2020年10月7日(水)、視覚障害者柔道男子66kg級の東京パラリンピック出場最有力候補である、瀬戸 勇次郎選手がスタイル・エッジ東京本社を訪問しました。
弊社は、パラリンピック出場を目指すアスリート育成を目的とした、奨学金制度(ネクストパラアスリートスカラーシップ 略称:NPAS)に創設から協力・協賛。瀬戸選手はNPASの第3期生です。まずは瀬戸選手のプロフィールを紹介します。
<4歳から柔道 視覚障害のため負けてばかり>
瀬戸選手は2000年生まれの20歳。2020年現在、福岡教育大学に在学し、特別支援学校教諭になるため学業に勤しみながら、東京パラリンピック出場を目指して練習に励む、文武両道の日々を送っています。
瀬戸選手は先天性の視覚障害のため視力は右目が0.07、左目が0.05。視界がぼんやりとし、光をまぶしく感じ、色覚異常もあります。柔道との出会いは4歳の頃。兄に誘われて始めました。ただ、視覚障害のため、相手との距離感がうまくつかめずに、組み手がまったくといっていいほど出来なかったことが原因で健常者の柔道では負けてばかりでした。
<視覚障害者柔道へ 東京パラリンピック出場の最有力候補に>
転機は高校三年生の時。関係者の紹介で健常者柔道から視覚障害者柔道へと転じたのです。そして、初出場となる全国視覚障害者学生柔道大会では、なんといきなり優勝。健常者の柔道と異なり、視覚障害者柔道は、常に組み合った状態から競技を始めます。つまり視覚障害のために苦手としていた組み手がないことで、存分に力を発揮することができたのです。
しかし、優勝から3か月後の大会では、パラリンピック三連覇の藤本選手を前に一本負け。瀬戸選手は、諦めずにトレーニングを積み、得意技の背負い投げに磨きをかけます。藤本選手には2敗しましたが、その後は4連勝。ポイントランキング1位となり、男子66kg級の東京パラリンピック出場の最有力候補となりました。
<瀬戸選手が語る東京パラリンピック出場への意気込み>
この日はNPAS第3期生として弊社を訪れ、活動の報告などをいただきました。
瀬戸選手 「私に限らず障害者アスリートの最大の悩みは、競技用具や遠征費などに高額な費用がかかってしまうことなんです。アルバイトをしようにも障害のために様々な制限があります。私は主に遠征費に使わせていただいていますが、奨学金のおかげでそのような悩みから解放され、競技に集中でき、感謝しています。 あとNPASでは元パラリンピアンの先輩方によるメンター制度や勉強会に参加することができ、競技だけに限らず将来の進路に関してもアドバイスをいただけ、大変心強いです」
最後に東京パラリンピック出場への意気込みについてもお話いただきました。
瀬戸選手 「国際ランキングで国内上位1名が東京パラリンピックの代表となるわけですが、男子は私の所属する66kg級だけがまだ決まっていません。現時点では2位に40ポイント差でトップにランキングされていますが、まだ来年の4月、5月と国際大会が予定されています。ですので、正直なところ『ダメだったらどうしよう』といった不安もありますし、そもそも試合自体がコロナの影響でどうなるか等、不透明な部分もあります。ただ、自分に出来ることは日々ひたむきに練習するしかありません。もちろん日本代表になりパラリンピックでメダルを獲りたい気持ちはありますけど、まずは目の前にある試合にひとつひとつしっかりと向き合っていきたいと思います」
*スタイル・エッジグループ東京本社エントランスにて。左から弊社取締役の花咲、瀬戸選手、グループ会社であるスタイル・エッジMEDICALの代表取締役であり、視覚障害者柔道のパラリンピアンである初瀬。
スタイル・エッジグループでは、今後も障害者スポーツの育成・普及を後押しできるよう、アスリート個人・団体を応援していきます。