すべての人のWell-beingを叶える、デジタルサービスの開発を
東急スポーツオアシスは4つの事業を柱として営業・運営をしており、私はその中の一つであるDX推進本部のプラットフォーム事業部グループを統括して担当しています。
主なミッションは2つ。会員向けと一般向け、それぞれの方に向けたサービス提供です。
前者はコンテンツ企画部の中で進めている、フィットネスクラブの東急スポーツオアシス(以下、オアシス)の会員限定で利用できるスマートフォンアプリ「OASIS LINK(オアシスリンク)」の運営開発です。オアシスで行ったトレーニングや日々の活動内容を記録でき、目標に向かっていくためのサポートになるとご好評をいただいています。
後者は、クラブメンバーに限らず、人々の健康を支えるためのアプリケーションのプラットフォーム形成を目標としていて、こちらはプラットフォーム事業部が担っています。つい先日ローンチした「weltag(ウェルタッグ)」という新サービスは、今もっとも注力している事業です。私自身も、2つのチーム全体をマネジメントしながら、weltagの開発者の一人としても動いております。
weltagは、最近よく耳にするようになった、Well-being(肉体的にも精神的にも満たされた状態)を願う人たちを、多彩なジャンルの健康従事者たちがタッグを組んでサポートしていくサービスです。
トレーナーやインストラクターだけでなく、理学療法士、臨床心理士、管理栄養士など、多彩なジャンルの健康従事者が多角的に健康をサポートしてくれる点が一番の特徴。「痩せたい」「体力をつけたい」「ぐっすり眠りたい」といった細かな要望にも対応しているので、一人ひとりが無理なく目標に向かって運動を続けられるんです。
これまで私たちは、オアシスのクラブ運営を通じて比較的に健康習慣がある人を対象にサービスを提供してきましたが、その割合は全人口の4%程度だと言われています。いわゆるフィットネス人口ですね。
では、残りの96%の人たちはというと、必ずしも運動が嫌いだとか健康に興味がないといった方ばかりではなく……。フィットネスクラブが近くになかったり、育児や介護でまとまった時間がとれなかったりといった事情を抱えた人が少なくなかった。でも、デジタルを媒体にすれば、そんな人たちにも運動習慣や健康習慣の提案ができます。
さらには、インストラクターやトレーナーをはじめとした健康従事者の方々にとっても、時間や場所で制限することなく、仕事ができるようになるメリットがありますよね。コロナ禍で、健康に従事するサービスも苦境を強いられましたので、そんな方々に向けても新しい活躍の場を作るお手伝いができればと思っています。
「建築」から「フィットネス」へと方向転換した理由と、両者の意外な共通点
大学では、建築を専攻していました。そのまま建築家になるものだと思っていたのですが、実は大学に通う傍ら、オアシスでアルバイトをしておりまして。フィットネス業界で働く楽しさ、そして正社員やアルバイトに関わらず、自由に提案してチャレンジできるオアシスの文化にも、強く惹かれました。
ありがたいことに、卒業間際に人事の方からお誘いをいただき、今に至ります。自分を必要としてもらえる場所があるならば、そこで頑張ってみようと決意したことが、入社のきっかけです。
とはいえ、やはり迷いもありました。なにせ、建築の道に進むとばかり自分でも思っていたので(笑)。ただ、建築は、オーダーを受けてから設計し、建築し、実際に人が住んだり施設として使われたり。その後、成果がでるまでには、結構なロングスパンです。
一方、フィットネスの場合は、その場で人と出会って、お話をしながらトレーニングのアドバイスをする中でも成果が生まれます。そういった意味ではショートスパンですが、さらにその方が1ヶ月、2ヶ月続けて運動習慣ができれば、そこでまた成果が生まれる。
運動することで体が元気になり、その習慣が家族にも波及するとなれば、ロングスパンで得られる成果もあります。これって、もしかしたら建築をやるよりも幅広い成果を生み出していけるのかもしれない!と思いました。
建築の中でも都市計画などの「まちづくり」を学んでいたのですが、親会社が東急不動産だったことから、そうした建築意識も感じていましたね。スポーツクラブやフィットネスクラブは、人々の健康をサポートする街の中心的な存在にもあたるので、まちづくりの一環に関わっているという捉え方もできるかなと。
入社後は、新店舗のマネジメントを2度経験させてもらいました。1店舗目ではサブマネージャーとして採用を任せてもらったのですが、オープン当初ということで、細かなルールを決めて指示を出し、足並みが揃うようにと意識しました。最初の半年はうまくまわっていたのですが、だんだんと「指示待ち」のチームになってきてしまったときは反省しましたね。自分の色に染まらせようと口を出しすぎたのかもしれないと。
そのときは、私自身がオアシスでアルバイトをしていたときのことを思い出しました。アルバイトながらも、自分で考えて動き、新しい企画を出してチャレンジして……本当に楽しかったんですね。なので、自分に足りなかったのは、これだと感じました。
そこで2店舗目では、こんなクラブにしたいというビジョンを明確にし、それに賛同してくれる人を採用する形をとりました。そして、ビジョンに沿った行動指針だけ外れなければ、自ら考え自由に動いてもらいました。18歳から60歳近い方まで、年齢も経験も実に幅広いメンバーでしたが、本当に伸び伸びとしていて、すごく良いチームだったと思っています。この出来事が、自分の中で転機というか、成長につながったと感じています。
目指すはフィットネス業界の社会的地位の確立
入社以来ずっと現場にいたのですが、10年目の2017年に本社部門に異動になりました。グループレッスンやパーソナルトレーニングサービスの企画・運営を行う部署だったのですが、オアシスと一緒に働いていただくインストラクターやトレーナーなどパートナーの方々の働く場を、デジタルを使ってさらに広げられないか?という話になり、これはぜひやらせてほしいと、新しく部署を作ってもらいました。
その結果、誕生したのが「weltag」です。
まずは、お客様にどんな価値を届けたいか、そのサービス設計を徹底的に行いました。これまでオアシスというリアルな現場でサービスを利用してもらっていたのが、オンラインへと環境が変わることで、本当に十分なサービスが届けられるのか、収支の面でもどうなるのか、などと社内でも議論が多かったのは事実です。
ただ、実際に現場で働くトレーナー、インストラクターの方々が私たちの思いに共感をしてくださったことは、非常に心強かったです。背中を押された感じですね。
タイミングも良かったのだと思います。コロナ禍でなかなかフィットネスクラブにお客様が戻ってきにくい状況で、オンラインのサービスを求める世の中の流れもあったと感じています。新しい生活様式にマッチしたサービスが「weltag」だったなと思いますね。
また、私たちからお客様への一方的なサービス提供ではなく、「weltag」を通して、トレーナーやインストラクターと一緒にチームとなり、汗を流すという一体感が得られるのも、このサービスの大きな魅力なのだと感じています。
このサービスにかける個人的な想いとして「フィットネス業界に関わる人たちの社会的地位を上げていきたい」という気持ちもあります。運動習慣や食事内容をアドバイスすることで、もしかしたら医者よりも病気を予防するために貢献しているんじゃないかと思うんですね。とても意義のある職業なので、そのことをもっと世の中に広く知らしめたいなと。
というのも、私自身が東急スポーツオアシスに入社したとき、「大学であれだけ建築を勉強していたのにもったいない」などと言われました。実は、今でも言われます。建築の仕事を経験していないので、実際に比較することはできませんが、今の仕事をする中でお客様を幸せにできたと実感したり、人生が変わったと感謝されたり、素晴らしい経験がたくさんあった。
それなのに、偏見と言いますか、ステレオタイプな見方ばかりが先走って、フィットネス業界で働くことの社会的地位が確立されていないことが、やっぱり悔しいんですよね。
だからこそ、weltag然り、他のサービス開発然りで、世の中の価値観を変えていけたらと願っています。そして、この業界で働く人たちの活躍の場をどんどん広げていきたいです。
より広い意味での「ウェルネス」を確立するために、今日も挑戦は続く
この仕事をしていて、うれしい瞬間がたくさんあります。お客様、スタッフ問わず、たくさんの出会いがあること。お客様が、こんな新しい自分になりたいという目標を掲げ、それをスタッフがサポートし、運動を頑張ることで次の日に少し成長した自分に出会える。
大人になるとなかなか新たな夢が持てないものですが、オアシスでは、一人ひとりが目標や夢を持ち、お互いに背中を押しあえる、そんな素敵な関係性が築ける素敵な場所なんです。
weltagによってオンライン化する中で、場所や時間にとらわれず、そういったつながりが増えていけばと思っています。そのために、より多くの方にサービスを知ってもらい、体感していただけるように、私たちも動いていきます。
今後の長期的なビジョンとしては、フィットネスをメインとしつつも、もっと広い意味でのウェルネスという領域で、体・心・食事といった、トータルで健康に近づけられるようなアプローチをしていきたいですね。できれば、親会社を巻き込んで、まちづくりまで広げていけたら最高です。
東急スポーツオアシスは、本当に新しいチャレンジをしていける会社です。スポーツが好きな方や健康に興味がある方はもちろんですが、たとえ運動が苦手だったとしても、まったく問題ありません。
お客様やスタッフ、いろいろな人とキャッチボールをしながら、常に新たな挑戦をしていける。先行きが見えない時代だからこそ、柔軟に目の前の課題に取り組んで、果敢にチャレンジできるところが魅力です。その環境の中で、引き続き、挑戦し続けていきたいと思います。