就職活動を行うとき、「どんな仕事をしたいか」を考えてみる方が多いでしょう。しかし、考えてみても思いつかなかったり、興味のあることはあっても、本当にそれを仕事にして良いのかと悩んでしまったりという方もいるのではないでしょうか。
そうなると、就職活動の足がかりになるものが掴めずに、なかなか就職活動が始められないことも。
しかし、社会人として働いている人の中にも、やりたいことが見つからずに思い悩んだ経験がある人はたくさんいます。本記事では、就職活動でやりたいことが見つからないときどんなことに取り組んだら良いのか、また実際に悩んでいた人たちはどんなふうにやりたいことを見つけたのかをご紹介します。
就職活動中にやりたいことが見つからないときどうする?
就職活動をはじめるときににやりたいことが見つからない場合、まずはどんなことに取り組むのが良いのでしょうか?一例をご紹介します。
・自己分析/他己分析
まずは、自分のことを知ることが大切です。自分の歴史を振り返り、特徴的なエピソードを書き出したりモチベーションをグラフ化したりすることで、自分がどんなときに嬉しいのか/悲しいのかを視覚化することができます。また、長所や短所、長所が活かされた出来事などを考えてみることで、自分に合った仕事を見つけることができるかもしれません。
そして、自分だけの視点にとらわれることなく、周囲の家族や友人に長所や短所、また自分がどう見えているのかを聞くことで、自分では発見できなかった自分自身の魅力を知ることもできます。
自己分析や他己分析からわかった、自分が嬉しい、楽しいなどポジティブな感情が抱けそうな仕事や職種、自分の得意なことが活かせそうな仕事や職種を調べてみると良いでしょう。自己分析に特化した書籍や、自己分析ツールもあるので、気軽に試してみてください。
・好きなこと、興味のあることを深掘りする
好きなことを仕事にしている方や、興味があることを仕事にして専門性を高めたという方もたくさんいます。もちろん、趣味は趣味のままにしておきたいという方もいるかと思いますが、そこから派生してやりたい仕事が見つかるかもしれません。
具体的な対象がなくても、「ものづくりが好き」「人と話すのが好き」や「新しいことが好き」といったこともヒントになります。また、注目されている業界、成長している業界に興味を持ち、深掘りをしていくというのも一つの手です。
・どんな環境で働きたいかを軸に考えてみる
自分がやりたい職種や仕事が見つからない中でも、自分がどんなふうに働きたいのか、どんな環境で働きたいのか、どんな人と働きたいのかといった点から業界や職種を調べてみるのも良いでしょう。「海外で働いてみたい」や「チームで成果をあげる仕事」、「地元で働きたい」という視点で考えることもできます。
・大学で学んだことや資格を軸に考えてみる
大学で学んでいたことや、持っている資格を軸に職種や業界を考えてみるのも良いでしょう。学んでいることや資格が直接仕事の役に立つこともありますし、研究の過程での経験が仕事に役立つこともあります。また、ゼミや研究室の先輩たちがどんな業界や企業に就職したのかを知ることも、ヒントになるでしょう。
・就活生のコミュニティや就活イベントに参加してみる
大学の友人やアルバイト先の仲間など、身近な就活生同士では相談しにくい、というケースもあるでしょう。そんなときは、他の大学の就活生が集まるコミュニティに参加してみたり、就活イベントに参加することで、情報収集をしてみるのはどうでしょうか?
・やりたくないことを考えてみる
やりたいことが思いつかないのであれば、逆にやりたくないことを考えてみるのも一つの手段です。就職活動を進める中でも大切な視点になるため、早い段階で整理しておくと良いでしょう。
就職活動でやりたいことが見つからなかった先輩たちの解決方法
足がかりになるヒントをご紹介しましたが、学生時代や就職活動の段階で「やりたいことが見つからなかった」という先輩は、どのようにやりたいことを見つけたのでしょうか?企業で活躍している先輩たちの声をご紹介します。
※掲載内容はストーリー公開当時の情報です。
▶︎株式会社エスプール
事業内容:人材派遣/人材アウトソーシングサービス、障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、セールスサポートサービス、採用支援アウトソーシングサービス、広域行政BPOサービス、プロフェッショナル人材バンク、環境経営支援サービス、台湾向け越境ECサービス
・やりたいことを見つけるために取り組んだこと
様々なことに興味があり幅ひろい経験を積んできた北村さんは、“学チカ(学生時代に力を入れたこと)”や自己PRで周りを驚かせる経験や成果はなかったという。そんな北村さんの就職活動は、視野を広くすることに重きが置かれていた。
北村 「合同説明会などのイベントに多く足を運び、業界や規模は特にこだわらず様々な企業を見ていました。やりたいことが決まっていなかったこともあり、ビジネスゲームやグループディスカッションが行えるイベントに何度も参加して楽しんでいましたね。そこで偶然エスプールにも出会えたんですよ」
偶然の出会いから、最終的には入社へと至った北村さん。その決め手は、就職活動における軸をすべてを満たしていたことだった。
→ストーリー:入社2年目で新卒採用担当に。若手でも安心して挑戦でき、さまざまな場数を踏める環境
▶︎株式会社デンソー
事業内容:自動車技術、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカー
・やりたいことを見つけるために取り組んだこと
西尾さん 「物理を学ぼうと関東の大学の機械工学科に入学したものの、初年度の講義は数学や化学などの基礎教養科目が中心。自分が想像していた学習内容とのギャップに耐えられなくなったんです。
自分が将来何をやりたいのかを考えるために、半年間の休学を選択。大学を辞めて自分で生計を立てていこうとも考えていました。ですが、休学して得られたのは、自分にはまだ“何もない”という気づきでした。(中略)
結局、自分を磨くためにもう一度大学に行かせてほしいと親に謝って、大学2年生から再スタートを切りました。それからは、何をするにしても、『なんとなく』で進めるのではなく『なぜ必要なのか』を自分なりに納得して行動できるようになりました。早い段階でそれに気づけたことは、本当に良かったと思います。あの休学がなかったら、今の自分はなかったと思いますね」
→ストーリー:若きリーダーの苦悩と成長。自分と向き合い、相手に寄り添うことで気づけたこと
▶︎株式会社ライフワークス
事業内容:企業向け研修、キャリア開発支援に関するコンサルティング、各種講演・セミナーの企画、開発、運営
・やりたいことを見つけるために取り組んだこと
菊地さん 「私は、新卒の就活で大きな壁にぶつかりました。当時は将来のことを全く考えておらず、周囲に流されるままに就活を行いました。志望した企業からは内定をもらえたものの、もしかしたら社風や働く環境という面で自分には合わない部分があるかもしれないと感じていました。でも、私の父や祖父は『働くことは耐えることだ』という価値観が強く、そうした環境で育ってきた私は、そういうものなのだろうと捉え、内定を承諾しました。
しかし、いざ入社が迫ったとき、『耐える』気持ちのまま、働く時間を過ごしたくないと強く思い、家族からの猛反対を振り切り、内定を辞退することに。そして思い切って1年間の休学を選択し、本当にやりたいことを見つけようと決心しました」自分がやりたい仕事はなにか──あらためて分析し直した菊地さんは、大学の授業で「モノがどうすれば売れるのか」について学んだときの楽しさを思い出します。そこで、記事広告の制作・運用を手がける会社でインターンとして働き始めます。
→ストーリー:「働く」を楽しめる人を増やしたい。迷いや葛藤の末に辿り着いた、ライフワークスという舞台
「やりたいことが見つからない」。そんなときに読みたいストーリー
やりたいことがないと悩んでいたとき、周囲の人からアドバイスをもらったという先輩たちや、自身の経験を元に就活時点では「やりたいことがなくてもいい」とアドバイスする人も。そうした方々の声もご紹介します。
※掲載内容はストーリー公開当時の情報です。
▶︎株式会社リクルートスタッフィング
事業内容:人材派遣、人材紹介(紹介予定派遣)、アウトソーシング
佐伯さん 「リクルートスタッフィングに入社するにあたり、唯一不安だったのは『私は絶対にこれがやりたい!』という『WILL』がなかったこと。リクルートグループでは、従業員一人ひとりの『WILL』──仕事を通じて何を実現したいのか、をとても大切にしています。私は強い意志を持って人材業界や営業職を選んだわけではなかったので、その点をコンプレックスに感じていたんです。
そんなとき、当時のマネジャーがこんな言葉をかけてくれたんです。『無理に“WILL”を持たなくてもいい。ここで得た経験やスキルを活かしながら、自分が本当にやりたいことをじっくり探すというキャリアの選択肢もありなんじゃない?』と。
その言葉にハッとしました。思えば私は、これまでの人生でも明確な目標に向かって努力してきたというよりは、『これが好きだな』『こっちのほうが向いていそうだな』と直感した方向へ進むことで自分のキャリアを積み重ねてきたタイプです。(中略)
自分の中に明確な『WILL』がなくても、それを見つける過程を楽しめばいい。そう言ってくれたように思えて、今後のキャリアに対して、すごく前向きになれたんです。役員との面接でも『この会社で成し遂げたいことはまだ見つかっていないけれど、成果を発揮して貢献していきたい』と等身大の言葉で自分の思いを伝えることができました」
→ストーリー:未経験でも、「WILL」がなくても、前向きにキャリアを積み重ねられる環境がある
▶︎株式会社セレブリックス
事業内容:
■セールスカンパニー
研修をはじめとする営業組織の仕組み作りやコンサルティング、最新のITを活用した、組織の生産性を高める営業クラウド化支援、営業のプロが顧客に代わり営業活動を代行するセールスアウトソーシング、Webプロモーションを活用したインバウンドマーケティング
■HRカンパニー
<販促支援事業(BtoC)>各種サンプリング(街頭、店頭、オフィス訪問)、各種キャンペーン、ユーザー獲得業務 等
<採用支援事業>採用コンサルティング&アウトソーシング
<スタッフィング事業>コンビニエンスストアに特化したスタッフ派遣サービス
松澤さん 「私は今、若い人々に対して、『計画的偶発性理論 』を伝えていきたいと思っています。
私がなぜこの考え方を重要視しているか、理由はふたつあります。ひとつは、未来予測が非常に難しいVUCAの時代だからです。現代においては、予測したことがその通りになることはほぼありませんから。
そしてもうひとつは、社会に出ていない段階で『将来こうなりたい』という像を具体的に描く行為自体が非常に難しいから、です。稀に具体的なイメージが出来ている方もいらっしゃいますが、多くの方はイメージできていませんし、それはおかしなことではありません。
先の見えない現代では、『自分が何をしたいか』よりも、後から状況に適応していくことでより良いキャリアをつくっていけるのです」
→ストーリー:キャリアプランはなくていい?営業一筋のプロから学ぶ「計画的偶発性理論」とは
▶︎株式会社ダーツライブ
事業内容:エンタテインメントサービス及び関連機器の開発、販売、運営
齋藤さん 「これから社会へ出ていく新卒の方に伝えたいのは『すぐにやりたいことを見つけなければならないと焦る必要はない』ということです。
同級生には優秀な人がたくさんいたので、在学中から大きなデザイン案件に携わっていたり、社会人になった後も海外で仕事をしていたりと、劣等感を感じることが多々ありました。 しかし、今となっては必ずしも周りと自分を比較する必要はなかったのかなと思います。
『こうしたら良いのではないか』、『こうしてみたい』という小さなことでも、ゆくゆくは自分のやりたいことにつながっていくと感じます。それらを積み上げていくことによって、やりたいことが見つかる人もいるので、焦る必要はないと思うのです」
→ストーリー:就活で「やりたいこと」が分からなくても大丈夫。入社10年目、働きながら見つけた充実と自信
▶︎日鉄物産株式会社
事業内容:鉄鋼、産機・インフラ、食糧、繊維その他の商品の販売及び輸出入業
齊藤さん 「そこで、日鉄物産ではカジュアル面談という形で、当社に興味のない学生でも選考関係なく気軽に質問や話ができる場を用意しています。これは、学生に寄り添い、ありのままをさらけ出せるようなイベントとして、自分が企画しました。(中略)
この企画を通して、『やりたいことを無理に探さなくても良いよ』と伝えたかったんです。やりたいことがない学生は、多いと思っています。実際に仕事をしたことがなければ、仕事について考えても、イメージするのは難しいんじゃないでしょうか。
だから、まずはどんな自分でありたいのか、なりたいのかを考えてほしいです。仕事は人生を豊かにするためのツールであって、人生は幸せであることが一番だと思います。自分がどうなれば幸せなのか考えた上で、仕事の選択をしてくれればと思います」
→ストーリー:やりたいことを無理に探さなくても良い──新卒採用を担当する若手社員が伝えたいこと
やりたいことを探したり、就職活動の情報収集をしたりするヒントは見つかったでしょうか?しっかり自分の軸を定めた上で、就職活動をすることは、就職後のミスマッチを減らすことにもつながります。働く人のストーリーを通して、ぜひ就職活動のヒントや理想の姿を見つけてみてください。
【参考リンク】
・就活の軸・企業選びの軸はどう決める?──先輩たちが掲げた「就活の軸」事例──
・【特集】100年に一度の変革期 モビリティ×ITエンジニア
・【特集】グローバルに働く
・【特集】ワークライフバランス
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