ホテルの施設管理の仕事とは。部署間のコミュニケーションを大切に

現在は2021年9月に開業予定のホテル「ROKU KYOTO, LXR Hotels&Resorts(ロク キョウト エルエックスアール ホテルズアンドリゾーツ)」(以下、ロク キョウト)開業メンバーとして勤務しています。ヒルトングループ初の京都進出であり、「LXRホテルズ&リゾーツ」としてはアジア太平洋地域への初進出のラグジュアリーブランドということで、話題のホテルです。

客室数の多い施設ですので、フロントスタッフやレストラン調理等、ホテルの運営に携わるメンバーは非常にたくさんいるのですが、その中でも私は施設管理を担当しています。

施設管理メンバーは全部で7名。具体的には、ホテル内の照明や空調管理、温度調節、衛生環境などに関わる部分を、エンジニアとしてトータルでチェックをし、不備なく動くかどうかを日々確認する仕事になります。

一つ例を挙げると「ロク キョウト」にはプールがあるので、ろ過のためのポンプが正しく動いているかどうかや、客室のエアコンを一斉に入れたら、どれだけ電力が上がるのかなども把握・確認するといったことも重要な仕事のひとつです。

最近は、設備のほとんどがコンピュータ制御になっており、それらがトラブルなく作動するかを中央で一括管理しています。お客様の滞在の快適さや満足度を左右する役割でもあるので、責任重大ですね。

実は、ホテルの新規立ち上げに関わるのは、今回で二度目です。一度目は入社してすぐ、「東急ハーヴェストクラブ京都鷹峯」(以下、京都鷹峯)のオープンに携わりました。

当時は新入社員だったこともあり、右も左も分からず先輩についてゆくのに必死でしたが、今回は開業の初めの段階から関わっており、初期の図面を見る機会もあります。建物が完成したあとの建築検査など、最初のころにしか行われない検査にも立ち会うことができ、開業時スタッフならではの経験をさせてもらっています。 

建築検査では、不動産やゼネコンの方たちと一緒に建物内をまわり、電気が点くか、水が出るかといった設備的なことから、ドアの内開きと外開きの確認、監視カメラの数といった点に至るまで、さまざまなチェックをします。

自分の作業領域にとどまらず、泊まりに来てくださるお客様にとって、より使いやすい設備になるよう、使用シーンを思い浮かべながら細かい点まで見ていますね。

私が施設管理の仕事をしているうえで一番意識しているのは、「お客様に存在を感じさせない」ということです。そのためには、ほかのセクションのスタッフといかにスムーズに連携をとるかという点が大切です。

特に、フロントスタッフとの連携は欠かせません。例えば客室内のエアコンの動作不良などの不具合があった場合、お客様が夕食を取られている間等に修理することが多いのですが、フロントとうまく連絡がとれていないと、お客様と鉢合せしてしまいます。

それでもすぐに修理できないような場合は、お部屋を移動してもらうケースもあるのですが、極力私たちの存在を感じさせることなく「気付いたら快適な状態になっている」と、お客様に思っていただけることを意識しています。

突き詰めると、私たちが暇なこと、活躍しないことが、ホテルとしては一番なのだと思っています。そのために日々のメンテナンスでしっかりと整えることが重要だと考えています。

施設すべての管理とは、あらゆる機械を触ることができるということ

学生時代は、ずっと理系でした。工業高校で電気科を専攻しており、電気に関することを学んできました。施設管理という職業に興味を持つようになったのは、就職活動のときに見た求人票がきっかけでしたね。建物すべての管理をするということは、エアコンや電気、ポンプなどあらゆる機械を触ることができるということ。とても魅力的に感じました。

施設管理と言っても働く場所は商業施設だったり、オフィスビルだったりとさまざまあるのですが、どこで働きたいかを考えていたとき、偶然「京都鷹峯」開業の話を聞き、チャレンジしてみたいなと思ったのが入社のきっかけです。

新規開業、しかもホテルの開業となるとそうそう機会があるわけではないので、このチャンスを逃したくなかったんです。

入社してから最初に取り組んだのは、「京都鷹峯」の基本的な機械の操作を覚えることでした。大浴場の湯抜き・湯はりの操作から始まり、だんだんと取り扱う機械の数を増やしていき、全体監視盤の操作へと進んでいきました。監視盤は、どこかの機械が故障したときに警報が出る大切な場所です。

もちろんはじめは戸惑いばかりでした。とにかく右も左も分からず、飛び交っている会話・用語がまったく理解できませんでした。たとえば、「エアコン」と言っても何種類かあり、どれを説明されているのかわからない。機械自体の名前もそうですし、一般的に馴染みのない専門的な業界用語を覚えることが、入社直後の課題であり苦労したことです。

ただ、わからないことはどんどん質問できる風土があったので、上司や先輩に質問攻めをしつつ、着実に知識を身につけていきました。

数々の現場経験と勉強を重ねた結果、大変さを実感できた

入社して様々な経験を積んできましたが、初めて一人で対応できた日のことは嬉しい記憶として印象に残っています。ある日客室のエアコン故障により、機械の中にある部品を交換する必要がありました。今までは先輩や上司の方が近くにいたのですが、初めて誰の手も借りず、自分一人で修理対応できたことは、自分自身の成長を感じられるできごとでした。

お客様が宿泊されている客室の故障対応は、つい気持ち的に焦ってしまいがちです。一人で対応するときは尚更ですが、できるだけ焦らないようにと普段から心がけています。焦ってしまいそうになったときは、以前先輩から言われた「潰れているものは潰してしまっていい。手を動かすと覚えるから、恐れずにどんどん自分でやっていけ」という言葉を思い出します。

これは、「すでに故障している機械なのだから、さらに故障しても問題ない。失敗を恐れるよりも、どんどん経験を積んでいけ!」という意味だと、勝手に解釈しています(笑)。そのおかげで3~4年経ったころからでしょうか、設備全体を見ながら、一つの作業が他に影響が出ないかどうかも検討したうえで、機械を動かせるようになりました。

もちろん、勉強して得てきた知識もたくさんあります。ボイラー技士、危険物乙4、建築物環境衛生管理技術者などの資格は、入社してから勉強して取りました。次に目指しているのは、電験三種の資格です。

休日や通勤の時間を使って勉強しているのですが、これまでの人生で一番勉強している感じです。もともとあまり勉強が好きではなく、学生時代は何のために勉強をしているのかもわからなかったのですが、勉強して知識を得ることで、できなかった仕事ができるようになっるのは嬉しいですね。いい仕事ができると、当然自分の評価にも繋がります。社会人になってからの勉強の方がやりがいありますね。

今は二度目のホテル開業に立ち会っていますが、知識も経験も増えて、自分の判断である程度作業できるようになったからこそ、立ち上げの大変さを実感できるようになっています。京都鷹峯のときは新入社員で、ただただ言われたことをこなしていたので、あの頃は本当の意味での大変を理解していなかったですね。知識や経験を積んだ今、もう一度開業に挑戦できて良かったと心から感じています。

縁の下の力持ちであるこの仕事を、誇りに思う

二度の開業を経験し、前回の京都鷹峯の経験が生きる場面がいくつもあります。ガス給湯器などの機械一つを取ってみても、使用開始からの耐用年数など、ロク キョウトも京都エリアに立地し水質も同じなので、非常に参考になっています。これから起こるであろう故障等の事態は予測しておき、対応策や契約などにも反映しています。お客様をお迎えしてからもこういった過去の経験をうまく活かし、スムーズに管理していきたいです。 

施設管理の仕事は普段はなかなか表に出ないので、もしかしたら社内でもあまり知られていない部署かもしれません。しかし施設を運営していくうえで絶対に欠かせない存在です。

建物全体の構造を把握し、照明や機械類をどう制御するかを把握しなければなりません。とりわけ「ホテルの施設管理」は、お客様の満足度に直結します。大変なことも多いですが、とてもやりがいがあり、この仕事が私の誇りでもあります。まさに、縁の下の力持ちといった役どころでしょうか。

仕事をする上で理系の知識や多くの資格が必要だと思われることも多いのですが、私が実際そうであるように、専門的な知識を得るための勉強や資格取得は、現場で働き始めてからでも問題ありません。ものづくりが好きで、施設に対する興味があり、さまざまな機械に触れたい人であれば、施設管理の仕事にきっとハマると思います。色んな事に興味を持てる人、勉強熱心で極めたいという方に、ぜひおすすめしたいです。

私はこれから先も、施設管理の仕事を続けていきたいです。もっともっと多くのことを学び、それこそ、エリア全体の施設を管理できるくらいの知識を身につけてゆきたいです。

この仕事の面白いところは、施設によって設備が異なり、必要な知識が違うということ。だからこそ、より多くの施設や機械を経験し、新たな施設で活かしていきたいと思っています。