGOJO』の考えにもとても近くて。

日常生活やインターネットの検索だけでは絶対に辿り着かない思考・発想に至ることを「思考のジャンプ」と呼んでいて、 “旅 ” の一番の力だと考えているんですが、旅をする人を増やすことでそのジャンプをたくさん増やせたらと思ってやっています。
旅って、自分の想像力を超えたインプットの連続ですからね。そんな経験を繰り返すことで、自分の人生が変わることはもちろん、まだ見ぬ世界に対する想像力や他者に対する理解力も養われると思っていて」
水嶋 「わかります。今や何を知るにも検索で、便利だしお世話にもなっているけど、そればかりでは自分の興味が広がらず深くなってタコ壺化するばかりで正直いいの? って思っていました。

キャッチコピーの『検索できない世界を教えてほしい』には、我々も、読者も、検索する言葉も想像つかない、価値観を覆す世界を知りたい、そんな想いも込めています」

「海外ネタ」を確立しライターのマッチング促進を目指す

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▲『海外ZINE』編集長のネルソン水嶋(左)と『株式会社SAGOJO』代表の新拓也(右)
新 「コンテスト開催の目的のひとつに、素敵なライターと出会いたいという想いがありますね。海外のことについてしっかり書ける日本人は国内に比べてまだ少ないし、情報の探し方もわからない」
水嶋 「そうです。なにしろ 200近くの国がありますから、ライターとメディアが出会いづらい。そのためにもまずこれを機に海外ネタをジャンルとして確立させたいと思うんです」

2019年現在、日本に訪れる外国人は年々増加しています。また、『世界の果てまで イッテQ』『クレイジージャーニー』のような海外を扱うテレビ番組も増え、日本人が日常的に「海外」や「海外ネタ」に触れる機会が増えてきました。しかし、ウェブ上にはそういったコンテンツを扱うメディアが少ないのが現状です。

水嶋 「世界中からネタを集めることで、『海外ネタ』がひとつのジャンルとして、目に見えるかたちで確立されます。これがこのコンテストの価値のひとつ。書き手は『海外ネタを求める場がある』、メディアは『海外ネタを書ける人がいる』と感じ、マッチングへの流れをつくることができるのではないかと考えています」
新 「ラジオや新聞などのメディアの人達も注目することで書き手の多方面での活躍につながる。そんな登竜門的なコンテストになれば嬉しいですね」

スマホが普及し、誰でもパッと撮影できたり、思いついたタイミングで文章が書けたりと技術的ハードルも下がり、SNSの発信が日常的に行われることで精神的ハードルも下がっている現代。

海外ネタを確立し、海外ネタの発信を促進することで、ライターが活躍する場が広がります。その結果、書き手とメディア、双方への流れができるのです。

世界の話だけでなくライターの世界観も見たい

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▲SAGOJOのオフィスの一角にて対談するふたり
新 「でも、ウェブコンテンツと旅(海外)っておもしろさの種類が違いますよね」
水嶋 「違いますね。インドアとアウトドアくらい違いますね」

ウェブコンテンツのおもしろさといえば、みんながおもしろいと感じたものが一気に拡散していく共感性を伴うムーブメント的な点です。一方、旅(海外)には、基本的にはひとりか少人数でその場だけの偶然性を伴うアクシデント的なおもしろさがあるのです。

新 「そのふたつを掛けるっておもしろい試みだと思うんです。あえて、知られていないおもしろい世界のことを、知られないものは届けにくいウェブっていう手段で届けようって訳でしょ」
水嶋 「言われてみれば……(笑)。じゃ、検索社会への殴り込み! ってことにしましょうか」
新 「社会というと固くも感じるけども……素直に知らないことを知って感情を揺さぶられるって、青春っぽくありませんか?」
水嶋 「青春! そうそう、そうなんですよ。異文化コミュニケーションって青春。名言が出た(笑)」

また、今回のコンテストのおもしろさはそれだけではありません。ライター各々の視点や表現方法にも注目しています。

新 「僕は、書く人の主観や世界観が伝わってくるといいなと思います」
水嶋 「その国に溶け込んでいる人はおもしろい体験をしているので参加してほしいですね」
新 「そういえば前に、パキスタンに強豪ゲーマーたちがいるって記事を見たんですよ。格闘ゲームの世界大会で優勝した人がパキスタン人。で、その背景には国で電気が普及したという事情もあって……コメント欄も『こんな話ならもっと知りたい』と書いてありました」
水嶋 「うわー、好みの内容だ! あ、それで言うと、私も最近読んだ記事で、海外旅行先で集めたゴミを紹介するって話がすごくおもしろかったです。いろんな記事が集まってほしいけど、我々がどういうものをおもしろいと思うのかでいうとわかりやすい事例かもしれません」

十人いれば十通りの視点があります。自分なりの世界観を生かした魅力あふれるストーリー、それこそが“検索できない世界”の話です。

新 「あと、日本でネガティブなイメージがあるものはそれをひっくり返すチャンスだと思います」
水嶋 「うん、メジャーじゃない国が好きな人ほど、日本には知られていない魅力を伝えたいって気持ちは強いはずだと思う。だからこのコンテストを通じて、その国のアピールにつなげてほしいですね。それこそ “パキスタン=強豪ゲーマーがいる ”といったように」
新 「ちなみに記事って、イラストでも動画でもいいんですよね?」
水嶋 「はい、でも文章はメインで……って、我々求めまくってますね(笑)。もちろんこれはあくまで参考として! 応募ページには審査員から応募者へのメッセージも載せています」

検索できない世界を見せてほしい

ふたりはコンテストを一過性のもので終わらせない施策も考えています。

新 「SAGOJO賞というものを設けて、継続してお仕事をお願いできるものを考えています。今回単発で終わらせないという理由からです」
水嶋 「本当もうそれですね。具体的なことは決まっていませんが、ご活躍いただけそうな方とはメディアへの紹介やノウハウの共有などでいい関係が継続できたらいいなと思います」

今回のコンテストの審査員には娯楽、観光、硬派、紙媒体、さまざまな視点で見られる、幅広い分野の審査員の方に集まっていただきました。

水嶋 「ありがたいくらい、そうそうたる方々です! 自分がおもしろいと思う海外のことを自分がおもしろいと思う切り口でお送りいただきたいですね。お待ちしております!」
新 「何か特別な出来事が巻き起こる必要もなく、海外では日常がネタの宝庫だったりします。記事をつくる過程も楽しみながら、一緒に世界のおもしろさを発信していきましょう。あなたの個性溢れる記事を楽しみにしています!」


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<世界ウェブ記事大賞・概要>
●審査基準:世界やその国への興味をそそるもの。
●エントリー方法:本人のブログ・サイトの記事URLを応募ページのエントリーフォームより送信。
●賞金・商品:大賞5万円(1名)、優秀賞3万円(2名)。特別賞では執筆依頼、書籍化のチャンス。
●スケジュール
 ・応募期間:7月1日~7月31日
 ・審査期間:8月1日~9月16日
 ・結果発表:9月下旬 ※変更の可能性あり
●審査員(50音順)
 ・河尻亨一(『銀河ライター』主宰/東北芸術工科大学客員教授)
 ・シモダテツヤ(『株式会社バーグハンバーグバーグ』創業者)
 ・林雄司(『デイリーポータルZ』編集長)
 ・細川生朗(『旅の指さし会話帳』発起人)
 ・宮島麻衣(バンコクの日本語情報誌『DACO』編集長)
 ・新拓也(すごい旅人求人サイト『株式会社SAGOJO』代表)
 ・ネルソン水嶋(海外を知って楽しむウェブマガジン『海外ZINE』編集長)