部門のトップから全社のトップへ

article image 1
▲2022年度のMVPを受賞した廣兼(右から2人目)

廣兼が所属するのは、ジョイントリプレースメント/サージカル事業本部。医療機関に対し、人工関節置換手術に関連する製品を扱う、日本ストライカーの中でも最大規模の部門で、廣兼は大阪エリアを担当しています。

2023年2月に3年ぶりで対面開催が実現した、日本ストライカーの営業社員が一堂に会する最大のイベント「National Sales Meeting」。前年度の成績優秀者を表彰する場において、同事業本部を含む、日本ストライカーの5部門から1人ずつ、合計5人の“ベストプレイヤー”が選出されましたが、その中で最も優れた成績を収めた1人に贈られるのがMVPです。 

廣兼 「ベストプレイヤーに選んでもらえて、非常に嬉しかったですし、純粋に光栄だなと思っていて。まさかそこからMVPの栄誉にあずかれるとは思っていませんでした」 

MVPとして自分の名前が呼ばれたときは、嬉しさよりも驚きが勝り、うまく状況が飲み込めなかったと廣兼は振り返ります。

廣兼 「頭の中が真っ白になる、というのはああいう感覚なんですね。受賞のスピーチでどんなことを喋ったかも、正直あまり覚えていません。ただ、マネージャーをはじめこれまでお世話になった方々や、共に切磋琢磨した仲間が、まるでわがことのように喜んでくれて。そんな周囲の様子を見ているうちに、だんだんと実感が湧いてきたのを覚えています」 

なんとか涙は見せずに授賞式を終えることができたものの、実は胸がいっぱいになっていたという廣兼。目頭が熱くなっていたのを悟られずに済んで、内心ホッとしたと笑います。

“当たり前”を貫いて

article image 2
▲MVP受賞にあたってのスピーチ

これまで大阪を中心に数多くの顧客と信頼関係を築き、今やチームをけん引する存在となった廣兼。前職でも間接的に医療に関わるビジネスに携わってはいたものの、より直接的に医療に貢献できる仕事がしたいという想いがつのり、30歳を前にして日本ストライカーに入社しました。 

廣兼 「顧客であるドクターと直接言葉を交わし、適切な治療を行うための手術機器について情報提供する。それらは患者さんの人生を一変させることもありうるわけです。責任は大きいですが、挑戦する価値のある仕事だと思いました」 

とはいえ、アプローチの対象となるドクターはみな多忙で、最初のころは会って話をすることすらままならなかったと廣兼は振り返ります。とにかく顔を覚えてもらうために病院に通い詰め、ドクターの都合を把握し、タイミングを見計らって資料を持参する──泥臭いアプローチを粘り強く続けながら、少しずつ、少しずつ関係を築いてきました。 

廣兼 「営業の秘訣?あったら私も教えてほしいくらいです(笑)。“当たり前のこと”を当たり前にやること。本当に、それしかやってきませんでしたから。強いて言えば、その“当たり前”を、他の人よりほんの少しだけ頑張ってやること、でしょうか」 

レスポンスはスピーディに、という営業としての“当たり前”を、顧客が期待する以上に貫く。そこで生まれる小さな信頼の蓄積こそが、何かあったときに真っ先に声がかかるかどうかを左右するのだ、と廣兼は信じています。近道なんてない──どこまでも愚直に、誠実に仕事に向き合いながら、1歩ずつキャリアと実績を積み上げていきました。

個人の力は小さい、だからこそ

article image 3
▲MPS資格取得のため、トレーニングに励む廣兼(写真左)

日本ストライカーで現在力を入れている、ロボティックアームによる人工関節手術支援システム・Mako(メイコー)システム。2019年、廣兼は営業職として活躍するかたわら米国に渡り、Makoシステムの適正使用のために必要な情報提供などを行う専門資格“MPS(Mako Product Specialist)”をいち早く取得しました。 

廣兼 「実際に手術が行われている現場に立ち会い、ドクターに適切に機器を操作いただけるようサポートしていくわけですから、患者さんのQOL向上に向けて、より深く貢献できているという手応えはあります。新たな技術を医療の現場にもたらす、その最前線に立てることのやりがいは大きいですね」 

努力を重ね、ドクターからの信頼を得ること。それが営業の役割だと信じて取り組む一方で、それは必ずしもビジネスにおける決定打にはならない、と廣兼は考えています。 

廣兼 「私という一個人が評価を得ているだけで、すべてのビジネスがうまくいくというようなことはありません」 

医療の現場は、製品そのものや提供する情報の質やサービス、そして信頼といった、日本ストライカーの総合力が評価されるシビアな世界。だからこそドクターに一番近い営業担当として、何かあったとき真っ先に「相談したい」「話をしたい」と思っていただける“窓口”であり続けたいと廣兼は考えます。 

廣兼 「営業が1人でできることって、本当に限られているんです。販売成績が良かったとしても、それは自分1人ではなく、チームメンバーのサポートや、マーケティングチームやサポート部門をはじめ、たくさんの社員の力があったからこそ。今回のMVPも、私1人で獲得した栄誉だとはまったく思いません」 

“日本ストライカーらしさ”は、“人が中心にあること”だ、と廣兼は言います。決して平坦ではなかった17年間、途中で諦めてしまうことなく愚直に日々の活動を重ね、今の自分に至ることができたのは、出会ってきた先輩や上司、同僚たちに恵まれたから。

誰もが困っている人に手を差し伸べ、支え合う精神を備えていることこそ、入社からずっと自分を惹きつけてやまないこの会社の魅力であり、強みでもあるのだと熱く語ってくれました。

次世代を育て、共に新時代へのアプローチを

article image 4
▲MVP受賞を喜ぶチームメンバーと共に

いつしか、エリア随一のベテラン営業社員となっていた廣兼。チームをけん引するエースとしてだけでなく、後進を育てる立場としても大きな期待を寄せられています。 

廣兼 「ここまで先輩方に教わってきたこと、自分なりに見いだしてきたことを、若いメンバーたちに伝えていきたい。ただ、それだけではいけないとも思うんです」 

“当たり前のことを、当たり前にやる”を信条に、多くのドクターからの信頼を集めてきた廣兼。しかし、その“当たり前”だと思っていたことが通用しない時代になってきていることを、肌で感じています。 

廣兼 「さまざまな要因によって、社会が大きく変化している。中でもとくに顕著なのはやはり新型コロナウイルス感染症の影響ですね。訪問を重ねて関係を築いていくという、かつての“当たり前”のアプローチが封じられてしまった。もちろんリモート会議なども有効ではありますが……」 

新規開拓というビジネスに不可欠な部分で大きく上がったハードルを、どのようにクリアしていくべきか。環境の変化を、いかにチャンスにつなげていくか。新時代を担う若手たちにただバトンをつなぐだけでなく、自らのやり方もアップデートを図りながら、これからの時代にふさわしい営業スタイルを模索しています。 

廣兼 「それでもやっぱり、この仕事の根っこの部分には“人”がある。時代とともに仕事のやり方は変わっていくものだし、通用しないものは変えていくべきでしょう。でも、日本ストライカーの“人”を重んじる温かみは、どんな時代においても求められる部分だし、変えてはいけない会社の軸だと思うんです。何より私が、そういうところが好きなので(笑)」 

MVPは、頂点ではなく通過点。熱い信念を胸に抱いたベテランの、未来に向けた新たな挑戦が始まっています。