人も部署も多く関わる仕事だからこそ、全員が共通認識を持てるように工夫をこらす

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東洋エンジニアリング(以下、TOYO)は世界各地でプラント建設を行う企業です。その中でも機械エンジニアリング部は、プロセスプラントを機能させるために各機械へ求められる[流量・圧力・温度・運転方法]といった要求・仕様を「実際にどういった機械で満足させるか」という点で具体化・立体化していく役割を担っており、担当する機械種類をベースに「機械設備チーム」と「圧力容器・タンクチーム」、「ヒートトランスファーチーム」という3つのチームに分かれています。 

現在私が所属しているのは「機械設備チーム」。機械設備チームでは機械の中でも動機械を担当しており、カバーする領域が広いのが特徴です。粉体輸送機器などを扱う「マテリアルハンドリング」の領域と流体を輸送する圧縮機やポンプなどを扱う「回転機」の領域があり、私は「回転機」を担当しています。回転機はプラントを動かす上で欠かせない機械であり、プラントの心臓にも例えられる重要機械です。担当する機械が不調で動かないことは、お客様に引き渡したプラントの運用不良に直結するものであり、回転機エンジニアとしてプロフェッショナルであることが求められます。 

具体的な業務ではお客様のビジネスの進み方とも関連しながら、さまざまなフェーズがあります。「お客様に対して、プラントを利用したSolutionを提案するFeasibility Study/Proposal業務」「プラントを利用したSolutionをお考えのお客様の希望を取り込み、プラント基本設計を行うFEED(Front End Engineering Design)業務」「プラント完工に向けての詳細設計・資材調達・工事監理を行うEPC(設計/調達/工事)業務」といった形で当社業務は進んでいきますが、私はTOYO入社後、EPC受注後の詳細設計を中心に業務してきました。 

詳細設計としての私たちの仕事は大きく2つあり、1つはベンダーの見積評価です。この仕事は、プラント全体のプロセス設計を行う社内の「プロセスエンジニアリング部」から、プラントを機能させるために必要な回転機の仕様データが送られてくるところから始まります。そのデータに基づいて、私たちは「どういったタイプの機械がこの仕様を満足させるのに好ましいか?」を検討し、最も好ましいタイプの機械をベースに機械的な観点での仕様を付記した購入仕様書を作成し、複数のベンダー企業から見積を募ります。そしてその見積結果を評価し、機器の性能や、条件に適った仕様になっているかなどを確認します。 

ただし、複数社の見積比較にあたっては、条件を整えることが欠かせません。各ベンダー企業は見積を良いものにするため、自社の理解をベースに、追加条件や代案提案をしてきます。提案には許容できるものもあれば、客先の仕様、社内の関連部署と取り決めた条件、他ベンダー企業の見積範囲などとの相違といった、その企業の範囲だけのコストダウンのみで全体最適化にならないようなものもあるため、各社の理解が同じになるように調整を行います。こうして、どのベンダー企業が採用できるのか、またどの見積が技術的に最も好ましいかを設計の目線で評価していきます。 

もう1つは、詳細設計段階でのエンジニアリング。発注ベンダーが決定した後、エンジニアリングを進めるにあたり、ベンダーの図面をもとに社内の土木、配管、電気や計装などを設計する関連部署と連携をとり、ベンダー情報を設計に反映させ、仕様のレビューや配置の調整を行います。場合によっては、設計の都合から、ベンダー設計の修正が必要となり、ベンダー・関係各部を主導して、解決策に導く必要があります。 

同時に、プラントの依頼主であるお客様とも密に打ち合わせを重ねます。配置や設備に関する細かな要望を聞きながら、理想通りのプラントの実現に向けて、責任を持って舵を取ります。 

こうした社内外の多数の関係者と関わる仕事をする上で気をつけているのは、必要な情報を必要な部署にきちんと伝えること。設計内容ひとつとっても、基礎、配管、計装の取り合い位置、NPSH等のプロセス面の要求など、伝えるべき情報は多々あります。上手く伝達できなければ、現場で機器がうまく動作しないなどの問題が起こりかねません。だからこそ、お客様、ベンダー企業、そして社内の各関連部署と認識をすり合わせることが大切です。 

また、伝える際により正確性を期すために、協議した内容を議事録として記録に残すのも意識していることのひとつ。記録がなければ、後から水かけ論のような議論が生じかねません。正式に記録をとって証跡として残しておくことで、全員が共通の認識のもと、スムーズに仕事を進められます。 

海外案件に取り組みたい。海外に強いTOYOへ転職を決意

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現在、私の所属する機械設備チームは全体で20名ほど在籍しています。メーカーから転職してきた社員も何名かいて、私もその一人です。前職ではポンプメーカーに勤務し、各種プラントで使われる海水を取水するポンプなどを扱っていました。 

新卒として前職で働き始めてすぐのころは、お客様との窓口となる部署で設計図書のやり取りをするのが主な業務でした。中東のプラントで使われるポンプについて設計図書の顧客コメント対応など、お客様とのすり合わせをメインに2年間働きました。3年目以降は、ポンプ本体の設計業務を担当。国内の発電所で使われるポンプについて、図面を書いたり、強度評価などを行ったりしました。 

転職を考えたきっかけは、海外向けの仕事に取り組みたいと考えたからです。私は学生時代に留学を経験しているので、海外に強い興味を持っていました。しかし前職では最初こそ海外向けの仕事に携われたものの、再びそれと近い仕事を担当するのは難しい状況でした。ならば転職しようと決意したのです。 

転職先として最終的にTOYOへの入社を決めたのは、海外向けの案件をたくさん手がけているイメージが強く、海外での仕事に関わるチャンスが多いと思ったからです。 

また、回転機に携わることができる職場であることも入社理由のひとつ。当時は転職先として、これまでの経験を活かせる場所かどうかも大事にしていました。もともとベンダー企業側としてエンジニアリング会社とは関係があり、業界についての知識は少し持っていましたし、面接で詳しい業務内容を聞いて経験や知識を活かせる確信が持てたことが、入社を後押ししてくれました。 

前職で培った知識やスキルは、実際に現在の仕事で十分に活かせています。たとえば設計図書や図面をレビューする際には、コメントによる変更がベンダー側にどのような影響を及ぼすか考えながら判断を下しています。 

一方で、前職と現在の仕事を比較して最も異なる点は、自社でモノを製造していないこと。エンジニアリング会社はベンダー企業から購入した様々な資機材をプラントとしてつくりあげていく仕事です。 

そのため、エンジニアリング会社の方が、業務上で関わる人の数が多くなる印象があります。お客様、ベンダー企業、そして社内各部署。多くの人とやり取りをする分、調整は大変ですが、関わる人の数が多いことで「大きな仕事をやっている」実感を得られています。

自発的に仕事を進められる環境。自ら考えて、お客様が納得できるような説明を意識

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ベンダー企業からTOYOに転職して、順調に進むことばかりではありませんでした。 

入社3カ月後に、現在も取り組みが続くポリプロピレンのプラントを担当することになった頃のことです。見積入手から評価、そしてベンダー企業決定後の詳細設計までを任されることになりましたが、そこでは最初苦戦しました。図面のレビューの仕方に慣れるのに時間がかかったからです。 

ベンダー企業では図面の隅まで細かく見ることが求められた一方、エンジニアリング会社では仕事の範囲・分量が多岐に亘るので、図面の要所の部分を効率よく確認する必要があります。しかし、転職したての頃の私は前職と同じような方法で進めていたため、他の人よりも時間がかかっていました。 

そこで、他の人の進め方を見せてもらい自分と比べたり、より良い方法を上長に相談したり。そうして数を重ねていくうちに、メーカー出身として実物の構造を理解する強みも活かしつつ、エンジニアリング会社としてチェックするポイントをつかめるようになり、時間も短縮できるようになりました。 

他にもわからない部分があったときには上長や上位職の方が教えてくれましたし、社内にはTOYO Academyという研修制度も整っています。仕事に慣れるのは大変な面もありましたが、環境に支えてもらえた実感が強くあります。 

現在、入社して約2年。多様な方と関わる日々のなかで、社会人として成長できていると感じます。 

また、お客様に対して何かを説明をする際は、説明をするための準備や事前の調整にまでしっかり意識を向けられるようになりました。扱う機器の幅も広がっています。前職ではポンプ一種類でしたが、今では圧縮機や攪拌機など、さまざまな機器を扱っています。 

そうした中でも、私にとって最も大きな変化は、仕事をする際の姿勢が変わったことです。前職では、基本的に上長の指示のもとで動いていました。一方で、TOYOでは、個人に任される裁量が広く、自発的に仕事を回しています。 

たとえばお客様に満足してもらうために、打ち合わせ時には、ベンダー企業からもらった回答がお客様に伝わりやすいように、自分なりに補足をします。私の方で噛み砕いてから説明をすることで、お客様がより納得できるようにとの想いで、日々考えて仕事をしています。 

海外向けのプラントへの挑戦に備え、まずは経験値を高めていく

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今の仕事では、山を越えるような感覚を繰り返し味わうことができています。たとえば、最初の見積を評価して発注先が決まったときや、エンジニアリングを進めてきた機器が検査に無事合格できたとき、そして完成物を見たときは、そうした感覚に浸れる瞬間。やりがいを感じます。 

今はベンダー企業が工場で作った完成物を見ることができていますが、ゆくゆくは実際のプラントを建設の現場を経験し、実際にプラントをスタートアップさせたいと思っています。そして長期的には、海外向けのプラントにも挑戦したいと考えています。 

そのために直近で注力していくのは、今よりも扱える機器を増やしていくこと。回転機のなかでは、たとえばポンプより圧縮機の方が付帯設備の数が多く複雑な機器だと言われているので、圧縮機のような難易度の高い機器にも取り組み、さらに経験を積んでいければと思います。 

TOYOは、わからないことがあったときに、周囲が温かく指導してくれる会社です。社外の方と直接話す機会も多く、自分を鍛えられるような環境が整っています。 

もし、ベンダー企業での経験があり、私と同じように関連知識を持っているという方であれば、入社後もフィットしやすいと思います。また、さまざまな関係者とやりとりができる方、自分の考えを説明することができる方、主導権を握りながら物事を進められる方ならきっとTOYOで活躍できるはずです。 

私自身もベンダー企業から転職をした身ですが、そこで学んだ、モノの作り方や回転機の中身などの経験知識は、エンジニアリング会社でも活用できると強く感じています。 

また、TOYOではカーボンニュートラルに力を入れていて、たとえば「グリーンアンモニア」などを製造する社会貢献性が高いプラントに携わることもでき、私自身もFeasibility Studyで回転機の見積評価に関わったことがあります。回転機はこうした最先端プラントでも必須の機器ですから、そのような最先端の分野に携わることができるところも、TOYOで働くおもしろさの一つだと思っています。 

今回のお話を通じてTOYOに興味を持った方のチャレンジをお待ちしています。