入社のきっかけは、自分の仕事に誇りを持つ先輩社員の言葉

私はいわゆるリケジョ(理系女子)で、小さいころから理科や数学が好きでした。大学院進学後は、Peri-アロイルナフタレンについて研究しており、将来は大学院で研究している化学の知識を生かせる会社、もしくは身近なものを取り扱う会社、たとえば店舗に並んでいるものを扱っている会社に就職したいと思っていました。

就職先を検討していた時、東洋製罐に入社したOB・OGが研究室を尋ねてこられまして。そのお話から、東洋製罐が私たちの身近にある製品を扱っていることを知り、工場見学にも行くなどして具体的なお話を聞いているうちに、どんどん魅力を感じるようになっていきました。

先輩方が自分の作っているものに誇りを持っていたことも、とても印象的でした。自分の作っている製品がどれだけ広く使われていて、世の中で役立っているか、熱く語ってくれたのです。こうした、自身の携わるものづくりに情熱を持っている人たちと一緒に働きたいと強く思い、東洋製罐への入社を決めました。

入社後、最初に配属されたのは埼玉工場での製造の仕事でした。実際にラインに入り生産していた製品は、ペットボトルとプリフォームです。プリフォームとは、ペットボトルの前段階となる中間製品のことです。現場で、製品管理項目に関する知識や、安心安全な製品を出荷するためにどのような整備を行うか、繰り返し作業をして学んでいく。ものづくりの現場にいることを実感する毎日でした。 

実は、入社したばかりの頃は工場勤務に対してまったくイメージがわいていませんでした。現場は男性社員が多く、力仕事ももちろんあります。慣れるまで大変なこともありましたが、次第に工場の仕事を面白いと感じるようになっていきましたね。

入社する前まで、工場では機械が完全に自動で動いてくれて製品ができている、と勝手に思い込んでいたのですが、実際には機械のメンテナンスをする人、生産管理に目を光らせる人など、満足の行く製品を出すまでに、本当にさまざまな人の活躍があるのです。工場内での「人の重要性」を実感し、それが面白さにつながっていったことが大きいです。職場の雰囲気もフレンドリーで、やりにくさは感じませんでしたね。

会話の中での課題解決。求められるのは工場との連携

▲デスクで後輩と談笑することも

工場の製造現場からスタートし、その後は同じ工場内で品質課という測定や分析をもとに品質保証をしていく部署での経験を経て、2019年にテクニカルセンターへ異動となりました。

工場に2年間いたので名残惜しい思いもありました。テクニカルセンターに異動してからは製品開発に携わるようになったんです。

担当となったのは、フィルムパウチの開発です。カレーやパスタソースなどに使われていてるようなレトルト食品のパウチであったり、シャンプーやリンス、洗剤などに使われているようなパウチだったり、生活に密接した製品を担当することになりました。

製品の開発は、基本的にお客様のニーズを頂いてからスタートすることが多いです。新商品をリリースするにあたって一から製品を作ることもありますし、コストダウンや環境への配慮といった観点から、既存の製品を改良していくこともあります。

私たちの仕事は、こうしたニーズに合わせて製品を設計することから始まり、工場で生産をしていく上で、トラブルなく効率的な生産ができるように考えるところまで責任を持って担います。

まずは小ロットで試作品を生産して、評価や分析を繰り返しながら、耐久力に問題がないか、外観が崩れたりしないかなど、細かな部分をひとつひとつ確かめながら開発を進めていっています。

試作品は自社工場で作ることもあれば、お客様先で作ることもあるのですが、試作した製品を開発部に持ち帰り、いろいろ調べていくうちに疑問点が生じると、工場の方々に電話やメールで問い合わせて、解決策を考えていくことになります。

同じ工場内にいるならば、問題があった際に、現場ですぐにヒアリングしたり、実物を確認したりすることができるのですが離れた場所にいるとそうはいきません。開発を進める上ではコミュニケーションが大切になってくるので、会話の中で解決をしていくというスキルが必要で、日々試行錯誤しています。

工場の方々も、日々の業務を行いながら製品開発に関わっていただいているので、なぜその質問をしているのかというところまでしっかりと説明しないと、自分が求めている答えが返ってこないということもあります。

その辺りは工夫が必要だと思いますので、質問の仕方や話し方を先輩方から教えていただいたり、試作品づくりのタイミングで顔を合わせる際にしっかりとコミュニケーションを取ったりしながら、いつでも相談相手になってもらえるような関係性づくりを心がけています。

パッケージに現れた小さな泡──原因を解明し解決策を見出すのがやりがい

▲少しずつ条件を変えながら何度もテストを重ねる

試作品を評価する際には、今までの製品と新しい製品のデータを比較しています。 

フィルムを少し薄くしたくらい、接着剤を少し変えたくらいであれば、特に変化は起きなさそうに思えるのですが、実際に見てみると思わぬところに違う点があったりするんです。

印象に残っているのは、外観不良が課題になった製品ですね。おそらく、ぱっと見ではわからないレベルなんですが、生産過程でフィルムの間に空気が入ってしまい、小さな泡のようなものがパッケージに出てしまっていたんです。

細かい部分ではありますが、製品の見た目はとても重要ですので、原因を解明するために何度も何度もテストを繰り返しました。

その結果、フィルムを貼り合わせる際に表面に微細な凹凸があったことから、フィルムを重ねたときに気泡が入ってしまったのではないかという答えにたどり着き、フィルムとフィルムを貼り合わせる条件を変えることで、解決することができました。

課題にぶつかったときは大変ですが、原因を特定し、解決できたときはとてもやりがいがある仕事だと感じましたね。

この経験を通して、開発をする上で大切なのは「粘り強さ」だと感じました。

新たな挑戦をする上ですぐにうまくいくことはないので、あきらめない精神を持っていないと続きません。また、ちょっとしたことにもきづく能力が必要です。通常の規格に通った製品の状態をずっと見ていると、ふと違和感を持つ瞬間があります。同じ品質のものを見続けているからこそわかる「これ違うんじゃない?」という感覚を、恐れずに発信する力も必要だと考えています。

一歩一歩着実に、ビジョンを目指していく

新製品の開発依頼が来てから大量生産できるようになるまでの期間は、商品によって異なりますが、大抵の場合、3年以上はかかります。今はまだサポート的に一部の開発を任されて仕事をしている形なので、メイン担当として仕事をするようになることが、私の当面の目標です。

将来的には、世の中の「あったらいいな」を商品化していけるような存在になれたら、と思っています。たとえば洗剤のパウチでは、注いでも液だれしないように開発したものが人気になっていますが、詰め替えにくい、中身が残るといった消費者の声も大切に、より使いやすいように変えていくことなどにもチャレンジしてみたいですね。

入社前に感じていたとおり、私の周りには自分が扱っている製品に対して熱い想い、誇りを持っている人が非常に多いです。「この製品は自分が作っているんだ」という想いこそが、原動力になっていますし、私自身、その一端に関わっていることにやりがいを感じています。

これから更に経験を積んでいく中で、工場の方や営業の方にも「この分野なら佐伯さんに聞けば、何でもわかる」と言ってもらえるような、頼れる存在になっていきたいと思います。