特にやりたいこともない、面接が苦手……。結果は内定ゼロでした
大学は文化情報学部というバリバリの文系でした。3年生になって就職活動がスタートしましたが、当時の私には「コレがやりたい!」という明確な目標もありませんでした。「Webデザイナーって職人っぽくてカッコイイかも」「大学で簿記2級を取ったから、金融系なら有利かも」……。そんな気持ちで業界も職種も絞らず、いろんな企業を受けましたが、なかなかうまくいきませんでしたね。
しかも私は面接が大の苦手。いつも必要以上に緊張してしまい、「学生時代に頑張ったことはなんですか?」と質問されても困ってしまうばかりでした。面接を重ねるごとに不安と恐怖心が増して、残念ながら1社も内定をもらえませんでした。結局、就職先が決まらないまま大学を卒業し、両親にもかなり心配をかけてしまいました。
しかし、何もしないわけにはいきません。
最初はスーパー、それから酒蔵、県税事務所……。レジ担当、惣菜づくり、接客、ラベル貼り作業など、さまざまな仕事でしばらくアルバイト生活。その中で自分は「何かをしながら考えるのが苦手」「人と接するのが得意じゃない」ということにも気づきました。それでも正社員として働きたいという気持ちはずっと持っていたんです。
ようやく正社員に!ところが思いがけない異動を機に退職……
そろそろ正社員として働かないと本当にマズい。アルバイト生活が2年を過ぎたころ、面接が苦手で大嫌いだった私ですが、勇気をふり絞って2度目の就職活動に挑戦しました。とはいえ、なかなかうまくはいきません。受けても受けても不合格が続きましたが、ついに家具のネット通販会社から、生まれて初めての内定をもらいました。もちろん「これで正社員として働ける!」という喜びはありましたが、「もう求職活動をしなくていい、面接を受けなくていい」という安堵のほうが大きかったかもしれません。
仕事はカスタマーサポート。お客様からのご注文やお問い合わせの電話応対をメインに、発送業務や事務処理などを担当しました。コミュニケーションに自信がなくて電話応対は苦手でしたが、ようやく正社員として就職できた会社なので、辞めたいと思うことはありませんでしたね。
ところが入社5年になるころ、Webページ編集の部署への異動を命じられたんです。実は前々から、その部署は仕事がハードで帰宅が夜遅くなることがあり、なかなか人員が定着しないという話を聞いていました。異動後、なんとか1年ほど頑張りましたが、やっぱり働き方が合わず、耐えきれなくなって辞める決意をしました。
3度目の就職活動で出会ったスタッフサービス・エンジニアリング
辞めるとなれば、また就職活動をしなきゃいけない。最初に頭に浮かんだのは「面接が嫌」ということでした。しかも6年ぶりの求職活動。不安は大きく、気持ちを整理して自分を奮い立たせるのが大変でした。それでも求人サイトを使ってなんとか活動を開始。何がしたいなんて贅沢は言っていられないと思い、未経験でもできそうな仕事があれば、片っ端から応募しました。そうしてエントリーした約30社は、書類選考で不合格になったり、面接で落ちたり、と全滅。すごくつらかったです。
そんな中、出会ったのがスタッフサービス・エンジニアリングでした。未経験からエンジニアを目指す人を応援するという会社で、実は新卒の就職活動のときにプログラマーやエンジニアに少し興味を持っていたこともあり、応募しました。他の会社といちばん違ったのは、面接がとてもフランクだったこと。「The面接」みたいな堅苦しい企業が続く中、もちろん緊張はしましたが、フレンドリーな雰囲気で、初めて自分のことをきちんと話せた気がしました。だから内定の連絡を受けたときは本当に嬉しかったですね。
働き方は、まずスタッフサービス・エンジニアリングに正社員として入社し、大手企業を中心とした派遣就業先で勤務するという仕組みです。最初の就業先は大手自動車メーカー。入退社データの入力や各種手続きをシステム上で行うという事務職に近い業務を任されました。営業担当者やコーディネーターが未経験でもチャレンジできそうな仕事を選んでくれたんだと思います。実際、無理なくスタートできましたし、自分なりに頑張って仕事に向き合いました。そんな中、就業先の業務の難易度が上がり、当時の私ではついていけなくなったため、6カ月で新しい就業先を探すことになりました。
「働くって楽しい、もっとできるようになりたい」という新境地へ
以前の私なら、現実に直面し、心が折れていたかもしれません。しかし、このときは違っていました。次の就業先ではしっかり貢献して長く働きたい、と強く感じました。もう「考えるのが苦手」「コミュニケーションが不得意」ということを言い訳に、逃げるわけにはいきません。「会社が育ててくれる」と甘えている場合でもありません。文系出身でまったくの未経験からエンジニアになるには、自分自身の努力も必要です。
幸いなことにスタッフサービス・エンジニアリングには、eラーニング、外部講座、書籍購入費補助、資格取得支援制度など、スキルアップのための制度が揃っていました。営業担当者からの「何かスキルを身につけましょう。それを武器に一つの就業先で長く活躍すれば、さらに成長できるのではないか」というアドバイスもあり、私はまずVBAの研修を受講することから始めました。
VBA以外にもさまざまな資格取得のため、一生懸命に勉強しました。そして、MOS Excel VBA Expert、品質管理検定3級、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報処理技術者といった資格を取得。合格するごとに少しずつ自信もついてきました。
そんな私の次の就業先は高速道路の関連会社。料金システムの保守、ビッグデータを解析して走行調査を行うといった仕事です。営業担当者が、VBAの資格を活かせる業務として勧めてくれました。扱うビッグデータは常時莫大なデータが追加更新されていく性質のもので、修正作業はこれまでは手入力で行っており、入力ミスや漏れが発生していました。
ここで私がこだわったのは業務の効率化と、それを実現するために能動的に動くこと。「VBAを使えばもっと便利に、自動化できるのでは」という観点を持ち、実際に自分のアイデアをプログラムに組み込んだりしました。すると思った通りに業務が効率的になるなど、はっきりと成果が出はじめ、「仕事っておもしろい!」と感じるようになったんです。働くことにプラスの感情を持つのも初めて。自分の変化に驚きつつ、とても嬉しくなりました。
自分なりの工夫で効率化に取り組んでいると、まわりから「これ、VBAで便利にできないかな?」と相談されるようにもなりました。誰かに頼られる。これも仕事で初めての経験で、ますます仕事が楽しくなりました。まだエンジニアとして一人前とは言えませんが、現就業先で業務をスタートして約4年。ようやく自分の居場所、自分が必要とされる環境に出会えたと思っています。
今は身につけたスキルに確信が持てるようになり、「もっとできるようになりたい!」という意欲も湧いてきました。これも私にとっては新しい境地です。今後も引き続きVBAの知識を深め、関連するプログラミングにもどんどん挑戦していきたいと思っています。そうすればきっと、さらに仕事がおもしろくなるはず。もっと自信が持てるはず。胸を張って「エンジニアです」って言えるはず。今より自分のことを好きになれるはず……。未来の私への期待が大きく膨らんでいます。