営業担当から経営企画部へ。ライフステージの変化で気になった育休の存在

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東洋製罐本社で、経営企画部に所属する八木大輔。会社の経営方針を前に進めるために、他の部門に動いてもらう仕掛けづくりや橋渡しをする部署において、コスト計算や経済性評価といった実務を主に担っています。

八木 「東洋製罐は容器メーカーなので、たとえば営業担当者から『この容器をこれくらいの数量で作った場合、コストはどれくらいか』という問い合わせを受けてコストを算出したり、原価をはじく作業をしています。

もう少し話が大きくなると『製造ラインを1本新しく増設したい』という話があった場合に、投資額がいくらくらいかかり、増設によって年間にどれぐらいの売上が見込まれ、投資の回収が何年くらいでできるのか──といった試算も行います。事業がちゃんと成立するかどうか、採算計算などを通じた判断材料をつくり出しています」

2005年、大学卒業後に新卒で東洋製罐に入社した八木は、埼玉県の久喜工場に配属。総務課や工場の生産管理をするSCM課を経て、翌年営業課に異動しました。

以降は、久喜工場や北海道の千歳工場を舞台に営業や販売の経験を積み、2015年、経営企画部へ。異動して6年が経った現在、八木は2児の父親となり、仕事はもちろん育児にも積極的に取り組んでいます。

八木「子どもは現在3歳と0歳。上の子が生まれたときは、出産後に1週間ほどお休みをいただいただけで、本格的な育児休暇は取りませんでした。子育ては大変、というイメージはあったものの、当時は自分が育休を取る必要性をあまり感じていなくて……」

しかし、第2子の誕生が近づくと、そんな八木の考えに変化が起きました。

前例なき4ヵ月の男性育休にチャレンジ。業務の引き継ぎフローには課題も

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2021年3月から約4ヵ月間、第2子の誕生に合わせて育児休暇を取得した八木。その背景には、毎日幼い我が子と向き合い続ける妻への、感謝と労いの気持ちがありました。

八木 「1人目が生まれたときは、基本的に妻が家にいて子育てを担当していたのですが、想像以上に大変だということがわかりました。それで、2人目が生まれるときには、自分もある程度まとまった休みを取って妻の負担を軽減しないといけないな、と考えるようになったのです。自分が今まで通り会社に通勤して、2人の子どもを妻が1人で世話するのはさすがに厳しいと、容易に想像がつきました。

また、世間的にも男性の育児休暇の認知度が少しずつ上がり、取得する人も増え始めている、と感じたのもきっかけです。私自身、育児がどういうものかきちんと理解していない部分もありました。いつでも経験できることではないですし、この機会にしっかりと育児に向き合ってみたいと思い、取得を決めました」

上司に育休取得について事前に相談したところ、「仕事の心配はしなくていいよ」と快い返答が返ってきました。一方で、休暇に入る前の業務の引き継ぎについては、反省点が多かったと振り返ります。

八木 「自分の日々の業務がバタバタしていたのもあって、引き継ぎが不十分のまま育休に入ってしまいました。女性の場合、出産予定日の1ヵ月前くらいから休みに入るのが決まっていますが、男性の場合、およその目安はあるものの、妻の出産のタイミングに合わせていきなり育休に入るケースがほとんどだと思います。それを踏まえ、業務の引き継ぎや棚卸しは、余裕を持って早めに準備しておく必要があると痛感しましたね。

そんな状況だったにも関わらず、私の仕事を引き継いでくれた担当者やフォローしてくれた方には、感謝してもしきれません」

同じ部署内には、それまでまとまった育休を取った経験のある男性はおらず、八木はまさにファーストペンギンとして育休生活に踏み出しました。

八木 「周りに同じような経験がある人がいたら、いろいろ相談ができたのですが……。

育休に入ると、会社のパソコンを使ったりメールを見ることもできない状態になるので、完全に育児に集中することになります。多少不安はありましたが、『エイヤー』と飛び込みました」

長期の育休だから気づけたこと。逆算思考の習慣は、仕事にもプラスに

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初めての育休生活をスタートした八木。当初は、戸惑いや驚きの連続だったと振り返ります。

八木 「産まれたばかりの下の子は妻がメインで面倒をみて、私は主に上の子の世話をする、という役割分担をしました。午前中は外で遊んだり散歩をしたりして、昼食を準備して食べさせてから、昼寝の寝かしつけもします。そして夕飯の準備をして食べさせて、夜はお風呂に入れて最終的に寝かしつけ──という流れが、1日のスケジュールでした。

自分の中で勉強になったのは、夜8時頃に子どもを寝かせたいと思ったら、1日のスケジュールをすべて逆算して決めないといけない、ということ。子どもには昼寝の時間が必要なのですが、午後遅くに寝てしまうと夜の就寝時間に影響が出てきます。なので午後早めに昼寝できるように、午前中は外で思い切り遊ばせたり運動させる必要があるんです。

1日のタイムスケジュールがあって、『この時間にこれをするには、今○○をしなくてはいけない』と計画を立てることが大事だと気づきました。これは長期の育休を取って、1日中子どもと過ごすからこそ気づけたことだと思います。平日はずっと会社にいて、子どもの世話は休日だけという生活をしていると、そういうことってわからないですよね」

1日の流れに沿って、子どもに必要な一連のお世話を経験したことで、「こういう場合はこの点に気をつけよう」と、先読みして行動できるようになったと語る八木。育休を経て培われた計画性や逆算思考、優先順位を考えたものごとの進め方は、今後仕事のうえでも役に立つと確信しています。そして育休を終えた現在でも、子育てへの意識は高く持ち続けています。

八木 「現在はテレワーク制度が導入されているので、週に2~3日出勤し、残りは在宅勤務という状況です。家にいる時間が長いと子どもと接する時間も増えますし、一旦子どもを寝かしつけてから夜に仕事を再開することもできます。フレキシブルに働ける環境を活かして、育児にも積極的に取り組んでいきたいですね」

育児は今しか経験できない貴重な時間。男性育休が当たり前の世界を目指して

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自身の経験から、「男性も育休をどんどん取得してほしいと思う」と語る八木。それは、育休中に家族とかけがえのない時間を過ごせた、という実感からでした。 

八木 「今うちの子どもは0歳と3歳で、すごく手のかかる時期。でも、この期間は本当にあっという間で、今しか体験できない時間だと思うんです。育児というのは、いつでも誰でも経験できるものではないので、その貴重な時間を経験しないのは非常にもったいないと感じます。

また、私は育休を取ったことで、子育てをする世のお母さんたちが、どんなことが大変でどんな想いを持っているのか、少しでも理解できたことも良かったと感じます。

男性も女性も、育児か仕事のどちらかだけに偏るのではなくて、両立が当たり前の世の中になってほしいですね。 そのために重要なのは、どれだけ男性が時間をつくって子育てに関われるか。男性が育児に関わる時間を少しでも増やせる環境が、世の中で築かれていけば良いなと思います」

男性が育休を取りやすい環境を整えるためには、周囲の理解やサポートも不可欠だと八木は話します。

八木 「育休を取りたいと相談したときに、快く承諾が得られるような職場の雰囲気。あとは、育休中の業務の引き継ぎやサポートが、事前にすんなりと進む環境を整えることも大事だと思います。私の場合は上司も快諾してくれて、不十分だった引き継ぎにも嫌な顔せず対応してくれた同僚がいて、本当にありがたいと感じました。

また、コロナの影響でテレワークが浸透したことは、仕事と育児の両立という面でプラスに働いていると思います。育休が終わっても育児は続くので、こうした環境を少しずつ整えていくことも大切ですね」

前例の少ない「男性の育休取得」を経験し、男性が子育てに参加することの大切さを改めて実感した八木。後進が続く道を作るため、実体験での学びや想いを伝え、支えていく覚悟を新たにします。