異国の地で養われた自発性。そして「人材開発」の仕事との出会い

9歳のとき、両親の転勤に伴いカナダへと渡った仲西。「3年で日本に戻れる」はずが、結果的には「カナダに居たい」に変わり、のべ12年もの時間をカナダで過ごしました。

仲西 「カナダへ行った当時は、『He』も『She』もわからないような状況でした。ストレスが体に不調として表れることもあり、母によく心配されていましたね。でも、時間がたつにつれて新しい環境にも慣れ、高校進学時には、日本への帰国が決まった両親と離れ、自らの意志でカナダでの寮生活を始めました」

異国の地で自然と身についた自発性。そのままカナダで大学卒業を迎えた仲西は、就職に際して日本に帰国するかどうかの岐路に立たされます。

仲西 「大学では地理学を専攻しましたが、カナダで就職をするためには地理学に関連する職につく必要があり、門戸が狭い印象がありました。日本のほうが、社会人としてより成長できるのではないかという想いもあり、思い切って日本で就職活動することにしたのです」

時は就職氷河期。日本の事情にも疎く、日本語にもやや不安がある中で、縁があったのは組織、人材開発コンサルティングの仕事。初めは「採用してもらった」感覚からのスタートでしたが、仲西は次第に人材開発の奥深さに魅了されていきます。自らの成長意欲を満たし、一生学び続けられる分野であると確信し、よりいっそう仕事にまい進していったのです。

「人への投資」を、社員の働きがいにつなげる

新卒で入社した会社は、営業も研修講師もひとりで担当することに。非常にマルチタスキングな力が求められる環境でした。さまざまな業種や職種のクライアントに対し、人材開発のプロとして、外部からの視点でソリューションを提供する日々を送りました。

仕事は充実していましたが、組織の内部から人材開発に携わってみたくなり、外資系投資銀行の人事部に転職。その後転じた日本ストライカーも含め、組織の一員として課題にアプローチする経験を重ね、外部での経験を事業会社の内部で生かすアプローチにやりがいを見いだしました。

仲西 「外部の立場では、“ここからここまで”と範囲が比較的明確で、ピンポイントで課題に取り組むわかりやすさがありました。

しかし、内部にいるとそう割り切れるものでもありません。組織の中には組織強化や人の成長に必要なヒントになるリソース……。 具体的には事業部やチーム単位でのビジョンや文化、リーダーや社員個々人の考え方や行動特性、リーダーシップの取り方の特徴などがたくさんありますから、問題解決に必要な要素が見極めやすいと思います。

解決でき、結果につながる瞬間は、チームの一員としてやりがいを感じますね 」

日本ストライカーは、コンサルティング時代のクライアントという縁もあり、もともと良い印象を持っていた、と仲西。

仲西 「人材開発の業務がなくても会社は回りますし、外資系企業だと日本に人材開発の専任者を置かないこともしばしばです。だから、そこに時間とお金をかけられるのはストライカーが人を大切に思っている証拠だと言えます」

仲西が担当するのは 、次世代経営層やマネジャー向けの研修、ビジネススキルトレーニング、個々人へのコーチング、時にはチーム単位への課題解決など、多岐にわたります。数時間のものから数年にわたるものまで多様な開発プログラムを提供しているのです。また、それだけでなく、社員のエンゲージメント向上に寄与することも大切な目的のひとつです。

仲西 「社員自ら手を上げて応募してもらうスキルトレーニングなど、成長の意欲がある社員にはさらなるに機会が与えられるように工夫をしています。勉強の機会、成長の機会があることで、働きがいを感じてもらえると嬉しいですね」

「やらされる」ではなく「自ら行動する」こと それが真の成長につながる

日本ストライカーで人材開発をリードする立場の仲西ですが、「自分の仕事は成長の“きっかけ”を与えるにすぎない」という想いを強く抱いています。とあるリーダーシップ研究機関が提唱した「70:20:10の法則」は、人は学びの70%を仕事上の経験、20%を他者との関わり合い、最後に10%を公的な学習機会(研修や読書など)から得ると定義しています。

仲西 「私が言うのもなんですが、70:20:10の法則の通り、研修だけではあまり成長できないと思っているんですよね(笑)。自分も過去を思い返すと、実際の仕事を通じて最も成長したと思いますし、多くの方もそうなんじゃないかと。

なので10%の研修をきっかけに、70%を占める現場での学びが得られるよう、実用的なスキルや考え方、そのしくみを提供することを強く意識しています。社員自身が成長したいと思うこと、成長実感があることも重要です。誰かに言われたからではなく、自分が納得した上でしか人は動かないし、継続しないので。

また、行動しないことには結果も見えてきません。だからこそ行動に移すために“自ら”気付き、納得することが必要だと思います」

仲西自身もまた、異文化経験とそこで培われた自発性を生かして日々の業務にあたっています。人材開発においては、グローバル全体の方針を理解し、アジア・パシフィックチームと連携しながら、日本のビジネスニーズに合うものを構築、実施する必要があります。

仲西 「多くのプログラムは日本のリーダーシップチームともかけあい、自らの考えをベースにさまざまな意見を集約して人材開発プログラムを検討します。日本ストライカーでは、リーダーシップチームもマネジャーも“人がいい”と心から思います。言葉を変えれば、温かさ、真摯さ、などでしょうか。

これまでなん百という会社を見てきましたが、ここまで一人ひとりが“意義”を持って仕事をしている会社は多くありません。人材開発への理解も深く、誰に対しても、なんでも相談できる環境に感謝しています」

「ニューノーマル」での人材開発:変わることと変わらないこと

2020年現在、新型コロナウイルス感染症によりさまざまな影響を受ける中で、人材開発プログラムは形を変えながら継続しています。

仲西 「これまでも研修にオンライン要素を加える話はありましたが、フェイス・トゥー・フェイスでできるならその方が良いという固定観念がありました。そういった意味で今回は思い切ってオンライン化するいい機会だったかもしれません。運営側も受講側もすぐに新しいスタイルに慣れ、学ぶ手段がひとつ増えたことで、参加者からもポジティブなフィードバックが多く、安心しています」

その一方で、オンラインの難しさにも奮闘中です。

仲西 「やはり、同じ空間で同じ時間を過ごすことや、研修の合間の何気ない会話から生まれるものもあるんですよね。オンラインだと必要なことをこなすことに集中しすぎてしまい、その点は課題です。今後、ニューノーマルの世界では、オンラインとフェイス・トゥー・フェイスをブレンドさせたような研修アプローチが主流になってくるのかなとも考えます」

オンライン研修になる中でも、常に仲西が考えるのは、現場で活用できるスキルや考え方などを学んでもらうこと。「やらせる」のではなく、「発見に対して自ら動く」きっかけを提供し、“自分ゴト”として学んでもらうことを狙いにしています。

仲西 「そのためには、自分も常にアップデートする必要があると痛感します。組織の中ばかり意識していると盲点ができてしまうこともあるので、同業の知人と定期的に情報交換するなど、アンテナを張っています。自分自身も成長することで日本ストライカーに貢献し続けていきたいですね」

ニューノーマルの世界での人材開発に向けて、変わることと、変わらないこと。新しい価値観が生まれる中でも、仲西はこれからも人にきっかけを与え、社員のみんなの自発性を引き出し、個人の成長はもちろん組織の成長にも貢献していくことでしょう。