“憧れ”だったストライカーへの入社

オーストラリアで生まれたキッドは、両親の仕事の関係で、高校生になるまでオーストラリアと日本を行き来する生活を送っていました。そんなキッドが幼いころから興味を持っていたのが、機械や身体などの“仕組み”でした。

オーストラリアで通っていた大学ではエレクトロニック&バイオメディカル・エンジニアリング(電子・医療工学)を専攻。電気回路の設計やプログラミングの傍らで(人体の仕組みや)解剖学などを学び、補聴器の仕組みづくりにも挑戦しました。

「少し完璧主義かもしれない」と本人が語るとおり、時には朝の3時まで大学の図書室にこもって勉強することも。ただ、勉強に打ち込むのは当たり前だと思っていたと、キッドは語ります。

キッド 「朝まで勉強することはもちろんつらいですが、それ以上につらいのは十分な結果が出せないこと。それに、新しい知識が徐々に身につく感覚は楽しくもあります」

そこまで勉学に熱中した理由の一つに、ストライカー入社という夢がありました。学生時代のキッドにとって、ストライカーは憧れの職場だったのです。

キッド 「オーストラリアの医療機器業界において、ストライカーは大きな影響力を持つ会社です。加えて“患者さんのため”を第一に考える企業姿勢や、社員が働きやすい環境なども、私にとってはこの上なく魅力的でした」

社員同士の関わりの中で見えてきた、日本ストライカーの魅力

一方で、大学卒業後は日本での就職を考えていたキッド。ストライカーであればどんなポジションでも自身を高められると確信し、日本ストライカーへの就職を志します。

そして、大学で身につけたスキルを活かすフィールドを模索するなかで出会ったのが「Makoシステム」と、その専門知識を持つMPSというポジションでした。

キッド 「Makoシステムの話を聞いてワクワクするとともに、自分のスキルを活かせるぴったりの仕事だと感じました。また、面接を受けた当時はちょうどMakoシステムが日本に本格導入されたばかりの時期で、新しい技術に携われる点に強く惹かれたんです」

Makoシステムを使って手術を行う際には、手術計画に基づく患者さんのデータを入力するなど、Makoシステムを適正に使用するために必要な情報提供を行うため、必ずMPSが立ち会います。それゆえ、MPSになるには社内資格の取得が必須であり、高い専門性が求められます。

2019年12月に晴れて入社が決まった後、キッドはすぐにMPSの資格をオーストラリアにて取得。その後は日本を拠点にして、先輩のMPSとともに手術現場や医療機関へ足を運び、経験を重ねました。キッドは当時を振り返り、「立ち会いの数だけ学びがあった」と語ります。

キッド 「新卒入社で、日本の医療現場やビジネスマナーも分からないなか、さまざまなMPSに同行できたことは貴重な経験になりました。同じ職種でも、業務のやり方には一人ひとりの工夫や考え方があります。いずれ一人前になって単独で業務を行うことへの不安はありましたが、回数を重ねる中で自分のやり方が徐々に見えてきました」 

成長の影には、ともに働く先輩や周囲のメンバーの支えがありました。キッドはそこに日本ストライカーの新たな魅力を見つけます。

キッド 「日本ストライカーで働くメンバーは、仕事の遂行能力が高いだけでなく、得た知識を惜しむことなく共有するなど、メンバーと気持ちよくコミュニケーションを図れる人たちです。事業内容や企業ビジョンだけでなく、人に恵まれているところも、日本ストライカーの素晴らしさだと感じます」

かつての悩みが今の業務に活きる

2022年現在、キッドはMPSの一員として、手術の立ち会いのみならず、Makoシステムを新たに導入する施設へのオリエンテーションなどに奔走しています。

手術の立ち会いでは手術のプラン作成サポートから、医師や看護師との打ち合わせ、機器に関する情報提供など多岐にわたる業務を行います。一つのミスが大きな事故にもつながりかねないというプレッシャーから、独り立ちしてすぐのころは戸惑いもあったといいます。

キッド 「初めて単独で手術に立ち会った際は緊張と不安でいっぱいでした。ただ一方でチャレンジ好きな性格でもあるので、自らの役割を全うしたいという気持ちもあったんです。今でも新しい施設での初症例に立ち会う際は緊張しますが、Makoシステムに期待してくださっている医療従事者の皆さんの気持ちに応えたいという想いで臨んでいます」

手術の立ち会い後には、その日の反省を欠かさないというキッド。日々の仕事の中で、毎回新しい発見や学びを得るよう心掛けているといいます。学生時代、知識が増えることに楽しさを感じていた彼女らしいエピソードです。

MPSとしての経験を積んだ現在では、新しくチームに配属されたMPSに指導する機会も増えています。新人MPSのなかには、経験豊富な中途入社社員や、自らキャリア開発を目指すベテラン社員なども。そこで役に立つのは、かつて乗り越えてきた自らの経験です。

キッド 「新人MPSのなかには、かつての自分と共通の悩みを抱えている人もいます。私もまだまだ学ぶ立場ではありますが、初心をまだ鮮明に覚えている身です。ですから、自分の経験を伝えて寄り添うことを意識して、指導には当たっています」

自分と組織の未来を見据え、経験を積み重ねる

患者さんと接する際にキッドが大事にしている一つの考え方があります。それは彼女の父が語った言葉です。

キッド 「父はスポーツが好きなのですが、膝に痛みを抱えています。その父が常々私に伝えてくれるのは、“関節の手術を受ける人は、痛みをずっと我慢して、悩みながらも決心して手術に臨んでいる。そんな患者の想いを忘れてはいけない”ということ。私はこの言葉を胸に、患者さんと同じ視点に立ったアドバイスを常に意識しています」

自分の好きな分野の仕事に携われたことに手応えを感じながら、充実した日々を送るキッド。かつて学んだバイオメディカル・エンジニアリングの知識やMPSとしての経験を活かし、彼女の業務範囲はアメリカのストライカー本社にいる開発担当者との連絡窓口にまで拡大しました。

日本の医療現場や患者さんから得られたフィードバックをアメリカ側に伝える、両国間の架け橋としても活躍しています。そんな彼女の今後の目標はMPSにとどまらず、その先をも見据えるものでした。

キッド 「運動機能や先端技術に興味があった自分にとって、MPSという仕事との出会いはまさに幸運でした。まずはMakoシステムについて知識を深め、患者さんや医師に感謝されるMPSになりたい。そしていずれは、MPSとして現場に寄り添うことで学んだユーザー視点を活かし、製品開発の分野に携わりたいです」

また、Diversity(多様性)、Equity(衡平性)、Inclusion(包括性)のある職場を目指す日本ストライカーにおいて、自らの果たすべき役割も意識しているといいます。

キッド 「もっと魅力的な会社になるために、今後日本ストライカーには、女性であることに限らず、さまざまな属性を持つ方々が活躍できる職場になってほしいと思います。そのためにも今はたくさん経験を積んで、いずれ“変化を生み出す”人材になりたいです」

今、キッドの眼前にあるさまざまな目標。それらを一つひとつ実現していくために、今日も彼女は医療現場の最前線で活躍を続けます。