多様なリソースを活かしてエンジニアリングDXを推進する
TOYOは、国内外の石油化学工場や、発電設備などのEPC(設計・調達・工事)を請け負うエンジニアリング会社で、およそ10分野の設計部隊があり、各部の設計データは日々数多く蓄積・更新されます。
私が所属するDXエンジニアリング部では、その情報を一元管理し、いち早く把握できるような社内システムの開発・導入を推進しています。2020年に入社した私は、設計データを統計管理するプラットフォーム「E-Hub(エンジニアリング・ハブ)」の開発に入社当初より携わり、現在は部の責任者として業務にあたっています。
DXエンジニアリング部には社員と契約社員合わせて38名のスタッフが在籍していますが、フィリピンやインドなど海外出身の方も多く、オフィスでは英語と日本語が飛び交う多様性に富んだチームでもあります。私は、実は入社時にはほとんど英語が話せず苦労したのですが、社内の英会話講座など充実した学習制度を活用し、なんとかコミュニケーションをとれるようになりました。
共通言語が違うとたしかにコミュニケーションに少し時間がかかることもあります。しかし、違いがあることで得られるメリットも大きいと感じます。たとえば、日本人同士だとすべてを説明しなくても相手が汲み取ってくれると思ってしまうため、曖昧な言葉のままで仕事を進めてしまうケースが少なくありません。一方、意味が通じていないかもしれないという前提があれば、お互いの理解を最初から最後まで丁寧に確認することで、認識の相違による後々のトラブルを回避することができます。
また、これは外国籍の方に対してだけではないですが、相手の言葉の背景を考えることも大事。表面的な言葉だけでなく、相手のポジションや仕事の状況をイメージすることでその部署やプロジェクトにどのような課題があり、その人が本当に求めていることは何かを理解するように心がけています。
困難な状況でもポジティブに──楽な仕事はないが、楽しく仕事をすることはできる
大学時代は情報工学を専攻していたわけではなく、混相流(こんそうりゅう:物質の複数の層が混ざり合って流動する現象)の解析を行う研究室に所属していました。卒業後に就職した前職ではまず配管設計を担当し、その後原子力発電所の再処理施設の設計や工程管理に移りました。ベンダー(発注先企業)さんの調整などを通して、情報の管理やマネジメントについて学んできました。
そのような中、当時所属していた会社において、社内の情報管理を紙からデータに移して統合・可視化しようという、今で言うDXのような動きが始まりました。そのシステム開発の責任者が公募されていたので、思い切って応募して社内システムの開発を担当。その後、RPAが話題となり、その導入のプロジェクトリーダーとしてDXを推進することになりました。
このDX推進活動(当時はDXという言葉はあまり浸透していませんでしたが)を通して、頭の中の論理が中心だった学生時代と違い、概念だけでなく現場の声が非常に重要だと学びました。システム開発においても、さまざまな立場の方と実際にお話ししてニーズを正確につかまないと、なかなか本当の答えにたどりつけないですから。
前職では施工現場の泥臭い仕事もあって必死でしたし、何度か「辞めてやる!」と思ったこともあります(笑)。でも、上司や同僚が大変人間味のある人ばかりで、いつも支えてもらったので、「この人たちと一緒にやっていこう」と仕事に食らいつきました。結果、当時の仲間のおかげで、今の自分があると心から感謝しています。
楽な仕事はないが、楽しく仕事をすることはできる──これが私の当時からのモットーで、一見困難な状況も楽しむことを大事にしています。
言うべきところは言い、聞く耳を持つ社風がより良い成果を生む
前職でDX推進に携わったことで、この分野で先進的な企業であるTOYOに興味を持つようになり、当時のDXエンジニアリング部長に声をかけていただいたのを機に転職しました。
実際に働いてみて感じたのは、TOYOで働く人たちはどんな立場や年齢の方でも「違うところは違う」と、必ず根拠を添えて自分の意見をきちんと言える土壌があること。同時に、相手の話をしっかり聞く姿勢も皆持っているということです。
また、こちらがわからないことを聞いても、「そんなことも知らないの?」と突き放すのではなく、丁寧に説明してもらえます。「上から言われたことに必ず『はい』と答えろ」といった、トップダウンの意思決定スタイルとはまったく違う社風でした。
背景には、世界各地に拠点を持ち、新しいものや人の受容にポジティブな企業文化があるのかもしれません。こうした開かれた姿勢はキャリア採用者に対しても同じで、メンター制度などの受け入れ体制も整っています。私自身キャリア入社組ですが、非常になじみやすいと感じましたね。社長自らが定期的にキャリア採用者を集めて、「今どんな仕事に取り組んでいるのか」「困ったことはないか」など話せる場を設けてくれるのも特徴的です。
DX戦略に関しても、お互いに言うべきところは言って、より良い結論を導くという会社の姿勢を実感しています。たとえば、全社レベルでは社長直下の部署であるDXoT(Digital Transformation of TOYO)推進部が舵をとっているのですが、開発者だけでなく、実際に現場でシステムを使う人たちの意見を反映させた開発をめざしています。
最初のコンセプトづくりから現場の社員に参加してもらい、その結果、システム開発が大きく進展したことには感動を覚えました。皆で一緒に作り上げていくプロセスが非常に楽しかったし、さまざまな課題があっても前向きに取り組むみなさんの姿勢にも鼓舞されましたね。
私がラインマネージャーとして注力しているのは、品質の高さと納期のスピードの両方を向上させること。システム開発では、「こういうものが作りたい」「こんな設計にしたい」という要件定義が非常に重要ですが、開発が大規模になるほど、そこを固めるのにかなり時間がかかります。そこで、まずはユーザーにとって役立つ部分を小規模でなるべく速く開発・導入し、その後定期的に更改するというやり方で進めるように心がけています。
システムの「キモ」となる機能はまずサンプルを作り、ユーザーに実際に使ってもらって利便性を実感してもらうことも大事にしています。システム完成後いかに業務が楽になるかを共有するとユーザーの協力を得やすくなりますし、それがスムーズな開発や導入につながると考えています。
Your Success, Our Prideの精神で、お客様や社会に貢献する
今後TOYOで仕事をしていく上では、今よりさらに「本質を見抜ける人間」をめざしたいと思っています。つまり、表面的な言葉だけでなく、その背後にあるつながりや流れ、課題といったものをさらに深く理解できるようになることです。それをシステム開発に反映し、具現化していきたいですね。そして、TOYOでは、この分野の人材教育にも会社として力を入れていこうとしているので、そうした新しいステージにも貢献したい──夢は膨らみます。
TOYOには世界各地に多様な人材がいて、お互いの違い・強みを活かして組織として最大のパフォーマンスをめざす企業文化があります。また、一人ひとりの裁量が大きく、プロジェクトマネージャーなどへの昇進機会も多い。つまり、グローバルな舞台で挑戦したいという方にとって、大きく成長できる環境が整っています。
一方で、エンジニアはとかく理論武装しがちですが、そうなるとなかなか折り合いがつかないケースもあります。こういった際は譲れるところは譲りつつより良い結論を導かなければなりません。「まぁまぁ今回はこちらでいきましょう」「次は必ず○○しますから」と、お互いが納得できる落ち着きどころを提案することも実は大切です。
だからこそ、相手の立場や考えに想いを巡らし、異なる発想を柔軟に取り入れながら、自分の考えも反映して仕事を進められる方、そして、お客様への製品・サービスの供給を通じて社会を豊かにしたいという志がある方が、TOYOが掲げるスローガン「Your Success, Our Pride」にフィットすると思います。私自身もそんな想いを新たにし、さらに成長していきたいと考えています。