新聞営業、会社経営、コールセンターSV……。色々やりました
社会人としての出発は新聞の拡販営業。「生活できれば何でもいい」という気持ちで、叔父に紹介してもらった会社に入りました。個人宅訪問からスタートし、経験を積む中で地区のマネジメントまで任されるようになり、最後は「営業戦略を考える」「契約件数を増やす」という役割でしたね。ところがちょうど10年になる頃に父が急逝。家業を継ぐことになったんです。
家業は建設会社でした。業界の知識もない状態で継ぐことに葛藤がありました。でもこのままでは会社をたたむことになり、幼い頃から可愛がってくれていた職人さんたちが路頭に迷う。そんな想いが私を突き動かし、社長に就任。父の右腕だった社員には「3年を期限とします」と伝え、事業の整備に取りかかりました。現場で職人さんに実務を教わりながら、利益率や資産のことを考え、なんとか3年で整備に成功。最終的には、この3年、私を支え続けてくれた「父の右腕」の方に経営を引き継いでもらいました。
実はもともとPCが好きで、前々からIT関連の仕事をしたいという想いがありました。だから大仕事をやり遂げた後は、迷わずソフトウェアの会社に入社。営業経験を評価されてコールセンターの法人窓口となり、ソフトの不具合・不明点をサポートする掲示板の運営を任されました。その後、社内のセキュリティ関係の資格を取得し、少しずつ「ITらしい仕事」を増やしていきました。
しかし技術的に物足りなくなり、インターネット系企業、光回線のコールセンター運営企業へと転職を重ねました。最後はSVとして社内体制の整備や営業戦略の立案などを担当していました。充実はしていましたが、このままだと自分の目指すエンジニアから遠ざかるという危機感から、再び転職を考えるようになりました。ただ、ここまでの職歴で身についた「営業×IT技術」のスキル、経営や組織づくりのノウハウは、その後のキャリアで大きく役立つことになります。
そしてたどり着いたスタッフサービス・エンジニアリング
再びITの仕事を探し始めた頃は、すでに30代半ば。転職サイトに登録し、「自分のやりたい仕事ができるかどうか」「新しいことにチャレンジできるかどうか」を軸に転職活動を進めていました。そんな中で面接を受けた3社のうちの1社がスタッフサービス・エンジニアリングです。
スタッフサービス・エンジニアリングには、まず、大手メーカーやその関連会社など全国に数え切れないほどの取引実績があり、ソフトウェア系、機械系、化学系など技術系の仕事がなんでも揃っているという点に興味を持ちました。さらにその中から「やりたい仕事」を相談できるというのも魅力でした。そして入社の決め手になったのは面接に営業担当の方が同席し、私の経歴や希望を聞いた上で、その場で「こんな仕事はどうでしょう」と具体的な就業先・プロジェクトを提案してくれたことです。
2019年8月に入社した私は、札幌テクニカルセンターの所属となり、医療系システム会社のネットワーク部門で働くことになりました。仕事は福祉施設のネットワークの新規構築。インフラエンジニアとして調査・要件定義から、設計、現場への設置まで任せてもらいました。各方面との交渉や調整では営業スキルを活かせますし、運用テストでは「不具合・不明点の解決」というかつての経験も役立ちます。そして何より「新規構築」という新たな挑戦ができる。まさに私の「やりたい仕事」です。分からないところは先輩社員にすぐ聞ける環境にも助けられ、2021年12月にネットワークを完成させることができました。
次の就業先は情報処理会社のハード・ソフトウェア開発部門。仕事はデジタルLSI(携帯電話交換機向けの通信デバイス)の開発プロジェクトでの社内サポートです。主に障害対応や環境調査を担当していますが、また新しい分野の技術に挑戦できる業務なので、現在ワクワクしながら取り組んでいるところです。
若手の育成に携わりたいという想いがフツフツと
私自身、社歴は浅いものの、40歳手前という年齢で、まわりは若いエンジニアばかり。次第に相談を受けることが多くなってきました。スタッフサービス・エンジニアリングには経験の浅いエンジニアや、未経験者も数多く入社してきます。会社として、こうした若手を積極的に採用して育成するという方針で、私もその考えに共感していました。そして一生懸命な若手社員を見るうちに「もっと自分にできることはないか」と思うようになってきたんです。
新聞販売会社の地域責任者、コールセンターSVなど、さまざまなマネジメント業務の中で多くの若手の育成に携わってきた血が騒いだのかもしれません。またIT業界は一定のスキルがないとやりたい仕事を選びにくくなるので、若いうちからスキルを身につけることがとても重要です。それを身を持って知っているからこそ、何かやらなければという想いが強いのかもしれません。
そこで私は営業の社員の方に「何か若手の育成に関わることはできませんか」と相談しました。すると「ユニットを作るのはどうですか?」という提案をいただいたんです。「ユニット」とは、同じ就業先や近隣の就業先で働く社員の数十名単位の集まりです。定期ミーティングで技術情報を交換・共有したり、エンジニア同士のコミュニケーションを深めたり。ときには職場での困りごとや技術的な悩みの相談に先輩が答え、スキルアップ方法のアドバイスをすることもあります。
すでに全国では多くのユニットが活動していました。でも当時の札幌テクニカルセンターにはまだ存在しておらず、2020年12月に発足。私がユニットリーダーとなり、「SOU(Sapporo Online Unitの略)」という名前をつけて、オンライン中心の活動をスタートさせました。
若手エンジニアにもっと成長のチャンスを
2022年12月現在「SOU」には13名のメンバーが参加してくれていて、「ITエンジニアとしてのキャリア実現とスキル向上」を目的に掲げ、全員で資格取得を目指しています。会社の承認を得て「資格取得奨励金」という制度を大いに活用する予定です。
2021年度は「みんなで合計100万円の奨励金を獲得しよう」という目標を立てました。結果、完全達成とはいきませんでしたが、51万円を獲得。これまで私を含め12名が「ネットワークスペシャリスト」、「AWS Certified Cloud Practitoner」、「Oracle Certified Java Programmer,Silver SE8」といった資格を取得しています。いまも各自が1日30〜60分の勉強時間を確保し、定期ミーティングでメンバー同士励まし合いながら、さらなるスキルアップを目指しています。
実はこの取り組みが評価され、私は「最優秀リーダー賞」という表彰を受けました。もちろんこれも嬉しいことですが、私はやっぱり多くの資格合格者を出せたことのほうが嬉しいですね。若いエンジニアたちが獲得した資格・スキルを武器に仕事の選択肢を広げ、大きく羽ばたいていく姿を目にしたら、さらに大喜びしてしまうと思います。
スタッフサービス・エンジニアリングには全国に数多くのユニットが存在します。私の他にも若手の成長を後押ししたいという先輩やユニットリーダーがたくさんいます。そしてさまざまな資格の取得支援、好きなときに好きな分野を学べるe-learningや通信講座、関連書籍の購入補助といった制度も山ほどあります。これを、利用しない手はないですよね。これからエンジニアを目指そうという人、自分を磨いていきたい人にとって、充実した環境だと思います。