動画コンテンツの勃興期。学生としてネットワーク研究に勤しんだ

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▲ 大学院時代、発表登壇する田中

エンジニアになると決めたのは、大学に進むタイミングでした。明確に「 こんなサービスをつくりたい」という想いはなかったものの、日々の暮らしを良くする というか、QOLを向上させるような世の中の情報インフラをつくることに関わってみたいと思ったのがきっかけです。

大学では情報工学を専攻していました。また大学に進学する前から、大学院に進むことも決めていました。リーマンショックといった社会背景にも影響を受けたのかもしれませんが、自分の将来を考えていく上で、専門性のある技術や知識を強みとして 持ちたいと思っていました。それが大学院で工学研究科に進んだ理由です。

大学院進学後、そこで出会った教授は社会人も経験されていらっしゃり、一般教養 の面でも社会性がある方でした。大学院では専門性だけではなく、社会に関わることの重要性や楽しさも学ぶことができました。

大学院では自分でテーマを決めて研究します。身近な研究に関わりたいと思っていた僕は、情報ネットワークの研究室に入り、ツリー型ネットワーク構造を研究していました。具体的には動画ストリーミング配信の手法を研究していました。昔は今ほどネットワークの帯域が広いわけでもなく、サーバのスペック自体も良くなかったので、動画配信などをいかに低遅延、低負荷でできるかということを研究していたんです。

当時は動画配信方式がストリーミング主軸ではなく、世の中の流れとしても、ちょうど動画コンテンツが出てきたころだったので、研究テーマとしておもしろそうだと感じて取り組みました。

また、自身の研究だけではなく、学部生の研究の手伝いもすることもありました。そのときにメンバーに指導する、ということも経験したんです。

研究テーマがネットワーク系だったこともあり、就職先はインフラに関わることができればいいなと思っていました。ですが、新卒で入社した会社の初めての配属先は、タイミングもあり、希望した案件への配属はかないませんでした。

僕はもっと、チームで仕事がしたい

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▲ 大学院、研究室のみんなと

就職軸としていろいろな技術に関わりたいと思っていたので、希望していたインフラ への配属はかなわなかったものの、自分の知らない領域に携われることはとても楽しかったです。やってみなければ、合う合わないはわかりません。実際に仕事にふれて、自分に向いている仕事をやりたいと思っていました。

入社してから、規模が大きい案件やアプリも経験してきました。ソフトウェア開発に関わったのはこの会社での経験が初めてでした。とても優秀なエンジニアの方にOJTについてもらっていたこともあり、やはり技術を学ぶこと、いろいろなことを経験できることがおもしろかったです。

今まで知らなかった業界の知識や組み込み系のことが身につくなど、領域は広く担当できていました。ただ、4年経験していて自社よりも他社と人とのコミュニケーションが増え、自社に知っている人も少なくなっていました。

常駐あるある話かもしれませんが、帰属意識というものですかね。いったい自分はどこの会社の人間なのか、だんだんとわからなくなってきてしまいました。

もちろん、さまざまな環境で仕事ができる楽しさや、やりがいがあったのも事実ですが、ひとりで常駐しているときに、「僕はもっと、チームで仕事をしていく方が自分の成長につながるのではないか」と思ったのが、転職を考えるきっかけになりました。

転職先では自社内で開発ができることや、もっと上流を経験したいと思っていました。そして、上流だけではなくワンストップでサービスを提供できる環境に身を置きたいと思いました。自分がすべての工程を担当するわけではないものの、エンジニアとして、すべての工程を知った上で仕事をしていきたいと思っていたからです。

テックファームは、上流工程も経験できる環境だったことも大きいですが、最終的な決め手は「人」だった気がします。面接でお会いした面接官の方々と一緒に働きたいなと思いました。

当時のことを鮮明に覚えているわけではないのですが、今振り返ってみると面接の中でも会話を楽しむことができたなと思います。中途なので、技術的なスキルについても聞かれているのですが、人となりを見てくれている感じがあって嬉しかったですね。

裁量が大きい環境では、自分を分析することが大事

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テックファームに入社した時は、自分がどれだけできるのかわかっていなかったこともあり、業務を抱えすぎてしまって失敗したこともありました。

入社2カ月目に4つの案件を並行して担当することになり、案件ごとに役割もPG、SE、PMと、すべて違ったんです。僕は好奇心が強く、自分に回ってきたものはすべてやってみたくなる性格で、また自分でどれだけできるかチャレンジもしたかったので、途中で放棄はしたくありませんでした。それに、これらの仕事は自分で手を挙げたものだったので。

ただ、案件の数が複数ある上に、それぞれ役割が違うことで、頭と気持ちの切り替えが大変でした。ひとつの案件に取り組んでいるとき、別の案件の進捗が気になってしまうこともあり、集中できないことも多々ありました。

まだ自分のキャパシティが理解できていなくて、仕事量がコントロールできなかったのです。最終的に限界が来る前に、正直にできないと上司に相談し、プロジェクトの数を減らして自分ができる範囲を進めることになりました。

テックファームでは裁量が大きく、自分でやりたいと言えばできる環境ではあります。でも、その中で自分を分析することが大事なんですよね。入社してすぐの自分にはできていなかったです。今、PMの立場で業務を振り分けることもあるのですが、やはりできないことはできないと言ってもらえることが大事だなと思います。

今、一番やりがいを感じている部分は、お客様と密にコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進められていることです。それから、直請けならではかもしれませんが、サービスに自分の想いも反映されていると感じることがあります。

今の案件を担当しているお客様から、「田中さんがおっしゃるならそうしましょう」と言われたことがあります。僕だから、という言葉を聞いたときは、信頼関係ができているからこそだと思ったので、とても嬉しかったですね。

また、自社内に仲間がいるのはやはり心強いですね。社員も多くなってきていますが、顔も名前もわかるし、ほかのプロジェクトがどんな技術を使っているのかなど聞くと、おもしろいし勉強になります。

前職のときは、なかなか自社内で交流を深めることは難しい環境だったので、テックファームに転職してきてから、新卒メンバーや中途で入社した方には積極的に声をかけています。意識的にやっているのかもしれないです。

僕が入社してきたときは同期もいませんでした。そういうときに声をかけてくれるメンバーの存在は、やっぱりありがたいですよね。少しずつ知り合いが増えれば、困ったときに相談できる相手もできるので、とくに新しく入った方や、若いメンバーには声をかけるようにしています。

いいチームづくりの秘訣は、感謝を伝えること

テックファームに入社するとき、自分は将来的に技術を専門とするよりも、プロジェクト管理などの領域を広げていきたいと思っていました。

今、PMをやっている上で、メンバーには開発しているときにも、いい雰囲気の環境でしてもらいたいと思っています。独りよがりではなく、精神的にも落ち着いて開発できるようなチームにしていきたいです。メンバーのモチベーションを保つことはとても難しいなと思いますが、各作業においても、なんのために今やっているのかの意味づけをしてあげながらフォローしています。

また、一番大事にしているのは感謝を必ず言葉で伝えることです。自分がいっぱいいっぱいになってしまっていると、感謝が伝えられない状況になってしまうので、その状況はつくらないようにしていきたいですね。感謝を伝えることは、当たり前のようで、なかなか言葉にして伝えるのは難しいことだなと思っています。

もちろん個人としても、技術的に新しいことにも取り組みつつ、領域を広げていくことを目標にしていきたいですね。