2030年までに持続可能でより良い世界を目指すために設けられた国際目標「SDGs」。SDGsは17のゴール、169のターゲット(達成基準)から構成されています。

世界共通の目標ということもあり、自分とは遠い話なのではないか?と考える人もいるかもしれませんが、実際には身近な問題ばかり。自身が意識せずに取り組んでいたことが、SDGsに関連していることを最近知ったという人もいるでしょう。

SDGsという言葉が徐々に浸透しつつある今、SDGsは「働く」ということにどれほど影響を与えているのでしょうか?

【この記事でわかること】
 学生のSDGsに対する理解度や興味度
 企業の採用におけるSDGsに関する情報発信
 企業におけるSDGsの取り組み

SDGsの理解度は高い。その一方で就職の意思決定に対しては……

OfferBox(オファーボックス)」を運営する株式会社i-plug(本社:大阪市淀川区)は、23卒の学生と新卒採用を実施する企業を対象に「SDGsへの理解度と就職/採用活動」に関する調査を実施(※)。調査からは学生の興味関心度だけでなく、企業がSDGsについて情報発信する必要性が見えてきました。

SDGsへの理解度に関する設問では、企業は「意味を理解しており人に説明ができる」、学生は「意味を理解している」が最多の回答となっています。

学生を対象にした「就職後、SDGsに関連する仕事をしたいと思いますか?」という設問では、44.7%の学生が「わからない」と回答。

さらに「エントリーに進む企業を選択する際、SDGsに関連する取り組みを重視しますか?」という設問では最多の回答は「どちらかというと重視する」の37.2%である一方、重視しない傾向にある学生が約56%となっています。

また、内定承諾時についても、回答はほぼ同様の結果です。


自身の「やりたいこと」が明確になっている場合や、入社したい理由があった場合、逆にまだまだ自身の基準が定まっていない場合は、重視すると言い切れないケースも多いでしょう。

しかし、半数近くの就活生が重視する傾向にあるということは、それだけの就活生がSDGsに興味関心を抱いていることを示すポジティブな結果ともいえます。

企業は採用活動においてどれほどSDGsを意識しているのか?

冒頭のSDGsに対する理解度では企業の方が認知度が高いことがわかりましたが、今回の調査では、SDGsに関連する取り組みをアピールしていない企業も多くあることがわかりました。

先述の通り、企業のエントリーや内定承諾の際に「重視している」という就活生は少なく、企業側としても就活生のSDGsへの関心は測りにくいものかもしれません。

しかし半数近くの就活生が関心を寄せていることもあり、SDGsに関連する取り組みを発信することが今後は必要になっていきそうです。

一人ひとり、各企業の取り組みが、目標達成につながる

冒頭にも記載した通り、SDGsは17のゴール、169のターゲットを掲げており、そこに対するアプローチの仕方もさまざまです。ここでは企業や団体の取り組みをご紹介します。

◎企業のCSR、SDGsについての研究・発信

▶︎障害者の存在が生産性を上げる──暮らしやすい社会の実現に向け、発信し続ける

土屋総研は重度障害者に対する支援、介護を行うだけではなくて、社会的包摂実現のための大きな役割を担っています。社会的包摂を進めることは、社会に多様性を生み出し、活力につながります。そのためにも、『障害者の方は戦力になる』という私の研究結果を、土屋総研を通して発信していき、差別を軽減していきたいと考えているのです

株式会社土屋 影山 摩子弥さん 

◎サステナブルファイナンス商品

▶︎サステナビリティの時代への挑戦──新たな価値をつくる社内兼業者の奮闘記(前編)

みずほSLL PROは、サステナブルファイナンス商品のひとつ。企業から〈みずほ〉へ資金調達を依頼いただく際に、その企業ごとのサステナビリティ戦略に沿った野心的な目標を決めてもらい、年に一度、その目標の達成状況に応じて金利が変動するという仕組みの商品です

株式会社みずほフィナンシャルグループ 八木 啓介さん、角谷 響子さん、今井 優里さん

◎健康増進等による健康寿命の延伸・Well-being向上

▶︎身体を動かす喜びを世界中へ。ラジオ体操のプロが目指すサステナブルな健康社会

五日市が所属する広報部・サステナビリティ推進室は、かんぽ生命がサステナビリティ(持続可能性)を推進し、SDGsの達成に貢献する目的で2021年4月に新設された部署。その中でもラジオ体操推進担当が担うのは、優先的な社会課題としての「健康増進等による健康寿命の延伸・Well-being向上」の解決や改善に向けた、全世界へのラジオ体操の魅力・可能性の発信です

株式会社かんぽ生命保険 五日市 祐子さん

◎住み続けられるまちづくり

▶︎「くるめ花街道サポーター」としてサステナビリティ推進──住み続けられるまちづくりを

久留米支店では、会社のサステナビリティの動きに先行してSDGs(持続可能な開発目標)のゴール11「住み続けられるまちづくりを」として、身近な部分から取り組んでいます。その一つが、立川も参加している久留米市の「くるめ花街道サポーター」を通じた地域貢献への取り組みです

株式会社かんぽ生命保険 立川 浩之さん

◎ESG投資

▶︎第一次産業に根ざす、私たちだからできる投資とは。サステナビリティ時代の新たな挑戦

ESG投資というのは、環境や社会、企業統治に配慮している企業を重視し、投資することです。これまでの投資の世界では、金銭的リターンや株主利益を最優先するというのが基本的な価値観でした。

でも今は、SDGsが認知され、世界がまさに変わろうとしているタイミング。投資においても、金銭的なリターンだけではなく、環境や社会への配慮が前提となる時代なのです

農林中央金庫 近藤 弘子さん

◎サステナビリティ経営

▶︎Well-Being Lifeの実現に向けて──最前線でサステナビリティ活動を推進

私が担当する業務は大きく5つあります。なかでも大きな柱となっているのは、サプライチェーン・マネジメントです。

サプライチェーン・マネジメントとは、自社だけでなく、材料や部品の調達から製造、出荷、流通、販売などの「モノの流れ全体」を指すサプライチェーン(供給連鎖)を最適化するための経営手法のこと。噛み砕くと、当社だけではなく、様々なお取引先様やお客様と共に持続可能な社会を実現することを目指すイメージです

株式会社大丸松坂屋百貨店 百田 光里さん

▶︎沖縄のシングルマザーのための就業・協働プロジェクト〜MOM FoR STAR〜

沖縄県ではさまざまな就労環境の課題を抱えており、シングルマザーにおいては、働いても十分な収入を得られないといった厳しい状況にあります。そんなシングルマザーをサポートするため立ち上がったプロジェクトが「MOM FoR STAR」でした

株式会社レキサス/株式会社フォーデジット

▶︎副業者が町工場・商店街と協働し、社会課題の解決を目指す「大田区SDGs副業」

この取り組みの重要なポイントは2つあります。町工場や商店街がサスティナブルであることと、副業・兼業者との協働です。

まずはこの取り組みの趣旨を町工場や商店街のキーマンに共感してもらうため、私たちが現場に通いストーリーを理解していただくことにしました

大田区役所/一般社団法人ONE X

▶︎みんなが誰かの“せんせい”に。教育現場を変えるANOTHER TEACHERプロジェクト

生徒たちが、働いている素敵な大人と接する機会が増えれば、人生を前向きに捉える生徒が増えると思い、生徒・学校の先生・働くすべての大人をつなぐことが自分の使命だと感じました。

(中略)また、通常の授業だけでなく、事務処理や部活の対応などによって、労働時間が超過傾向にあり、早急な働き方改革も必要とされる状況でした

ANOTHER TEACHER

▶︎障がい者採用の常識を壊し、すべての人が輝きながら働ける社会へ

意見交換をする中で、従来の障がい者採用の常識を壊し、すべての人がすべての求人に挑戦できる革新的なシステムを構築したいという想いが一致。そうして、すべての人を区別しない「Career Opportunity」を創出することで、誰もが活躍できる社会を実現する新たなプロジェクト「Career Opportunity For DIVERSITY」が立ち上がりました

株式会社USEN-NEXT HOLDINGS

▶︎誰もが自分らしく働ける場所へ──福祉制度に頼らない障がい者雇用

健常者の方の場合、自分が理想とする働き方や場所、そしてキャリアアップを目指して職場を選びますよね。ところが、障がい者の方は働く場所が限定されやすく、みなさんが理想とする働き方がなかなか実現できていないと感じていました。

このままでは働き方の選択肢だけでなく、個々が持つ可能性まで狭めてしまうと思い、“誰もが自分らしく働ける場所”を選択できる社会にしたいと思ったんです

株式会社グランディーユ

▶︎「幸せの最高責任者」が創り出す、日常で幸せの連鎖が起こる新しい組織運営

業界や職種、企業によっては、“幸せに働く”ということが、まだまだポジティブに聞こえない場合もあると思います。私自身、幸せに働くことの大切さや期待できる効果について、社外の人に魅力的に伝えることの難しさを感じています。だからこそコミュニティでは、参加して良かったと思ってもらえるような情報発信と、参加者が主体性を持ってもらえるような企画立案を常に心がけて取り組んでいます

株式会社スペサン


SDGsに関連する取り組みは、わたしたちの生活する環境だけでなく、働く環境に対しても良い変化をもたらす可能性があるものです。

また、一人ひとりの小さな積み重ねこそが重要でもあるもの。ストーリーをきっかけに、SDGsについて知ることからはじめてみるのも、良いのではないでしょうか。


(※)調査概要
【23卒学生対象の調査】
・調査期間:2022年1月13日(木)〜2022年1月24日(月)
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:2023年に卒業予定の大学生・大学院生
・有効回答数:266件

【企業対象の調査】
・調査期間:2022年1月13日(木)〜2022年1月24日(月)
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:新卒採用を実施する企業
・有効回答数:757件