リモートワークにおけるコミュニケーションの要は「雑談」
テックファームでは、コロナウイルス感染拡大前より在宅勤務が推奨されていました。そのため、これまでも在宅勤務を取り入れながら仕事をしてきたメンバーもいれば、在宅勤務を初めてするメンバーもいるため、在宅勤務に対する経験値が社員によって大きく異なります。
その経験値の差を埋めるためにも、メンバーとのコミュニケーションでは、「雑談」を大事にしています。
メッセージの文章も、真面目に話す話題とラフに話せる話題で文章の雰囲気を変えています。たとえば、チャットツールで絵文字を入れたり、やわらかい口調で書いたりして、会話のハードルを下げる工夫をしています。リモートワークで常に硬い文面だと、受け手も気が抜けなくてツライですから。
とはいえ、リモートワークを始めたばかりのころは、「会話が大事だ!」という想いから一生懸命話したものの、PCの画面越しでは思ったほど反応がなくてちょっと悲しかった……なんてことも。なので、今は雑談を大切にしながら押し売りしないよう、メンバーの様子を見つつお互いに話しやすい関係をつくっています。
また、リモートワークではメンバーがさまざまな環境下で働いているので、お互いに理解できる工夫も大切だと考えています。
たとえば、私は未就学の子どもがいますが、今のプロジェクトは子持ち家庭のメンバーがゼロなので、子どもがいる中で仕事をする状況を細かく説明しました。妻と私が勤務時間をずらして対応していますが、その辺のタイムスケジュールの公開もしました。
あとは、「子供が割り込んで仕事が難しい」、「急遽、公園へ連れ出したいので〇分中抜け」、「家庭優先とさせてほしいので早めに業務終了します」など、細かいことでも共有や相談をしています。そのおかげで、大きなトラブルもなくプロジェクトを進められています。
理解してもらう努力も必要ですが、理解してくれたメンバーにも感謝しています。
“共感”と“やってみせる”ことが、メンバーの成長を後押しする
私は、仕事での挑戦や成功を極力拾ってあげて、できれば達成感も共感してあげたいんです。同じオフィスにいればさっと声掛けできますが、リモートではそうもいかない……。だからこそ、要所で感想を“文字で伝える”といったリモートならではの工夫をしています。
簡単なことですが、気持ちを文字にすることで、本人がどう思っている(うまくいった、うまくいかなかった)のか具体的に知ることができるんです。メンバーの気持ちを少しでも知ることで、「あれは良かったよね」という共通の話題でメンバーとの距離も縮まりました!
また、メンバーが未経験の仕事をするときは、まず、「自分がやってみせる」というやり方を取り入れています。
未経験の仕事をするとき、何から手を付けたら良いのか、どうやって進めたら良いのか困りませんか?私も困った経験があるので、技術的なもの以外のミーティングや顧客調整など顧客折衝に関する部分では、このやり方をすることが多いです。
Web会議で「オーディエンスとして参加してね」と言えば参加ハードルも下がりますし、自分のやり方を見せる機会も増やせるので、なるべく参加してもらい、ファシリテートの仕方や課題の整理を見て勉強してもらえる機会を多くつくっています。
自分がやってみせた上でお題を与えて、同じようにできるかをトライしてもらった結果、メンバーの方から自発的に理由を考察して分析するアクションを取ってくれることが多くなりました。
こんな風に“共感”と“やってみせる”を意識して、嬉しかったエピソードがあります。若手メンバーと仕事をしていたとき、そのメンバーから「松本さんのやり方を見ていて、協力会社さんやお客様との接し方ですぐにでも真似できそうなことが見つかった。実践で取り入れていきたい。」とコメントをもらったんです。
自分が心掛けてやっていることが、日々一緒に仕事をしているメンバーにも伝わっていたんだなと驚きました。自分の振る舞いを見せることが大事なのだとあらためて気付いた瞬間でした。
「自分で考えて決める・進める」ための土台づくり
メンバーをフォローするときは、「自分で考えて決める・進める」というプロセスが損なわれないように、手を差し伸べ過ぎないことを心がけています。
手を差し伸べ過ぎないといっても、リモートワークだと、進んでいるのか、止まっているのか、悩みがあるのかないのかが捉えにくいので、相談しやすい環境をつくってあげることを第一にしています。
たとえば、私にきた連絡へのリアクションは「漏れなく、早く」を基本にしています。リモートで顔が見えない相手とのやり取りで反応が無いと、途端に難しさを感じることはありませんか?だからこそ、近くにいるような「聞きやすさ」「話しやすさ」を私は実現したいんです。
すぐに答えられなければ、リアクションアイコンだけでも押すか、「今は無理だけど、後で返信するね」などのメッセージを送ります。
ほかにも、「ここはきっとつまずくはずだ」と思い当たるポイントについて、とくに何も反応がなかった場合は、極力、様子を確認するようにしておくなど……。相手の行動が見えない分、こちらから″つつく”というのを大事にしています。
また、任せた仕事の「ゴール」が何かをしっかり共有して、相談しやすい環境にしています。期限やアウトプットなどのゴールを具体的にするほどそれを目指そうと動いてくれますし、ゴールを共有して、一緒に取り組んでいる感もつくれれば相談しやすさにもつながります。
とくにリモートワークでは文章でやりとりすることが多くなるので、ゴールを見返せるのはメンバーにとってもメリットです。一方、文章だけでは伝わらないことも多いので、少しでも話がかみ合わないなと思ったら、すぐにWebをつなぎ、意思疎通を図ります。
「若手だから」、「経験が浅いから」といって任せることに過度な制限をつける必要はないと思っています。問題があればフォローできるように状況把握する必要はありますが、本人に任せた方が、良い経験になって成長できたというケースがこれまでも多いです。
Afterコロナに向けて——新しい仲間を迎え入れる環境づくり
テックファームでは、通常のプロジェクト以外でもさまざまな取り組みを通じて、この非常事態をピンチではなく、チャンスと捉え、積極的に向き合っています!
たとえば、社員の健康状態を維持する活動として、社内オンラインフィットネスや保健室のオンライン化衛生講話を実施しているほか、全社員に向けてマスクや野菜の配布などを行いました。
また、ビジネス支援活動として、グループ会社We Agriと共同で開発した大田市場・仲卸初のD2Cサービス「大田市場直送.com」や、株式会社ノムノとキッコーマングループのサービス「WINE BLEND PALETTE」と共同で立ち上げた「WINE KEEP」プロジェクトも始めました。
そのほかにも、社内セミナーや新卒研修のオンライン実施や、在宅勤務手当の支給、中途新入社員受入れの完全オンライン化や遠隔操作ロボットでバーチャルオフィスツアーなどにも着手しています。
もちろん、社員同士、顔を合わせて仕事をすることの良い面も沢山あります。しかし、今回のように想像していなかった非常事態に備え、自分の働く場所や時間にかかわらず、高いパフォーマンスをチームで発揮できることは、変化の激しい今の時代には必要なことでしょう。
今までの通常=「会社に出社して働く」から抜け出し、「どこにいても仕事ができる」という体制に変化することは社員の人生の選択肢をより広げ、場所や時間の制約でできなかったことができるようになる絶好の機会。
だからこそ、現在のような状況下でも、チームマネジメントのノウハウを蓄え、タスク管理をうまく行えることが、Afterコロナのときに、働く場所に関わらず多くの仲間を迎え入れることにつながると考えています。
今後もトライ&エラーを繰り返しながら、この状況を受け入れ、前向きに楽しむことで、新しい自分の発見や、新しい仲間に出会えることに期待しています。