全社員に健診後の個別面談を実施。個々に合った改善方法を“当事者と一緒に”考える

会社の衛生基本方針に基づき、従業員の健康管理・健康支援を行う木村。産業保健活動を中心とした幅広い業務で現場を支えています。

木村 「2022年9月現在の業務内容は、生活習慣病予防、受動喫煙防止、メンタルヘルスの推進、作業関連性疾病の予防といった活動です。具体的には健康診断の実施や個別面談、禁煙サポート、作業環境測定などを主に行っています」

木村の所属する基山工場では、健康診断後の個別面談に力を入れています。特定保健指導でも面談は実施されますが、対象者は限定的です。そのため、基山工場では、年齢や健康上の問題の有無を問わず、個別面談の対象を全社員に広げているといいます。個別面談を行う中で、木村がとくに意識しているのが、“個別性”です。

木村 「運動、食事などの一般的な指導は特定保健指導でも行われます。しかし、従業員によってライフスタイルや健康に対する意識は大きく違うんです。そのため、一般的な内容だけだとなかなか伝わりません。
個別面談では、従業員ごとの違い、“個別性”を意識して、それぞれのライフスタイルについて入念なヒアリングを実施しながらデータの改善方法を一緒に考えるようにしています」

ときには対象者に面倒がられてしまうこともあるという木村。従業員と接する上で、心がけていることがあります。

木村 「面談時に私生活を語りたがらない方は多いです。とくに健康診断のデータが良くなかったケースほどその傾向が強く、なかなか話してもらえません。ですから、面談時だけでなく、常日頃から自然な形で従業員一人ひとりと会話するようにしています」

個別面談では、自主性を尊重しているという木村。次のように続けます。

木村 「健康診断後の個別面談というと、不摂生を叱られるイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません(笑)。健診データの見方や基本的なメカニズム、今後の予測などを中心にお話しています。その中でご本人に心当たりを問いかけることで、自主的に気づいてもらえるような会話を意識しています」

実際に、木村の個別面談で行動を変えた従業員もいました。

木村 「個別面談でよくインスリン*の役割について話すのですが、次回の面談時に『ジュースを飲むのをやめました』とご報告してもらったことがありました。糖(炭水化物)を取り入れたときの身体のメカニズムや考えられる影響をお話したことをきっかけに、自主的に行動を変えられたんです。結果、健診データの改善にもつながっています」

ただし、すべての方が改善するわけではなく、中には健診データが変わらない人も。木村はこう語ります。

木村 「健康に対して意識が低いまま、運動や食事の改善を生活に取り入れるのは難しいんです。なので意識を高めてもらう意味でも、健診データをご自身で読み取れるようになってほしいというのが、いまの私の願いですね」

* 血糖値を一定に保つ働きを持つホルモンの一種

大切なのは日々のコミュニケーション。健康支援室が担う大切な役割

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健康支援室では健康診断後の個別面談以外にも、受動喫煙防止活動、メンタルヘルス推進活動、作業関連疾病の予防といった業務を担っています。

木村 「受動喫煙防止活動では、主に禁煙サポートを行っています。具体的には、健保補助事業の周知、個別支援や禁煙者への経過フォローなどです。

ただ禁煙サポートでは、ご本人の意思を無視して『無理やりにでもやめましょう!』と働きかけることはしていません。あくまでも自主性を尊重しつつ、ご本人の意思に沿って必要な支援を行います。もちろん、仮に禁煙が上手くいかなくても、責めるようなことはしません」

禁煙がうまくいくためには、ご家族のサポートも重要だという木村。

木村 「禁煙後は健診データに変化が現れやすいので、経過を注視するように心がけています。とくに、禁煙後は体重が増加する傾向にあるんです。たばこをやめたことによる影響が大きく出ないよう、身近にいる方のサポートは欠かせないと感じますね」

一方、メンタルヘルス活動の推進については、「何か特別なことをするよりも日常に目を向けている」と木村はいいます。

木村 「健診データの確認などで現場を訪れた際、従業員の表情から『あれ?少し様子がおかしいかも』と感じたときには、こちらから話しかけるようにしているんです。場合によっては、面談につなげることもあります」

日頃から気にかけていないと、ちょっとした変化に気づくのは難しいという木村。

木村 「日常のコミュニケーションの中で、“いつもの雰囲気”を感じ取れるよう意識しています。もちろん、中には『保健指導か』といぶかしがる人もいるんですけどね。いらぬおせっかいだと思われているかもしれませんが、メンタルヘルス活動では『身近に話せる人がいるよ』と常日頃から働きかけることが大切だと思っています」

また、作業関連疾病の予防として、作業環境測定を行いながらの改善活動にも携わっている木村。

木村 「基山工場では、缶やPETボトルを作っています。その工程の中で発生する騒音や、使用する有機溶剤などについて、作業環境の測定を年2回行っているんです。測定結果を踏まえた改善対策や、保護具着用の啓発もしています」

入社当初は有機溶剤などの取り扱いについてまったくの素人だったという木村。いまも学習を重ね、現場の従業員とも連携しながら業務にあたっていると話します。

木村 「溶剤などの知識については今でも迷うときがあり、勉強しながら進めています。『少しでも皆さんが安全な環境で働けるように』という想いで、必要に応じて現場の方ともコミュニケーションを取りつつ、改善を進めています」

従業員の笑顔が自分にとってのやりがい──予防医療にかける静かで熱い想い

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健康に関わる幅広い業務を担う木村。やりがいを感じるのは、やはり自身が重視している個人面談での成果が感じられたときです。

木村 「個人面談で従業員の健診データが改善していったときは、本当に良かったなと思いますね。従業員の皆さんが笑顔でお話してくれると、とても嬉しいです。
ただ、『自分が頑張ったから結果が出た!』というつもりはまったくありません。努力したのはあくまでもご本人。その努力を支える中で、自分のやるべきことは最低限できたのかな、という感じですね」

謙虚に業務と向き合う木村。とりわけ、予防医療には強い想いがあると話します。

木村 「予防医療は非常に大切だと考えています。年齢が高くなればなるほど、難しくなるのが予防。なぜなら、年齢を重ねるごとに生活スタイルを変えることに抵抗を覚えやすくなるからです。
だからこそ、大切なのは、若いときから自分の体に興味を持つこと。個別面談で、皆さんに将来のことを口を酸っぱくして伝えているのは、少しでも若いときから予防に関心を持ってもらいたいという想いがあるからなんです」

木村がとくに大切にしているのは、健康についての“意識”を高めること。次のように続けます。

木村 「健診の結果は、ご自身の体のデータなんです。なので、私が代わってあげられるものではありません。缶やPETボトルを作ることは私にはできませんが、従業員の皆さんの健康を支え、将来を見据えた働きかけをしていくためにも『いま何ができるのか』、『この先どうなっていくのか』を一緒に考えることはできます。
健康に必要な知識が少しでもあれば、『あのときやっておけばよかった』と後悔をしなくて済むかもしれない。そう信じて取り組んでいます」

健康は人生にとって最低限必要なもの。同じ職場で働く仲間に伝えたいメッセージ

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看護職として、健康の大切さを社内の誰よりよく知る木村。人生と健康の関係についてこう話します。

木村 「健康とは、人生を楽しむために最低限必要なものだと思っています。病気になってからその治療に時間を使うよりは、健康な状態を維持して仕事もプライベートも充実しているのがいちばん理想的ですよね。
健康には、すべての方に共通する正解がありません。価値観もそれぞれなので難しい面もありますが、皆さんが自分の体の健康と向き合い、大きな病気をしないように、というのが私の切なる願いです」

また、同じ基山工場で働く従業員の方に伝えたい想いがあるという木村。

木村 「従業員の皆さんが元気に働けることが、私たちにとっていちばん嬉しいこと。矛盾するかもしれませんが、健康支援室を誰も利用しなくても良くなるくらい、皆さんに健康であってほしいですね」

「仕事もプライベートも含め、何かあったときに会社の中で気軽に話せる存在でありたい」と話す木村。一人ひとりと向き合いながら、今後も謙虚に従業員の健康を支えていきます。