これは、きっと“売れる”。「ヴァンパイア†ブラッド」に感じた可能性

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▲2019年でリリース7周年を迎えた「ヴァンパイア†ブラッド」

人間を滅ぼすために動きだしたヴァンパイアを、聖なる血を持つ者として従え、共存世界をつくり上げていく──。

美麗なキャラクターと重厚なストーリー、そしてカードを用いたリアルタイムバトルがその進行を彩ります。

個性豊かなヴァンパイアたちが織り成すダークファンタジーの世界観が楽しめる、カードソーシャルゲーム「ヴァンパイア†ブラッド」は、2019年、リリース7周年を迎えました。

システム開発や自社プロダクトを提供しテクノロジー分野で実績を積んできたテンダは、当初、開発を担当する協業パートナーという形で、ヴァンパイア†ブラッドに関わりました。

テンダのゲームコンテンツ事業部長である松下貴弥は、リリース当初からヴァンパイア†ブラッドの持つ世界観とコンテンツ力に可能性を見いだしていました。

松下 「カードソーシャルゲームというジャンルのゲームは多々あります。しかし、ヴァンパイア †ブラッドはヴァンパイアに特化した世界観を追求した点で、ほかのゲームと大きく違うと、開発を担っていたころから感じていました」

しかし、2014年。協業元が事業を撤退することが決定。「ヴァンパイア†ブラッドを守りたい」──。その一心で、テンダはライセンス獲得に踏み切りました。

松下 「ゲーム企画・デザインチームのメンバーがこだわってつくり上げたヴァンパイア †ブラッドの世界観は、ゲーム業界の中でも誇れるものだと思います。このコンテンツであれば、カードソーシャルゲームの土壌で戦えると信じていました」

交渉の結果、2014年12月にライセンスを獲得。テンダの新たな挑戦が始まりました。

コンテンツを通じ、ふたつのチームがひとつになるまで

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▲ヴァンパイア†ブラッドが大切にしているのは世界観とキャラクター。公式Instagramではモルちゃんというキャラクターが日々発信をしている

ライセンス獲得を経て、ヴァンパイア†ブラッドのプロジェクトチームがテンダの一員となりました。今まで別々の場所で運営や企画、デザインを行っていたメンバーが、同じスペースで机を並べて働くことになったのです。

松下 「体制が変わってもメンバーが入れ替わらなかったので、コンテンツを停滞させない点では助かったものの、問題は山積みでした。一番の課題は、“コミュニケーション ”でしたね。
『ちゃんと開発しろよ』と『いい企画つくれよ』のぶつかり合いと言いますか……メンバーが合流した当初はケンカが絶えませんでした。お互い別の会社の受発注の立場だったメンバーが隣の席にいるわけですから、最初から仲良くというのは、難しかったんです」

全員が同じ方向を向いて進めていくためにはどうするべきなのか。

そう考えた結果、松下は持ち前のリーダーシップを発揮し、双方の橋渡し役として奔走しました。

松下 「現場で起こる衝突のほとんどは、お互いの意思がうまく伝わらないことが原因です。ゲーム企画に携わる面々もエンジニアメンバーも、残念ながらコミュニケーションがあまり得意ではありませんでした。だからこそ、両者の想いを “通訳 ”したり、場を和ませたりすることを、とくに意識していましたね。
その中で感じたのは、お互い良いコンテンツをつくりたい気持ちは一致しているということ。その証拠に、議論を重ねていくにつれて、絆が深まっていくことを実感しました」

ヴァンパイア†ブラッドが持つ最大の魅力は、世界観とキャラクターへのこだわりです。その土台をつくりだしている企画・デザインチームと、実現する開発チーム。双方の協力がなければ、求めるゲームはつくり上げられないことを、お互いが理解していったのです。

松下 「ヴァンパイア †ブラッドのコアメンバーは、リリース時から変わりません。7年間変わらないメンバーでコンテンツをつくり続けられているのは、お互いを尊重し合うチームワークが徐々に育てられていったことの証なのではないかと思います」

ユーザーコミュニケーションへのこだわりは、テンダの想いでもある

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▲2016年には、ユーザーコミュニケーションの場づくりとして東京ゲームショーにも出展

新体制を整えながら、ヴァンパイア†ブラッドは少しずつ成長を続けました。2社協業という形で進めていた時代には難しかった配信プラットフォームの拡大も、急速に進行することができました。それにともない、登録者数は4倍に。ダウンロード数も大きな伸長を見せました。

その背景には、もうひとつテンダが大切にしてきたものがありました。

松下 「ユーザーコミュニケーションを丁寧に、大切に行う意識を、チームで持つように働きかけました。たとえば、ユーザーに伝える告知が読みやすいかどうかは、ユーザーに対する配慮のひとつです。不具合が発生したときの対応のスピードや進捗の報告に関しても、誠意を伝えるためには欠かせません。
そういった一つひとつの対応の重要性を、チームメンバーに伝えていきました」

ゲームデザインやコンテンツに関しては、満足度の高いものを提供できていたヴァンパイア†ブラッド。その魅力をよりいっそう揺るぎないものとしてユーザーに届けるためには、ほかの面でのケアも必要だと松下は考えたのです。

松下 「テンダは、お客様の利益創造に貢献する──。これは、テンダが大切にしていることであり、私が入社を決めた大きな理由のひとつでもあります。
だからこそ、ヴァンパイア †ブラッドのチームでもその理念をベースに、ユーザーの皆さんを大切にしたかったんです」

こうした努力が実り、ヴァンパイア†ブラッドは、2015年3月、ヤマダ電機のゲームプラットフォーム「ヤマダゲーム」で、月間ランキング1位を獲得します。

以降、その座を2019年現在まで譲ることはありません。社内チームの絆と、ユーザー第一の想いがその地位を不動のものにしているのです。

IT領域を包括する企業がゲームコンテンツを通じてできること

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▲システム開発に強みがあるテンダ。2019年10月には本社を移転してさらに挑戦の幅を広げている

2019年現在、テンダはヴァンパイア†ブラッドをはじめとした自社タイトルを展開。ゲーム事業も主軸事業のひとつとなっています。

松下 「テンダは技術者が豊富なので、幅広いコンテンツに対応できる会社です。一方で、システム開発のイメージが強いため、ゲーム事業を展開していることはそう広く知られていません。
このポジションを生かせば、今までゲームコンテンツに興味関心のなかった企業様に、ゲームの魅力を伝える役割も果たせると考えています。
自社タイトルのほかにも、ゲームの企画提案や開発、プロモーションなどを行っていく中で、まったく違う業種からゲーム事業にチャレンジした企業様が、ゲーム事業を主軸にできるほど大ヒットした事例もありました。
テンダだからこそできる出会いをつくり、企業様とゲームコンテンツの交点を探していきたいですね」

ゲームはIT領域の中でも、最先端の技術を生かしたコンテンツ開発に挑戦できる側面を持ちます。システムの開発に取り組むテンダは、次なる挑戦の幅をゲームを通じて広げることもできるかもしれません。

ユーザーの視点に立ち、チームと結束しながら編み出した、ゲームコンテンツとシステム開発の交点。ヴァンパイア†ブラッドの成功をもとに、テンダは次の挑戦に向けて歩み始めています。