サプライチェーンの一翼を担い、最適な供給を実現させる

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入社4年目を迎える林は、需給管理部の海外生産チームで冬用タイヤの需給調整を担当しています。 

「マレーシア工場と中国工場の需給調整を行っています。需給調整とは、各拠点の生産計画担当者にサイズごとの生産本数や生産納期を伝え、毎月の生産計画を確定させること。お客様が必要とされているタイヤを必要な量、必要なタイミングでお届けすることが私たちの仕事です」

需給調整では生産状況、ロジスティクス状況、お客様のご要望などさまざまな要素を整理して検討を重ね、最適化することが肝要です。

「タイヤができあがるまでには多くの工程があるので、材料手配のリードタイムや機台のメンテナンス期間なども考慮し前広に生産依頼を行います。さまざまな制約を加味しながら、販売から得た受注情報をもとに本数や納期を確定させています」 

冬用タイヤは通常のタイヤに比べると、考慮すべき要素がさらに増えると話します。

「冬用タイヤはスタッドレスタイヤやスノータイヤと呼ばれ、降雪地域や凍結するような路面でも安全に走れるよう装着するタイヤです。冬用タイヤは季節性に応じて生産する期間が限られており、夏用とは異なる特殊な材料が必要なほか、完成までの工程も少し異なります。こうしたことから、さまざまな条件を加味しながら生産本数や納期を考える必要があります」

お客様にとってベストなタイヤ供給を行うため、工場はもちろん販売や物流といった他部門からの情報収集と連携は欠かせません。

「お客様がどのようなタイヤをいつまでに必要としているのか、販売から常に最新情報を確認しています。物流には各倉庫の状況や輸送手段をヒアリングし、どんな生産計画を立てれば最適な供給が実現できるのかを想像しながら仕事を進めていきます」

意欲的な姿勢で仕事に取り組む

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林は中学生のころからモータースポーツに興味があり、その中でもとくにタイヤに魅力を感じていました。 

「タイヤは天候や路面状況に応じた選択ひとつでレースの勝敗が変わるほど、車両の走行に大きな影響を与えるところがおもしろく、魅力のある商品だと感じていました」

大学で外国語学部に在籍し、日頃から英語にたくさん触れていた林は海外を相手に仕事をしたいという夢を持っていました。

「グローバルな環境で、魅力的な商品や事業に携わる仕事がしたいと思っていました。そんな自分の軸にしっかりマッチしたのがTOYO TIREだったと思います」

採用面接でも英語を使う部署でタイヤに関わる仕事がしたいと話していた林は、希望がかない需給管理部の海外生産チームに配属が決まりました。

「英語を使って世界のタイヤ供給を担う仕事ができると聞いて、期待で胸がいっぱいになりました。一方で、SCMに関する知識はなかったため、業務を通じて積極的に学んでいこうと思いました」

入社後、マレーシア工場と中国工場に対する需給調整業務のサポートをしていた林は、どんな仕事にも積極的に手を挙げ続けたと話します。

「仕事において食わず嫌いをしないよう何事もチャレンジする姿勢を大切にしていました。しだいに上司から私のレベルに応じて『これやってみない?』と新しい業務を任せてもらえるようになりました」

そんなある日、上司から海外の冬用タイヤの需給調整担当に就くように声がかかります。

「細かな対応が必要となる冬用タイヤの需給調整は、これまでのサポート業務に比べて難易度が上がり、責任も増えるため背筋を正すような思いでしたが、温かい励ましの言葉をもらい、上司や先輩の期待に応えられるよう頑張ろうと奮起しました」

林はさらなるステップアップに向けて挑戦を始めました。

変化し続ける世界で、タイヤの安定供給をめざす

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冬用タイヤの需給調整担当として4カ月が経った 2022年、情勢不安が世界のタイヤ需要に大きな影響を及ぼし、思いもよらない受注のキャンセルが多発。生産計画の大幅修正という大きな試練に挑むことになりました。 

「通常1カ月のところ、2、3日のうちに生産計画を再策定する必要がありました。ロスなく工場を稼働させるためにも、非常に短期間でサイズごとの供給本数を確定しなければなりませんでした。難易度の高い案件でしたが、会社の供給網を担う需給管理部員として、使命を果たしたい一心で臨みました」

時を同じくして、これまで協同でマレーシア工場の需給調整を行っていた先輩社員は一時的に不在の状態でした。

「マレーシア工場の需給調整は私が冬用タイヤ、先輩が全体の需給調整を担当し、先輩からのアドバイスをもとにこれまで業務を遂行していました。そのため、一人で工場全体の需給調整をすることに不安はあった一方、早く一人前になりたい気持ちもあり、ここは成長のチャンスだと思って取り組みました」

この難局を打破できるよう、林は各部門へ懸命に働きかけました。工場を適切に稼働させるために、工場の担当者から得た設備状況を販売へ伝達。追加可能なタイヤはないか、ヒアリングを重ねました。その結果、追加受注の獲得につながり、キャンセルによって空いた工場の枠を徐々に埋めることができました。 

「工場、販売と連携することで、少しずつ状況を打開できたと感じています」

タイムリミットまでに工場へ伝える供給本数を確定させるべく、林は上司に対して試算方法の提案も行いました。 

「時間との戦いでしたが、この仕事をしっかり完結できるようさまざまな制約を加味し、試算方法を考えました。少し不安はあったものの、確認した上司からは『これで進めよう!』と背中を押してもらえたことをよく覚えています」 

林が提案した試算方法をもとに供給本数の確定作業は一気に進み、各方面へのすべての指示が完了。工場を止めることなく試練を乗り越えた林は自身の成長を実感するとともに、この仕事が会社にとって必要不可欠なものであることを強く認識できたと話します。 

「経験を通して、自分の仕事が改めてタイヤ供給網の要を担っていることに気がつきました。ひとつの判断が会社の事業活動に大きな影響を与えていることを自覚し、常に物事の本質を見極め、慎重かつスピーディに業務を進めることを心がけています」

課題を多面的に捉え、タイヤの供給網を支える

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タイヤの生産から販売までのフローに関わる需給管理部では、多角的な視点を養うことが必要になります。 

「生産や販売、物流の知識を吸収し、理解を深めることは需給管理部において大事だと考えています。他愛もない会話を通じて、他部門の仕事の仕組みや意味を理解するようにしています。これらが仕事をしていく上での大きなヒントになることも多いです」

時には、解決すべき課題が浮き彫りになることもあります。 

「タイヤの供給において問題が発生したときは『何が問題なのか』を明確にし、問題の本質を捉えることを意識しています。その上で過去のパターンから分析したり、他部門とのコミュニケーションから得た知識を使って、さまざまな視点から課題に対する最適な対応策を探るようにしています」

日々スキルアップに努めている林は、新たに挑戦したいことがあると話します。 

「現在、日本の本社でマレーシア工場と中国工場の需給調整をしていますが、いつかは工場へ赴任し、これまでに培った需給調整のノウハウを生かし、現場と一緒になって生産計画を作成する仕事にも携わりたいです。工場現場で仕事をすることで生産への理解が深まりますし、より多角的な視点から当社の供給網に貢献できると思っています」

※ 記載内容は2023年9月時点のものです