人生100年時代といわれている現代。2000年の老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げや今年10月に実施される後期高齢者の窓口負担割合の見直しなど、さまざまな部分で変化が起こっています。その背景にあるのは、平均寿命が伸びる一方で、少子化が加速し、シニア世代を支える世代が少ないという問題です。

それはビジネスの現場においても同様で、企業の中でも働き手が不足したり、後継者がいないために廃業を選択したりと、社会問題の一つにもなっています。また、定年退職をしたシニア世代の方々も生活をする上では厚生年金だけではない収入が必要になるケースもあります。そういった状況を打開し、経済社会の活力を維持するために、2021年4月に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正されました。

シニア世代の人材活用については人事の方々だけではなく、共に働く方がいずれ該当することも多いにあるでしょうし、働き盛りの方々にとってもいずれ向き合うべき問題となります。そこで本記事では、企業におけるシニア世代の活躍の実態と、実際の取り組みについて紹介していきたいと思います。

【この記事でわかること】
・2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正内容
・大手法人の高年齢者雇用安定法の改正への対応
・シニア人材の活躍に向けた制度やソリューションの事例

2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正内容とは?

2021年4月1日に改正された高年齢者雇用安定法ですが、次の項目のいずれかの措置を講ずるように努めることが求められています。

(1)70 歳までの定年の引上げ
(2)定年制の廃止
(3)70 歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
   (特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
(4)70 歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70 歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
    a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
    b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

出典:厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

こうした制度の導入により、個々の労働者の多様なニーズを踏まえ、70歳までの就業機会の確保をするのです。

法改正から1年。どれほどの企業が対応できているのか?

こうした法改正に対して、企業はどれほど対応が進んでいるのでしょうか?

株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区)は、統合人事システム「COMPANY」のユーザーである大手法人を対象に、2021年4月の高年齢者雇用安定法改正に準じた対応、および50歳以上のキャリア形成に向けた準備や取り組みに関する状況調査を実施。大手法人における雇用制度の状況や課題感、今後の取り組みについての調査結果を発表しています。

同社の調査によれば、法改正に伴って、新たな制度を取り入れたり、変更したりという対応を行った法人は約3割に止まっており、約7割の法人は未対応という結果になりました。

また、何らかの対応を行っている法人の対応内容の内訳としては、再雇用や勤務延長制度等の70歳までの継続雇用制度を導入した法人が26.7%、70歳までの対応を行う前に65歳までの内容の拡充を行った法人が4.4%、70歳以上への定年引上げを行った法人が3.3%、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度を導入した法人が2.2%という結果になっています。

このように、なかなか制度の導入などに至らないケースが多いようです。その背景には、「対象者の報酬水準」、「対象者のモチベーション」、「人件費の高止まり」といった課題があることが、調査から明らかになりました。

また、定年以降の継続雇用についても同様の課題があるようです。

継続雇用、もしくは定年後の再雇用になった場合、仕事内容が変化したり、責任の重さが変化したりするケースもあります。そうなった場合、対象者のモチベーションを維持したり、給与等の報酬を決める際に苦労があるのでは無いでしょうか。

シニア人材活用の今後の展望は?

課題は多いものの、今回の調査に回答した法人のうち、6割以上がシニア層の継続雇用に意欲的であるという結果も出ています。

シニア層には長年のキャリアで培ってきた知見やスキルがあります。それらを仕事に活かし、そして後進へ伝えていく。そうすることで、企業としても業務の安定化を図る狙いもあるのでしょう。

シニア世代にも活躍の場を。課題解決に向けて進む企業の取り組み

同社の調査では、再雇用や勤務延長制度等の70歳までの継続雇用制度、70歳までの対応を行う前に65歳までの内容の拡充、70歳以上への定年引上げ、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度などの具体例があがりましたが、世の中ではどのような動きがあるのでしょうか?

▶︎VFR、「75歳就労制度」導入でシニア人材活用を推進

シニア人材獲得のため会社の定年制度を60歳から65歳まで引き上げ、最長75歳まで働ける定年後再雇用制度を導入

▶︎シニア人材紹介のシニアジョブと建設技能者紹介の全国建設請負業協会が提携

建設業界でシニアの施工管理技士の仕事紹介実績が豊富なシニアジョブと、一般の企業では禁止されている建設現場作業をともなう建設技能者の紹介を厚労相によって認可されている全建が協力関係を結ぶことによって、シニア建設技能者の就業活性を図り、建設業界の人材不足解消や技能承継の促進に寄与

▶︎業界初※定年退職者向け福利厚生サービス シニアism.™サブスクサービス開始/話題の男性シニアメイクアップ・スタイリング講座から

毎年100万人に及び定年対象者の「働きたくても働けない」「地域参画したくても参加することができない」といった60%以上にも及ぶ声を社会課題と捉え、シニアのニーズに応える形でシニア ism.™(シニアの流儀)プログラムとして美容・ファッション・料理などのパーソナルライフや地域参画やボランティアやメタバースなどのソーシャルライフのカテゴリーのサブスク企画を今後展開

▶︎自動車整備事業者とシニア人材を繋ぐための支援サービスを始動

業界内でのコネクションを活かし、シニア自動車整備士の雇用支援や自動車整備事業者さまとのマッチングサポートを行う

またシニア人材の活躍に対して、熱い想いを持っている方々もいます。実際にシニア世代で活躍している方のストーリーと共にご紹介します。

▶︎ボッシュ株式会社

👉定年退職後も今まで培った知識や技術、経験を有効に活用してもらうため、2010年に始まった社内外への人材派遣制度「ボッシュ マネジメント サポート(BMS)」

ストーリー:ボッシュのシニアに特化した人材派遣。定年後も働きがいのある環境を提供

▶︎大和ライフネクスト

👉高齢者の積極的な採用・登用

ストーリー: マンションと、その周辺の安心な暮らしを──人命救助から生まれた現場スタッフの想い

▶︎ビレッジハウス・マネジメント株式会社

👉高齢者の積極的な採用・登用

ストーリー:デジタルツールでコミュニケーション改善!シニア世代活躍の秘訣は、やりがいにあり


まさに今、シニア世代のさらなる活躍に向けて、社会は変化の時を迎えています。人生100年時代は他人事ではなく、いずれ通る道でもあります。企業の実際の取り組みを、自社におけるシニア世代の活躍やご自身がキャリアを歩む際のヒントにしてみてはいかがでしょうか?

また、特集企画「シニア活躍」では、定年より以前、50代以降の方々の活躍に関するストーリーもご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。