健康経営に取り組む企業が増えている中、「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉を掲げている企業が増えています。ウェルビーイングは直訳すると「幸福」。ひいては「心身が健康で、社会的にも満たされた状態」を指します。

昨今耳にするようになった「個の時代」という言葉にも現れているように、個々人の価値観や考えがより尊重される時代を迎えましたが、当然、幸福の形も個々人によって異なり、多様なもの。ウェルビーイングはDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の文脈としても覚えておきたいキーワードの一つでもあります。

そんな、多様性を受け入れる時代に生まれ育ったのがZ世代(1990年代中盤から2000年代終盤生まれの世代)です。果たして、Z世代の人々はウェルビーイングについてどう捉えているのでしょうか。

【この記事でわかること】
Z世代のウェルビーイングに対する興味関心
Z世代がウェルビーイング経営に取り組む企業に期待すること
ウェルビーイング経営に取り組む企業の事例

Z世代の考えるウェルビーイング

組織改善サーベイ『ラフールサーベイ』を提供するメンタルデータテックの株式会社ラフール(本社:東京都中央区)は、従業員数1,000名以上の企業に勤めるZ世代109名(※)に対し、「Z世代のウェルビーイング」に対する意識調査を実施し、その結果を発表しました。

まず、ウェルビーイング(Well-being)を知っているかどうかを質問したところ、「名前も意味も知っている」が32.1%、「名前だけ知っている」が22.9%と回答。半数以上がウェルビーイングという言葉を認識している結果となりました。

次に、「ウェルビーイングは『心身が健康で、社会的にも満たされた状態』という意味ですが、世の中の動きとして進んでいくことに対し、あなたはどう思いますか。」と質問したところ、「大きく賛同する」が34.0%、「やや賛同する」が45.9%という結果になっています。

Q1で意味も知っている回答者が30%程度だったこともあり、自分ごととして捉えづらい回答者も多かったのではないでしょうか。それでも、ウェルビーイングに対してポジティブな回答が寄せられています。

ウェルビーイング経営を取り入れる企業に求めるもの

続いてはZ世代がウェルビーイング経営を取り入れている会社に対して期待すること。多数の回答が寄せられたのは、多様な働き方や自分らしく、といった個を尊重する項目です。

一方でQ3で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「ウェルビーイングな会社に対して期待することがあれば、自由に教えてください。(自由回答)」と質問したところ、「仕事にやり甲斐を感じながら、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)も高まること」や「ストレスの軽減」など54の回答を得ることができました。

<自由回答・一部抜粋>
・24歳:仕事にやり甲斐を感じながら、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)も高まること。
・24歳:ストレスの軽減。
・24歳:休みが取りやすい環境。
・23歳:休日増加。
・22歳:個人が尊重されかつ働きやすい。
・24歳:否定されずに意見を受け入れてくれる環境。
・25歳:もっとウェルビーイングを広めていく。
・24歳:LGBTのサポート、障害者雇用の推進と所得向上。

ウェルビーイング経営を取り入れている企業に求めることが明らかになった一方で、もしそれらが実現した場合どのような効果をもたらすとZ世代の回答者は考えているのでしょうか。

回答者に、貢献意識や働きがいに繋がるかどうかを問うと、「非常にそう思う」が24.8%、「ややそう思う」が48.6%という回答となりました。

また、ウェルビーイング経営が転職先の決め手になるかという問いに対しては、「非常にそう思う」が16.6%、「ややそう思う」が55.0%という回答となりました。従業員の幸福や健康をしっかりと考えられているか──心身の健康が伴ってこそ、双方に良い価値を生み出すことができるわけですから、魅力の一つとなるに違いありません。

ウェルビーイング経営に取り組む企業4社

ウェルビーイング経営に取り組む企業は増えつつありながらも、まだまだ伸び代がある、という状態です。実際に取り組む企業は、具体的にはどういった取り組みを行っているのでしょうか。

◎株式会社デンソー

👉ビジョンとして「一人ひとりに、ウェルビーイングな日常を。」を掲げる

▶︎デンソーのストーリー一覧

◎株式会社大丸松坂屋百貨店

👉くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。」というグループビジョンの下、「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」を追求するサステナビリティ経営を推進

▶︎Well-Being Lifeの実現に向けて──最前線でサステナビリティ活動を推進

◎富士フイルムシステムサービス株式会社

👉保健師の吉冨さんは保健指導等の業務に加え、人事の安全衛生関連業務を一手に担い、他の人事業務も担当

▶︎「健康経営」で会社と従業員を支える!従業員のwell-beingを追求する保健師の決意

◎株式会社USEN-NEXT HOLDINGS 

👉USEN-NEXT GROUP独自の健康サポート・持続的活躍支援体制・施策の整備を目指すプログラム“Sustainable Well-being Program 「Well.U」”

▶︎持続的かつ、高いパフォーマンスで働くために。「Well.U」で革新的な健康経営

「ウェルビーイング」は健康経営においても重要な概念ですが、企業としてだけでなく、個々人が「自分にとってのウェルビーイングとは?」「一緒に働くチームメンバーはどうだろうか?」と考えることも必要なのではないでしょうか。今回ご紹介したのは企業としての取り組みですが、自身の所属する企業やチームではどんなことができるのか、考えるきっかけとしてみてもいいかもしれません。


(※)【調査概要】
調査概要:「Z世代のウェルビーイング」に対する意識調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年4月19日〜同年4月19日
有効回答: 従業員数1,000名以上の企業に勤めるZ世代109名