金融業界と聞いて、みなさんはどのような仕事をイメージするでしょうか?本記事では金融業界のお仕事の概要、そして実際に金融業界で働く人々の生の声をご紹介していきます。就職活動の情報収集にぜひ活用してみてください。
金融業界とは?どんな業種や職種があるの?
そもそも「金融」は資金余剰者から資金が不足している人に資金を融通するということです。お金にまつわる仕事といえば、真っ先に思い浮かぶのは銀行かもしれませんが、金融業界には銀行以外にも証券会社や保険会社、クレジットカード会社などの信販系などが該当します。一部ではありますが、金融業界の業種をご紹介します。
・銀行
銀行は個人や企業からお金を預かる「預金業務」、個人や企業にお金を貸し付ける「融資業務」、振り込みされたお金を送金する「為替業務」が主な業務です。
また、銀行は大手の「メガバンク」や各地域経済に根付く「地方銀行」、各地域の個人・企業へ融資を行う「信用金庫」、個人・企業の財産の管理運用を受託する「信託銀行」などに分類することができます。
・証券
証券会社では主に次の4つの業務を行っています。
①ブローカー業務:投資家からの有価証券の売買の注文を証券取引所に伝える
②ディーラー業務:証券会社が有価証券を購入し、販売することで利益を得る
③アンダライター業務:新たに発行された有価証券を買い取り販売する
④セリング業務:新たに発行もしくは既に発行されている有価証券を預かり、販売する
・保険
保険会社は加入者から支払われた保険料を受け取り、死亡や病気、規定年齢までの生存等契約に定められた出来事が起こった際に保険料を支払う「生命保険」、自動車事故や災害時に保険料を支払う「損害保険」に分類されます。
生命保険会社も、損保保険会社も、こうした保険業務に加えて、保険料を資産として運用する業務も行っています。
・クレジット
クレジットといっても、VISAやMasterCardなどの「国際ブランド会社」に加えて国際ブランド会社からブランドのライセンスを取得し、クレジットカードを利用できる加盟店を増やしたり、審査管理をする「アクワイアラー」、クレジットカードを発行する「イシュアー」などの役割を持った企業があります。
・決済代行
ECサイトなどオンラインサービスを運営するに当たって、複数のクレジットカードやコンビニ払い、銀行振り込みなどの決済手段を一括して契約できるサービスを提供しています。通常であれば、EC事業者などはそれぞれの決済手段を提供している企業と契約をする必要がありますが、決済代行会社と契約することで、手間を省くことができます。
・ベンチャーキャピタル
ベンチャー企業やスタートアップ企業など、未上場の企業に出資を行う投資会社です。企業が成長したり、上場したりした際に株式や事業を売却するビジネスモデルです。
日本のベンチャーキャピタルは証券会社や銀行、保険会社の関連会社であることが多いですが、事業会社の関連会社や独立系のベンチャーキャピタルもあります。
金融業界の業種が多様なように、職種も多彩です。
個人への金融商品の提案や資産運用のサポートをする個人営業、企業に対して金融商品や融資の提案、資金調達のサポートをする法人営業などのほか、金融業界ならではの職種もあります。
たとえば、個人から資産運用などの相談を受けアドバイスをする「ファイナンシャルプランナー」、投資家から預かった資金や株式などの売買を行う「ファンドマネージャー」、市場の分析や調査を行う「証券アナリスト」、統計学などを用いて保険料金の支払い額を算出する「アクチュアリー」などがあります。
新卒で金融業界を目指すきっかけ・動機
金融業界を目指す就活生も、その理由はさまざまです。きっかけには次のようなものが挙げられます。
・社会に貢献したい
企業への融資などで企業が成長し、ひいては社会経済の発展につながる。そうした思いから金融業界を目指す方もいるのではないでしょうか?
・地域に貢献したい
銀行や証券会社、保険会社などは個人へのサービス提供も多いですし、地方銀行や信用金庫はそれぞれの地域に根付いたビジネスを行っています。慣れ親しんだ地域経済の活性化に貢献したいと目指す方もいるかと思います。
・さまざまな企業と関わりたい
法人営業の担当者となれば、複数の企業と接点を持つことができますし、部署の異動などでまた異なる業界を知ることもできます。さまざまなビジネスを理解し、将来を見据えながら融資や投資を行う。そうした仕事に憧れを抱き目指す方も多いのではないでしょうか。
金融業界で働く人々のリアルな声
実際に金融業界で仕事をする方々はどのような理由で金融業界を志し、キャリアを歩んでいるのでしょうか?金融業界で働く方々の声をピックアップしました。
※記載の情報は記事公開当時の内容です。
▶︎北國フィナンシャルホールディングス社員組合
事業内容:銀行業務を中心にコンサルティング業務、クレジットカード業務、リース業務などの金融サービスを展開
*ストーリー:「真のお客さま主義」の実現を目指して業務に励みつつ、キャリアプランに向き合う
・2016年中新卒入社
・仕事内容:企業が抱える課題を融資、決済、経営の健全化に向けたコンサルティングにより解決に導くのが主な業務
・きっかけ:
池上さんは富山大学の人間発達科学部(教育学部)卒業で、保健体育分野を専攻。スポーツ心理学やコーチングを学ぶ中、海での遠泳など集団で臨む実習も多かったといいます。目的達成のために各自が役割を分担し、当時の体験から「頼られること、それに応えること」の喜びや価値を知りました。
そして、この経験が就職活動時の自己分析につながり「お客さまに頼られ、夢の実現を手伝うことができ、そこに働く喜びを見いだせる仕事は銀行だろう」という考えに至ります。
・やりがい:
池上さん 「そもそも私が北國銀行を選んだのは、誰かに頼られて応えることに価値観を持ったから。この点を軸に考えると、当行は何でもチャレンジできる環境なのかもしれません。目の前の仕事が充実していて、これから挑戦できる環境が用意されている。だからこそ、良い意味で、あらゆる選択肢の豊富さから迷っている最中なんです」
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▶︎株式会社みずほフィナンシャルグループ
事業内容:グループ内に銀行、信託、証券、アセットマネジメント(資産運用)およびシンクタンクを擁する
*ストーリー:お客さまに寄り添うライフプランアドバイザーとして。入社4年目社員の新たな挑戦
・2017年新卒入社
・仕事内容:ライフプランアドバイザー(LPA)
・きっかけ:
彼女は、学生時代のカフェでのアルバイト経験をきっかけに「人とのつながりを大切にしたい」、そして「信頼関係を築ける仕事がしたい」と考えていました。(中略)
就職活動をするまで〈みずほ〉とは関わりがなかったという南里さん。しかし、就職活動を進めていくうちに、大切なお金を扱うには信頼関係がないと成立しないという、銀行業界の「人」に重きを置く点に惹かれていきました。そして、働いている人の柔らかい雰囲気に魅力を感じ、みずほ銀行を第一志望に決めたと振り返ります。
・やりがい:
南里さん「お客さまから感謝の言葉をいただいたとき、LPA になってよかったと心から思います。それもすべて、周りの支援があってこそ。本当に感謝しています」
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▶︎農林中央金庫
事業内容:食農ビジネス、リテールビジネス、投資ビジネス
*ストーリー:先輩たちの背中を追いかけて。「誰かの力になりたい」という想いが支える挑戦の日々
・2015年新卒入社
・仕事内容:営業職として総合商社を含めて15社ほどを担当
・きっかけ:
木川さん 「就職活動をする中で重視していたのは、『人の役に立つことがしたい』という点でした。もちろん、どんな職業でも、巡り巡って誰かのためになっていることには違いないのですが、農林中央金庫が掲げている『農林水産業を支え、ひいては農林水産業に従事されている方々の役に立つため』というスローガンにとても惹かれました。他社とは違うなと魅力に感じたんです。
・やりがい:
お客様と接するたびに経験不足を痛感しながらも、粘り強く、そして足繁く通い詰めた木川さん。すると、次第にお客様との会話に変化が生じるようになりました。
木川さん 「最初のころは、当たり障りのない世間話がほとんどだったのですが、だんだんと金融業に関することや農林水産業に関わるお困りごとが会話の中に出てくるようになったんです。
やはり、相談していただくことが、頼られていることの証明だと思いますので、そうした関係性にかわっていくことにやりがいを感じました」
▶︎野村證券株式会社
事業内容:個人投資家、企業へ資産運用・資金調達などのサービスを提供
*ストーリー:コツコツと築き上げてきたお客様とのかかわりは、私の大切な宝物
・新卒入社
・仕事内容:支店にて営業を担当
・きっかけ:
私は学生時代から人とかかわる仕事がしたいと思っていたのですが、就職活動当初は、金融業界はまったく考えていませんでした。ただ私たちが就職活動をしていた頃は、ちょうど就職氷河期と呼ばれた時代。志望していた会社は最終面接まで行っては不採用の繰り返しで、もう今年は就職をあきらめようかと思っていたのです。
そんな時たまたま友人から紹介されたのが野村證券でした。証券会社も人とかかわる仕事なので、これが最後のチャンスと思って面接に臨みました。
・やりがい:
私はお客様とさまざまなお話をさせていただくことがとても好きです。しっかりしたご提案をさせていただくことも大切ですが、仕事上だけの関係は寂しいと思うのです。だから自分のことも話しますし、お客様のお話も喜んで伺います。小さなことですが、お電話を取り次いでいただく際も「野村證券さんから電話」と言われていたのが「阿部さんから電話」に変わった瞬間は本当に嬉しいです。
▶︎株式会社カカクコム・インシュアランス
事業内容:複数の保険会社の商品を取り扱う乗合代理店
*ストーリー:保険に自由を、お客さまに納得と満足を。保険コンサルタントとして歩んだ道と、思い描く未来
・2008年中途入社
・仕事内容:保険コンサルタント
・きっかけ:
私が保険に興味を持ったのは、自身が加入する保険について、知人に切り替えの手続きをしてもらったことがきっかけです。(中略)その知人は、ていねいな説明を加えながら、私に最適な保険を提案してくれました。話の内容はとても合理的で、納得のいくもの。安心して保険を切り替えることができました。
そのとき、知人は私に対して営業していたわけですが、顧客である私にとって大いにメリットが感じられるものでした。保険のコンサルタントになれば、自分が仕事をすることで、人に喜んでもらうことができる。そう実感したことで、保険業界への転職を決めました。
・やりがい:
「保険があってよかった」「保険金を得て、その後安心して生活できるようになった」など、お客さまから感謝の言葉をいただくこともあります。
このような声を直接聞くことができるのは、保険コンサルタントの醍醐味。多くの方にとって、“保険は難しいもの”という認識がある中、自分の知識を駆使して説明した結果、「勉強になった」「節約になった」と言っていただけると、大いに励みになりますし、それが仕事のやりがいにもつながっています。
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▶︎かんぽ生命保険株式会社
事業内容:生命保険業
*ストーリー:誰もが安心して暮らせる社会のために。入社3年目が紡ぐ“つながり”の先にあるもの
・2020年新卒入社
・仕事内容:長野支店で、かんぽ生命の保険商品を取り扱う社員等への支援に従事
・きっかけ:
フィリピンの児童福祉施設の担当者からの言葉が、岩渕を生命保険業界へと導きます。
岩渕さん 「担当者の方が言うには、『フィリピンにも、健康保険のような国の制度はあるけれど、日本には生命保険に加入している人が多いでしょう?でもフィリピンでは、生命保険は裕福な家庭の人しか入れない。施設にいる子や、貧困にあえぐ子どもたちは生命保険に加入するお金がなく、十分な医療が受けられないんだよ』と。この話を聞いて以来、生命保険の重要性について考えるようになりました」
複雑な気持ちを抱えて帰国した岩渕。日本国内でも、貧困に苦しむ子どもが増えているという現実を知ります。その後、就職先を考えるにあたって、生命保険業界に興味を持つようになりました。
・やりがい:
営業社員に寄り添う姿勢を絶やさない岩渕。彼女が見ているのは、その先にいるお客さまの存在です。
岩渕さん 「営業社員の方の『ありがとう。岩渕さんのおかげで助かったよ』という言葉が、私の原動力になっています。その『ありがとう』が、お客さまへのサービス向上にもつながっていると思うと、さらにうれしいですね。微力ながら、お客さまのお役に立てているのかなと感じます」
▶︎株式会社DG Daiwa Ventures
事業内容:次世代技術を有するスタートアップ企業への投資および事業育成支援
*ストーリー:「チームワークファンド」で起業家を支えたい── DG Daiwa Venturesが導く成長と上場への道のり
・2020年参画
・仕事内容:マネージングディレクター 兼 投資部長
・やりがい:
──投資先ともとても良い関係を築いているのですね。多くの企業を支援するなかで、渡辺さんはVCの役割をどのように捉えていますか?
渡辺さん 「VCにできる役割の中で、特に重要なのは『ファクトの提供』だと考えています。VCの中には、過去の投資経験を経て『こういう事例があって、こんな施策を打ったらこうなった』という具体的な事例がnoteやTwitterには決して書けないながらたくさん蓄積してきています。それを抽象化・一般化した上で、事前に投資先に対して伝えられることが、一見地味で華のない仕事ではありながら、VCの大きな価値であると考えています」
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▶︎株式会社Casa
事業内容:賃貸債務保証事業、養育費保証事業、賃貸経営サポート、メディア運営
*ストーリー:家賃保証会社で人と向き合う。元ホテルマンが見つけたやりがい
・2020年中途入社
・仕事内容:顧客管理部で家賃支払いの相談や、生活保護や緊急小口支援金などの公的支援のご案内、貸主・管理会社への状況報告などを担当
・きっかけ:
ホテルのバーテンダーとして活躍していた2020年。新型コロナウイルス感染症が大流行し、職場であるバーの閉鎖が決まりました。(中略)このままではやりたい仕事ができない、と退職を決意した林は、転職活動時にCasaの社員インタビューのページを見て応募を決めたといいます。
林さん 「この仕事なら、さまざまな手段で困っている人の役に立つことができる。自分自身がコロナ禍で家賃の支払いに苦労したこともあり、身近に感じて応募しました」
・やりがい
入居者とのコミュニケーションを通じて、顧客管理としてのやりがいを感じている林さん。
林さん 「もちろん最初は、まったく取り合ってくれない入居者もいます。家賃保証ってあまり馴染みのないサービスですし、部屋を借りるときに契約するといっても、どこの会社か意識している人はほとんどいませんから。
でも少しずつ話ができて、信頼関係を築くことができると『林さん、仕事決まったよ』とか、『今月も支払い大丈夫です』と、入居者さんから連絡をくれるんです。中には、その後も近況を報告してくれる方もいて、元気に生活している様子を聞くと安心します」
金融業界は一括りにするのが難しいほどさまざまな業種業界があります。銀行や保険などは身近な存在ですが、日常では証券やベンチャーキャピタルといった仕事は馴染みが薄い方が多いのではないでしょうか。また、存在自体に馴染みがあったとしても、法人向けにはどんなビジネスが行われているのかなど、見えにくいものです。
金融業界でお仕事をする方々のストーリーを参考にして、業界について学びを深めてみてはいかがでしょうか?