医療機器を届ける立場として。──物流の大動脈を担う責務

日本ストライカーで扱う医療機器は、人工関節、骨折治療や脊椎用のインプラント製品をはじめ、脳血管内治療用の製品、内視鏡や超音波手術器などの手術器械、手術室関連製品、ストレッチャー、AED、自動心臓マッサージシステムなどの救急医療領域の製品など多岐にわたり、全国の医療機関で使われています。

これらの製品の物流を支えるのが、東京と大阪にある物流センター。大阪府藤井寺市にある西日本物流センター(West Japan Distribution Center、以下WDC)では、毎日10,000点もの製品が全国へと出荷されており、この“モノの流れ”を司るのが元木の仕事です。

元木 「毎週、マーケティング部門や輸入手続きを行うチームとともに、翌週の出荷計画を立てます。私の役割は、WDCの人的・物的リソースを最大限に生かし、ストライカーの製品を必要としている医療機関に、必要としているタイミングで届けること。

ときには俯瞰的に物事を見ながら、一方で細かな調整を図ることも多くあります」

需給バランスの調整は、緻密なデータ分析の世界。しかし元木は「予測は外れるものだと思うようにしている」と屈託なく笑います。

元木 「予測にこだわりすぎると、どこかでひずみが生じます。実績に基づく予測値はもちろん大切ですが、突発的に手術の予定が重なるなど、計画が狂うことは日常茶飯事です。

しかし、患者さんに必要とされる手術を受けていただくために、製品を届けなくてはなりません。不測の事態に対応するため、日頃から製品に対する理解を深め、社内の連携を大切にしています」

自らの原点にある、テクノロジーへの想い

兵庫県出身の元木は、2005年に日本ストライカーに新卒で入社。就職活動のキーワードには“テクノロジー”があった、と振り返ります。

元木 「技術者だった父親の影響を強く受けていると思います。父は、ミキサー車やクレーン車などの設計をしていて、子どものころからその仕事内容に触れる機会があったんです。

姉が製薬会社に就職したことも影響し、テクノロジーとヘルスケアの両面から、医療機器メーカーである日本ストライカーに興味を持ちました。腰を据えて長く取り組むことができる安定性や、外資系ならではのスピード感があることも魅力でした」

新入社員研修を終えて最初に配属されたのは、骨折などの外傷治療用機器を扱うトラウマ営業部。

大阪市内の医療機関を担当し、先輩社員のヘルプ、手術への立ち会い、製品や解剖学の勉強…と目の回るような忙しい日々を送った、と振り返ります。

元木 「右も左も分からない新入社員でしたが、周りのサポートもあり、初めて新規受注につながった案件のことは今でも忘れられません。しかし仕事に慣れるにつれ、営業職としての限界も感じ始めていました」

「お前なら、引っ張ってやるぞ」…迷いが生じていた元木に、そう声がかかったのは入社2年目のこと。入社直後のWDCの研修でお世話になった先輩社員からの予期せぬ一言でした。「この会社では、頑張れば誰かが見てくれている」そう思い、WDCへ異動。これまでとは違う立場でテクノロジーと関わる道を歩み始めたのです。

転機となった仕事──“新たなスタンダード”をつくる喜び

WDCへの配属後は、品質管理や受注関連業務、事業拠点の統合など、物流に関わるいろいろな仕事をバランスよく経験。そんな元木にとって大きな転機となる仕事が2009年に訪れます。

元木 「骨折の手術や人工関節置換手術では、1回の手術に対し、サイズ違いのパーツなどの細かいものも含めると100点以上の機器を医療機関に貸し出します。実際に使われるのはそのうち数点で、残りの未使用分は後から返却されてくることが通例です。

それらの器材を効率よく貸し出すことができるようにあらかじめ“キット”としてまとめて貸し出す、“キット組み”のオペレーションを整備するプロジェクトメンバーに任命されました」

どうすれば効率的に出荷できるかを緻密にデータ分析し、ときに出荷の現場を歩き、考え抜いた元木。WDC全体を“リソース”と捉える経営視点、効率化へのこだわり、さらに製品ユーザーである医師や医療機関側の要望……。

これらのバランスを図った上で新たな価値を生み出していく“物流の仕事の醍醐味”を味わい、“キット組み”を医療機器業界の新たなスタンダードにすることができたプロジェクトでした。

その後もさまざまな経験を積み重ね、今やWDCを熟知する元木のもとには、発売を控える新製品について、社内からの相談が相次ぎます。国内の物流事情に適したパッケージデザインの開発、販売開始ギリギリで輸入される製品、これまでにない荷姿の製品など、ひとつとして同じ案件はありません。

元木 「輸入されてきた直後の段階では、日本での検品項目が確定していないんです。これまで多くの製品の物流を担ってきた私たちならではの視点で、どのような検品項目を盛り込むべきか、製品を担当するプロダクトマネージャーに対して進言することもあります」

このとき、とても役に立っているのが、入社直後のトラウマ営業部時代の経験だと元木はいいます。

元木 「緊張感あふれる手術室の雰囲気や、患者さんに正確にインプラントを装着するドクターの手技……。営業社員として間近で見ることができたからこそ、どうすれば“医療現場のため、患者さんのためになるのか”という視点をぶらさずに考えることができます。

短い期間でしたが、ドクターや患者さんのそばで仕事ができたことは、自分にとっての財産です」

普遍性の中から、未来を見据える。目指すのは“次世代の物流スタンダード”

WDCがあるのは大阪府南部にある藤井寺市。元木は在宅勤務制度を組み合わせながら、おおよそ週に3日、神戸市の自宅から通勤しています。

元木 「Door to Doorで2時間ちょっと。同僚からは遠くから通っていることに驚かれますが、通勤途中は自分のための時間として、読書など有意義に過ごしています」

以前はベストセラーのビジネス書などを読むことが多かったという元木ですが、今は、経営の一線を退いた人の経営哲学にフォーカスした本や、中国哲学書などを手にすることが多いといいます。

元木 「仕事ではどうしても先々のことを考えがちですから、古典と呼ばれる書籍の中で普遍的なルールや価値観に触れ、そこから自分と周囲の人たちとの共通言語を探す思考の旅に出ています。

物事を大局的に見ることで、世の中の大きな動きをつかみ、自分の考えをまとめるヒントを得たりすることも。最近、次女が生まれたばかりなので、自宅では家族との時間が優先。オンとオフをしっかり分けられる環境で仕事ができていると感じます」

新卒で日本ストライカーに入社してもうすぐ15年。気がつけば、周りは自分より後に入社してきた人ばかり、と笑います。

元木 「15年も働いていますから、日本ストライカーへの愛着はひとしおです。新たに入社する人には “働きやすい会社”とか、“転職して良かった”と思ってもらいたいと心から思いますし、どんどん手を挙げて成長のチャンスをつかんでほしいですね。

日本ストライカーは、それが実現できる会社です」

2020年現在、「日本ストライカーの物流の未来を変える」大きなプロジェクトにWDCメンバーとして取り組んでいる元木。

元木 「実現すれば、医療機器を確実に届けるしくみを保ちつつ、物流効率が大幅にアップし、倉庫の風景が一変するほどのインパクトがあります。

かつて“キット組み”を開発したときのように、医療機器業界における次世代の物流スタンダードをつくっているという実感があります。WDCとともに自分もさらに成長し、進化していきたいです」

病気や怪我と戦う人々に、必要とされる製品を届けたい──。

日本ストライカーにおける“物流のプロ”として日々さまざまな医療機器と向き合い、それらを日本全国へと送り出す元木の挑戦は、これからも続きます。