早く仕事がしてみたい。高専卒業後、東洋製罐へ
私はもともと勉強が好きなタイプではなく、学生時代の頃から「早く働きたい」とずっと考えていました。
就職につながりそうだと思って高専に進学をしたのですが、どちらかというと、勉強以外のことに力を入れていましたね(笑)。
高専に進学するまではサッカーをやっていたのですが、高専に入学してからはバレーボール部に入ったり、それとは別にフットサルも始めてみたりと、活発に動いていました。また、アルバイト先の飲食店ではキッチン担当として働いていました。
ただ、勉強でも、実習の授業は面白かったですね。旋盤や溶接、マシニングセンタなどを扱う中で、ふわっとした感覚ではありましたが、自分の手で何かをつくることを「楽しいな」と感じていました。
東洋製罐に入社を決めたのは、そうした「ものづくり」の仕事ができるからだと思ったからです。
選考を受ける中で、最初に工場見学をさせてもらったのですが、ものがつくられるプロセスを目の当たりにできたのが印象的でした。就職するなら都会に出たいと思っていたので、横浜工場という立地も魅力的でしたね。
面接のときは、当時の課長(現・滋賀工場長)がすごく気さくに話してくれました。「工場には飲み会があるんだけど、成人したらどう?」と声をかけてくれ、楽しそうな雰囲気だと思いました。
生産ラインの不具合を機械設計で対応。現場担当者と連携して改良に取り組む
2013年に横浜工場へ入社し、工務課に配属されました。
工務課の設計の仕事は、機械の不具合が起きないように、またよりよい生産ができるように、常に改善策を探しながら、図面を検討することです。
たとえば、製造過程の中で10000缶中1缶、不良缶をリジェクト(排出)してしまう機械があった場合。機械がそのままでも製造を続けることはできるのですが、1缶の不良がもったいないので、その1缶をなくすためにどうしようといった部分を考える必要があります。
私は設計担当として、そうした不良の原因を考えて、改良に向けた図面を描くことになります。先輩や上司にCADの使い方を教えてもらいながら、最初は缶や蓋を作るための部品の形状を変えたり、材質を変えたりして、細かい図面を描いていました。
上達するためにはとにかく数をこなしていくしかないので、先輩に見てもらい、アドバイスをもらって納得するまで描き直す、ということの繰り返しでしたね。
改良のための要望は、現場の方々から上がってくるのですが、経験が浅いうちはアイデアが浮かばず苦労しました。「この箇所で発生しているキズを直したい」といった要望がきても、どんなふうにしたら良いのかというアイデアが浮かばなかったんです。
自分なりの考えを思いついても、うまく伝えられないこともありました。20年も30年も現場経験がある方に対して、提案をしていくことが多かったので、話し合いの中で学びながら、成長していきました。
工務課にとってのお客さんは、工場内で一緒に働く現場の方々なので、「現場の作業をいかにやりやすくするか」が大切だと感じています。要望をただ聞くだけでなく、+αの提案を考えて一緒に改良を進めていくことも必要です。
私はプライベートで現場の方々との飲み会や趣味などの交流もあったため、なんでもフランクに言い合える関係をつくれていたと思います。なので、仕事もやりやすかったです。
生産ライン移設・効率化に向けた大役。仕事の楽しさが増す機会が次々と
入社してから一番印象に残っているのは、滋賀工場への異動ですね。
会社の構造改革によって横浜工場の一部が滋賀工場に移設されることになり、4年間働いた横浜工場から離れることになったんです。そのとき、滋賀工場での移設ラインのレイアウト設計も担当しました。
工場全体の大枠の設計はあって、複数ある生産ラインをどこに設置するかといったイメージはあったのですが、プレス機はここにおいて、検査機をここに置いてといった、詳細までは決まっていなかったんです。
レイアウトの設計自体をやったことなかったので、先輩や現場の方々に聞きながら、自分なりに考えて、必死で進めていきましたね。
現場の人が最も作業しやすい動線をつくるにはどうすればいいかを考えて進めていくのですが、1つのラインじゃなく、2つのラインで同じ製品をつくれるようにしないといけないとか、次のラインの動きを考えると機械の位置はここじゃいけないとか、進める中で条件がどんどん追加されたりもして(笑)。
移設に向けた準備期間が限られていた中で、正直なところ相当大変だったのですが、その状況が楽しくもあり、自分のスキルになっているなと成長を実感できました。
2021年現在も工務課に所属していますが、通常業務に加え、工場内で省人化を進めていくための新たなロボット導入にも取り組んでいます。メーカーさんと打ち合わせをしたり、設備の仕様を決めたりと、新たな仕事に関われることにやりがいを感じますね。
滋賀に来てからはずっと忙しい時期が続いていますが、今は素直に、仕事が楽しいと感じています。私の個人的な考えではありますが、一週間の中で寝ている時間と仕事をしている時間が一番長くなるので、仕事が楽しくないともったいないと思っているんです。
私は特に新しいことに挑戦するのが楽しいので、自分なりに探したりもしています。現場の方々の声を聞いて「これならできる」など、日々改良できそうなやり方を考えて、機会があるごとに課長や上司に提案しようと心掛けています。
理想を持つことが仕事を楽しくさせる──努力の成果を信じて前進する
今目標にしているのは「スマートファクトリー」です。毎日、朝来たら自動的に工場ラインが回っているという状態になったら理想的ですね。
どうしても人の手が必要な清掃の時間や製品チェックなど、課題は色々とありますが、基本的にはオペレーションが自動的に回って止まる、という状況に向け、工務課として何ができるか考えていきたいです。
働き方改革が推進されている中、現場の方々の夜勤の負担軽減に向けて、新しい工場のあり方も提案することができたら良いですね。
個人のキャリアとしては、滋賀工場で経験を積むなかで知識を蓄え、いろいろな工場へ行ってプロジェクトを進める立場になるのが理想です。たぶん私には、「全体最適を考えたものづくりをしたい」という想いがあるんです。
工場の設計をやっていても、たとえばエアゾールの蓋の検査機、コンベアー、蓋切り設置といった様々な機械の詳細設計をすることが楽しいですし、製品ができるまでの搬送など、生産ラインのレイアウト図面を描いていけることに面白みを感じます。これからロボット設備も導入していくと思いますが、そうなってくると、ますます設計しがいがあるなと。
ただそれを一人で黙々とつくりたいかというとそうじゃなくて、すごもりできない性格なので、工場のみんなでワイワイ話し合いながら、全体的な設計を考えていくのが楽しいんですよね。あくまで誰かのために、それを考えていくのがいいんだと思います。
東洋製罐には、各自のやりたいことを後押ししてくれる社風があります。おそらく経験が浅いうちは、何がやりたいかとか、どうなりたいかとかは浮かんでこないと思うのですが、知識を得る中で、仕事を楽しめるように自らステップアップしていくと、そうした想いが生まれてくるんです。
私自身、もともとすごくやる気あるタイプではなくて、今もそうは思っていないですが(笑)、理想を描いていると自然と仕事へのモチベーションが上がっていきます。
これから入社するメンバーにも、根気強く努力をしていく中で仕事の楽しみを知って、自分の理想を描けるようになって欲しいです。