常に最先端の技術を追求し、顧客に寄り添いながら100年続く会社を目指す
――まずは、2021年3月現在、Jストリームが目指しているビジョンをお聞かせください。
最先端の動画ソリューション提供会社であり続け、あらゆる動画ニーズに応えられるエコシステムを創造することにより、事業の継続的成長を実現する。
これが私たちの経営ビジョンです。
大事にしているのは、常に最先端の技術を追求すること。
私たちは1997年に日本初の動画配信サービス会社として誕生し、一貫して動画を軸にサービスを提供し続けてきました。国内のデータセンターに自前の動画配信環境を作り、最初はライブ配信のためのネットワークインフラを提供していました。その後オンデマンド配信、動画に付随する企画・制作や運用など顧客ニーズに応じて事業領域を拡大させてきました。
Jストリームでは、動画フォーマットや配信プロトコルなど技術変化の激しい動画領域において、常に社会のデファクトスタンダードを取り入れてきた自負があります。これからも世の中の動きに合わせて、新しい技術を積極的に取り入れていく姿勢は変わりません。
――ひと口に動画サービスといっても、実は技術は変わってきていたんですね。
そうですね。そして、もう1つ重要なのは動画の「ソリューション」を提供すること。私たちにとって動画配信は目的ではありません。あくまで目的は、動画配信によって企業コミュニケーション上の課題を解決すること。動画はその手段でしかないのです。
動画はエンターテインメント領域だけでなく、実は企業活動にも活用できるシーンがたくさんあります。社外に対しては株主総会をはじめ、商品の発表会や採用広報、社内なら勉強会やマニュアルといったように、工夫次第で動画の可能性は無限大と言えるでしょう。
新型コロナウイルス感染症対策として動画を活用する企業が増えたことで、私たちもビジョンに向けて一歩前進しました。多くの企業が動画の便利さに気づいた今、私たちが提供する価値として「動画が使える」だけではいけません。
いかにシーンに合わせて、使いやすいソリューションを提供するか。また、時代によっても求められることは変わっていくため、シーンと時代に合った機能が求められます。そのため、私たちのサービスに完成はありません。常に顧客に寄り添い、100年続く会社を目指していきます。
アプローチ方法を変えながら、独自の視点で時代や顧客のニーズにも柔軟に対応
――多用な業種や利用シーンへ対応するには、多岐にわたる機能が必要になると思いますが、カバーできるものなのでしょうか。
幅広いニーズに応えるために、戦略の方向性としては大きく2つあります。1つは、マーケットインとプロダクトアウトの両方の視点を持つこと。もう1つは外部サービスと柔軟に連携していくことです。
顧客のニーズには顕在化しているものもあれば、顧客自身も気がついていない潜在的なものもあります。マーケットインとプロダクトアウトはどちらが良いというものではなくて、マーケットの動きを見ながらアプローチを変えていく必要があります。
顕在的ニーズに対してはスピードも重視しながらマーケットインで、潜在的なニーズに対しては市場をけん引する意味を含め、市場調査や研究開発も十分行いプロダクトアウトで進めています。
また、動画の利用シーンが広がる中、すべてのニーズに私たちだけで応えることはできないでしょう。だからこそ、他社のサービスと連携していく必要があります。「J-Stream Equipmedia(イクイップメディア)」というOVP(Online Video Platform)では、各分野に精通したサービスとAPIを介して連携することで幅広いニーズに応えています。
――ビジョンに向けて、Jストリームとして大事にしていることを教えてください。
Jストリームでは、「もっと素敵な伝え方を。」のスローガンをもとに、他社との違いを生む当社らしさを「JストリームWAY」として明文化しています。その中で「CSO」という行動指針を掲げています。
「Customer=お客様の想いを実現するために、Self=動画のプロフェッショナルとして、Organization=個人の力だけでなく組織で課題を解決する」という意味です。
行動指針はただ作っただけでは浸透しませんから、組織風土として根付かせるための研修も行っています。Jストリーム社員が共通で持っている「自分たちらしさ」を、価値ある判断軸として全社へ示す。WAYをもとに、部署が違う者同士でも同じモノサシで判断できるようになりました。
チャレンジする文化を次世代にも残すため、「JストリームWAY」を作った
――なぜJストリームWAYを作ったのでしょうか。
大きな理由の1つは「チャレンジする文化」の醸成です。Jストリームはもともとチャレンジを繰り返してきた会社です。しかし、年数を重ね創業当時を知る社員の割合も減り、組織拡大により部門間コミュニケーションも難しくなりました。そのような背景もあり、社員の中にチャレンジを抑制する心理が働いてしまう空気を感じていました。
そこで創立20周年を機に、Jストリームがこれまで大事にしてきた考え方をまとめたのです。Jストリームはこれまでも顧客のニーズに応えるために、いくつものチャレンジをしてきました。それを今の社員にもDNAとして残したかったのです。
――過去にどんなチャレンジをしてきたのか聞かせてください。
たとえば象徴的なのが、創業間もないころの話です。当時、代表的だった動画プレイヤーの1つに「RealPlayer」がありました。 このRealPlayerを提供するリアルネットワークスはわれわれの株主でしたが、株主を説得してどんなプレイヤーでも使える環境を提供するようにしました。
動画配信インフラ専業から、Webや映像の制作事業を社内に整備したこともあります。
また、ここ10年ほどではOVPやCDN(Content Delivery Network)のプラットフォーム事業を強化し、開発の内製化に舵を切りました。そこからモダン開発へと移行させ、 開発基盤をマイクロサービスアーキテクチャで構築したこともチャレンジと捉えています。マイクロサービスは素晴らしい概念なのですが、多くの企業が着手したくてもできず、途中で頓挫してきました。
当社でのはじまりは、現アーキテクトの大川との話の中で、マイクロサービスの必要性と、同時に、組織に根付かせる難しさを聞いたことにありました。すでにあるレガシーなシステムもあり、そのメンテナンスもあるし、サービスを止めるわけにもいかない。
ただ、顧客ニーズのスピードを考えると、多様な用途に対して細かな機能追加を一層迅速に提供できるようにする必要がある。ですから、大川にアーキテクトを任せ、経営として全面的にバックアップする判断をしました。今や開発環境だけでなく、組織、人事など多岐にわたり開発力強化のための組織づくりを進めています。
リモートワークや新人事制度の導入で、より働きやすく、活躍できる環境を整えていく
――エンジニアの働き方に関して取り組んでいることがあれば教えてください。
これは全社共通ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年からリモートワークを制度化しました。リモートワークをしている人には月額で手当てを支給し、セキュリティも見直してPCも自宅に持ち帰れるように。生産性が上がったという声も挙げられており、現在は全社員にリモートワークを推奨しています。
――リモートワークを始めたことでの変化はありますか。
働く場所の影響を受けなくなりました。私たちは東京のほか、福岡にも開発拠点を持っているのですが、リモートワークになったことで、東京も福岡も関係なく働けるようになり、よりチーム感が増しています。どこにいても仕事ができるので、現在は採用エリアも全国に拡げました。
――リモートワークに課題はないのですか。
今のところはありません。しかし、今後新しい社員が増えれば、会ったことのない人と仕事をする機会が増えるので、いかにして信頼関係を構築していくのかが課題になるでしょうね。 まだ解決策は見えていないので、これから模索していかなければなりません。
――開発組織に求めていることを教えてください。
「最新情報をインプットすること」「トライ&エラーを繰り返すこと」の2つです。社内にも新しい情報はありますが、社外にある情報とは比べ物になりません。そのため、社外とのコミュニケーションを大切にしながらインプットしてほしいですね。
とはいえ、新しい技術を学んだからといって、すぐに社内で使えるわけではありません。その技術を使うことで、顧客ニーズをどう満たすのか理解してもらう必要があります。ロジカルに必要性を伝えられれば予算も人員もつくので、プレゼンテーション力は磨いてほしいですね。
それと同時に、現状が苦手だからといって失敗を恐れないことも大切です。トライ&エラーを繰り返すことでプレゼンテーションは上達しますし、失敗から生み出されるものもありますから。
トライ&エラーができるように、査定は半年ごとです。失敗して査定に響くことはあっても半年後にはリセットされるので、失敗を恐れずに何度もチャレンジしてください。
――チャレンジできるように会社もサポートしていくということですね。
そうですね。Jストリームでは、エンジニアを対象とした新人事制度も開始しました。働きやすく、インプットしやすいような環境を整えているので、向上心の強い方、腕に覚えのある方はぜひ一緒に働きたいですね。活躍できる環境は整えているので、動画を使ってやりたいことがある方はぜひ一緒に働きましょう。