経験や学びはノートにまとめて - お客様の笑顔の為に。

現在は、東急ハーヴェストクラブ京都鷹峯のイタリアンレストランで、主にお客様の前で鉄板焼きを担当しています。

施設の隣には契約農家があるため、毎朝農家へ行き、自分の手で人参やほうれん草、茄子などの鉄板焼きで使用する野菜を収穫しています。新鮮で瑞々しい、採れたての野菜をお客様に提供できます。

自分で野菜を収穫することで、調理の際にお客様に食材について詳しく説明できるため、お客様には大変喜んで頂いています。「帰りにそこの農家さんで野菜を買って帰ろうかしら」とお話されるお客様には、旬のおすすめ野菜をお伝えすることもありますね。

日々足を運んでいるので、農家で働く人たちとはすっかり顔なじみとなりました。色々と食材について教えてもらうことも多いです。火入れの温度や、時には調理方法に応じた野菜の切り方もアドバイスしたもらうことがあります。そうしたコミュニケーションもとても学びがあり、楽しいですね。

私はこれまでつくった料理はすべてノートに記録しています。作った料理は必ず写真を取り、絵でわかりやすく表現したり、使うテクニック・学んだ技術を書き記したりしているんです。

現在はイタリアンレストランなので、イタリア語のメニューでわからない言葉が出てきたときは、調べてノートに書き足しています。とくに私は鉄板焼き担当としてお客様の目の前で説明をする機会も多いので、調べたことが大変役立っています。

料理ノートは入社した当時からずっと継続しているので、すっかり趣味になっています。今では「あれつくりたいな」とふと思ったら、すぐにノートを見返します。料理には旬があるので、ノート見ることで季節に応じたメニューを振り返ることもできるんです。

こうした日々の積み重ねで自分の腕前が上がり、どんどん美味しい物をつくれるようになると、召し上がるお客様が喜んでくれます。「私が頑張れば頑張るほど、お客様も喜んでくれる」そのことがとても嬉しいですね。

料理人になりたい──地産地消が実現できるホテルの料理人へ。

私は小学生の頃から料理人になりたいと考えていました。 

早くに母を亡くしたこともあり、祖母の料理で育ちました。子供のころからお手伝いをしており、気づけば料理をすることがすごく好きになっていました。

料理人を目指し調理師専門学校に通っていた時に出会った、当社(旧東急リゾートサービス)の求人が入社したきっかけです。もともと自然が好きということと、地産地消の考えに基づき、その土地ならではの食材を使って料理をすることに興味があり、リゾートホテルならそれがかなうと考えました。

2004年春、初任配属は東急ハーヴェストクラブ箱根甲子園でした。

当時はまだオープンしたばかりの施設でした。そこで和食の懐石料理を9年間経験。入社当時はできないことも多く、慣れない仕事に辛いと感じることもたくさんありました。

だし巻き卵をうまく巻けなかったころは、早朝の調理場に行ってひたすら巻く練習をしていましたね。先輩方が出勤し仕込みが始まる前の、まだ空も暗いうちに調理場へ行き、繰り返し練習していました。

また仕事がどんなに遅くなっても、包丁は絶対に研いでから帰るようにしていました。そうして地道に努力を重ねるうちにできることも増えていき、入社して3年経つ頃にはどんどん仕事が楽しくなっていきました。

箱根甲子園の後、東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山の開業に伴いオープニングスタッフとして、4年間勤務しました。

熱海ではお客様の前でお寿司を握ったり、直接天ぷらのオーダーを頂いたりと、初めてお客様に接する仕事を経験しました。その中でお客様からご意見を頂くこともあり、そのことがきっかけでメニューを考えてみたり、頂いたご意見や自分のアイデアを上長に提案したりと、徐々に自分で考え行動するようになりました。自分自身でも成長したと感じましたね。

その後、2017年に東急ハーヴェストクラブ浜名湖へ異動し副料理長・料理長として勤務しました。

料理長はバイキングもコースもメニューをすべて自分で考えなくてはなりません。バイキングも朝と夜で変える必要があり、会員制ホテルという性質から、何度も施設にお越し頂くお客様にも楽しんでいただけるよう、2か月に一回コースメニューも変更するため、日々追われていましたね。

メニューを作成し、料理の写真撮影・レシピ作成をし、後輩たちがわかるように受け継いで、また次のメニューを考える。いつも頭の中はメニューづくりでいっぱいでした。悩んだ際は、今まで勤務していた施設の先輩にも相談をしました。料理人の先輩がたくさんいるのはとても心強かったですね。

パラオへのチャレンジ。異文化で一から作り上げるやりがい。

浜名湖で料理長を経験した後、2018年にパラオ共和国にあるパラオパシフィックリゾートで勤務することに。社内公募に手を挙げたのがきっかけです。

公募に手を挙げた理由は、社内コンクールで2度受賞し、受賞者としてパラオ研修へ行くチャンスが2回もあり、2回も行けるのはこれはきっと何か縁があるなと(笑)。

また初めてパラオに行った時、目の前に広がる海がものすごく綺麗で感動して。私は自然が好きなので、自然あふれるこの島も、パラオの人も大変魅力的でした。

だから社内公募が出た際、「英語は話せないけれど行きたいです!」と熱意を伝えて、チャンスを手にすることができました。

苦労したのはコミュニケーションです。パラオで一緒に働く人達はパラオ人とフィリピン人。英語は一緒に過ごすうちに聞き取れるようになったのですが、自分の想いをうまく伝えることができず……。日本ならではの繊細な盛り付けを伝えたり、また日々の働き方の面でも文化の壁を越え意思を伝えたりするのは、本当に難しいと痛感しました。

パラオではもうひとり、洋食の料理長が赴任しておりました。洋食と和食を提供する予定で、和食は私が担当する予定でしたが、オープンに向けて準備している途中に方針が変わり、結局フレンチレストランを洋食の料理長とふたりで担当することになったのです。

ここでは一からつくり上げる大変さ、面白さをたくさん味わいました。

入社してからずっと和食担当だった私も、洋食の料理長と一緒にメニュー開発を行う必要がありました。また料理を盛り付ける器の選定から始まり、それをパラオまで運んでもらうなど、レストランをつくり上げる一つひとつの工程は本当にやりがいがありました。

「パラオの観光地」をモチーフにしたコースメニューを考えることもありました。そんなときは休日に市街地や海辺で過ごす際も、頻繁に「これを料理でどう表現しようか」など考えていましたね。

パラオの観光地には、クラゲがたくさんいる「ジェリーフィッシュレイク」や顔に白い泥を塗る「ミルキーウェイ」とか色々と素敵な場所があるんです。現地の食材を使い、どのように見立てどう表現するのかなど、なかなか経験できない貴重な経験でした。

一年半程勤務した後、コロナの影響もあり日本に戻ることになり、2020年7月から京都鷹峯に異動しました。

チャレンジさせてくれる環境に感謝。これからは後輩にすべてを伝えて。

現在はお客様の目の前で、良い緊張感をもって鉄板焼きの仕事をしています。鉄板焼きは席が並びとなり緊張されるせいか、お互い会話をされないお客様もいらっしゃいます。

そのため、できるだけ柔らかい空気をつくり、楽しんで頂けるように意識しています。よりお客様に楽しんでもらうためにもっと身に付けたいことは、会話するうえでの言葉遣いや、教養です。

会員制ホテルということから、海外含め幅広い知識やご経験をお持ちのお客様が非常に多く、色々なお話をして下さるので、そこに対してもっと反応できる教養を身につけたいと思っています。丁寧な話し方はフロントの方の電話対応を参考にしています(笑)。

今はイタリアンを担当するようになり、和食では使わなかった調味料やハーブ等をすごく使うので、すごく興味が湧いています。ワインも勉強中です。仕事では挑戦したことがない料理を家でつくるようにしているため、創作意欲がどんどん膨らんでいます。最近は、タイ料理や、韓国料理などのエスニック料理をつくることが多いですね。

「良い食材をどう調理するか」というようなメニュー開発だけではなく、「自分でお皿を選び、こういう風に切って、盛り付ける」という一連の過程を考えるのが楽しいんです。いずれは現在の職場でも、もっと提案していける人になれたらと考えています。

この会社に入って17年経ちましたが、ホテルを職場に選んで本当によかったと思っています。ひとつのレストランで経験できることは限られますが、当社は全国さまざまなところに事業地があり、異動によりそれぞれの場所の食材に触れることができ、また違う料理ジャンルにもチャレンジすることができます。

また、パラオもそうですが、自分がチャレンジすることに対して「やってみなよ」と言ってくれる環境があるからこそ、長く働くことができているのだと思います。

自分が長く続けられるのは後輩がいるからだとも考えています。後輩が頑張っている姿を見ると、自分も頑張ろうという活力が湧いてくるんです。

だからこそ後輩には、自分ができることすべてを教えてあげたいですね。自分の可能性を大きく広げ、後輩に多くのことを伝えるようにすることも、私の大切にしたいことのひとつなんです。

私は異動によりさまざまな施設で、たくさんの先輩の料理を見て、学ぶことができました。これからも自身の幅を広げていくことで、お客様に幸せを味わって頂く時間を提供してゆきたいです。