幼少時代の海外生活で学んだ「自己主張」と「長所を伸ばす」大切さ
私の父親は総合商社勤務で海外転勤が多かったこともあり、幼いころは海外の学校に通っていた期間が長く、そこで学んだことが今でも私の人生において大きな指針となっているように思います。
海外ではいわゆる「平均点を取る教育」ではなく、きちんと自己主張することや長所を伸ばし、失敗を恐れないチャレンジ精神を持つことを重視した教育が実践されています。そのような環境で生活していたことから、自然と私自身も短所を無理に克服するよりも長所を思い切り伸ばしていこうと考えるようになりました。
小学5年生で日本へ帰国してからも海外で学んだ得意を伸ばすことは忘れず、中学生のころは得意分野である数学や芸術の学習、そして水泳部での活動に注力していました。その後、進学した高校では、企業と協業して課題解決に取り組むプロジェクトを推進しました。
当時、私はMathematica(※1)を使って、行列やロシアンルーレット問題といわれる確率の研究などをし、コンピューターの世界に興味を持っていたこともあり、グリッドコンピューティング(※2)の開発に取り組むプロジェクトチーム(以下、PT)に参加。大手企業との協業を通じてビジネスのフレームワークやPTの運営手法を学びました。
また、企業との協業とは別に恩師の研究も有志で手伝っていました。「数列から画像を生成する」という研究は、国内外問わず一定の評価をしてもらうことができました。
改めて自分の高校までの学生生活を振り返ってみると、幼いころに海外で学んだように、自分の長所をひたすら伸ばしていくことを意識していたことに気づきました。すべてのスキルを平均的に向上させてゼネラリストをめざすよりも特定のスキルが突き抜けたスペシャシストになりたい、という想いを持って日々勉学に取り組んでいたように思います。
※1 Mathematica(マセマティカ)とは、ウルフラムリサーチ社が開発した数式処理システムのこと
※2 グリッドコンピューティングとは、ネットワーク上の複数のコンピューターを結んで仮想的な高性能コンピューターとし、必要な処理能力や記憶容量を利用者が取り出して使うコンピューターシステムのこと
不特定多数の方に非日常を届けたい──その想いが叶ったプロジェクト参画までの道のり
大学卒業後、JR西日本に入社します。様々な企業を見た中で、入社の決め手は二つありました。
一つめは「人」です。採用面談で面接官の方の話を伺い、仕事に責任を持ち、やりがいを持っていきいきと働いていることに感銘を受け、この方と一緒に働きたいと感じたことが一番の決め手です。
二つめは、不特定多数の方に建築作品を届けることができ、かつ、皆さんの生活の下支えができるのではないかと考えたことです。当時は大阪駅の改修工事を行っており、大都市圏の一番大目玉の工事に携わるチャンスだと思いました。
入社当初、配属されたのは建築保守部門でした。列車の安全走行を支えるために、点検業務など決められたルーティンは誰であっても正確に実行する必要があり、個人ではなく一つの集団として動くことを求められていたように思います。とても重要なことではあるものの、ゼネラリストではなく、スペシャリストをめざしてきた私にとっては、難しさを感じる環境でした。
そのような中で、一つの転機を迎えます。新設された耐震補強やバリアフリーに取り組むPTにアサインされたのです。このプロジェクトは裁量権を持って進めることができる環境で、これまでは保守だけだったところから自分で作っていく仕事に変わり、私の気持ちにも変化がありました。これまで以上に前向きに取り組むことができ、実際に私が提案した工法変更や業務改善によって安全性の向上や大幅なコストダウンが実現し、最終的には社長表彰を受けることができました。
そして2018年、ポスト公募を利用して技術企画部うめきたPT(現イノベーション本部ソリューション営業企画部WESTLABO事業共創)へと異動し、大阪駅で未来駅の実現を主導するビックプロジェクトに立ち上げから参加することになります。
JR WEST LABOの一環で、昔から私が感じていた不特定多数の人へ非日常を創出したいという思いが新しい技術によって実現できるのではないかとワクワクしました。このプロジェクトにおいて私はインタラクティブ空間の創出やOne to One案内、トイレの清掃管理システムの設計開発など、さまざまな業務に取り組みました。
大阪駅の新改札口新設時に導入された技術にシステム設計から関われたことは私にとって大きな自信となりましたし、このプロジェクトを通じて経営層の皆さんと今後の会社のめざすべき方向性について議論できたことも、若手の私にとってとても意義のあることだったと思います。
デジタルソリューション本部への異動。ドローンがつないだ縁
私をデジタルソリューション本部(以下、デジ本)へと誘ってくれた取締役の宮崎 祐丞との出会いは、私がとある施設部門の管理層の会議に参加したときに遡ります。当時の管理層の中では一番の若手だったはずなのに、誰よりも積極的に発言している様子を見ながら「すごい人がいるなぁ……」と率直に感じたことを今でも覚えています。
宮崎は技術企画部に所属していた当時、高架橋や駅舎などの保守業務のためにドローンで撮影した画像をAI分析して活用するシステムづくりに取り組んでいました。画像劣化の判断をするAIの経験やドローンの自動航行に関しても知見があった私はドンピシャな人材だったようで、デジ本で一緒に働かないかと誘ってもらいました。
当時のデジ本は、今よりもデータアナリティクスの基盤づくりが重要な段階でした。メンバー一人ひとりのスキルが高く優秀な分析者だとしても、ソリューションに落とし込むというところが繋がっていませんでした。そこで、基盤づくりをすると宮崎から聞き、そこに関わりたいと思い、再びポスト公募を利用してデジ本へと異動します。異動当初からリーダーとして、ビジネス側の意見を具現化し、どのようなシステムにするとより良い利益を享受できるのかというところも含めて議論していく役割を担っていました。
現在は、データアナリティクス基盤の業務の中心がCBM(状態基準保全)からマーケティング分野のシステム化に移行しつつあります。基盤の業務は多様なビックデータを所有するシステム同士を連携させて、データサイエンティストが最適なソリューションを考え出すことができるように、データを最適なかたちに整形したうえで可視化させる、いわゆる「縁の下の力持ち」の役割で、性格に合っていると思います。
しっかりとトレンドをつかんで、いいアウトプットをする。それがお客様に響くものであれば、反響を呼ぶと思っています。
個客体験データの活用による心に響くサービスの実現
2023年10月、JR西日本グループのデジタル戦略を支援する子会社として、トレイルブレイザーが設立されました。JR西日本グループのシナジーを生み出し、データを活用してグループ全体の成長を支えていくことが期待されています。
そんなトレイルブレイザーの大きな魅力はJR西日本グループの一員であることです。鉄道事業以外に商業やホテルなど、さまざまな事業を手がけており、まさに日本における数多くの事業の縮図といっても過言ではありません。これらの事業が所有する膨大で多様なデータを活用して、新たなソリューションを開発する経験はまさにトレイルブレイザーならではの醍醐味ではないでしょうか。
私は今後データアナリティクス分野の基盤を支えるメンバーを採用するポジションを担うこととなり、「個客体験データの活用による心に響くサービスの実現」をめざします。
お客様一人ひとりの心に響くサービスを作りたいと思っていますし、常に個客視点でものを見られるようにありたいと考えています。JR西日本グループが所有する膨大な個客体験データを常にお客様目線で活用することで、新しい個客価値の創造につながるサービスやソリューションを一緒に生み出していける方との出会いを楽しみにしています。
これまでデータサイエンティストが多くのソリューションを作ってきており、そのシステム部分をフロントエンド、バックエンド、インフラとそれぞれのエンジニアが支えていきます。トレイルブレイザーにはデジ本から受け継ぐ、若手でも積極的に仕事を任せていく文化がありますので、あらゆる業務に対して主体的に取り組み、クライアントに対して物怖じせずにどんどん提案できるような積極性がある方にぜひジョインしていただきたいと思います。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです