DI缶製造の3工程を担当。「歩くメタルの教科書」の池田・小野体制で職場が和やかに

池田と小野は2022年6月現在、東洋製罐株式会社の茨木工場製造第二課で、ビールやチューハイ、炭酸飲料に使われているDI缶(*1)の製造に携わっています。その中でも主に後工程を担当し、DI缶内面に塗料を塗装する「スプレー」という工程や缶口を絞る「ネッカー」という工程、そして成形した缶の最終的な検査全般が業務の中心です。

池田 「入社当初からDI缶を担当していたので機械の詳細や製造の流れは全部わかっています。現在私は係長として製造管理にあたり、みんなに指示を出すのが仕事です。製造第二課には、DI缶のほかにTULC(*2)の工程があります。どちらも見られるように、2年8カ月ほどTULCの工程を見てから、現在のDI缶工程に戻ってきました」

小野 「池田さんは3工程にとどまらず、工場内を動き回って第二課全体を見てくれています。そんな係長の補佐役として、池田さんと職場のメンバーのパイプ役をしながら、3工程を円滑に回すのが職長である私の役割ですね」

DI缶とTULCの全工程を見ることができる池田は、「歩くメタルの教科書」とまでいわれるほど多方面で活躍しています。そんな池田が信頼を寄せている小野との付き合いは、実に15年以上に及びます。

小野 「私は2005年に入社し、製造第二課に配属されました。以来、池田さんとはずっと一緒に働いているんです。昔からの付き合いなので、係長、職長という役職に関係なく、フランクにコミュニケーションが取れていますね」

大阪の茨木市にある工場は、地方出身の従業員も多く、誰でもすぐに打ち解けやすい環境が特長的。そんな茨木工場で池田・小野の体制がスタートしたのは2020年夏のこと。まるで漫才でもしているかのような2人の楽しい掛け合いによって、職場はいつも和やかな雰囲気だといいます。

小野 「工場は交替制勤務で24H稼働しています。池田さんは忙しく動き回っているため、若いメンバーなど現場の声は私が吸い上げ、情報をより共有できるようにしています」

池田 「実は、2人とも九州出身なんです。工場には地方出身の人も多く、九州出身者もかなりの割合でいます。いろんな地方から人が集まっていますが、小野のサポートもあって和やかに仕事ができていると思います」

*1 DI缶(Draw and ironing can):絞り加工によって作られる2ピース缶(底部と一体になった胴部と1枚の蓋で構成されている缶)

*2 TULC(Toyo Ultimate Can):材料や製造プロセスを根本から見直して生産性と環境保全性を飛躍的に高めた当社独自の2ピース缶

キャリアアップへの道のりと仕事にかける2人の想い

▲入社当初の池田(左)と小野(右)

東洋製罐茨木工場に入社を決めた理由について、2人はこう語ります。

池田 「当時はまだバブル期でしたから、自分の行きたい会社を選べる時代でした。私は大分の工業高校で金属加工を学んでいたので、自分のスキルや知識が発揮できるのではないかと思い、東洋製罐への入社を決めました。また関西に憧れがありまして、勤務地が大阪だったところにも惹かれました」

小野 「私は小学校から高校まで野球をやっていて、親にはたくさん助けてもらったので、家を出て自立したいという想いが強かったんです。高校では電子機械を専攻していて、高1のときに東洋製罐の工場見学に行く機会があったんです。そのときに働くイメージが持てたのと、また離職率が低かったことも大きな決め手となりました」

2012年に係長に昇進した池田。その少し前には機械保全の仕事をしており、ベトナム工場やタイ工場でDI缶工程の立ち上げにも参画。このような海外経験もある池田は、徐々に指導する側として頭角を現していったのです。

池田 「ベトナムは半年、タイは4カ月ほど現地に滞在し、ラインの立ち上げと教育支援を行いました。その1年後に係長昇進の打診をされ、最初は断ろうかとも思ったんです。というのも私は管理側ではなく、管理者を支える縁の下の力持ちになりたいと考えていたからです。ですが、上長の『お前しかいない』の一言で引き受ける覚悟を決めました(笑)」

裏方として組織に貢献したいと考えていた池田ですが、管理者としての能力が認められ、池田は自ら先頭に立ってメンバーを引っ張っていく決意をします。

池田 「係長になったからには、自分が先頭に立ってメンバーをまとめ、引っ張っていかなければと気持ちが切り替わりました。私たちの使命は、いいものを効率的に生み出していくことであり、それにはメンバーとのコミュニケーションが大切です。ですが当初はメンバーが多いことから、上手く伝わりきらない部分もありました。そのような中で職長という役割が新たにでき、小野が私の言葉をかみ砕いて、わかりやすく伝えてくれるのでとても助かっています」

一方、小野は高校時代から、キャリア形成に対して夢を抱いていました。

小野 「将来は、トップの右腕のような存在になりたいと思っていましたね。職長になる前は保全業務の担当をしていて、その頃から目指してはいたので、希望通り職長になれて本当にうれしかったです」

保全としての役回りを高く評価されたことで、小野はメンバーと係長とのパイプ役である職長に任命されました。小野はそのときのことをこう振り返ります。

小野 「保全のときには、メンバーが働きやすい環境作り、そして有給休暇取得にも積極的に働きかけました。その結果、有給休暇取得率は全社平均を上回ったこともあります。仕事のやり方など、以前から『こうやりたい』というイメージがあったので、それが職場にマッチしたことが評価につながったのではないかと思っています」

若いメンバーもどんどん提案。問題と一緒に向き合い、解決したときに感じる達成感

メンバー同士のコミュニケーションを円滑にするために、2人には日頃から心掛けていることがあるといいます。

池田 「役職に関係なく、ざっくばらんに話をできる雰囲気作りを意識しています。小野がパイプ役になってくれることで、若い子も物怖じせずに意見をいってくれるようになりました。私は見た目は怖いかもしれませんが、実は優しいんですよ(笑)」

小野 「メンバーとは休日にゴルフへ行くなど、仕事以外でのつながりも大切にしています。新入社員にも積極的に意見をいってもらい、入社2、3年目の社員からは改善提案を出してもらうなど、誰でも意見をいいやすい環境を目指しています。また私と池田さんのやり取りを見て、周りが『こういってもいいんだ』と思うことで、発言しやすくなっている部分もあると思います」

池田 「私が意見したあと、もしこっちのやり方の方がいいと思った場合には、メンバーがそれをきちんと伝えてくれるのが嬉しいですね。小野には『ちゃいますよ、池田さん』と突っ込まれることもあります(笑)。メンバーとは信頼関係が築けているので、好きにやってもらっています」

茨木工場では、1人につき年間2件の改善提案を出すことを目標としています。なんでも意見をいいやすい環境を作ることで、第二課ではメンバー全員が目標を達成できています。

池田 「こちらから動機付けを行うのですが、『こうしたい』という改善提案があれば、好きなようにやってごらんと個々に任せています。それを小野らがフォローするのですが、若いメンバーほど改善への意識が高いんです。改善は日々の積み重ねであり、現状維持は衰退と一緒ですから、昨日よりも今日、今日よりも明日と常に改善は行っています」

小野 「池田さん良いこと言いますね(笑)。私もメンバーとのコミュニケーションを大切にすることで、職場に対する満足度が高まり、良い仕事、いい製品を作ることにつながると信じています」

メンバーとの絆を大切にする彼らが、さまざまな課題に取り組む中で、大きな達成感を得られる瞬間をこう語ります。

池田 「最近のことなんですが、DI缶の製造ラインの一つに新規設備が導入されました。誰も回したことのない新しい設備なので、やはりいろいろと不具合が出てきたんです。その際に、メンバーが一緒になって問題に向き合い、解決できたときに大きな達成感を覚えましたね」

小野 「工場内での慢性的な問題を解決したり、設備の改善をしたりしたときに、若いメンバーから『職長が小野さんでよかった』といわれたことがあるんです。そのときはジーンときましたね。お世辞かもしれませんが(笑)。メンバー同士でしっかりコミュニケーションを取ることで、ライン上のトラブルも減ってきていると実感しています」

社会貢献できる仕事である誇り、そして意欲を持って働き続けたい

池田は人材育成においても、大切にしていることがあると語ります。

池田 「これからは人材育成に一層力を入れていきたいと思っています。新入社員、中途社員の教育やスキルアップは中堅社員の仕事です。まずは私が現場に入って実際にやってみて、若手社員に自分の背中を見せるようにしています。そうするとメンバーたちは、『池田さん、そんなことしなくていいですよ』といってくれるので、そういわせるのが私の趣味のようになっていますね(笑)」

小野 「池田さんの教えるスタイルは、口ではなく行動で見せてくれます。言いっ放しではなく、やってみせて初めて人はついてくる、ということですよね」

新型コロナ感染症拡大の影響もあり、現在は適正配員といわれる人数より少ない人員でラインを回しています。そうした状況で池田は、およそ10年ぶりに製造ラインに担当者として入ったことで、新たな気づきを得ることができたといいます。

池田 「1人で担当したんですが、昔とは違う部分もあって本当にしんどかったんです。管理者として、なんとかせなあかんと思いました。作業の簡略化・簡素化を進める必要性を痛感しましたね」

今後のキャリアプランについて、またメンバーへの想いを小野はこう話します。

小野 「これからも職長として、現場が円滑に進むように取り組んでいきたいと思っています。将来的には行けるところまで行ってみたいという気持ちもありますが、今は目の前の仕事を頑張りたいです。実はコロナ禍のすごもり需要で、自分たちが作っている製品の売れ行きも伸長しています。若いメンバーには、自分たちの仕事が少しでも社会に貢献しているということを実感してもらいたいです。そして、仕事に誇りを持って働いてもらいたいですね」

スーパーやコンビニでは、東洋製罐の各工場で作られた缶やパウチ、PETボトルが店頭に並んでいます。小野はDI缶担当であることを誇りに思い、今後も職長として奮闘していきたいと語ります。

小野 「職場に対する満足度、そして職場が好きだという気持ちは、仕事のパフォーマンスを高め品質向上にもつながると信じています。メンバーにDI缶担当で良かったといってもらえるように、さらに良い職場作りを目指していこうと思っています」

DI缶製造の仕事は、社会に貢献する大きな役割を担っています。自分たちが携わった製品が世に出ていくという誇りを胸に、池田と小野はこれからもメンバーと共に品質向上を目指していきます。